メディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディックスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、インターネット広告を中心としたデジタルマーケティング支援事業を展開する企業です。直近の業績は、売上高が41.6億円と前期比でほぼ横ばいでしたが、コスト効率化等により経常利益は9.5億円、当期純利益は8.0億円と大幅な増益を達成しています。


※本記事は、株式会社メディックス の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディックスってどんな会社?


メディックスは、インターネット広告代理事業を主軸に、Web制作やデータ解析を一貫して提供するデジタルマーケティングの総合支援企業です。

(1) 会社概要


同社は1984年に広告制作プロダクションとして設立され、1997年にインターネット広告代理店へと業態転換しました。2007年にはアクセス解析専門組織を発足させ、データ活用支援を強化しています。2016年にはフィード広告管理サービス「M-Feed」の提供を開始するなど技術開発にも注力し、2025年3月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場しました。

現在、同社(単体)の従業員数は279名です。株主構成については、筆頭株主は創業者一族の小谷中茂樹氏であり、第2位には同社取締役(常勤監査等委員)の水野昌広氏が名を連ねています。第3位は従業員持株会となっており、経営陣や従業員が主要な株主となっている安定した資本構成です。

氏名 持株比率
小谷中 茂樹 24.91%
水野 昌広 13.57%
メディックス従業員持株会 10.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は田中正則氏が務めています。なお、取締役7名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
田中 正則 代表取締役社長 元博展代表取締役。フォローワンズハート代表取締役を経て2021年同社入社。2022年4月より現職。
馬場 昭彦 管理担当取締役 リクルートマーケティングパートナーズ取締役執行役員などを経て2023年6月より現職。
両角 創平 取締役 2004年同社入社。2021年4月より現職。
水野 昌広 取締役(常勤監査等委員) 1992年同社入社。2005年代表取締役、2022年取締役会長を経て2023年3月より現職。


社外取締役は、大久保修一(元アイテックス専務取締役)、鈴木さなえ(AI CROSS取締役監査等委員)、都賢治(税理士法人アルタス代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルマーケティング支援事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) BtoC領域


この領域では、一般消費者をターゲットとする企業のデジタルマーケティングを総合的に支援しています。具体的には、検索連動型広告やディスプレイ広告、SNS広告などの運用型広告に加え、クリエイティブ制作やWebサイト構築を提供しています。

収益は、顧客企業から受け取る広告出稿の運用手数料や制作費等からなります。BtoC事業はターゲットが多くリードタイムが短いため、広告運用の改善による効果最大化に重点を置いています。運営は同社が単独で行っています。

(2) BtoB領域


この領域では、法人顧客をターゲットとする企業のマーケティング支援を行っています。ターゲットが少なく検討期間が長いBtoBビジネスの特性に合わせ、リード(見込み客)獲得後の育成を目的としたコンテンツ制作や、オフライン営業データとの連携分析などを重視しています。

収益は、広告運用手数料に加え、コンテンツ制作費やコンサルティングフィー等からなります。SaaSや製造業などの業界にフォーカスし、Webサイト制作のパッケージ化なども進めています。運営は同社が行っています。

(3) データマネジメント・その他領域


この領域では、デジタルマーケティング施策全体を支えるデータ活用支援を行っています。マーケティングDX、アクセス解析、Webサイト制作などを単体サービスとして切り出し、顧客のマーケティング課題解決を支援しています。

収益は、データ分析・コンサルティング料や制作費等からなります。2021年にはデータ統合・可視化ソリューション「M-Data」の提供を開始しており、将来の成長を牽引する領域として位置づけています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年3月期の144億円をピークに、2023年3月期以降は42億円前後で推移しています。これは「収益認識に関する会計基準」の適用による影響が含まれています。一方で、経常利益率は年々向上しており、2025年3月期には22.9%という高い水準に達しています。当期純利益も順調に推移しており、効率的な経営体制への移行が進んでいることがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 119.8億円 143.9億円 42.7億円 41.8億円 41.6億円
経常利益 1.2億円 5.2億円 8.2億円 8.0億円 9.5億円
利益率(%) 1.0% 3.6% 19.1% 19.2% 22.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -1.2億円 1.3億円 4.0億円 4.9億円 8.0億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高はほぼ横ばいですが、売上原価および販売費及び一般管理費の削減により、各利益段階で増益となっています。特に売上総利益率は約90%と非常に高い水準を維持しており、付加価値の高いサービス提供ができていることが分かります。営業利益率は19.3%と前年から微増しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 41.8億円 41.6億円
売上総利益 37.4億円 37.3億円
売上総利益率(%) 89.4% 89.6%
営業利益 8.0億円 8.0億円
営業利益率(%) 19.2% 19.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が13億円(構成比45%)、賞与引当金繰入が2.9億円(同10%)を占めています。売上原価については全額が外注費で構成されています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、販売実績として各領域の売上高が開示されています。BtoC領域は一部大型クライアントの影響等で微減となりましたが、BtoB領域は顧客単価の上昇や新規獲得により前期比プラスとなりました。データマネジメント領域は前年をやや下回る結果となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
BtoC領域 22.7億円 21.7億円
BtoB領域 9.6億円 10.8億円
データマネジメント・その他領域 9.5億円 9.1億円
合計 41.8億円 41.6億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況は、本業で現金を稼ぎ出し(営業CFプラス)、その資金に加えて株式上場による調達や保険解約収入等(財務CF・投資CFプラス)で手元資金を厚くしている「再建・転換型」のパターンを示しています。ただし、投資CFのプラスは保険解約による一時的な要因が大きく、実態としては財務体質の強化フェーズにあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 6.8億円 5.0億円
投資CF 0.1億円 4.1億円
財務CF -2.2億円 0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は29.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は49.0%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「自由と責任」及び「信頼」を経営理念に掲げています。また、ビジョンとして「デジタル領域のNo.1マーケティングパートナー」を目指し、短期的なプロモーション課題の解決だけでなく、中長期的な視点でクライアントの本質的なビジネス貢献を行うことを重視しています。

(2) 企業文化


同社は、当事者意識を持って取り組み、立場にとらわれず正しいと信じることを提案・発言することを重視する文化があります。変化の激しいインターネット広告業界において、自らが率先して複雑さと変化をキャッチアップし、成長・進化し続ける姿勢を大切にしています。また、全てのステークホルダーとの信頼関係構築を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は経営上の目標達成状況を判断する指標として、以下の数値を重視しています。これらを向上させることで企業価値と株主価値の向上を図る方針です。

* 売上高
* 営業利益
* 売上高営業利益率
* 3期目以上取引のある顧客の売上高

(4) 成長戦略と重点施策


同社はインターネット広告事業の成長を基盤としつつ、デジタルマーケティング市場全体でのシェア拡大を目指しています。具体的には、BtoC・BtoB領域でのシェア拡大と、データマネジメント領域を軸とした支援拡大を推進します。

* インターネット広告領域:広告クリエイティブ専門組織「B-SOKU」の強化や、アカウントプランナーと専門スタッフによる一貫したコントロール体制により、顧客グリップ力を高めます。
* BtoB領域:SaaSや製造業などのフォーカス業界を定め、コンテンツ制作やデータ分析の強みを活かして広告以外の取引拡大を目指します。
* データマネジメント領域:データ取得・統合・可視化・分析から施策実行までをトータルでサポートし、パートナー連携や共同商品づくりを強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、高品質なサービス提供のために人材の採用と育成を最重要課題と位置づけています。社員が経営理念を深く理解し、能力を発揮できる環境づくりを推進しており、外部研修補助制度やコンピテンシー評価制度に加え、職級にとらわれず最適なアサインを行う「役割期待グレード制度」などを導入しています。また、「イマコレシート」を活用した人材流動性の活性化にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.1歳 7.6年 5,961,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男女賃金差異(全労働者) 69.1%
男女賃金差異(正規雇用) 72.6%
男女賃金差異(非正規) 40.3%


なお、女性管理職比率および男性育児休業取得率については、法令の規定による公開をしていないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、20代成長環境ランキング(2,566社中10位)、総合評価ランキング(2,566社中48位)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告を巡る事業環境について


同社が属する広告業界は景気変動の影響を受けやすく、景気悪化により市場拡大が鈍化した場合、業績に影響を与える可能性があります。また、メガプラットフォーマー(GAFA等)の事業戦略変更によりサービス提供が困難になるリスクもあります。

(2) 特定顧客への依存について


現在は特定顧客への依存は見られませんが、今後特定の顧客との取引が拡大し、その顧客の事業方針変更や業績変動が生じた場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。同社は顧客の分散を進めることで対応しています。

(3) メディア運営会社への依存について


同社の事業はGoogle、LINEヤフー、Metaの上位3社からの仕入高が全体の約8割を占めており、これらメディア運営会社との取引関係に変化が生じた場合、事業活動に重大な影響を与える可能性があります。

(4) 競合他社との関係について


インターネット広告業界は市場拡大に伴い新規参入が増加する可能性があります。競合による革新的な技術開発や競争激化が生じた場合、同社の競争力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。