メディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

メディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、デジタルマーケティング支援事業を主力とする企業です。インターネット広告の販売・運用、マーケティングDX、Webサイト制作などを包括的に提供しています。直近の業績では、運用型広告やBtoB領域の支援が堅調に推移し、売上高43億円、経常利益7億円と安定した収益を確保しています。


※本記事は、株式会社メディックスの有価証券報告書(第43期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. メディックスってどんな会社?


デジタルマーケティングの戦略立案から広告運用、Web制作までを一貫して支援する企業です。

(1) 会社概要


1984年に広告制作プロダクション事業として設立されました。1997年にインターネット広告代理店へと業態転換し、以降はアクセス解析やマーケティングオートメーションの導入支援など事業領域を拡大してきました。2025年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場し、台湾などアジア市場への進出も進めています。

同社グループは連結で343名、単体で268名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の小谷中茂樹氏で、第2位は水野昌広氏です。また、第3位には従業員持株会が名を連ねており、安定した経営基盤を構築しつつ、従業員の参画意識を高める資本構成となっています。

氏名 持株比率
小谷中茂樹 19.97%
水野昌広 15.85%
メディックス従業員持株会 9.37%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長の田中正則氏がトップを務めています。社外取締役は3名で構成されています。

氏名 役職 主な経歴
田中正則 代表取締役社長 1980年日本リクルートセンター入社。博展代表取締役等を経て、2021年同社取締役、2022年より現職。
馬場昭彦 管理担当取締役 1996年リクルート入社。リクルートゼクシィなび代表取締役等を経て、2023年より現職。
水野昌広 取締役(常勤監査等委員) 1979年日本リクルートセンター入社。1992年同社取締役、2005年代表取締役等を経て、2023年より現職。


社外取締役は、大久保修一(元NTTデータバリュー・エンジニア取締役)、鈴木さなえ(元AI CROSS取締役)、都賢治(元フォトラクション監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルマーケティング支援」事業を展開しています。

顧客企業の事業成長を多角的に支援するため、インターネット広告販売、マーケティングDX、アクセス解析、Webサイト制作などを展開しています。BtoCおよびBtoB企業の双方をターゲットとし、集客から制作、解析、顧客管理までを一貫して設計するアカウントプランナーが中心となり、最適なマーケティング施策を提供しています。

主力サービスは、検索連動型広告やディスプレイ広告などの広告枠を販売・運用して手数料を受け取る運用型広告です。加えて、データ計測や分析基盤の構築支援、Webサイトの制作費用なども収益源となっています。運営は主にメディックスが行うほか、子会社のSales Labなどが営業DX支援サービスを担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績では、インターネット広告市場の継続的な成長を背景に、運用型広告やデータマネジメント領域の支援が堅調に推移しています。当期の売上高は43億円、経常利益は7億円となり、15.5%の高い利益率水準を確保して安定した収益基盤を示しています。

項目 2026年3月期
売上高 43億円
経常利益 7億円
利益率(%) 15.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円

(2) 損益計算書


当期の損益構成を見ると、デジタルマーケティングの付加価値の高いコンサルティングや運用支援により、売上総利益率は87.0%という極めて高い水準を記録しています。営業利益率も15.5%を確保しており、効率的な事業運営が行われていることが伺えます。

項目 2026年3月期
売上高 43億円
売上総利益 37億円
売上総利益率(%) 87.0%
営業利益 7億円
営業利益率(%) 15.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が14億円(構成比44%)、賞与引当金繰入額が3億円(同9%)を占めており、人件費が主要なコストとなっています。専門性の高い人材の確保や育成に向けた積極的な投資が行われていることがわかります。

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなる「積極型」です。本業で安定して資金を稼ぎ出しつつ、将来の成長に向けた事業投資やシステム開発などを行い、必要な資金を借入や調達で賄っている成長局面の資金繰りを示しています。

項目 2026年3月期
営業CF 3億円
投資CF -3億円
財務CF 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「自由と責任」および「信頼」を経営理念に掲げています。当事者意識をもって事にあたり、立場にとらわれず正しいと信じることを提案・発言しながら、すべてのステークホルダーとの信頼関係を構築することを重視しています。また、「デジタル領域のNo.1マーケティングパートナー」をビジョンとして定めており、本質的な課題解決に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「自由と責任」を体現する企業文化を根付かせています。変化の激しいインターネット広告業界において、自らが率先して複雑さと変化をキャッチアップし、成長・進化し続ける姿勢を重視しています。顧客視点と「ソリューションニュートラル」な立場を徹底し、短期的なプロモーション課題だけでなく、中長期にわたる顧客のビジネス貢献を大切にする風土が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


同社は事業拡大と収益率向上により、企業価値および株主価値の継続的な向上を図ることを目標としています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、売上高営業利益率、および3期以上取引のある顧客の売上高を重視し、安定した成長基盤の構築と高収益化を目指した経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


成長戦略コンセプト「Beyond広告」のもと、主力であるインターネット広告事業のシェア拡大とともに、新領域への進出による事業成長を図っています。特にBtoB領域において、SaaSや製造業などのフォーカス業界に向けてコンテンツ制作やデータ連携を強化します。また、データ取得から分析・施策運用までをトータルでサポートするデータマネジメント領域へ事業を拡大する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「デジタルマーケティングのプロフェッショナル集団」として、人材の質を競争優位性の源泉と位置づけています。「役割期待グレード制度」に基づく最適配置や、「イマコレシート」による個人の志向・資質の可視化を通じて、人材開発と社内環境整備を推進しています。自律的な意思決定を促す組織体制を構築し、高いエンゲージメントを維持することで優秀な人材の確保と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.6歳 8.1年 5,831,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 88.9%
男女賃金差異(正規雇用) 78.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 113.6%


※同社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率および男性育児休業取得率の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定顧客やメディアへの依存


特定の顧客との取引が大きく拡大した場合、将来的な方針変更等で取引が縮小すると業績に影響が及ぶ可能性があります。また、GoogleやLINEヤフー、Metaなどの大手メディア運営会社が提供する広告媒体に大きく依存しており、取引関係や条件に変化が生じた場合にも、安定した事業運営に支障をきたすリスクがあります。

(2) インターネット広告技術の革新と競合


インターネット関連分野の技術革新は著しく、特に生成AI技術の進展により業務領域が急速に変化しています。これらの変化に柔軟に対応できない場合や、競合他社が革新的な技術を開発して新規参入が増加した場合には、同社グループの競争力が相対的に低下し、事業の拡大や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 優秀な人的資本の確保


デジタルマーケティング領域においてさらなる成長を遂げるためには、専門性の高い優秀な人材の確保と育成が不可欠です。退職者の増加や採用活動の不振により必要な人材を十分に確保できない場合や、社内教育が想定通りに機能しない場合には、サービスの品質維持や事業の遂行に制約が生じるリスクがあります。

(4) 情報管理とシステム障害


顧客の機密情報や個人情報を取り扱うため、不測の事態で情報漏洩事故が発生した場合、損害賠償や信用の失墜を招く恐れがあります。また、インターネット通信を利用したサービスにおいて、機器の不具合やサイバー攻撃等によるシステム障害が発生すると、サービスの停止により業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。