トヨコー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トヨコー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

トヨコーは東京証券取引所グロース市場に上場し、工場屋根の改修を行うSOSEI事業と、レーザーによるサビ・塗膜除去装置を扱うCoolLaser事業を展開しています。直近の業績は、両事業の好調により売上高が大幅に増加し、経常利益も大きく伸びる増収増益のトレンドを継続し、成長を遂げています。


※本記事は、株式会社トヨコーの有価証券報告書(第31期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. トヨコーってどんな会社?


トヨコーは、老朽化した工場屋根の改修工法と、サビを取り除くレーザー装置の開発・施工を手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1996年に塗装防水工事業として設立されました。2006年に独自の屋根改修技術であるSOSEI工法を開発し、2008年からはレーザークリーニング工法であるCoolLaserの開発に着手しました。2023年に同装置初の市販モデルを発売し、2025年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。

同社は単体で48名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の豊澤一晃氏であり、第2位は信託業務などを行う日本カストディ銀行、第3位はカストディ業務等を担うPERSHING SECURITIES LTDとなっています。

氏名 持株比率
豊澤 一晃 32.92%
日本カストディ銀行(信託口) 6.15%
PERSHING SECURITIES LTD CLIENT SAFE CUSTODY ASSET ACCOUNT 4.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOは豊澤一晃氏が務めており、社外取締役の比率は約57%となっています。

氏名 役職 主な経歴
豊澤 一晃 代表取締役CEO 1996年ジャパンアートプランニングセンターに入社後、個人事業主として独立。2003年に同社へ入社し取締役に就任。2014年より代表取締役CEOに就任。ikplanning代表取締役も兼務。
鈴木 紀行 取締役COO 東光やロームを経て、NVIDIA Corporationにてシニアマネージャー等を歴任。EDGEMATRIXでの執行役員等を経て、2024年に同社へ入社し、同年より取締役COOを務める。
白井 元 取締役CFO あらた監査法人等を経て、2019年グリンティー代表取締役に就任。2020年に同社へ入社し、取締役CFOを務める。エヌエスティー社外監査役等も兼務。


社外取締役は、守屋実(守屋実事務所 代表取締役)、佐々木輝(佐々木輝公認会計士事務所 代表)、阿部洋(アカウンティングフォース税理士法人 代表社員)、川添文彬(法律事務所Y Cube 代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「SOSEI事業」および「CoolLaser事業」を展開しています。

(1) SOSEI事業


老朽化した工場や倉庫のスレート屋根に対し、独自の樹脂を吹き付けて補強・防水・断熱を行う「SOSEI工法」を提供しています。自動車や電機メーカー等の工場所有者を主な顧客とし、屋根の改修ニーズに応えながら、脱炭素化に向けた空調効率の改善や環境負荷の低減にも寄与しています。

収益源は、工場や建物の所有者から発注される屋根改修工事の請負代金です。同社が元請け、または他の建設会社からの下請けとして受注し、協力施工会社に作業を外注しつつ、自社の施工管理者を常駐させる責任施工体制で工事の役務を提供しています。運営は同社が行っています。

(2) CoolLaser事業


橋梁や鉄塔などの社会インフラ構造物に対し、高出力レーザーを用いて分厚いサビや旧塗膜を除去する「CoolLaser」装置の開発・製造および施工を提供しています。建機レンタル会社、工事会社、インフラオーナー等を対象とし、産業廃棄物を出さずに安全かつ高品質なメンテナンスを実現しています。

収益源は、レーザー施工装置の販売代金をはじめ、保護レンズ等の消耗品販売、保守契約に基づくメンテナンス料金、および自社での試験施工や本施工による工事請負代金です。装置の製造・販売および保守サービス等の運営は同社が主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の単体業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、前半は研究開発等の先行投資により経常損失を計上していましたが、市販モデルの納品が開始されたことで売上高が急拡大しています。それに伴い利益面も黒字転換を果たし、利益率も大きく改善するなど、成長軌道に乗っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 10.5億円 11.2億円 11.0億円 20.3億円 31.3億円
経常利益 -5.6億円 -1.2億円 -1.6億円 2.6億円 6.2億円
利益率(%) -53.3% -10.5% -14.4% 13.0% 19.7%
当期利益(親会社所有者帰属) -9.0億円 -1.1億円 -1.6億円 3.2億円 5.5億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は安定して推移しており、販売費及び一般管理費の増加を吸収することで営業利益率が大きく向上し、本業での高い収益力を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 20.3億円 31.3億円
売上総利益 8.6億円 13.0億円
売上総利益率(%) 42.6% 41.5%
営業利益 3.0億円 6.3億円
営業利益率(%) 14.9% 20.1%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が1.8億円(構成比27%)、支払手数料が1.3億円(同19%)、給料手当が1.0億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高を見ると、SOSEI事業は大型改修案件の獲得などにより堅調な成長を維持しています。一方、CoolLaser事業は初の市販モデルの納品が本格化したことで売上が急拡大し、全体の成長を大きく牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
SOSEI事業 16.0億円 17.8億円
CoolLaser事業 4.2億円 13.5億円
全社(合計) 20.3億円 31.3億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1.8億円 1.4億円
投資CF -5.2億円 -6.9億円
財務CF 15.3億円 6.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.8%で製造業の市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「キレイに、未来へ」をミッションに掲げています。高度経済成長期から50年が経過し、老朽化した工場や社会インフラ構造物の維持管理が課題となる中、インフラメンテナンス現場の「3K(キツい、汚い、危険)」を「3C(Cool、Clean、Creative)」に変えるテクノロジーを開発し、循環型社会の実現に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「現場主義」「市場創造」「協創」の3つを経営判断の基本方針としています。現場の働き手目線で本質的な課題に向き合うモノづくりを行い、既存工法では解決できなかった新たなニーズに応える市場を創出します。また、ベンチャー企業として自社の強みに資源を集中しつつ、他社との協業を積極的に推し進める文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


社会インフラ構造物を次の世代へ持続可能な状態で受け継ぐことを重要な取り組みテーマとしています。限られた労働力でインフラを維持管理するため、事後保全から予防保全への転換を推進し、工事の省人化やライフサイクルコストの削減を可能にする新たな技術の普及を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


SOSEI事業では、樹脂と塗料を組み合わせた独自の屋根改修技術を活かし、太陽光パネル設置工事会社との協創を深め、老朽化した屋根上へのパネル設置を可能にする新事業を展開します。CoolLaser事業では、装置の販売やレンタル、保守サービス等の継続収益を拡大し、海外進出に向けた調査や新型レーザーヘッドの応用開発に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、安心して働ける環境の実現を目指しています。職場でのOJTを通じた教育や役割に応じた研修を展開し、個人の人格や人権を尊重する評価を実施しています。また、女性従業員の活躍促進やワークライフバランスに配慮した支援制度の整備、有給休暇取得の促進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.0歳 5.5年 5,841,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は関連する法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(10.0%)、有給休暇取得率(43.5%)、年間休日(123日)、中途採用実績(13名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合技術の出現と競争環境の変化


レーザー施工や屋根改修において強固な特許技術とノウハウを有していますが、他社による模倣工法の出現や、同社を上回る研究開発能力を持つ企業の新規参入が起こる可能性があります。これにより競争優位性が低下し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 原材料・部材の調達価格高騰


SOSEI事業で使用する石油由来の樹脂や、CoolLaser事業における半導体など、原材料や部材の価格上昇および供給不足が生じる可能性があります。世界情勢等による調達コストの高騰に対して適切に価格転嫁が進まない場合、収益性が悪化するリスクがあります。

(3) 建設関連の許認可と法的規制


SOSEI事業を中心に、特定建設業許可などの事業遂行に必要な許認可を取得して事業を展開しています。何らかの理由によりこれらの許認可が取り消されたり、法令違反による行政処分等を受けたりした場合、事業活動に重大な支障をきたす可能性があります。

(4) 研究開発等への先行投資の負担


CoolLaser事業において、新市場の創出に向けた装置開発や技術者の採用など、多額の研究開発投資を先行して行っています。今後も継続して投資を行う計画ですが、想定通りに製品の市場導入が進まない場合や投資回収が遅れた場合、財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。