レアジョブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レアジョブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「レアジョブ英会話」等のリスキリング事業と「ボーダーリンク」等の子ども・子育て支援事業を展開しています。直近の業績では、事業再編等の影響で売上高は前年比で微減の96億円となったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は5.7億円と大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社レアジョブの有価証券報告書(第19期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. レアジョブってどんな会社?


オンライン英会話やALT派遣などを通じ、あらゆる世代の英語学習を支援するEdTech企業です。

(1) 会社概要


同社は2007年にオンライン英会話事業を目的として設立され、同年からサービスの提供を開始しました。2014年にはマザーズ市場(現在はスタンダード市場)への上場を果たしています。近年はM&Aや提携を推進しており、2021年にALT派遣事業を展開するボーダーリンクと資本業務提携し、2025年には東京インターナショナルスクールグループを完全子会社化するなど、子ども向け教育分野の強化を進めています。

現在の従業員数は連結で572名、単体で45名体制となっています。大株主については、筆頭株主が創業者であり代表取締役社長を務める中村岳氏です。第2位株主は資本業務提携先である学研ホールディングスとなっており、同社は株式交換により完全親会社となる予定です。第3位はUEDとなっています。

氏名 持株比率
中村岳 21.07%
学研ホールディングス 19.93%
UED 9.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中村岳氏が務めています。役員のうち社外取締役は4名であり、その比率は過半数を超えています。

氏名 役職 主な経歴
中村岳 代表取締役社長 NTTドコモを経て同社代表取締役に就任。2015年より現職。
坪内俊一 取締役 ボストンコンサルティンググループ、エムスリーなどを経て同社に入社。執行役員を経て取締役。
安井康真 取締役 セントメディア(現ウィルオブ・ワーク)を経てボーダーリンクに入社し代表取締役。その後同社取締役。


社外取締役は、谷口正一郎(学研ホールディングス執行役員)、三原宇雄(三原公認会計士事務所所長)、成松淳(ミューゼオ代表取締役社長)、五十嵐幹(クロス・マーケティンググループ代表取締役社長兼CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リスキリング事業」および「子ども・子育て支援事業」を展開しています。

リスキリング事業


個人および法人顧客を対象に、英語学習を中心とした教育サービスを提供しています。具体的には、オンライン英会話「レアジョブ英会話」をはじめ、AIを活用したスピーキングテスト「PROGOS」やプロコーチが伴走するコーチングサービス、法人向けのグローバルリーダー育成研修などを展開しています。

主にユーザーからの月額利用料や法人からの研修費用を収益源としています。事業の運営は、レアジョブや子会社のプロゴスが主体となって行っています(プロゴスはレアジョブへ吸収合併される予定です)。近年は、趣味・教養から本格的なビジネス英語まで幅広い学習ニーズに応じたプロダクトラインナップの拡充を進めています。

子ども・子育て支援事業


幼児から高校生(K12領域)までの幅広い年代を対象に、教育機関や個人向けの英語学習サービスを提供しています。主力は全国の学校に外国人講師を配置するALT派遣サービスであり、課外でも利用できるオンライン英会話や、英語で学ぶ探究型のキンダーガーテン・アフタースクールなどを展開しています。

教育機関からの派遣報酬や個人からの受講料を収益源としています。ALT派遣事業やオンライン英会話は主にボーダーリンクが運営し、キンダーガーテン等の事業は東京インターナショナルスクールグループが運営を担っています。両者の強みを組み合わせたブレンディッド教育など、グループシナジーを活かした事業展開を進めています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、M&Aの効果などにより売上高は50億円台から約100億円規模へと大きく成長を遂げています。利益面では一時的な赤字を計上した期もありましたが、直近ではコスト構造の見直しや事業再編等が進み、当期純利益は過去最高水準となる5.7億円へと回復しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 56億円 58億円 102億円 97億円 96億円
経常利益 2.4億円 2.8億円 7.0億円 4.2億円 0.9億円
利益率(%) 4.3% 4.8% 6.9% 4.4% 1.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.0億円 1.5億円 -5.2億円 0.3億円 5.7億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を比較すると、事業ポートフォリオの見直しや連結範囲の変更などにより売上高は微減となりました。売上総利益率は40%台を維持していますが、新規連結に伴う一時的な費用計上や事業拡大に向けた先行投資が影響し、営業利益および営業利益率は前年を下回る結果となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 97億円 96億円
売上総利益 41億円 39億円
売上総利益率(%) 42.0% 40.2%
営業利益 4.4億円 0.8億円
営業利益率(%) 4.6% 0.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が14億円(構成比36%)、支払手数料が4.5億円(同12%)、広告宣伝費が3.2億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


リスキリング事業は、個人向けサービスの会員数減少や事業譲渡の影響により売上・利益ともに減少しました。一方で子ども・子育て支援事業は、ALT派遣の新規開拓に加え、新規子会社化による売上寄与もあり増収となりましたが、M&A関連の費用計上等によりセグメント利益は減益となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
リスキリング事業 47億円 39億円 4.8億円 2.1億円 5.3%
子ども・子育て支援事業 50億円 57億円 5.8億円 4.4億円 7.7%
調整額 -0.0億円 -0.0億円 -6.2億円 -5.7億円 -
連結(合計) 97億円 96億円 4.4億円 0.8億円 0.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出しつつ、借入等によって成長のための積極的な投資を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状況にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4.3億円 0.5億円
投資CF -0.8億円 -0.2億円
財務CF -4.7億円 4.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Chances for everyone, everywhere.」をグループビジョンに掲げています。世界中の人々が国境や言語の壁を越えてそれぞれの能力を活かし、グローバルに活躍できる世の中を創造することを目指し、個人向け・法人向けから子ども向けまで幅広い学びの領域で教育サービスを提供しています。

(2) 企業文化


同社は、最も成果が高いのは「自発的な学び」であるという考えのもと、成長意欲を持つ従業員に対する柔軟なスキルアップ支援を行っています。また、多様なバックグラウンドを持つ人材が各々の個性を発揮し、部門の垣根を越えた横断的な連携を通じて新たな価値を創出する組織文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な事業拡大と企業価値向上のため、連結売上高および連結営業利益を最も重要な経営指標と位置づけています。資本コストを上回る戦略的投資を優先して実行し、持続的な売上高・利益成長の実現と健全な財務基盤の確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「[人×AI]の共創で提供価値最大化を実現」と「シナジーと協業で、競争優位性の確立と事業展開を加速」の2つを戦略の軸としています。AIを活用したオンライン学習サービスの品質向上、組織体制の抜本的な刷新による人材強化、他社とのアライアンスやグループ間シナジーによるEdTechブランドの地位確立に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、イノベーションの源泉である「人材」を最重要の経営基盤と位置づけています。従業員が専門性を高め能力を発揮できるよう、部門横断的に連携できる組織環境を構築しています。公正な評価と処遇の運用を深化させ、自律的なリスキリング支援や多様な経験機会の提供を通じて、新たな価値を創出できる人材育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.5歳 4.9年 6,878,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 48.0%


※同社は常時雇用する労働者数がいずれも300人以下のため、男性育児休業取得率および男女賃金差異についての公表義務の対象ではなく、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) オンライン英語学習市場の環境変化

大人向けの英語学習市場では、低単価のAIアプリと高単価のコーチングサービスへの二極化・細分化が進んでいます。同社サービスのポジショニングが不明瞭になり学習者のニーズと乖離した場合や、法人市場において費用対効果の認知を獲得できなかった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 質の高い講師の確保と地政学的リスク

同社のオンラインレッスンはフィリピン在住の講師が多数を占めています。インフレに伴う報酬水準の上昇や、現地での社会情勢の悪化、さらに法改正による外国人材の招聘コストの急増などにより、適切な条件で講師を確保できなくなった場合、サービスの提供基盤や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 技術・システムの安定稼働とAI活用に関するリスク

サービス提供においてインターネットやシステムインフラは不可欠であり、サイバー攻撃や通信障害等によるサービス停止は信用失墜につながります。また、AIを活用したシステム開発において、予測通りに機能が導入されなかった場合や投資回収が遅れた場合、事業の競争力や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。