レアジョブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

レアジョブ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場。オンライン英会話「レアジョブ英会話」等のリスキリング事業と、学校向けALT派遣の子ども・子育て支援事業を展開しています。直近決算は売上高97億円(前期比4.5%減)、経常利益4.2億円(同39.5%減)と減収減益でしたが、最終損益は黒字転換しました。


※本記事は、株式会社レアジョブ の有価証券報告書(第18期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. レアジョブってどんな会社?


オンライン英会話のパイオニアとして知られ、リスキリングと子ども・子育て支援の2軸で事業を展開するEdTech企業です。

(1) 会社概要


2007年に設立され、オンライン英会話事業を開始しました。2014年に東証マザーズへ上場し、2020年にはAIスピーキングテスト「PROGOS」の提供を開始しました。2021年にALT派遣大手のボーダーリンクと資本業務提携を行い、2023年には同社を完全子会社化するなど、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結614名、単体46名です。筆頭株主は代表取締役社長の中村岳氏で、第2位は資本業務提携先である事業会社の学研ホールディングス、第3位は個人株主の鄭勝喜氏となっています。

氏名 持株比率
中村 岳 21.15%
学研ホールディングス 20.03%
鄭 勝 喜 5.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表は代表取締役社長の中村 岳氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 岳 代表取締役社長 2005年NTTドコモ入社。2008年同社代表取締役就任。2015年6月より現職。
坪内 俊一 取締役 2007年ボストンコンサルティンググループ入社。エムスリーを経て2019年同社入社。2023年プロゴス代表取締役。2024年6月より現職。
安井 康真 取締役 2006年セントメディア(現ウィルオブ・ワーク)入社。2014年ボーダーリンク入社、2017年同社代表取締役。2024年6月より現職。


社外取締役は、三原宇雄(三原公認会計士事務所所長)、成松淳(ノイエルガルテン代表取締役社長)、五十嵐幹(クロス・マーケティンググループ代表取締役社長兼CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リスキリング事業」および「子ども・子育て支援事業」を展開しています。

(1) リスキリング事業


「レアジョブ英会話」やAIスピーキングテスト「PROGOS」、資格取得支援サービス「資格スクエア」などを中心に、個人および法人向けにオンラインサービスを提供しています。リスキリングにつながる知識やスキルの習得を支援しています。

収益は主に受講者からのレッスン料や法人顧客からのサービス利用料です。運営は、レアジョブ、プロゴス、レアジョブテクノロジーズなどが行っています。

(2) 子ども・子育て支援事業


全国の教育機関へのALT(外国語指導助手)派遣事業や、課外でも利用できる児童生徒向けオンライン英会話「ボーダーリンク英会話」など、幼児から高校生(K12)を対象としたサービスを提供しています。

収益は主に自治体や教育機関からの業務委託料やサービス利用料です。運営は主にボーダーリンクが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第17期まで拡大傾向にありましたが、第18期は減少しました。経常利益は変動があり、第17期に大きく増加した後、第18期は減少しています。第17期に赤字となった当期純利益は、第18期において黒字に転換しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 53億円 56億円 58億円 102億円 97億円
経常利益 6億円 2億円 3億円 7億円 4億円
利益率(%) 11.8% 4.3% 4.8% 6.9% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 2億円 1億円 -5億円 0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上総利益率は若干低下し、営業利益率は低下しています。販売費及び一般管理費は減少しましたが、営業利益の減益幅をカバーするには至りませんでした。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 102億円 97億円
売上総利益 44億円 41億円
売上総利益率(%) 43.7% 42.0%
営業利益 7億円 4億円
営業利益率(%) 6.8% 4.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が12億円(構成比33%)、広告宣伝費が5億円(同14%)、支払手数料が4億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


リスキリング事業は個人向けサービスの伸び悩みにより減収減益となりました。一方、子ども・子育て支援事業はALT派遣サービスの安定成長により増収増益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
リスキリング事業 52億円 47億円 8億円 4億円 7.8%
子ども・子育て支援事業 50億円 50億円 3億円 3億円 6.7%
調整額 - - -4億円 -3億円 -
連結(合計) 102億円 97億円 7億円 4億円 4.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8億円 4億円
投資CF 3億円 -0.8億円
財務CF -8億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「Chances for everyone, everywhere.」をグループビジョンに掲げ、世界中の人々が国境や言語の壁を越えて、それぞれの能力を活かし、活躍できる世の中の創造を目指しています。より良いサービスの提供を通して社会にインパクトをもたらすことを目指しています。

(2) 企業文化


テクノロジーやAIを活用しつつ、価値ある創造やサービスの品質を担うのは「ヒト」だという思想を持っています。世界中の人々が国境や言語の壁を越えて活躍できる社会を創造することを目指しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な事業拡大と企業価値向上のため、連結売上高及び連結営業利益を重要な経営指標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


リスキリング事業では、プロダクトポートフォリオの再構築・拡充を進め、AI活用による差別化を図るとともに、海外向けアプリ「RareLingo」によりグローバル市場での知名度向上を目指します。子ども・子育て支援事業では、ALT派遣サービスの品質向上と供給力強化に加え、オンラインとオフラインを組み合わせたサービスの拡充を進めます。また、システム強化や経営管理体制の強化にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グループビジョンの実現には多様なバックグラウンドを持つ従業員が能力を最大限発揮できることが不可欠と考え、国籍・性別・年齢等に関わらず積極的な採用・登用を行っています。人材育成においては、従業員の自律的なキャリア形成を重視し、英会話レッスンの無償受講や資格取得補助など、個人のニーズに合わせたスキルアップ支援を柔軟に行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.5歳 4.6年 6,517,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は従業員規模が300人以下のため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(45.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) オンライン英語学習市場の環境変化


翻訳ツールの精度向上やAIを活用した英語学習サービスの台頭により、英語学習者のニーズと提供サービスが乖離する可能性があります。この場合、優位性が損なわれ、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 講師の確保に関するリスク


オンライン英会話やALT派遣事業において、質の高い講師の確保が不可欠です。適切な契約条件で講師を確保できなくなった場合、事業遂行や業績に影響を与える可能性があります。特にALT派遣では、海外からの招聘が必要なケースもあり、入国制限等の影響を受ける可能性があります。

(3) 地政学的リスクおよびカントリーリスク


オンライン英会話講師の多くはフィリピン在住であり、現地子会社もフィリピンに所在しています。フィリピンにおけるインフレ加速による報酬水準の上昇、法令改正、政情不安やテロ等の社会情勢悪化が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) システムおよび情報セキュリティリスク


事業運営にインターネット利用が不可欠であるため、通信ネットワークの不具合やサイバー攻撃によるシステム障害、情報漏洩が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により業績に影響を与える可能性があります。また、AI活用基盤の停止はサービス提供や開発効率に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。