※本記事は、株式会社ビースタイルホールディングスの有価証券報告書(第7期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビースタイルホールディングスってどんな会社?
主婦層に特化した人材派遣や求人メディアを中心に、多様な働き方を支援する人材サービス企業です。
■(1) 会社概要
2002年7月にビースタイル(現 ビースタイルスマートキャリア)として創業し、パートタイム型人材派遣「しゅふJOBスタッフィング」を開始しました。2012年5月には自社求人メディア「しゅふJOB」をリリースしています。2020年4月に会社分割を用いて持株会社体制へ移行し、ビースタイルホールディングスとなりました。その後、2024年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。
同社グループの従業員数は連結で336名、単体で57名です。筆頭株主は創業者の三原邦彦氏(合同会社Original3代表社員として)で、第2位は増村一郎氏(合同会社ファースト・ステージ代表社員として)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社Original3 代表社員三原邦彦 | 20.95% |
| 合同会社ファースト・ステージ代表社員増村一郎 | 15.70% |
| 島田亨 | 10.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は三原邦彦氏が務めています。取締役4名のうち2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三原邦彦 | 代表取締役社長(最高経営責任者) | 1996年4月インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2002年7月ビースタイル(現ビースタイルスマートキャリア)を設立し代表取締役社長就任。2020年2月より現職。 |
| 増村一郎 | 取締役会長(最高執行責任者) | 1994年4月東日本銀行入行。1997年4月テンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)入社。2002年9月ビースタイルに入社し、2017年1月代表取締役社長。2020年2月より現職。 |
社外取締役は、七村守(元セプテーニ・ホールディングス名誉会長)、堤和子(キャリエーラ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、派遣・紹介事業、メディア事業、DX事業およびその他の事業を展開しています。
■派遣・紹介事業
ハイスキル人材向けの時短派遣・紹介サービス「スマートキャリア」や、主婦層を中心とした女性向けの派遣サービス「しゅふJOBスタッフィング」を提供しています。企業の採用力強化と、フレキシブルな働き方を希望する求職者の支援を行っています。
顧客企業に人材を派遣・紹介し、稼働時間に応じた派遣料金や入社時の紹介手数料を受け取る収益モデルです。事業の運営はビースタイルスマートキャリアが行っています。
■メディア事業
主婦の採用に特化した求人メディアサイト「しゅふJOB」を運営しています。家事代行、飲食、医療・福祉系など、地域や業界ごとの女性採用ニーズに的確に応えるプラットフォームを提供しています。
求人企業から、採用課金、掲載課金、応募課金の3つのプランに応じて手数料や利用料を受け取る収益モデルです。事業の運営はビースタイルメディアが行っています。
■DX事業
業務自動化を中心としたDX推進のBPA(ビジネス・プロセス・オートメーション)ソリューションと、多様なITエンジニアの採用を支援する派遣・業務委託サービスを提供しています。
顧客企業へのRPAサービスの提供や、ITエンジニアの派遣・業務委託による稼働実績等に応じて収益を得るモデルです。事業の運営はビースタイルバリューテクノロジーズが行っています。
■その他の事業
障がい者雇用の促進に基づく特例子会社として、就業する障がい者を直接雇用し、グループ内の業務代行を中心にサービスを提供しています。
グループ内でのサポート業務の提供期間や内容に応じた収益を得るモデルです。事業の運営はビースタイルチャレンジが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は増加傾向にあり、直近の2026年3月期には120.1億円に達しました。一方で、経常利益や当期利益は増減を繰り返しており、2026年3月期は減益となっています。事業の先行投資や広告宣伝費の増加などが利益率の低下要因と考えられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.3億円 | 102.0億円 | 108.3億円 | 112.1億円 | 120.1億円 |
| 経常利益 | -0.1億円 | 2.0億円 | 2.5億円 | 3.3億円 | 1.8億円 |
| 利益率(%) | -1.2% | 2.0% | 2.3% | 2.9% | 1.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.7億円 | -1.6億円 | 3.1億円 | 2.4億円 | 1.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高および売上総利益は前期から増加し、売上総利益率も改善しています。しかし、事業規模拡大に伴う販売費および一般管理費の増加により、営業利益および営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 112.1億円 | 120.1億円 |
| 売上総利益 | 49.1億円 | 58.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.8% | 48.9% |
| 営業利益 | 3.2億円 | 1.9億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 1.6% |
販売費及び一般管理費のうち、募集広告費が14.7億円(構成比25.9%)、給与手当が11.9億円(同21.0%)、販売促進費が8.8億円(同15.5%)を占めています。売上原価は61.4億円でした。
■(3) セグメント収益
派遣・紹介事業は稼働人数の減少等により減収となりました。メディア事業はCM放映等の効果で求人掲載・応募件数が増加し大幅な増収を達成しました。DX事業も大型案件の納品完了等により増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 派遣・紹介事業 | 69.5億円 | 66.5億円 |
| メディア事業 | 34.9億円 | 44.2億円 |
| DX事業 | 7.7億円 | 9.2億円 |
| その他の事業 | 0.0億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 112.1億円 | 120.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CF・投資CF・財務CFのプラス/マイナスから、当期は本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的とされる末期型の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.9億円 | -1.2億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -1.5億円 |
| 財務CF | 2.4億円 | -1.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.9%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「時代に合わせた価値を創造する」をパーパスに、「四方よし 買ってよし・売ってよし・世間よし・仲間よし」をバリューとしています。「社会課題をビジネスで解決する」ことをミッションとし、「かかわる全ての人がしあわせ」になるビジョンを掲げ、埋もれていた優秀な人材に働く機会を提供することを追求しています。
■(2) 企業文化
持続的成長と企業価値向上にあたり、社員を最も重要な経営資源と位置づけています。多様な社員がそれぞれの強みを活かして主体的・自律的に成長し、持続的に活躍できる組織風土の醸成を方針としています。定期的な面談やエンゲージメントサーベイを通じて、働きがいと成果創出を追求する文化が特徴です。
■(3) 経営計画・目標
成長戦略の進捗や事業拡大を示す経営指標として、売上・売上総利益の拡大を目指すとともに、収益性指標として営業利益率を重視しています。また、重要KPIとして、各事業領域における取引社数や1社あたり取引金額などを設定し、収益性の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
主力事業の強化と事業領域の拡張により、企業としての持続的成長を図ります。「しゅふJOB」の認知度向上に向けた積極的な広告投資や、派遣・紹介事業の組織体制見直しによる生産性向上を推進します。また、DX事業では業務フロー自動化等の課題解決型提案へ集中し、ホールディングス機能の強化も図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長に向けて、3つの戦略に重点的に取り組んでいます。エンゲージメントサーベイを通じた優秀な社員の定着と職場環境の改善、定期面談やOJTを通じた個人の強みを活かす人材教育・育成、多様で継続的な活躍を支えるためのリモートワークや短時間勤務等の環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.9歳 | 6.7年 | 6,257,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 53.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.5% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 322.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(78%)、女性の育児休業復職率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材サービス業界の動向変化リスク
人材サービスは景気の変動や社会情勢等の影響を受けやすく、企業の人材採用需要の減退や雇用政策の変更が起きた場合、サービスの需要低下を招くリスクがあります。同社グループは市場動向を注視し、柔軟に対応できる体制構築に努めています。
■(2) 大規模なシステム障害のリスク
請求業務や勤怠管理等の事業活動においてITシステムを多用しているため、大規模なシステム障害が発生した場合には業務に大きな支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。日頃から情報セキュリティの強化やデータバックアップに努めています。
■(3) 主婦層ターゲット市場の競合激化リスク
主婦層の労働力をターゲットとした人材サービスにおいて、今後の労働人口の減少に伴い、他社が同様のサービスを展開して競合が激化する可能性があります。その結果としてサービスの量的・質的な低下を招き、業績に影響を及ぼすリスクが考えられます。



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