ビースタイルホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビースタイルホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場する、人材派遣・紹介および求人メディア「しゅふJOB」等の運営企業です。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の112億円、経常利益が同31.6%増の3.3億円と増収増益でしたが、親会社株主に帰属する当期純利益は同43.2%減の2.0億円となりました。


※本記事は、株式会社ビースタイルホールディングスの有価証券報告書(第6期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビースタイルホールディングスってどんな会社?


主婦層に特化した求人メディア「しゅふJOB」や時短人材サービスを展開し、多様な働き方を支援する企業です。

(1) 会社概要


2002年に株式会社ビースタイル(現ビースタイルスマートキャリア)として創業し、パートタイム型派遣サービスを開始しました。2010年には求人媒体「しゅふJOB」をスタートさせ、事業を拡大。2020年に持株会社体制へ移行し、現社名となりました。2024年12月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。

2025年3月31日時点の連結従業員数は303名(単体57名)です。筆頭株主は代表取締役社長である三原邦彦氏の資産管理会社である合同会社Original3で、第2位は取締役会長である増村一郎氏の資産管理会社である合同会社ファースト・ステージ、第3位は個人株主の島田亨氏となっています。

氏名 持株比率
合同会社Original3 21.03%
合同会社ファースト・ステージ 15.76%
島田亨 10.76%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長(最高経営責任者)は三原邦彦氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
三原 邦彦 代表取締役社長(最高経営責任者) 1996年インテリジェンス入社。2002年ビースタイル(現ビースタイルスマートキャリア)設立し社長就任。2020年より現職。
増村 一郎 取締役会長(最高執行責任者) 1997年テンプスタッフ入社。2002年ビースタイル入社。2017年同社社長を経て、2020年より現職。
加藤 勝久 取締役経営管理本部長 2008年UCOM入社。ノムラシステムコーポレーション執行役員を経て、2019年ビースタイル入社。2020年より現職。
七村 守 取締役 1979年リクルート入社。セプテーニ・ホールディングス代表取締役会長兼CEOなどを経て、2020年より現職。


社外取締役は、七村守(元セプテーニ・ホールディングス会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「派遣・紹介事業」「メディア事業」「DX事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) 派遣・紹介事業


ハイスキル人材向けの時短派遣・紹介サービス「スマートキャリア」と、主婦層を中心とした女性にターゲットを絞った派遣サービス「しゅふJOBスタッフィング」を運営しています。時短やリモートワークなど柔軟な働き方を提案し、企業の採用力強化と求職者の多様なニーズに対応しています。

収益は、派遣先企業からの派遣料金および人材紹介の成約時に受け取る紹介手数料からなります。運営は主に連結子会社の株式会社ビースタイルスマートキャリアが行っています。

(2) メディア事業


主婦の採用に特化した求人メディアサイト「しゅふJOB」を運営しています。地域や業界ごとの採用ニーズに対応し、パート・アルバイト等の求人情報を提供しています。

収益は、求人企業からの「採用課金」「掲載課金」「応募課金」という3つの形態の手数料・掲載料からなります。運営は連結子会社の株式会社ビースタイルメディアが行っています。

(3) DX事業


業務自動化を中心としたDX推進のBPA(ビジネス・プロセス・オートメーション)ソリューションと、ITエンジニア派遣・業務委託サービスを提供しています。

収益は、BPAサービスの提供対価や、ITエンジニアの派遣・準委任契約に基づく対価からなります。運営は連結子会社の株式会社ビースタイルバリューテクノロジーズが行っています。

(4) その他の事業


障がい者の雇用の促進等に関する法律に基づく特例子会社として、障がい者雇用を推進しています。

収益は、同社グループ内からの業務受託などによる対価からなります。運営は連結子会社の株式会社ビースタイルチャレンジが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2023年3月期から2025年3月期にかけて、売上高は着実な成長を続けています。利益面では、第4期(2023年3月期)以降、経常利益および当期利益ともに黒字を維持しており、売上高利益率も改善傾向にあります。ただし、直近の2025年3月期においては、売上高・経常利益は増加したものの、当期利益は前期比で減少しました。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 102億円 108億円 112億円
経常利益 2億円 2.5億円 3.3億円
利益率(%) 2.0% 2.3% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.9億円 3.4億円 2.0億円

(2) 損益計算書


前期と比較して売上高は増加し、売上総利益率も向上しています。販管費も増加していますが、売上総利益の伸びがそれを上回り、営業利益は増益となりました。営業利益率は2.5%から2.9%へ改善しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 108億円 112億円
売上総利益 43億円 49億円
売上総利益率(%) 39.7% 43.8%
営業利益 2.8億円 3.2億円
営業利益率(%) 2.5% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、募集広告費が12億円(構成比26%)、給与手当が11億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の派遣・紹介事業は減収減益となりましたが、メディア事業が大幅な増収増益となり全社の成長を牽引しました。DX事業も増収となり、利益面でも大きく伸長しています。なお、前期に存在したフィールドワーク支援事業は譲渡により連結除外されています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
派遣・紹介事業 73億円 69億円 5.2億円 3.7億円 5.3%
メディア事業 27億円 35億円 8.5億円 11億円 32.7%
DX事業 7.2億円 8.4億円 0.1億円 0.8億円 9.0%
フィールドワーク支援事業 2.4億円 - 0.2億円 - -
その他の事業 0.7億円 1億円 0.1億円 0.3億円 25.7%
調整額 -2.1億円 -2.4億円 -11億円 -13億円 -
連結(合計) 108億円 112億円 2.8億円 3.2億円 2.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ビースタイルホールディングスは、株式発行による収入や長期借入金の返済などを通じて、財務活動による資金を増加させています。営業活動では、税金等調整前当期純利益や預り金の増減などが主な要因となり、資金を増加させました。一方、投資活動では、無形固定資産や有形固定資産の取得による支出が主な要因となり、資金を減少させました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 4.9億円 2.9億円
投資CF 1.4億円 -0.5億円
財務CF -1.2億円 2.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「時代に合わせた価値を創造する」をパーパス(不変の存在意義)とし、「社会課題をビジネスで解決する」をミッション(果たすべき使命)として掲げています。また、ビジョン(目指す未来)として「かかわる全ての人がしあわせ」を追求しています。

(2) 企業文化


同社は「四方よし 買ってよし・売ってよし・世間よし・仲間よし」をバリュー(大切な価値観)として重視しています。顧客や社会だけでなく、共に働く仲間も含めた全方位的な幸福を追求する姿勢を企業文化としています。また、「顧客重視の経営」「法令遵守の徹底」を経営基本方針としています。

(3) 経営計画・目標


同社は、人材の確保と財務基盤の維持のため、収益性指標として「営業利益率」を重視しています。また、成長戦略の進捗を示す重要KPIとして、派遣・紹介事業では「派遣就業者数」「取引社数」、メディア事業では「掲載社数」「1社あたり取引金額」、DX事業では「取引社数」等を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


労働力の供給拡大と労働需要の低減を両輪とする成長戦略を掲げています。具体的には、「しゅふJOB」の認知度向上とエリア拡大による主婦層の活躍支援、およびDX推進による業務効率化・工数削減に注力します。また、「スマートキャリア」のリブランディングや、システム刷新・アプリ開発への投資を通じて、マッチング精度の向上と事業領域の拡張を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と捉え、優秀な社員の確保と定着に取り組んでいます。エンゲージメントサーベイによる定期的な状態把握や、OJT・面談を通じた育成を実施し、個人の強みを活かす成長機会を提供しています。また、リモートワークやフレックスタイム制など多様な働き方を整備し、育児休業からの復職支援など、社員が継続して活躍できる環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.9歳 6.7年 5,998,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 46.2%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.9%
男女賃金差異(正規) 74.9%
男女賃金差異(非正規) 723.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(100%)、女性の育児休業復職率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 許認可と法的規制


同社グループの事業は「労働者派遣法」および「職業安定法」の規制を受けます。許可要件の欠格事由や取消事由に該当した場合、事業の許可取り消しや停止命令を受ける可能性があり、主要な事業活動に支障をきたす恐れがあります。また、法改正への対応によっては事業運営方針に影響が生じる可能性があります。

(2) 人材の確保


事業拡大には十分な人材の確保が不可欠です。特に「しゅふJOBスタッフィング」ではサービスの認知度向上や紹介制度を通じた人材確保を行っていますが、競合との競争により人材確保が困難になった場合、サービスの質的・量的な低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 社会保険料の負担


人材関連事業の費用の大半は派遣スタッフの人件費であり、社会保険料の会社負担額は利益に影響します。料率改定や適用範囲の拡大などの制度改正により会社負担額が増加した場合、利益を圧迫し業績に影響を与える可能性があります。

(4) 情報管理について


事業において多数の個人情報を取り扱っており、アクセス権限設定やログ監視などの対策を講じています。しかし、不測の事態により情報の流出や消失が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償費用の発生などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。