ラクサス・テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラクサス・テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラクサス・テクノロジーズは、東京証券取引所グロース市場に上場しており、ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を主力事業としています。直近の業績は、売上高26億円(前期比16.9%増)、当期純利益4.4億円(同4.8%増)と増収増益を達成しています。


※本記事は、ラクサス・テクノロジーズ株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ラクサス・テクノロジーズってどんな会社?


同社は、高級ブランドバッグを月額定額で自由に交換・利用できるサブスクリプションサービス「ラクサス」を展開する企業です。

(1) 会社概要


2006年にエスとして設立され、2015年にブランドバッグのシェアリングサービス「ラクサス」を開始しました。2019年にはワールドグループに参画して資本・業務提携を行い、事業基盤を強化。その後、2024年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。

同社(単体)の従業員数は43名です。筆頭株主はアパレル大手のワールドで41.56%を保有し、第2位は創業者の児玉昇司氏で24.94%を保有しています。第3位以下には信託銀行等が名を連ねています。

氏名 持株比率
ワールド 41.56%
児玉 昇司 24.94%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 2.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長執行役員は高橋啓介氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋 啓介 代表取締役社長執行役員 ローランドベルガー、ワールド執行役員等を経て、2022年より現職。
中尾 聡志 取締役執行役員 日本長期信用銀行、ティンパンアレイ常務取締役等を経て、2023年より現職。


社外取締役は、岩瀬ひとみ(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)、荒井江里香(ビリーブジャパン日本法人代表)、谷村まどか(一般社団法人がんと働く応援団代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ラクサス事業」および「その他」事業を展開しています。

ラクサス事業


同社は、日本国内の一般消費者に向けて、エルメスやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドバッグを月額定額制でレンタルできるサブスクリプションサービス「ラクサス」を提供しています。ユーザーはアプリを通じて好みのバッグを選び、交換自由・使い放題で利用することができます。

収益は主に、会員ユーザーから支払われる月額の会費収入(サブスクリプション利用料)によって成り立っています。また、レンタル中のバッグを購入できる「買えちゃうラクサス」や、BtoB市場でのバッグ販売も行っています。運営は主にラクサス・テクノロジーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長しており、20億円台から26億円へと規模を拡大しています。利益面でも黒字基調が定着しており、経常利益率は20%前後と高い収益性を維持しています。特に直近では価格改定や販売施策の効果により、増収増益のトレンドを継続しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 16億円 20億円 23億円 26億円
経常利益 -2.2億円 3.3億円 5.0億円 5.7億円
利益率(%) -13.3% 16.6% 22.4% 22.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.3億円 1.7億円 4.2億円 4.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しています。売上総利益率は70%台後半と非常に高い水準を維持しており、ブランドバッグのシェアリングというビジネスモデルの収益性の高さが表れています。営業利益率も20%を超えており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 23億円 26億円
売上総利益 18億円 19億円
売上総利益率(%) 79.0% 76.0%
営業利益 4.5億円 5.9億円
営業利益率(%) 20.2% 23.0%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が3.7億円(構成比27%)、給料手当が2.8億円(同21%)を占めています。売上原価においては、レンタル資産償却費が3.3億円(構成比54%)と過半を占めており、資産の回転と管理がコスト構造の鍵となっています。

(3) セグメント収益


同社は「ラクサス事業」の単一セグメントですが、利用料金の改定やバッグ販売の強化により、収益性が向上しています。特に、ユーザー一人当たりの単価上昇と、レンタル不稼働資産の効率的な販売が寄与し、売上・利益ともに拡大しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ラクサス事業 23億円 26億円 5億円 6億円 23.0%
連結(合計) 23億円 26億円 5億円 6億円 23.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ラクサス・テクノロジーズは、ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス事業」を展開しており、営業活動を通じて安定的に資金を生み出しています。投資活動では、将来の事業成長に向けた資金の動きが見られます。また、財務活動では、株式発行や借入れにより、事業拡大のための資金調達を行っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.3億円 6億円
投資CF -0.1億円 0.2億円
財務CF 1億円 5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界中に笑顔を」を経営理念に据え、創業以来「本当に良いものを愛し、作り手の想いをつなげたい」「あこがれをみんなでシェアしたい」という想いで事業を展開しています。モノの潜在的な価値を引き出し、「モノの価値が循環し、その生涯価値が最大化される世界」の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「シェアリング+販売」という独自の価値循環モデルを重視し、サステナブルな社会の実現に貢献することを文化としています。ユーザーと共にバッグ資産を大切に扱い、シェアすることでCO2抑制等の環境貢献にもつながるという意識を共有し、多様な人材が活躍できる環境づくりも推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、ブランドバッグの生涯収益最大化を目指し、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)のバランスを重視した経営を行っています。具体的な数値目標として、以下の指標を安定的に推移させることを掲げています。

* LTV/CAC:4.0以上
* CAC回収期間:2.5か月
* ブランドバッグ投資回収期間:約21か月

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存のシェアリングモデルを起点に、保有資産やオペレーションを梃子にして成長を図る戦略を掲げています。具体的には、広告宣伝や提携による会員獲得、バッグ販売チャネルの拡大、およびシステム・オペレーションの強化に注力しています。

* ShaaS(Sharing as a Service)の拡大による提携先との顧客接点創出
* BtoB/C販路の拡大と販売単価向上
* インベスタマー(投資家兼顧客)の獲得推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を競争力の源泉と捉え、新たな成長領域の知見を持つ人材の確保と定着を重視しています。公正・適正な評価・処遇を行うとともに、職位に応じた教育・研修を実施し、人材の底上げとコア人材の育成を図っています。また、多様な人材が能力を発揮できる環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.1歳 5.1年 4,837,863円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 33.3%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 48.6%
男女賃金差異(正規) 59.6%
男女賃金差異(非正規) 168.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向の影響


同社のサービスは嗜好性の高いファッション領域に属しており、生活必需品ではありません。そのため、景気悪化や個人消費の低迷が生じた場合、支出抑制の対象となりやすく、会員数の減少等により経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 一般消費者の意識・嗜好の変化


同社サービスは、ブランドバッグに対する消費者の潜在的な欲求を喚起するものであり、ファッショントレンドや消費者の意識変化に強く影響されます。世代交代等によりシェアリングやブランド品への価値観が大きく変化した場合、サービスの需要が減退するリスクがあります。

(3) 競合優位性の維持


同社は先行者利益により優位性を保持していますが、大資本を持つ企業の参入や、ブランド自身によるレンタル事業開始などが起きた場合、競争が激化する可能性があります。また、消費者の価値観の変化により同社の蓄積データやノウハウが陳腐化するリスクも排除できません。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。