ラクサス・テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラクサス・テクノロジーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ラクサス・テクノロジーズは東京証券取引所グロース市場に上場し、ブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を主力事業として展開しています。直近の業績トレンドは、広告投資効率の低下等により前事業年度と比較して減収減益となっており、収益力の強化や新規サービスの育成を進めています。


※本記事は、ラクサス・テクノロジーズ株式会社の有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ラクサス・テクノロジーズってどんな会社?


ブランドバッグの月額定額シェアリングサービス「ラクサス」を提供する企業です。

(1) 会社概要


2006年8月に広島市でエスとして設立され、教育・美容関連事業を経て、2015年2月にブランドバッグのサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を開始しました。2017年1月に現在のラクサス・テクノロジーズへ商号変更し、2024年12月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。

従業員数は単体で44名です。筆頭株主は事業会社のワールドで、第2位は創業者の児玉昇司氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
ワールド 41.27%
児玉 昇司 24.76%
野村信託銀行(投信口) 2.88%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長執行役員は高橋啓介氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋 啓介 代表取締役社長執行役員 2002年ローランドベルガー入社。ワールド執行役員グループ企画本部長等を経て、2022年6月より現職。
中尾 聡志 取締役執行役員 1990年日本長期信用銀行入行。ティンパンアレイ常務取締役等を経て、2020年6月同社取締役就任。2023年6月より現職。


社外取締役は、岩瀬ひとみ(西村あさひ法律事務所パートナー弁護士)、荒井江里香(チューンコアジャパン取締役)、谷村まどか(日本フィランソロピック財団理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ラクサス事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) ラクサス事業


良質なブランドバッグを月額定額で気軽に利用できるサブスクリプション型シェアリングサービス「ラクサス」を一般消費者向けに提供しています。バッグはリユース市場から調達して自社でメンテナンスを行い、サステナブルな社会の実現を目指しつつ、気に入ったバッグの試用販売「買えちゃうラクサス」も展開しています。

主な収益源は、シングルプラン(月額9,800円/税別)やダブルプラン(月額13,600円/税別)を利用する会員からの月額会費です。また、レンタル中のバッグの販売や、リユース市場向けのBtoB/C販売も収益に貢献しています。事業の運営は同社が単独で行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は2025年3月期まで順調に拡大していましたが、2026年3月期は広告投資効率の低下等により減収となりました。経常利益も2025年3月期をピークに黒字幅を拡大させていましたが、2026年3月期は減益に転じています。収益改善に向けた取り組みが進行中です。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 16.4億円 20.1億円 22.5億円 25.6億円 22.8億円
経常利益 -2.2億円 3.4億円 4.7億円 5.7億円 1.9億円
利益率(%) -13.3% 16.6% 22.4% 22.2% 8.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.3億円 1.7億円 4.2億円 4.4億円 1.0億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を分析すると、売上高の減少に加えて、販売費用の増加やレンタル用バッグのラインナップ拡充に伴う減価償却費の増加が利益を圧迫しています。結果として売上総利益と営業利益がともに減少し、利益率も低下傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 25.6億円 22.8億円
売上総利益 19.5億円 16.0億円
売上総利益率(%) 76.0% 70.3%
営業利益 5.9億円 1.8億円
営業利益率(%) 23.0% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が4.4億円(構成比31%)、給料手当が2.8億円(同20%)を占めています。売上原価は6.8億円で、うちレンタル資産償却費が3.5億円(構成比52%)となっています。

(3) セグメント収益


単一セグメントであるため、ラクサス事業全体の売上推移を示します。当事業年度は、広告投資効率の低下により新規契約獲得が伸び悩んだことが響き、売上高は前期比で減少する結果となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ラクサス事業 25.6億円 22.8億円
連結(合計) 25.6億円 22.8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況を示す「事業検討型」の傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 5.6億円 -1.0億円
投資CF 0.2億円 0.2億円
財務CF 5.1億円 -2.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も70.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世界中に笑顔を」を経営理念に掲げ、「本当に良いものを愛し、作り手の想いをつなげたい」「あこがれをみんなでシェアしたい」という想いのもと事業を展開しています。モノの潜在的な価値を引き出し、「モノの価値が循環し、その生涯価値が最大化される世界」の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社はシェアリングエコノミーの先駆者として、持続可能な社会の実現に取り組む文化があります。仕入れたバッグの直接廃棄ゼロや、配送ボックスのリユースなど、細部にわたる環境配慮を徹底しています。多様な背景を持つ人材が能力を発揮できる環境整備を推進し、サステナビリティ向上を重視する価値観が根付いています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標の記載は有価証券報告書内に見当たりません。同社は、LTV/CAC(顧客生涯価値と顧客獲得コストの比率)を安定して4.0以上で維持し、CAC回収期間を2.5か月に保つなど、投資回収効率を意識した経営計画を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「シェアリング+販売」のモノの価値循環モデルを基盤に、既存資産のレバレッジによる事業拡大を目指しています。今後は、CPA(顧客獲得単価)を重視した獲得チャネル最適化や、残価設定型リースの仕組みを取り入れたスマートキープ型新サービス「Lax-mochi(ラクモチ)」の本格展開に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に伴う人材獲得を重要課題とし、特に調達部門のバイヤーやシステム連携を推進するエンジニア、新規事業開発を牽引する人材の確保を急務としています。職位や職務に応じた教育・研修を実施し、活躍の場を提供することで、コア人材の育成と組織力底上げを図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.6歳 5.3年 4,882,928円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 35.7%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) 49.2%
労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) 62.0%
労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) 227.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向と消費者の嗜好変化


同社のサービスは嗜好性の高い領域であり、景気後退に伴う支出抑制や、世代交代等による消費者のファッション・トレンドに対する価値観の著しい変化が生じた場合、会員数の減少や業績悪化につながるリスクがあります。

(2) ブランドバッグの安定調達と仕入体制


中古ブランドバッグ市場の価格高騰や競合激化により、顧客ニーズを満たす良質なバッグの安定調達が困難になるリスクがあります。また、真贋鑑定等の専門知識を持つ優秀なバイヤーが流出した場合、商品の品質維持や調達力に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) システム障害と情報セキュリティ


サービス提供の基盤であるアプリやシステムに、自然災害やサイバー攻撃等による重大な障害が発生した場合、サービス停止による機会損失の恐れがあります。また、会員の個人情報が流出した場合、社会的信用の失墜により事業継続に影響を及ぼすリスクが想定されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。