※本記事は、株式会社yutori の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、衣料品およびコスメ商品の企画、小売・卸売を行うファッション事業を展開しています。Z世代を主要ターゲットとしたストリートファッションブランドを起点に事業を拡大し、現在は多様なブランドポートフォリオを構築しています。
単体従業員数は159名、連結従業員数は261名です。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)heart relation(アパレル・雑貨関連)、YZ(同)、pool(同)などです。
同社グループは、第5期に「F-LAGSTUF-F」などを、第7期には「Her lip to」などを取得し、ブランドポートフォリオを拡充しました。また、第8期には会社分割により主要事業を子会社へ承継しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
yutoriは、ファッションブランドの運営を主軸とする企業です。若年層の従業員が多く、活気ある環境がうかがえます。柔軟な働き方を推進しており、ワークライフバランスを重視する姿勢が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が若く、勤続年数も比較的短い傾向にあります。これは、新しい人材が積極的に加わり、組織が常に変化している状況を示していると考えられます。若手社員が中心となって事業を推進している様子がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,469,000円 |
| 平均勤続年数 | 1年10ヶ月 |
| 平均年齢 | 27.1歳 |
| 単体従業員数 | 159人 |
| 連結従業員数 | 261人 |
| 単体のグループ内比率 | 60.9% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「TURN STRANGER TO STRONGER(ハグレモノをツワモノに)」というミッションを掲げ、これを支える人材戦略として、中長期的な視点での人材の採用、育成、エンゲージメント向上、定着を重視しています。給与は、年齢や性別、勤続年数に依拠せず、個人の評価や職務内容、職責を考慮した基本給と、業績連動型の賞与で構成されるシンプルな体系です。賞与の配分においては、個人の貢献度だけでなく、人材育成への関与や組織への貢献といった定性的な要素も勘案し、中長期的な価値創出を促す設計となっています。
また、多様性ある人材と組織の育成を重要視しており、従業員一人ひとりの自己実現の機会を提供しています。具体的には、定期的な1on1面談を通じて役割を明確にし、キャリアの希望を配属に反映させています。部門横断的な活動や社内イベントも実施し、組織の一体感醸成と活発な対話を促しています。さらに、柔軟な働き方を実現するため、テレワークやフレックスタイム制を活用し、ワークライフバランスを整えながら能力を発揮できる就業環境の整備に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男性の育児休業取得対象者がいないため、男性労働者の育児休業取得率は記載されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 112.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
yutoriは、衣料品やコスメ商品の企画、小売、卸売を手がける企業です。Z世代を中心とした若年層に多様なファッションを提案しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に衣料品及びコスメ商品の企画並びにそれらの小売・卸売事業を行っています。Z世代を対象としたストリートファッションブランドを発端とし、その後はストリートブランドに限らないファッションカテゴリーにおいて、アパレル商材の企画及び販売により規模を拡大してきました。新規ブランドの立ち上げに加え、複数のブランドを取得することで、ブランド展開戦略の幅を広げています。
同社グループのブランドは、ヤングカルチャー、韓国、ニュアンス、デザイナー、コスメ、Her lip toの6事業部にそれぞれ所属しており、多様性に富んだブランドにより、多種多様なユーザーに対しファッションを提案しています。これによりブランドのポートフォリオを構築し、会社全体として特定のブランドに左右されない安定的な売上構築に努めています。
販売チャネルは、主に同社グループの複数のブランドを取り扱うプラットフォーム型の自社ECサイト「YZ Store」での販売、POPUPや実店舗での販売が中心です。YZ Storeでは複数ブランドのセット購入を提案し、アプリ展開や会員プログラムを通じて顧客のエンゲージメントを高めています。実店舗ではSNSフォロワー数の多いインフルエンサーを店舗スタッフとして配置し、SNS集客の優位性を活かした収益率の高い店舗展開を目指しています。
同社グループは、広告宣伝としてInstagramやTikTok等のSNSを利用したマーケティング活動に注力しています。複数のSNSチャネルでファンの形成を図り、広告投資によりSNSユーザー全体へのリーチ数をコントロールしています。SNSを起点とした購買体験を設計し、最終的には自社ECサイトへのアクセスと円滑な購買を目標としています。
また、同社グループは「Yリーグ」という制度を導入し、各ブランドが自走して自ら利益を獲得できるよう、ブランドごとの採算を管理しています。ブランドの成長ストーリーを全社的に定量的に示すことで、各ブランドの担当者にとって分かりやすい目標となり、迅速で合理的な意思決定ができる体制を目指しています。ブランドディレクターには、消費者目線を持つことができるよう、そのブランドのターゲット層と年齢的に近いスタッフを配置し、流行が移り変わりやすいアパレル業界において、適時に需要に応じた商品を企画しています。
収益は、直接販売、委託販売(他社EC)、実店舗、卸売、その他から得ています。本邦以外の外部顧客への売上高は連結損益計算書の売上高の10%未満であり、国内事業が中心となっています。特定の顧客への売上集中は見られません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
直近の連結会計年度において、同社グループの売上高、営業利益、経常利益は前期から大きく増加しました。これは事業規模の拡大を示しています。一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は前期からわずかに減少する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 83.1億円 | 142億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 6.5億円 | 10.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 7.8% | 7.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 3.1億円 | 3.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 67.03 | 64.37 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
連結従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。これは、組織の効率化や事業規模の拡大が従業員一人ひとりの貢献度を高めていることを示唆しています。
また、連結従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、従業員一人ひとりの稼ぐ力が強化されていることがうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループの収益体質の強化と、持続的な成長に向けた基盤が整備されていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 42.2百万円 | 54.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.4百万円 | 4.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で生み出した資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況です。財務活動による資金調達も活用しながら、事業拡大を進めている段階にあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は当期で24.0%となり、前期の14.7%から増加しました。これはプライム市場の非製造業平均(24.2%)とほぼ同水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は当期18.4%で、前期の32.6%からは減少しましたが、プライム市場平均(9.4%)と比較すると高い水準を維持しています。手元資金となる現金及び預金は当期末に24.8億円となり、前期末の9.8億円から増加しており、資金の厚みが増している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.0億円 | 37.3億円 |
| 自己資本比率 | 14.7% | 24.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 32.6% | 18.4% |
| 現金及び預金 | 9.8億円 | 24.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは4.8億円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や契約負債の増加があった一方で、棚卸資産の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△8.1億円の支出となり、有形固定資産の取得や敷金の差入など、事業拡大に向けた投資が行われています。
この結果、フリーキャッシュ・フローは△3.3億円の支出となり、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは18.1億円の収入となり、短期借入れや新株予約権の行使による株式の発行などで資金を調達しています。同社グループは成長投資フェーズにあり、事業拡大のための資金需要が活発であることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △5.4億円 | 4.8億円 |
| 投資CF | △11.1億円 | △8.1億円 |
| 財務CF | 20.2億円 | 18.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △16.5億円 | △3.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは流行の影響を受けやすい衣料品及び雑貨を中心に商品展開を行っており、顧客の嗜好や生活様式の変化に対応しきれない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アパレル小売市場は流行・嗜好が短期的に大きく変化する傾向が強く、国内外の競合企業との厳しい競争状態にあります。商品企画等の失敗やブランド価値が陳腐化した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループのブランド開発・運営及び商品企画開発において、従業員の貢献が大きく寄与します。企業間での採用競争が激しくなり必要な人材を確保できなかった場合、または従業員の退職等によって必要な人材を確保できなかった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
yutoriは、「TURN STRANGER TO STRONGER(ハグレモノをツワモノに)」というミッションを掲げ、ファッションブランドを通じて個性を強みに変えることを目指している会社です。多様なブランド展開とオンライン・オフラインの融合により、顧客体験の向上を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
yutoriは、「TURN STRANGER TO STRONGER(ハグレモノをツワモノに)」をミッションに掲げています。このミッションには、「ファッションブランドを纏うことで、未知の才能をもつ世界中のハグレモノが、そのズレを強さに反転させられるように」という願いが込められています。同社グループは、複数のブランドを創造することでこのミッションの実現に取り組んでいます。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、ファッション文化を育み、地球環境に配慮した事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。多様性ある人材と組織の育成を重視しており、従業員一人ひとりの自己実現の機会を提供することで、持続的な企業価値の向上を図っています。また、柔軟な働き方を実現するため、テレワークやフレックスタイム制を活用し、従業員がワークライフ・バランスを整えながら能力を発揮できる就業環境の整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、ブランドポートフォリオの多様化に向けて優秀な人材配置を推進しています。グループ内の複数のブランド間で成功事例やノウハウを共有し、商品力の強化に取り組んでいます。
SNSを通じた認知拡大のため、クリエイティブ職の育成と採用を強化し、発信力の向上を図っています。サステナビリティに関する課題への対応も重要な経営課題と認識しており、推進体制の整備や基本方針の策定を検討しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
yutoriは監査役会設置会社として、経営の透明性、効率性、健全性の確保・強化に取り組んでいます。取締役会は、社外取締役を含む4名で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
yutoriの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役社長の片石貴展氏です。また、同氏が代表を務める株式会社poolも上位株主として名を連ねており、創業者が経営の基盤を支えていることがうかがえます。主要株主には株式会社ZOZOも含まれており、同社グループのその他の関係会社に該当します。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 片石 貴展 | 23.79% |
| ZOZO | 16.78% |
| pool | 8.28% |
| 瀬之口 和磨 | 5.51% |
| アカツキ | 4.13% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は片石貴展氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 片石 貴展 | 代表取締役社長 | 2016年4月株式会社アカツキ入社。2018年4月同社設立、同社代表取締役就任より現職。 |
| 瀬之口 和磨 | 取締役副社長 | 2018年6月同社入社、同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、廣瀬文慎氏(ZOZO取締役兼COO)、佐々木翔平氏(有限会社カイカイキキCOO)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、独立した監査役が取締役の職務執行を監査する体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
yutoriの役員報酬は、定時株主総会で定められた報酬限度額の範囲内で決定されています。個別の報酬額は、代表取締役社長が職責や能力、業績などを総合的に考慮し、業務執行取締役以外の役員や監査役と協議の上で決定する方針です。監査役の報酬は、監査役会での協議を経て決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 67百万円 | 33.5百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 5百万円 | 2.4百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 13百万円 | 4.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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