※本記事は、ユニカフェの有価証券報告書(第54期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ユニカフェってどんな会社?
同社は、コーヒーの焙煎加工を専門とし、工業用から家庭用まで幅広いコーヒー製品を提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1972年にコーヒー焙煎加工業者57社等の共同出資で設立されました。2000年に東京証券取引所市場第二部に上場し、翌2001年に同第一部へ指定されました。2009年にユーシーシー上島珈琲(現UCC Capital)と資本業務提携し子会社化された後、2019年にアートコーヒーを子会社化しています。
同社グループの従業員数は連結で199名、単体で169名です。筆頭株主は親会社のUCCジャパンで、第2位は事業提携先である事業会社の三菱商事です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| UCCジャパン | 52.37% |
| 三菱商事 | 9.85% |
| 美鈴コーヒー | 0.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は塩澤博紀氏が務めており、取締役9名のうち社外取締役は2名(比率22.2%)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 塩澤博紀 | 代表取締役社長 | 三菱商事入社、MC Coffee do Brasil代表取締役社長等を経て、2025年より現職。 |
| 相澤基 | 取締役兼副社長執行役員 | 三菱商事入社、同社秘書室長等を経て、2025年より現職。 |
| 上島昌佐郎 | 取締役 | ユーシーシー上島珈琲入社、同社代表取締役社長等を経て、2023年より現職。 |
| 新述孝祐 | 取締役兼常務執行役員管理本部長 | 同社入社、管理本部財務経理部長等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、吉武一郎(元トヨタ東京販売ホールディングス社長)、近藤正樹(元日本KFCホールディングス社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コーヒー関連事業」を展開しています。
■(1) コーヒー関連事業
同社グループは、工業用、業務用、家庭用向けのコーヒー製造販売を行っています。工業用は飲料メーカー向けに高付加価値製品を提案し、業務用は外食・宿泊施設向けに提供、家庭用は小売店向けに生活者の嗜好の多様化に対応した商品提案を行っています。
収益源は、各市場におけるコーヒーや関連食材の販売による代金です。事業の運営は主に同社および子会社のアートコーヒーが行っており、製品を顧客に引き渡した時点で収益を認識するビジネスモデルとなっています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、一時は減収減益の時期がありましたが、直近は堅調な回復傾向を示しています。特に直近2期間は連続して増収を達成しており、利益面でも大幅な増益を記録するなど、収益基盤の強化が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 152.2億円 | 107.1億円 | 123.6億円 | 129.4億円 | 160.6億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | -0.8億円 | 3.8億円 | 5.4億円 | 7.1億円 |
| 利益率(%) | 0.2% | -0.8% | 3.1% | 4.1% | 4.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.8億円 | -1.6億円 | 2.8億円 | 3.1億円 | 4.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年比で大きく伸長し、それに伴い売上総利益も増加しています。営業利益率も改善傾向にあり、生産性向上やコスト最適化の取り組みが着実に成果に結びついていることが読み取れます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 129.4億円 | 160.6億円 |
| 売上総利益 | 28.4億円 | 29.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.9% | 18.4% |
| 営業利益 | 5.4億円 | 7.1億円 |
| 営業利益率(%) | 4.2% | 4.4% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃が4.4億円(構成比19%)、給与手当が4.0億円(同18%)、支払手数料が2.5億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はコーヒー関連事業の単一セグメントです。インバウンド需要の拡大や外食需要の回復に加え、提案型営業による高付加価値製品の導入が進んだことで、すべての用途(工業用・業務用・家庭用)において売上が前年を上回りました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| コーヒー関連事業 | 129.4億円 | 160.6億円 |
| 連結(合計) | 129.4億円 | 160.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で十分なキャッシュを稼ぎ出し、その資金で投資や借入金の返済を賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.4億円 | 14.3億円 |
| 投資CF | -3.5億円 | -3.2億円 |
| 財務CF | -8.3億円 | -8.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%でスタンダード市場の平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.8%で同市場の平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「コーヒーをコアに人と環境にやさしい企業を目指す」を経営基本理念として掲げています。社会使命のもとに企業活動を行い、コンプライアンスの徹底と業務の適正性・公正性を確保しつつ、持続可能な社会の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
「Think Globally As a Roastery(コーヒー焙煎のプロとして、地球規模で考えよ)」というスローガンのもと、気候変動やサステナビリティに関する取り組みを推進しています。コーヒー産業の維持発展に向けた活動を積極的に行い、人と環境にやさしい企業文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、「営業利益」を重要な経営指標として位置づけています。中期経営計画において、中長期的な収益基盤の強化を目指しています。
* 2026年12月期の営業利益目標:6.5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「中期経営計画2027」において、「価値経営」を推進の中心に据えています。価値創造力と価値発信力の双方を強化し、その融合によって競争優位とブランド価値を高める戦略を展開しています。具体的な取り組みとして、生産性向上・コスト最適化を通じた収益基盤の強化や、高付加価値商品の開発を進めます。さらに、環境負荷低減といったESGへの取り組みや、変化に強い組織体制を構築するための人的資本経営を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
少子高齢化を背景とした構造的な人手不足に対し、企業価値向上に向けて「人材育成」を経営における最重要テーマのひとつと認識しています。技術継承や営業力強化、変化に対応できる組織づくりに向け、人的資本への投資を不可欠とし、働きがいのある職場づくりを進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.6歳 | 11.0年 | 4,682,373円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.8% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 60.0% |
また、同社は「人的資本」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、リスクマネジメント研修(1回)、コンプライアンス研修(1回)、情報セキュリティ研修(1回)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格・為替変動リスク
主原料であるコーヒー生豆はほぼ全量が輸入であるため、生産コストは生豆相場と為替相場の変動による影響を直接受けます。また、エネルギー価格や物流費等のコスト上昇が売上原価に波及する可能性があり、販売価格への転嫁が不十分な場合、業績に影響を及ぼす恐れがあります。
■(2) コーヒー業界の競争激化
国内のレギュラーコーヒー業界における競争は熾烈化しており、それに伴う売上高の減少や、販売インセンティブなどの販売促進コストの増加が懸念されます。競争環境がさらに厳しさを増した場合、同社の収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 気候変動によるリスク
地球温暖化等の気候変動により、「コーヒーの2050年問題」としてコーヒー栽培に適した土地が縮小する懸念があります。これによりコーヒー生豆の持続的な収穫が困難になった場合、調達コストの上昇や供給不足に直面し、同社の経営成績に重大な影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。