※本記事は、日東製網株式会社 の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日東製網グループは、漁業用・陸上用無結節網やロープなどの製造・販売を主軸としています。漁労関係省力機械器具や水産物の仕入販売も手掛け、幅広い事業を展開しています。
単体従業員数は333名、連結従業員数は953名です。セグメントは漁業関連事業、陸上関連事業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、多久製網(漁業関連事業・陸上関連事業)、泰東(陸上関連事業)、日東ネット(漁業関連事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日東製網は、伝統的な技術を継承しつつ、持続可能な社会の実現に貢献する企業活動を推進しています。従業員の働きがいや成長を重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに力を入れている点が特徴です。ワークライフバランスへの配慮や人材育成にも積極的に取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的平均勤続年数が長く、平均年齢も高めであることから、従業員が長期的に安定して働きやすい環境がうかがえます。人材の定着を重視し、キャリアを築きやすい傾向があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,103,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.02年 |
| 平均年齢 | 40.83歳 |
| 単体従業員数 | 333人 |
| 連結従業員数 | 953人 |
| 単体のグループ内比率 | 34.9% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。当社および国内連結子会社5社は、退職金規程に基づく退職給付一時金制度を採用しています。また、当社および国内連結子会社2社は確定拠出年金制度を設けています。
なお、退職一時金の支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、水産業界や陸上分野の事業環境変化に柔軟に対応し、持続的な技術革新を牽引するため、多様な人材の活躍と育成、従業員が健康で働ける環境づくりを人材戦略の基本方針としています。伝統的な専門技術やノウハウを継承しつつ、新たな価値を創出できる組織基盤の構築を目指しています。
人材育成においては、階層別研修の拡充と次世代リーダーの育成に注力しており、営業部門を中心に導入した研修を他部門へ順次拡大する方針です。また、タレントマネジメントシステムを導入し、個々の適性やスキル、キャリア志向に応じた最適配置と戦略的な育成を推進しています。ダイバーシティの推進として、女性営業職の積極的な採用と育成を進め、将来的な管理職・リーダー候補の裾野拡大を図っています。
健康経営の推進とワークライフバランスの充実にも取り組み、健康診断やストレスチェックによる不調の未然防止に努めています。仕事と家庭の両立支援として「くるみん」認定を取得した実績があり、当期からは「年5日の計画年休制度」の導入に取り組んでいます。給与・処遇制度については、各従業員の職務内容、役割、能力、成果を公正に評価した上で、社内規程に基づき適切な昇格・昇給・賞与配分を行う「成果及び貢献度に応じた処遇システム」を運用しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき算出された、提出会社単体のデータです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 76.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 88.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全社員に占める女性社員の比率 | 35% |
| 新入社員の女性採用の比率 | 31% |
| パート社員からの正社員の登用 | 4名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日東製網は、漁業関連事業と陸上関連事業を主軸に、多岐にわたる製品とサービスを提供する企業です。国内外で事業を展開し、それぞれの分野で顧客のニーズに応じたソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、漁業用・陸上用無結節網や綟網・ロープなどの製造・販売、漁労関係省力機械器具などの商品、水産物の仕入販売を主な事業としています。顧客との契約から生じる収益は、一時点で認識される収益が中心となっています。
漁業関連事業
この事業では、無結節漁網、有結節漁網、綟網、刺網、繊維ロープ、養殖用金網、防汚剤などの製品を製造しています。また、漁船、漁網付属品、漁労関係省力機械器具、飼料、餌料、小魚加工機、製氷機、養殖用稚魚、水産物などの仕入販売も行っています。収益は、これらの製品・商品の販売や、定置網漁業等の漁場指導を含めた経営指導サービスから得ています。当連結会計年度においては、アジア向けの輸出や水産部門の取扱高、漁業子会社の水揚高が好調に推移し、売上高は前期と比べて増加しました。
陸上関連事業
陸上関連事業では、無結節網、有結節網、防虫ネット、産業用ハウスバンド、ロープなどの製品を提供しています。農業用資材、培土、防虫網用アルミ型枠などの仕入商品も取り扱っています。収益は、これらの陸上用網に係る設計・施工・販売サービスから得ています。当連結会計年度では、獣害防止ネットやアスレチックネット等の施工工事の受注が堅調で、売上高は前期と比べて増加しました。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントは、報告セグメントに含まれない事業であり、産業用機械の製造・メンテナンス等を含んでいます。当連結会計年度の売上高は前期と比べて減少しました。
同社グループの売上高は、日本国内が大部分を占める一方で、中南米、アジア、ヨーロッパなど海外地域からの売上高も計上しており、国際的な事業展開を行っています。特定の外部顧客への売上高が連結売上高の10%を超えることはありません。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 漁業関連事業 | 174億円 | 178億円 |
| 陸上関連事業 | 41.5億円 | 43.2億円 |
| その他の事業セグメント | 3百万円 | 2百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益は、直近の当連結会計年度において前期から増加し、親会社株主に帰属する当期純利益も同様に増加しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 193億円 | 209億円 | 216億円 | 221億円 |
| 経常利益 | 5.4億円 | 5.0億円 | 8.4億円 | 8.3億円 | 9.6億円 |
| 経常利益率 | 3.0% | 2.6% | 4.0% | 3.8% | 4.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.9億円 | 51百万円 | 5.5億円 | 5.3億円 | 6.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 73.45 | 19.58 | 210.88 | 206.21 | 262.31 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が向上していることを示しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から減少しており、売上高の増加に対して利益の伸びが追いついていない状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.9百万円 | 23.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.7百万円 | 0.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日東製網グループの財務状況は、現在の事業活動と投資活動における資金の流れから、今後の成長に向けた投資フェーズにあることがうかがえます。財務基盤の厚みや事業リスクの状況を詳しく見ていきましょう。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
日東製網グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で25.3%となっています。これはプライム市場の製造業平均46.8%と比較すると低い水準ですが、非製造業平均24.2%よりは高い水準です。ROE(自己資本利益率)は8.8%で、プライム市場平均の9.4%と比較するとやや下回っています。手元資金である現金及び預金は14.0億円となっており、前期から減少しています。これらの状況は、同社グループが事業活動を継続していく上での資金的な余力や収益性を測る指標となります。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 74.6億円 | 82.5億円 |
| 自己資本比率 | 24.2% | 25.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 8.8% |
| 現金及び預金 | 15.0億円 | 14.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
日東製網グループの当連結会計年度におけるキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフローが△97百万円の支出となりました。これは税金等調整前当期純利益が9.6億円あったものの、売上債権の増加や仕入債務の減少が主な減少要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が影響し、△12.4億円の支出となりました。その結果、本業の稼ぎと投資を合わせたフリーキャッシュフローは△13.4億円の支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、長短借入金の純増により11.7億円の収入となりました。
これらの資金の流れは、同社グループが事業活動で得た資金を上回る投資を行っており、その資金を借入金で賄っている状況を示しています。これは、今後の成長に向けた投資を積極的に行っている一方で、資金繰りの状況を注視する必要があることを示唆しています。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.9億円 | △97百万円 |
| 投資CF | △6.4億円 | △12.4億円 |
| 財務CF | △2.7億円 | 11.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.5億円 | △13.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要な事業である漁網の製造販売や漁業関連商品の販売は、漁業者の経営動向に左右されるリスクがあります。異常気象や海洋環境の変化による漁獲量の減少、輸入魚の増加や消費嗜好の変化による魚価の下落、漁業者の原油高等に伴う事業費用の増加などが挙げられています。
また、漁網製品の主原材料は石油精製品に依存しており、原油価格が高騰した場合、原材料の調達価格が上昇し、同社グループの業績と財務内容に悪影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日東製網は、1910年の創業以来、「創意・誠実・努力」を基本理念に掲げ、社会に役立つ製品開発と提供を通じて社会貢献を目指すメーカーです。常に「挑戦」の精神を持ち、安易な模倣をせず、研究開発に注力する姿勢を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、社是である「創意・誠実・努力」を基本理念とし、これに「挑戦」を加えて経営の基本方針としています。社会に役立つ製品を開発し、合理的な価格で提供することがメーカーの社会的使命であるとの強い信念を持っています。
安易な模倣を恥ずべきことと考え、1910年の創立以来、一貫して研究開発に多大な努力を払ってきました。また、長期的な視野に立ち、株主、ユーザー、その他取引先及び従業員の期待に応えることを優先し、経営の合理化とコストダウンを絶えず追求し続けています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「創意・誠実・努力」を基本理念とし、これに「挑戦」を加えた基本方針のもと、企業活動を行っています。サステナビリティに関する諸問題に対しても、この基本理念に沿って取り組む姿勢を示しています。
持続可能な社会の実現に向けて、取締役会を中心とした組織横断的な連携を重視し、重要な事項は取締役会や監査役会等で協議する体制を整備しています。多様な人材の採用・登用及び人材育成が必要と考え、性別等に関係なく能力・適性に基づいた採用を行い、障害者雇用や女性活躍の推進に努めています。社員のワークライフバランスに配慮した取り組みとして「ノー残業デー」を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、「環境・社会・ガバナンス」と持続可能な社会への貢献を世界的に重要なテーマと捉えています。過去の慣習や価値観にとらわれず、事業環境の変化や各種のリスクにリアルタイムで対応できる体制、組織づくりが重要であると認識しています。
自然環境や人材育成に配慮した事業活動、製品・サービスの提供も企業価値向上に繋がる重要なテーマです。特に「人材の確保・育成」を課題の一つとし、少子高齢化や働き方の多様性に対応するため、人材育成の拡充や採用戦略の強化に取り組んでいます。また、「廃棄漁網のリサイクル」にも注力し、環境配慮型素材を使用した漁具類の開発や廃棄漁具の再製品化、端材の有効活用を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日東製網の経営体制は、取締役と監査役で構成される体制を採用しています。同社は、コーポレート・ガバナンスの実効性を確保し、経営の信頼性、健全性を高めることを重視しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日東製網の筆頭株主は事業会社である土屋です。上位株主には、同社の取引先持株会や従業員持株会、そして代表取締役社長である小林宏明氏が名を連ねています。これらの株主構成は、同社の経営を支える安定的な基盤を示しています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 土屋 | 8.75% |
| 日東製網取引先持株会 | 7.92% |
| 日東製網従業員持株会 | 6.54% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役取締役社長は小林宏明氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小 林 宏 明 | 代表取締役取締役社長 | 2000年4月に広島銀行に入行後、2002年3月に同社へ入社し、2007年1月より代表取締役取締役社長に就任しました。日本ターニング株式会社代表取締役、青山商事株式会社社外取締役などを兼任し、2023年6月ダイキョーニシカワ株式会社社外取締役より現職。 |
| 小 林 重 久 | 専務取締役製造本部本部長 | 1985年4月に同社へ入社し、2012年7月より取締役、製造本部本部長兼福山工場長に就任しました。2017年8月より常務取締役、2023年8月より専務取締役製造本部本部長より現職。 |
| 北 方 浩 樹 | 取締役経営管理本部本部長 | 1985年4月に広島銀行に入行後、2016年4月に同社経営管理本部副本部長兼総務部長に就任しました。2016年7月より取締役、2020年7月より経営管理本部本部長より現職。 |
| 野 村 芳 徳 | 取締役営業本部本部長兼第2事業部長 | 1984年4月に同社へ入社し、2017年7月より取締役に就任しました。2021年5月より営業本部本部長兼第2事業部長より現職。 |
社外取締役は、岡耕一郎氏(弁護士・せとうち中央法律事務所所長)、杉之原祥二氏(マナック・ケミカル・パートナーズ代表取締役会長兼社長)です。社外監査役は、佐藤卓己氏(サンエス代表取締役社長)、大石剛一郎氏(元弁護士・木下・大石法律事務所)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による業務執行の監督と監査役会による監査を基本とした体制を採用しています。社外取締役は、法務面や企業経営の豊富な経験に基づき、経営への適切な助言や監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日東製網の役員報酬は、基本報酬と退職慰労金で構成されています。取締役の基本報酬は、株主総会で決議された限度内で、会社業績や職責、成果を勘案して取締役会で決定されます。業績連動報酬や非金銭報酬は支給しない方針です。監査役の報酬は、監査役の協議によって決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 1.7億円 | 43.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 14百万円 | 7.2百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 14百万円 | 3.5百万円 |
役員報酬の総額は2億280万円であり、対象となる役員は合計10名です。なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、社外役員1名は無報酬であるため、支給人員には含まれていません。
個人別報酬が開示されている役員は、小林宏明氏(1.18億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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