※本記事は、インスペック株式会社 の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
インスペックは、基板検査装置関連機器の製造・販売を主な事業とする企業です。生成AI向けの半導体パッケージ基板やスマートフォン向けの精密プリント基板の外観検査装置の開発、製造、販売、保守サービスを手掛けています。
単体従業員数は85名です。同社は基板検査装置関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。
インスペックは、基板検査装置関連機器の製造・販売を主な事業とし、生成AI向け半導体パッケージ基板や精密プリント基板の外観検査装置の開発、製造、販売、保守サービスを担っています。グループはインスペックと台湾英視股份有限公司の2社で構成されていますが、台湾英視股份有限公司は連結の範囲から除外されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
インスペックは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」というパーパスを掲げ、事業活動を通じて「誰もが輝き心豊かに生きることが出来る社会」の実現を目指しています。そのため、人的資本を最重要課題と位置付け、社員が幸せになれる会社づくりに取り組んでいます。
多様な人材育成プログラムの整備やワークライフバランス実践に向けた取り組みを積極的に行い、従業員一人ひとりが働きがいを感じられる職場環境の構築に注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、ここ数年強化してきた新卒・中途採用活動が実を結び、世代交代が順調に進んでいます。役職定年を迎えた社員をシニアエキスパート職として配置するなど、若手からシニアまで幅広い世代が活躍できる職場づくりに取り組んでいる傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,174,000円 |
| 平均勤続年数 | 11.7年 |
| 平均年齢 | 43.5歳 |
| 単体従業員数 | 85人 |
同社は退職給付制度として、特定退職金共済制度及び確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を採用しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社の人材戦略は、技術革新を基軸とした事業成長を支えるため、優秀な人材の確保・育成及び組織力の強化を図ることを目的としています。具体的には、「従業員エンゲージメントの向上」及び「人的資本への積極的な投資」を基本方針としています。
給与その他の給付の決定に関する方針については、企業業績及び個人の成果・貢献度を適切に反映することを基本とし、公正性及び透明性の確保に配慮しながら決定しています。処遇改善及び人的資本への投資の観点から、給与水準の引上げ等を継続的に実施し、従業員のモチベーション向上及び優秀人材の確保・定着を図っています。
重点的な取り組みとして、「人材の確保・多様化」「人材育成の強化」「働きがいの向上とエンゲージメント強化」「多様な働き方の推進」を掲げています。具体的には、地元採用の推進に加え、リモートワークを前提とした採用やグローバル展開に対応した多様な人材の確保を進めています。人材育成では、従業員の役割に応じた階層別研修や全従業員対象の英語研修に加え、若手社員向け社会人基礎力研修、中堅社員向けマネジメントスキル研修、専門基礎知識習得のeラーニング研修など、多様なプログラムを体系的に整備しています。また、新たな人事評価制度の導入、ノー残業デー設定による時間外労働の削減、計画有給や時間単位有給、病気休暇制度の新設、育児・介護の両立支援など、ワークライフバランス実践に向けた取り組みも積極的に行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。パート・有期労働者の男女賃金差異は集計対象となる従業員がいないため記載されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 4.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 61.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 61.5% |
指標及び目標
2026年4月期の実績及び長期目標(2030年4月期)については以下のとおりです。
| 指標 | 2026年4月期 | 長期目標 2030年4月期 |
|---|---|---|
| 女性雇用比率 | 15.3% | 20.0% |
| 女性管理職比率 | 4.3% | 20.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
インスペックは、基板検査装置関連機器の製造・販売を主な事業内容としています。同社は、確かな技術とあくなき挑戦を通じて、創造社会を切り拓くことをパーパスとしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
インスペックは、基板検査装置関連機器の製造・販売を主軸に事業を展開しています。同社グループは、インスペックと台湾英視股份有限公司の2社で構成されていますが、台湾英視股份有限公司は連結の範囲から除外されています。
同社の主要な事業分野は半導体パッケージ基板市場であり、国内外でAIデータセンター向けの活発な投資が継続していることから、高性能半導体パッケージ基板の需要が高水準で推移しています。収益は、半導体パッケージ基板検査装置やロールtoロール型検査装置といった主力製品の販売、およびこれらに関連する研究開発や保守・サービスから得ています。
国内外の顧客から受注を獲得しており、アジア地域にも販売実績があります。複数の主要な相手先への販売実績があり、同社は「基板検査装置関連事業」の単一セグメントとして事業を展開しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の業績は、世界経済の不確実性や半導体市場の動向に影響を受けながら推移しています。一部のAI対応データセンター向け最先端パッケージ基板検査装置の案件では、新規開発要素が多く、想定を上回るコストが発生したことが売上総利益率に影響を与えました。
受注状況は変動しており、当事業年度の受注高は前期から減少しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
インスペックは、従業員一人ひとりが事業に貢献する体制を構築しています。同社の従業員数は85人であり、組織の規模感を示しています。
平均勤続年数は11.7年であり、安定した就業環境がうかがえます。平均年間給与は6,174千円であり、報酬水準の一つの目安となります。これらの数値は、入社を検討する上で、同社の組織体制や従業員への還元状況を把握する一助となります。
| 指標 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
インスペックの財務状況は、事業活動による資金の動きや投資活動の状況によって変動しています。本業での資金創出力と投資のバランスが、今後の安定性や成長性を示す重要な要素となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
インスペックの財務基盤を見ると、2026年4月期の自己資本比率は27.7%となっています。これはプライム市場の製造業平均と比較すると低い水準です。
一方、現金及び現金同等物は454百万円と、前事業年度末から増加しています。自己資本比率は前事業年度末から減少傾向にあり、財務の健全性を維持していくことが重要です。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 959百万円 | 1,037百万円 |
| 自己資本比率 | 32.0% | 27.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 396百万円 | 454百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
インスペックのキャッシュフローを見ると、2026年4月期は営業活動で519百万円の資金を使用しています。これは主に売上債権や棚卸資産の増加によるものです。
投資活動では27百万円の資金を獲得しており、これは定期預金の純増減額による収入が有形固定資産の取得支出を上回ったことによるものです。その結果、本業と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは492百万円のマイナスとなっています。
財務活動では548百万円の資金を獲得しており、主に短期借入金の増加によるものです。当期は営業活動で資金を使用し、財務活動で資金を調達している状況です。今後の資金繰りの動向が、雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 543百万円 | △519百万円 |
| 投資CF | △66百万円 | 27百万円 |
| 財務CF | △675百万円 | 548百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 477百万円 | △492百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社の業績は、景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向があります。また、検査装置のコア技術が競争力の原点ですが、他社が同社製品を上回る性能のシステムを開発する可能性も存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社の事業は最先端かつ高度な技術力提供が重要な要素であり、優秀な人材の確保が重要となります。タイムリーに必要な人材の確保ができない場合や優秀な従業員が多数離職した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
インスペックは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」というパーパス(存在意義)を掲げ、その実現に向けて事業活動を行っています。同社は、技術革新と組織力強化を通じて、持続的な成長を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
インスペックは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」というパーパス(存在意義)を掲げ、その実現に向けて経営に取り組んでいます。同社は2028年4月期をゴールとする中期経営計画を策定しました。
この計画では、基板検査装置関連事業の持続的な成長と稼ぐ力の向上を通じて、企業価値の拡大を図ることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
インスペックは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」というパーパス(存在意義)とバリューの浸透を通じて、組織の一体感を醸成することを目指しています。同社は「社員が幸せになれる会社」への取り組みが創造社会の実現につながると認識しており、SDGs活動を通じて地域社会や環境問題解決にも貢献しています。
製造業として小規模な企業体制を強みとし、コア技術を確立しつつアウトソーシングも活用して事業拡大を図る方針です。人的資本を最重要課題と位置づけ、働きがいのある職場づくりやワークライフバランスの推進にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
インスペックは、持続的成長を支える組織力強化のため、人的資本経営の強化を重要課題としています。社員が能力を発揮できる環境整備として、人事評価制度の定着や人材育成プログラムに基づく研修を推進しています。
初任給の引き上げや基本給のベースアップも継続的に実施し、働きがい向上と優秀な人材の確保・定着に努めています。また、コーポレート・ガバナンスの実効性向上と透明性の確保も重要課題です。
リスク管理体制の高度化や、非財務情報の充実とタイムリーな開示を推進しています。各部門でのマンパワー増強と若手社員の育成を通じて、経営基盤の強化にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
インスペックは監査役会設置会社であり、業務執行機能と監督機能の分離を図る体制を採用しています。取締役会は社外取締役を含む複数の取締役で構成され、経営の透明性とコンプライアンス強化に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
インスペックの株主構成を見ると、筆頭株主は個人である緒方顯吉氏です。また、代表取締役社長である菅原雅史氏も上位株主の一人として名を連ねています。その他にも複数の個人株主が上位に位置しており、特定の事業会社や機関投資家が突出して高い比率を占める形ではありません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 緒方 顯吉 | 5.58% |
| 菅原 雅史 | 3.78% |
| 塩谷 亮子 | 2.37% |
なお、シルバーケイプ・インベストメンツ・リミテッドは2026年7月2日現在で345,000株(8.60%)を保有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、同社としては2026年4月30日現在の実質所有株式数が確認できないため、上記大株主の状況には含めていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼代表執行役員は菅原雅史氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菅原 雅史 | 代表取締役社長 兼代表執行役員 | 1974年4月森永乳業株式会社入社、1984年1月同社創業、1988年5月同社設立代表取締役。2008年7月代表取締役社長兼代表執行役員、2012年7月代表取締役社長を経て、2020年7月より現職。 |
| 冨岡 喜榮子 | 常務取締役 | 1973年4月三菱電機株式会社入社、1984年1月同社入社。1997年7月同社取締役、2017年7月同社取締役兼執行役員管理本部長を経て、2022年7月より現職。 |
| 渡辺 晃彦 | 取締役 兼執行役員営業部長 | 1985年4月丸紅マシナリー株式会社入社、2003年3月同社入社営業部長。2016年5月同社執行役員営業統括部長を経て、2022年7月より現職。 |
| 菅原 亮太 | 取締役社長室長 兼台湾英視股份有限公司 董事長兼総経理 | 2006年4月東北パイオニア株式会社入社、2012年4月同社入社。2021年5月同社社長室長兼DI開発部長、2022年7月同社取締役兼DI開発部長、2024年5月同社取締役兼台湾英視股份有限公司董事長兼総経理を経て、2025年12月より現職。 |
社外取締役は、小林英明氏(H2Rコンサルティング代表取締役)、土門孝彰氏(秋田銀行法人コンサルティング部チーフアドバイザー)、陶山さなえ氏(元SOMPOコミュニケーションズ代表取締役社長)です。
同社は監査役会設置会社であり、経営の透明性向上とコンプライアンス徹底のため、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。社外取締役は一般株主の保護とコーポレート・ガバナンスの充実を目的として選任されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
インスペックの役員報酬は、各役員の職責に応じた適正水準を基本方針としています。報酬は固定報酬である基本報酬、業績連動報酬である賞与、そして非金銭報酬である株式報酬型ストック・オプションで構成されています。特に社内取締役には株式報酬型ストック・オプションが支給され、業績連動報酬は売上高や営業利益等の目標達成度合いに応じて算出されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 56百万円 | 13.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 6.8百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 10百万円 | 1.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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