梅の花グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

梅の花グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する梅の花グループは、「湯葉と豆腐の店 梅の花」等の外食事業や「古市庵」等のテイクアウト事業を展開しています。直近の業績は各種販促施策や価格改定の効果で売上高が増加し、増収増益を達成しました。季節需要の着実な取り込みにより、経常利益も黒字を確保しています。


※本記事は、株式会社梅の花グループの有価証券報告書(第47期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月28日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

梅の花グループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. 梅の花グループってどんな会社?


「湯葉と豆腐の店 梅の花」等の外食事業やテイクアウト事業を展開する梅の花グループの特徴を紹介します。

(1) 会社概要


1979年にかにしげ有限会社として設立され、1986年に「湯葉と豆腐の店 梅の花」1号店を開店しました。1999年に日本証券業協会に株式を店頭登録し、2002年に東京証券取引所市場第二部に上場しました。その後、2007年に古市庵を子会社化し、2025年に梅の花から梅の花グループへ商号変更しています。

従業員数は連結で607名、単体で134名です。筆頭株主は創業者の梅野久美恵氏で、第2位は事業会社の麒麟麦酒、第3位は梅野企画です。

氏名 持株比率
梅野久美恵 8.01%
麒麟麦酒 2.26%
梅野企画 2.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長CEOは本多裕二氏、代表取締役社長COOは鬼塚崇裕氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
本多裕二 代表取締役会長CEO 1981年三角石油ガス入社。1995年同社取締役。2001年梅の花入社。専務、代表取締役社長兼COO等を経て2024年7月より現職。
鬼塚崇裕 代表取締役社長COO 1989年阪神百貨店入社。2013年梅の花入社。経営計画室長、常務取締役、専務取締役等を経て2025年9月より現職。
村山芳勝 常務取締役 1983年ミドリ電化入社。1996年梅の花入社。取締役人事総務部長、取締役常務執行役員等を経て2025年6月より現職。
吉田訓 取締役 1997年梅の花入社。2015年梅の花サービス代表取締役。執行役員物流部長、経営計画室長等を経て2026年5月より現職。
増村政信 取締役 1988年西日本銀行入行。土井支店長等を経て2019年梅の花経理部長。執行役員、取締役経理部長等を経て2025年6月より現職。
野田安秀 取締役 1995年梅の花入社。梅の花サービス西日本代表取締役等を経て2024年テラケン代表取締役等。2025年6月より現職。


社外取締役は、岡田由佳(アレルギーヘルスケア代表取締役)、井上二郎(井上二郎公認会計士事務所所長)、南昌作(リーガル・ソリューション法律事務所所長)、白土成孝(西日本フィナンシャルホールディングス執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食事業」「テイクアウト事業」「外販事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 外食事業


「湯葉と豆腐の店 梅の花」や「和食鍋処 すし半」「海鮮処 さくら水産」を中心とした店舗を展開しています。湯葉や豆腐を使った懐石料理、鍋料理、寿司、魚料理などを一般消費者向けに提供しています。

運営は主に梅の花サービス、すし半、テラケン、三協梅の花などの各子会社が行っています。親会社である梅の花グループは、これらの子会社に対して食材や備品の供給、経営指導、経理事務の請負サービス等を提供して収益を得ています。

(2) テイクアウト事業


巻寿司やいなり寿司等を取り扱う「古市庵」ブランドや、弁当、和惣菜、おせち等を取り扱う「梅の花」ブランドを中心とした持ち帰り専門店を展開しています。主要百貨店や駅ビル、商業施設等を通じて消費者に商品を提供しています。

運営は主に子会社の古市庵プラスが行っています。親会社である梅の花グループは、当該子会社に対して食材や備品の供給、経営指導、経理事務等の請負サービスを提供し、事業活動を支援しています。

(3) 外販事業


梅の花グループのセントラルキッチンで製造された製品や、「梅の花」「古市庵」ブランドの商品、牡蠣を主とする水産加工品などを提供しています。グループ外の企業への販売や、ECサイトを通じた通信販売を行っています。

運営は親会社である梅の花グループの事業部門が主体となって行っています。既存取引先への提案強化や新規取引先の開拓、小口直販やEC販売の拡大を通じて、事業基盤の強化と収益の獲得を図っています。

(4) その他


梅の花グループが所有する土地や建物などの遊休資産を活用したストック事業を展開しています。大阪セントラルキッチン跡地に賃貸物件を建設するなど、資産の有効活用を図っています。

運営は親会社である梅の花グループが行っており、不動産賃貸による安定的な賃貸収益を確保することで、グループ全体の収益基盤の強化に貢献しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復基調にあり、特に直近の事業年度は価格改定や季節需要の取り込みにより増加しています。経常利益は黒字を維持しているものの、原材料価格や人件費の高騰による影響が見られます。当期利益は特別損益の計上などにより変動が激しく、収益性の安定化が課題となっています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
売上高 226億円 275億円 298億円 294億円 298億円
経常利益 -18億円 0.1億円 7.4億円 3.9億円 3.7億円
利益率(%) -7.9% 0.1% 2.5% 1.3% 1.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 -7.0億円 6.6億円 -3.7億円 -0.1億円

(2) 損益計算書


売上高は増加傾向にあり、売上総利益も前年を上回っています。販売費及び一般管理費において人件費等の上昇が見られるものの、価格改定の効果や各種販促施策の実施により、営業利益および営業利益率ともに改善が進んでいます。

項目 2025年4月期 2026年4月期
売上高 294億円 298億円
売上総利益 192億円 193億円
売上総利益率(%) 65.0% 64.8%
営業利益 5.5億円 6.5億円
営業利益率(%) 1.9% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が82億円(構成比44%)、賃借料が36億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


外食事業およびテイクアウト事業は、各種販促施策や価格改定の効果により売上高が増加しています。一方で外販事業は、主要取引での失注や仕入数量の減少等により減収となりました。

区分 売上(2025年4月期) 売上(2026年4月期)
外食事業 169億円 171億円
テイクアウト事業 104億円 106億円
外販事業 21億円 21億円
その他 0.4億円 0.5億円
連結(合計) 294億円 298億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは「健全型」です。営業活動で得た資金を元に借入金の返済を進めつつ、必要な投資を手元資金で賄う健全な財務運営が行われています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
営業CF 7.3億円 21.5億円
投資CF -6.8億円 -6.5億円
財務CF -10.0億円 -13.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は9.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人に感謝、物に感謝」の精神を根幹に据え、「花咲く、食のひとときを。」を存在意義として掲げています。食を通じたホスピタリティの提供を追求するとともに、次世代への食文化の継承や日本の食文化の魅力を国内外へ発信することで、持続可能な成長と社会への貢献を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


「人に感謝、物に感謝」の経営理念に基づき、地域社会とのつながりを大切にし、共生と貢献を目指す文化が根付いています。また、お客様に安全で安心な商品やサービスを提供することを最優先とする品質管理の徹底を重視しており、従業員に対しても多様な人材が能力を最大限発揮できる組織づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率、ROE、自己資本比率などを重視しています。ROEの安定的向上を意識しながら、収益構造の構築と堅実な財務体質を堅持する方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


インバウンド需要の回復やデジタル化の進展等の市場環境の変化に対応するため、既存店舗の改装や業態転換、新業態・新商品の開発、販路拡大を推進します。財務面では、有利子負債の圧縮による財務健全性の向上と資本効率の向上を課題としています。また、AIやRPAを活用した業務効率化やDX推進により、コスト構造の改善を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材育成と働きやすさの向上を通じて組織力を強化し、持続的成長を支える人材基盤を構築することを基本方針としています。「人材こそが最大の経営資源である」との認識のもと、新卒・中途採用の強化や、店舗責任者の育成を目的とした体系的な教育制度の整備、多様な人材が活躍できる就業環境の構築を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 44.5歳 15.1年 4,666,718円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.6%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 51.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 71.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 68.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ全体の女性管理職比率(13.3%)、グループ全体の男性育児休業取得率(75.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格等の高騰


主要原材料である米をはじめとする食材や、エネルギー価格、物流コストが高騰した場合、同社グループのコスト構造を圧迫し、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。複数産地からの調達や価格改定、商品構成の見直し等により収益性の維持・向上に努めています。

(2) 出店および新業態開発


事業拡大を目的とした新規出店や新業態の開発において、立地条件や人材の確保が困難となり計画通りに進まない場合や、想定した収益を確保できない場合、投資回収の長期化や減損損失の計上等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 店舗の賃借物件への依存


店舗展開において定期建物賃貸借契約を締結し、敷金や建設協力金を差し入れています。賃貸人の経営悪化により資金が回収できなくなる場合や、原状回復工事費用の高騰により追加的な費用負担が発生する場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 有利子負債の負担


同社グループは総資産に対する有利子負債の割合が高い水準にあります。市場金利の上昇により資金調達コストが増加した場合、支払利息の増加を通じて収益を圧迫するリスクがあります。営業キャッシュ・フローを重視した資金管理により財務の健全性向上に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。