梅の花グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 梅の花グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の外食チェーン。「湯葉と豆腐の店 梅の花」やテイクアウト店「古市庵」などを展開し、外販や不動産賃貸も手がけます。直近の業績は、売上高294億円で前期比減収となりました。利益面では経常利益3.9億円と減益になり、最終損益は赤字に転落しています。


※本記事は、株式会社梅の花グループ の有価証券報告書(第46期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 梅の花グループってどんな会社?


湯葉と豆腐料理を中心としたレストランや、寿司・弁当のテイクアウト店を展開する食の総合企業です。

(1) 会社概要


1990年にウメコーポレーションとして設立され、1999年に株式を店頭登録、2002年には東京証券取引所市場第二部に上場しました。2007年に古市庵を子会社化してテイクアウト事業を強化し、その後も丸平商店やすし半を完全子会社化するなど事業を拡大しました。2025年5月には商号を梅の花グループへ変更しています。

連結従業員数は626名、単体では142名です。筆頭株主は梅野久美恵氏で、第2位は梅野企画、第3位は事業会社の麒麟麦酒です。

氏名 持株比率
梅野 久美恵 8.03%
梅野企画 2.73%
麒麟麦酒 2.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役会長CEOは本多裕二氏、代表取締役社長COOは鬼塚崇裕氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
本 多 裕 二 代表取締役会長CEO 1981年三角石油ガス(現Misumi)入社。同社取締役等を経て2001年同社入社。専務、社長を経て2024年7月より現職。
鬼 塚 崇 裕 代表取締役社長COO 1989年阪神百貨店入社。エイチ・ツー・オーリテイリング等を経て2013年同社入社。経営計画室長、専務等を経て2024年7月より現職。
村 山 芳 勝 常務取締役 1983年ミドリ電化入社。1996年同社入社。取締役人事総務部長、購買部長、常務取締役管理部門管掌等を経て2025年6月より現職。
吉 田   訓 取締役製造・物流・購買部門管掌 1997年同社入社。梅の花サービス代表取締役、同社物流部長、経営計画室長等を経て2024年11月より現職。
増 村 政 信 取締役第2事業部門管掌 1988年西日本銀行入行。同行融資統括部格付査定室長等を経て2019年同社入社。経理部長、管理部門管掌を経て2025年6月より現職。
野 田 安 秀 取締役第1事業部門管掌 1995年同社入社。梅の花サービス九州代表取締役、同社外食事業部長、テラケン代表取締役等を経て2025年6月より現職。
宮 崎 秀 之 取締役(常勤監査等委員) 1986年同社入社。内部監査室長、営業本部部長等を歴任。2023年7月より現職。


社外取締役は、岡田由佳(アレルギーヘルスケア代表取締役)、池田勝(西日本シティ銀行取締役専務執行役員)、井上二郎(公認会計士)、南昌作(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「外食事業」「テイクアウト事業」「外販事業」および「その他」事業を展開しています。

外食事業


「湯葉と豆腐の店 梅の花」、「和食鍋処 すし半」、「海産物居酒屋 さくら水産」などの飲食店を運営し、懐石料理や鍋料理、居酒屋メニューなどを提供しています。主な顧客は一般消費者で、インバウンド需要への対応も進めています。

店舗での飲食サービスに対する対価を顧客から受け取ることで収益を得ています。運営は、梅の花サービス、すし半、テラケン、三協梅の花といった連結子会社が担っています。

テイクアウト事業


「古市庵」ブランドの巻寿司やいなり寿司、「梅の花」ブランドの和惣菜や弁当などを百貨店や商業施設内で販売しています。中食需要に対応し、一般消費者を対象としています。

商品の販売代金を顧客から受け取ることが収益源です。運営は主に連結子会社の古市庵プラスが行っており、同社が食材等の供給や経営指導を行っています。

外販事業


水産加工品の製造販売や、「梅の花」「古市庵」ブランドの商品、冷凍惣菜などを企業や一般消費者向けに販売しています。通信販売も行っています。

企業への卸売りによる販売代金や、通信販売での消費者からの購入代金が収益となります。同社の外販部門が事業主体となり、グループ外への拡販を進めています。

その他


グループが保有する土地や建物の有効活用を目的としたストック事業を行っています。具体的には、大阪セントラルキッチン跡地での賃貸物件建設などが挙げられます。

賃貸物件の入居者からの賃料収入が主な収益源です。同社グループ内での資産活用として位置付けられています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第42期から第45期にかけて回復傾向にありましたが、当期はわずかに減少しました。利益面では、第45期に黒字転換を果たしたものの、当期は経常利益が縮小し、最終損益は再び赤字となっています。

項目 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 216億円 226億円 275億円 298億円 294億円
経常利益 -24.0億円 -17.9億円 0.1億円 7.4億円 3.9億円
利益率(%) -11.1% -7.9% 0.1% 2.5% 1.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -19.2億円 2.2億円 -4.4億円 10.2億円 -3.8億円

(2) 損益計算書


売上高は微減となり、売上総利益も減少しました。営業利益は前期の約8億円から当期は約6億円へと縮小しており、利益率も低下しています。コスト増などが利益を圧迫している状況が見て取れます。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 298億円 294億円
売上総利益 195億円 192億円
売上総利益率(%) 65.5% 65.1%
営業利益 8.2億円 5.5億円
営業利益率(%) 2.7% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が81億円(構成比43.5%)、賃借料が36億円(同19.4%)を占めています。

(3) セグメント収益


外食事業とテイクアウト事業が売上の大半を占めていますが、両事業ともに売上高は前期比で微減となりました。利益面では、外食事業は横ばいを維持しましたが、テイクアウト事業と外販事業は減益または赤字幅が拡大しており、全体として厳しい結果となりました。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期) 利益(2024年4月期) 利益(2025年4月期) 利益率
外食事業 170億円 169億円 9.3億円 9.3億円 5.5%
テイクアウト事業 105億円 104億円 7.6億円 5.9億円 5.7%
外販事業 23億円 21億円 -0.8億円 -1.3億円 -5.9%
連結(合計) 298億円 294億円 8.2億円 5.5億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは「健全型」です。本業で稼いだ資金で借入金の返済を進めており、投資は控えめながらも継続している状態です。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF 6.9億円 7.3億円
投資CF -1.3億円 -6.8億円
財務CF -9.3億円 -10.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期赤字のため算出できませんが、前期は35.4%で市場平均を上回っていました。一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は8.0%で市場平均を大きく下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人に感謝、物に感謝」の精神を企業理念として掲げています。また、「花咲く、食のひとときを。」をスローガンとし、食を通じて顧客に喜びや感動を提供することを目指しています。変化する経営環境に的確に対応し、持続的な成長と社会への貢献を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


食を通じた「ホスピタリティ」の提供を追求する姿勢を重視しています。また、次世代への「食文化の継承」や、日本の食文化の魅力を国内外へ発信することを大切にし、安心・安全な食材と高品質な料理、落ち着いた空間の提供を通じて、顧客の幸福感を醸成することを目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業キャッシュ・フロー、各種利益率、ROE、自己資本比率、PBR、株価を重視しています。財務健全性の確保とキャッシュ・フローの改善による資本効率の向上が重要課題です。

(4) 成長戦略と重点施策


財務健全性の確保とキャッシュ・フロー改善を進めつつ、有利子負債の圧縮と新規出店による拡大を目指します。外食事業では顧客層の若返りやインバウンド対応、テイクアウト事業では販路拡大やアプリ活用による顧客接点強化を図ります。また、外販事業の拡大やストック事業による資産活用、海外展開も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


店舗責任者や経営幹部の育成、および安定的な人材確保を継続的な課題としています。外国人技能実習生や特定技能外国人の受け入れ、多様な人材の積極活用を進めるとともに、職場環境の整備にも注力しています。また、次期経営層の育成においては、若手人材への裁量権委譲やOJTによる成長を促進する方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 44.6歳 14.2年 4,982,024円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.7%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 48.3%
男女賃金差異(正規) 76.6%
男女賃金差異(非正規) 64.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(13.5%)、男性育児休業取得率(0.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料の高騰


自然災害や異常気象による農作物の収穫量減少や、為替変動により、米を含む主要原材料の安定確保に支障が生じる可能性があります。特に米価の高騰はコスト構造に大きく影響するため、調達先の分散やメニューの見直し、価格改定などで対応を進めています。

(2) 出店


希望条件に合う物件の不足や人材確保の困難さにより出店が計画通り進まない場合、また出店後の商業施設の閉鎖や競合店の出現など環境変化があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、情報収集の強化や慎重な物件選定を行っています。

(3) 新業態開発


外食およびテイクアウト事業において新業態の開発を進めていますが、開発や事業化が計画通りに進まず遅延した場合には、業績に影響を与える可能性があります。専任部門を設置し、開発体制を整えることでリスク低減を図っています。

(4) 店舗の賃借物件への依存


店舗展開において賃貸借契約を結んでおり、賃貸人の破産等により敷金・保証金等の回収が不能になるリスクがあります。また、更新不可や家賃値上げによる退店、原状回復費用の高騰などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。