※本記事は、株式会社トーエル の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月28日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
トーエルグループは、エネルギー事業とウォーター事業を主軸に展開しています。LPガスや関連機器の卸売・小売、保安管理、住宅設備販売を行うほか、国産・ハワイ産ピュアウォーターの製造販売を手がけています。
単体従業員数は245名、連結従業員数は450名です。セグメントはエネルギー事業、ウォーター事業の2つです。
主な国内グループ会社は、トーエルシステム、LPG物流、アルプスウォーター(ウォーターの製造)、TOM、T&Nアグリ(野菜の生産事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社トーエルは、ライフライン事業を主軸とする企業として、従業員の安定した働き方を重視している傾向が見られます。人材の定着を促し、多様な人材が活躍できる環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着を重視し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていると考えられます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な従業員が多数在籍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,519,346円 |
| 平均勤続年数 | 13.7年 |
| 平均年齢 | 45.2歳 |
| 単体従業員数 | 245人 |
| 連結従業員数 | 450人 |
| 単体のグループ内比率 | 54.4% |
同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の退職一時金制度を採用しています。この制度は当社及び連結子会社に適用されます。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は5.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「自社配送体制」の物流ノウハウを最大の強みとし、ライフライン事業者として「安全」「安心」「安定供給」の社会的使命を果たすため、事業戦略と密接に連動する人材投資を推進しています。新卒・中途の継続的な採用に加え、性別、国籍、価値観など異なる背景を持つ人材を公平に評価し、組織に受け入れていく採用方針です。
給与・報酬の決定については、世間水準や経営環境を総合的に勘案し、正規・非正規雇用を問わず、すべての従業員に対して公正かつ適切な処遇が担保できる決定プロセスが構築されています。人的資本への投資を通じて、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう支援し、働き甲斐のある職場環境づくりに努めています。
人材育成の面では、新入社員研修や階層別研修などの社内研修機会の提供、資格取得支援などに取り組んでいます。また、社内の多様性確保に向けて、女性社員の活躍促進や女性管理職研修、当社保有の保育園等の施設の有効活用により、育児と仕事を両立できる職場環境づくりを推進しており、女性活躍推進法に基づく優良企業「えるぼし」最高位(三ツ星)を取得しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 21.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 45.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 66.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規労働者) | 63.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち非正規労働者) | 81.5% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職の割合(目標) | 25%(2028年3月まで) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社トーエルは、エネルギー事業とウォーター事業を主軸に、人々の生活に不可欠なインフラサービスを提供しています。同社グループは、LPガスや関連機器の供給、ピュアウォーターの製造販売を通じて、顧客の快適な暮らしを支えるビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、LPガスやウォーターといった生活に密着したサービスを提供することで収益を上げています。エネルギー事業ではLPガスの安定供給と関連機器の販売、ウォーター事業では高品質なピュアウォーターの提供に注力しています。国内市場が主要な事業基盤であり、特定の顧客に収益が集中することなく、幅広い顧客層にサービスを提供しています。
エネルギー事業
LPガス及び関連機器の卸売、小売、並びにこれに付随する保安管理や顧客サービス業務を行っています。また、住宅関連設備機器の販売も手掛けています。
収益は、LPガスの販売や関連機器の提供、各種サービスから得ています。前期と比較して売上高は減少しましたが、営業強化による顧客件数の増加により利益は増加しています。
ウォーター事業
国産ピュアウォーター「アルピナ」とハワイ産ピュアウォーター「Pure Hawaiian」の製造販売を行っています。高品質な水を求める顧客ニーズに応えています。
収益は、ピュアウォーターの製造販売から得ています。直販部門での顧客開拓が進んだことで売上高は微増となりましたが、物流コストや広告宣伝費の増加により利益は減少しています。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| エネルギー事業 | 206億円 | 203億円 |
| ウォーター事業 | 67.5億円 | 67.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、この5年間で概ね横ばいから微減の傾向を示しています。経常利益は変動が見られるものの、直近の当期は増加に転じました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に大きく減少しましたが、当期は大幅な増加となりました。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 259億円 | 279億円 | 271億円 | 274億円 | 270億円 |
| 経常利益 | 21.8億円 | 24.5億円 | 28.7億円 | 22.7億円 | 24.6億円 |
| 経常利益率 | 8.4% | 8.8% | 10.6% | 8.3% | 9.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.6億円 | 15.9億円 | 21.8億円 | 8.4億円 | 16.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 52.22 | 78.27 | 107.39 | 43.42 | 85.95 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しましたが、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しています。これは、売上高が減少する中でも、事業効率の改善やコスト管理の取り組みが進んだことを示唆しています。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 61.3百万円 | 60.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.3百万円 | 4.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社トーエルグループの財務状況は、事業活動を通じて安定した資金を生み出し、健全な財務基盤を維持していることがうかがえます。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行われています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な現金及び預金によって強固な状態を示しています。自己資本比率は76.8%と、非製造業のプライム市場平均と比較して非常に高い水準を維持しており、財務の安定性がうかがえます。ROE(自己資本利益率)は7.6%となり、前期から改善傾向にあります。手元資金である現金及び預金も64.9億円と増加しており、不測の事態にも対応できる資金的な余裕があることが示されています。これらの状況は、同社グループが安定した経営基盤の上で事業を展開していることを示しており、従業員の雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 205億円 | 220億円 |
| 自己資本比率 | 76.2% | 76.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 4.0% | 7.6% |
| 現金及び預金 | 52.1億円 | 64.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが32.9億円と、前期から増加しています。これは、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費などによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△10.6億円となり、固定資産の取得による支出が主な要因となっています。本業で得た資金を将来の成長に向けた投資に充てている状況がうかがえます。財務活動によるキャッシュフローは△9.5億円と、前期から減少しており、ファイナンス・リース債務の返済や配当金の支払いが主な要因です。結果として、フリーキャッシュフローは22.3億円のプラスとなっており、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金を創出している優良な状態を示しています。この資金状況は、同社グループが安定した事業運営を継続し、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる基盤を持っていることを示しています。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 25.4億円 | 32.9億円 |
| 投資CF | △7.9億円 | △10.6億円 |
| 財務CF | △22.5億円 | △9.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 17.5億円 | 22.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、エネルギー事業とウォーター事業において、業界での競合競争の激化をリスクとして挙げています。LPガス業界では電力や都市ガス業界との競合、ウォーター業界では大手清涼飲料水メーカーやネット通信販売業者の参入により、競争が激しくなっている状況です。また、東南アジア諸国への水輸出戦略を展開しており、相手国の政治経済事情の急変により契約継続が困難になるリスクがあることを示しています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トーエルは、ライフライン事業を通じて地域社会に貢献することを掲げ、物流戦略を核とした事業展開を進める企業です。お客様の快適な生活を支えることを使命とし、社員の行動規範にもその価値観が深く根付いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
トーエルは「商いは全ての人に仕えること」を企業理念に掲げ、ライフライン事業を中心に地域密着型経営を目指しています。経営指針(ビジョン)では物流戦略を事業の中心に置き、ライフライン・コンシェルジュとして「火」「水」「空気」を通して快適な生活を提案し支えることを経営戦略の基本としています。
これはエネルギー事業、ウォーター事業、そして未来への成長を育む新規事業を指します。同社グループは、物流事業をライフライン事業と捉え、宅配ビジネスを通じて顧客基盤の拡大とコスト競争力の強化を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
トーエルは、社員の行動規範(バリュー)として、ライフライン事業者としての「安全」「安心」「安定供給」を第一主義に掲げ、地域貢献企業であることを標榜しています。同社グループは、経営理念に基づき、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めています。
サステナビリティ基本方針では、「ライフライン」を通じた価値提供、「地域密着型」の社会貢献、「環境」への配慮を推進しています。従業員一人ひとりが能力を発揮できる働きがいのある職場環境づくりに努め、年齢、国籍、性別を問わない多様な人材登用を進めています。育児と仕事を両立できる環境整備にも力を入れ、「えるぼし」最高位(三ツ星)を取得しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
トーエルは、米国の関税政策を巡る不透明感や資源価格の高騰、物価上昇が続く経営環境において、物流事業での競争力強化を成長戦略の中心に置いています。多様なニーズに対応するライフライン事業者として、更なるサービスの充実を図ることが課題です。
人材面では、新卒採用から通年採用まで門戸を広げ、優秀な人材の確保と育成に注力しています。特に、LPガスの保安サービスや設備機器点検業務では、シニア層や未経験者も活躍できるよう、社内トレーニングセンターを活用した採用と育成を積極的に行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トーエルは監査等委員会設置会社として、経営の透明性と健全性の向上を図っています。また、執行役員制度を導入し、迅速な意思決定と業務執行を徹底する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トーエルの株主構成を見ると、MONYが筆頭株主となっています。また、ミナックスや代表取締役会長である中田みち氏など、同社グループに関連する株主が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| MONY | 11.90% |
| ミナックス | 8.33% |
| 中田 みち | 8.08% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
トーエルの役員は11名(男性9名・女性2名)で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役会長CEOは中田みち氏、代表取締役社長執行役員は横田孝治氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中田 みち | 代表取締役会長 CEO(最高経営責任者) | 1986年4月 東京エルピー瓦斯株式会社(現同社)入社。2010年7月 同社代表取締役社長COO。2018年7月 同社代表取締役会長CEOより現職。 |
| 横田 孝治 | 代表取締役社長執行役員 | 1992年10月 東京エルピー瓦斯株式会社(現同社)入社。2018年7月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 後藤 真 | 取締役副社長 執行役員営業本部長 | 2013年5月 同社入社 執行役員。2018年7月 同社取締役副社長。2019年5月 同社営業本部長より現職。 |
| 室越 義和 | 専務取締役執行役員 | 1986年11月 東京興発株式会社(現トーエルシステム株式会社)入社。2018年7月 同社専務取締役より現職。 |
| 敷地 晃 | 専務取締役執行役員供給本部長 | 1997年7月 東京エルピー瓦斯株式会社(現同社)入社。2018年5月 同社供給本部長。2025年7月 同社専務取締役執行役員より現職。 |
| 渋谷 成寿 | 常務取締役執行役員 営業本部副本部長 | 1996年4月 東京エルピー瓦斯株式会社(現同社)入社。2025年7月 同社常務取締役執行役員より現職。 |
| 牧野 宏道 | 取締役執行役員ウォーター業務本部長 | 2021年6月 同社入社。2024年5月 同社ウォーター業務本部長。2024年7月 同社取締役執行役員より現職。 |
| 八尋 敏行 | 取締役執行役員LPG保安・工事本部長 内部統制委員会委員長 | 1995年3月 同社入社。2018年7月 同社取締役執行役員。2018年7月 同社内部統制委員会委員長より現職。 |
社外取締役は、谷口五月氏(平野・谷口法律事務所弁護士・監査等委員)、枝村和道氏(枝村和道税理士事務所税理士・監査等委員)です。
トーエルは監査等委員会設置会社です。委員の過半数が社外取締役で構成される監査等委員会により、取締役会の監督機能とコーポレート・ガバナンスの強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
トーエルの取締役の報酬は、企業理念を実践する優秀な人材の登用、持続的な企業価値向上への動機づけ、各職責を踏まえた適正水準を基本方針としています。報酬は基本報酬(固定金銭報酬)、業績連動金銭報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 9名 | 2.7億円 | 29.8百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 22百万円 | 22.2百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 8百万円 | 3.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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