※本記事は、株式会社ダイサン の有価証券報告書(2026年4月期、2025年4月21日 ~ 2026年4月20日、2026年7月2日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、建設向け仮設足場の企画・開発・生産・販売、および足場の組立て・解体・貸出しを行う施工サービスを主たる業務としています。住宅から公共施設、物流倉庫、宿泊施設まで幅広い建築物に対応し、海外ではプラント向け工事も手掛けています。
単体従業員数は536名、連結従業員数は638名です。セグメントは施工サービス事業、製商品販売事業、海外事業、その他事業の4つです。
ダイサンは、自社生産の足場部材「ビケ足場®」や「レボルト®」を用いた施工サービスや部材レンタル、建築金物・仮設機材の企画・製造・販売を本体で手掛けています。
当連結会計年度より、海外事業においてシンガポールでプラントメンテナンスを主とする1社が連結範囲に加わりました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ダイサンは、建設業界において人材の確保・育成・定着を重視し、働きがいのある職場づくりを通じて事業を推進しています。デジタル技術の活用や海外事業にも積極的に取り組み、多様な人材が活躍できる環境整備に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、比較的若手から中堅層が中心となっており、一定の勤続年数が見られます。従業員が長期的にキャリアを形成できる環境が整っている傾向があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,015,045円 |
| 平均勤続年数 | 9.3年 |
| 平均年齢 | 36.5歳 |
| 単体従業員数 | 536人 |
| 連結従業員数 | 638人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.0% |
退職給付制度
同社は確定拠出年金制度を採用しています(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です)。この制度は同社に適用されます。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材の確保・育成・定着を重要な経営課題と位置付け、技術力、安全意識、品質管理能力、現場対応力、顧客対応力を有する人材を競争力の源泉と認識しています。コア事業領域の深化に向けては、施工人材の確保・育成を重点課題とし、日本人施工スタッフに加え、特定技能外国人や外国人技能実習生の受け入れ・育成、チーフ(職長)への育成、資格取得支援に取り組んでいます。また、現場運営を担うリーダー層の育成強化として、拠点責任者教育プロジェクトや次世代の拠点責任者候補育成研修、階層別研修、e-learning、1on1ミーティング等を通じて能力開発と組織力向上を進めています。
新たな収益事業の創造に向けては、海外人材の教育・育成事業やデジタル事業を担う人材の確保・育成に注力しています。インドネシアの合弁会社では日本式自動車教習所を運営し、特定技能外国人の人材育成を進め、運送業や建設業の人手不足解消に貢献しています。経営基盤の強靭化のためには、従業員が安心して働き、能力を発揮できる職場環境の整備を進めており、人事評価制度の運用・見直し、処遇改善、教育体系の整備、組織サーベイの活用、フィロソフィーの浸透、業務効率化に向けたデジタル活用を通じて、従業員の成長、働きがい、定着を促進しています。
同社の従業員給与は、人材の確保・定着および従業員の成長を促すことを基本方針としています。職務、役割、能力、経験、成果、保有資格、安全・品質への貢献、マネジメントへの貢献を総合的に勘案して決定されます。施工スタッフについては、施工技術、安全衛生、現場管理能力、資格取得状況、チーフとしての役割発揮を踏まえた処遇を、営業、管理、技術、デジタル関連人材については、専門性、業務遂行力、顧客対応力、事業成長への貢献を踏まえた処遇となるよう努めています。建設業界における人材確保の重要性、労働市場の動向、物価上昇、事業環境の変化を踏まえ、必要に応じて処遇水準の見直しも行われています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 38.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 83.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 87.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 73.7% |
人材育成に関わる指標と目標値
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 売上高に対する人材育成関連費用の割合 | 0.46% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ダイサンは、建設向け仮設足場の企画・開発・生産・販売に加え、足場の組立て・解体・貸出しを行う施工サービスを主たる業務とする同社グループです。同社グループは、これらの事業を通じて建設業界のインフラを支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設向け仮設足場の企画・開発・生産・販売、および足場の組立て・解体・貸出しを行う施工サービスを主たる業務としています。これらの事業は、セグメント区分と同一となっています。
施工サービス事業
主に自社生産した足場部材「ビケ足場®」や「レボルト®」を顧客に提供し、足場施工や部材レンタルを行っています。施工現場は戸建てや集合住宅、マンションなどの住宅向けが最も多く、公共施設や物流倉庫、宿泊施設などの大型建築物にも対応しています。
収益は、足場施工サービスと部材のレンタルから得ています。
製商品販売事業
建築金物や仮設機材の製品企画・設計・製造・販売を手掛けています。主力製品は住宅などの低層建築工事向けの「ビケ足場®」と、中高層建築工事向けに安全性を高めた「レボルト®」で、その他に土木工事や他社仮設材と併用される一般仮設材も扱っています。
収益は、これらの製品の販売から得ています。
海外事業
シンガポールの子会社であるMirador Building Contractor Pte. Ltd.が、主に石油化学プラント向けに労働者の派遣や足場工事を中心とした熱絶縁工事、電気工事などの付帯工事、オフィス向けの清掃事業を行っています。
収益は、これらのプラントメンテナンス関連サービスや清掃事業から得ています。
その他の事業セグメント
ビケ足場仮設事業協同組合の業務受託や保険代理店業務を行っています。
収益は、業務受託料や保険代理店収入から得ています。
同社グループはシンガポールに海外事業を展開しており、海外での収益も得ています。特定の顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年4月期) | 売上高(2026年4月期) |
|---|---|---|
| 施工サービス事業 | 72.3億円 | 76.7億円 |
| 海外事業 | 23.6億円 | 24.0億円 |
| 製商品販売事業 | 11.8億円 | 10.1億円 |
| その他の事業セグメント | 60百万円 | 60百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で全体的に増加傾向を示しています。経常利益は変動が見られ、一時的に損失を計上した期もありましたが、その後は回復し、直近では減少に転じています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動が大きく、過去には大幅な純損失を計上した期がありましたが、その後は回復し、直近では減少しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 97.0億円 | 105億円 | 104億円 | 108億円 | 111億円 |
| 経常利益 | 79百万円 | △1百万円 | 37百万円 | 3.5億円 | 2.9億円 |
| 経常利益率 | 0.8% | △0.0% | 0.4% | 3.2% | 2.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 50百万円 | △10.2億円 | 61百万円 | 3.4億円 | 2.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 7.82 | △158.55 | 9.45 | 52.28 | 40.89 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から減少しています。従業員1人あたりの営業利益も同様に前期から減少しており、生産性指標は全体的に低下傾向を示しています。これらの数値は、組織全体の効率性や収益体質を測る上で重要な指標となります。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.1百万円 | 17.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 0.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ダイサンは、安定した財務基盤を維持しながら事業活動を行っています。資金の流れを見ると、本業で得た資金を効率的に運用している状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、手元資金も厚みを増しています。これは、事業を安定的に継続していく上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 55.7億円 | 57.3億円 |
| 自己資本比率 | 54.6% | 56.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.1% | 4.6% |
| 現金及び預金 | 22.2億円 | 26.9億円 |
自己資本比率は当期で56.2%となっており、前期の54.6%から増加しています。これはプライム市場の製造業平均(46.8%)と比較しても高い水準を示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期で4.6%となり、前期の6.1%から減少しています。手元資金を示す現金及び預金は、当期末に26.9億円と前期末の22.2億円から増加しています。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローはプラスを維持しています。投資活動によるキャッシュフローもプラスとなっており、財務活動によるキャッシュフローはマイナスとなっています。
本業で得た資金が投資活動による収入を上回り、自由に使える資金が生み出されている状況です。これは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来に向けた資金の柔軟性を確保していることを示しています。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.7億円 | 5.9億円 |
| 投資CF | 0.4億円 | 2.0億円 |
| 財務CF | △9.1億円 | △3.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 14.1億円 | 7.9億円 |
営業活動によるキャッシュフローは、当期に5.9億円の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、棚卸資産の減少額があったことを反映しています。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に2.0億円の増加となりました。これは主に有形固定資産の売却による収入と保険積立金の解約による収入があったことを反映しています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に3.6億円の減少となりました。これは主に長期借入金の返済やリース債務の返済、配当金の支払額があったことを反映しています。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、住宅関連産業を通して事業展開を行っており、住宅市場及び住宅着工戸数の動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、鋼材価格をはじめとする原材料価格や物流費、燃料費などの調達コストの著しい変動も、製品原価や資材調達に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、足場施工サービスを事業の柱としており、施工スタッフの数及び技能水準、すなわち施工力が事業運営に大きな影響を及ぼします。建設業界における熟練技能者の減少や若年層の入職者確保の難しさなどにより、施工力を計画的に確保できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ダイサンは、「新しい足場文化と安全文化の創造」を理念に掲げ、安全・安心だけでなく感動も提供できるサービス会社として社会に貢献することを目指しています。2024年4月21日には、新たに企業理念、経営の基本方針、パーパスを設定し、持続可能な社会の実現に貢献する組織を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、企業理念として「私たちは志を高く持ち常に未来を創造し、社会の持続と発展に貢献します」を掲げています。これは、建築向け足場の生産・販売と施工サービスを通じて、現場の安全を守り、快適で持続可能な社会の実現に貢献するという強い志を表しています。また、パーパスは「人と現場を守り抜く」と定めており、お客様の安全と未来を守り抜くことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループの基本方針は「ファーストなサービスを心から」であり、グループに所属するすべてのスタッフがお客様に“心から”向き合い、最大限の技術と品質を提供することを重視しています。お客様からの「ありがとう」がさらなる企業価値を創造し、業界の地位向上につながると考えています。働くスタッフは現場の安全を守る強い志を持ち、お客様への対応や技術の向上に努めることが求められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、足場の施工効率向上と施工スタッフの高齢化への対応を重要な課題としています。施工スタッフの負担軽減や安全衛生教育の充実、経験を有するスタッフの職務転換や技能・ノウハウの継承を通じて、安心して働き続けられる体制づくりを進めています。また、デジタル技術の活用による業務効率化や、多様な人材の確保・育成・定着、海外事業人材の育成とグローバル対応力の強化にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ダイサンは監査等委員会設置会社であり、取締役会による経営の意思決定と監督、執行役員による業務執行、監査等委員会による経営品質の監視を通じてガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ダイサンの筆頭株主は有限会社和顔です。上位株主には、ダイサン取引先持株会やダイサン従業員持株会が名を連ねています。特定の法人や持株会が上位を占める資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社和顔 | 22.00% |
| ダイサン取引先持株会 | 8.36% |
| ダイサン従業員持株会 | 4.95% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は藤田武敏氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤田 武敏 | 代表取締役社長 | 1993年10月同社入社、2007年7月同社取締役、2015年4月同社代表取締役社長より現職。2022年12月株式会社システムイン国際取締役より現職。 |
| 相良 正弘 | 取締役 | 1992年9月同社入社、2015年7月同社執行役員、2021年7月同社取締役、2024年3月同社取締役より現職。 |
| 角谷 岳志 | 取締役 グローバル本部 本部長 | 2010年11月同社入社、2018年7月同社執行役員、2022年7月同社取締役、2024年4月同社取締役 グローバル本部 本部長より現職。 |
社外取締役は、豊田孝二氏(アクシア法律会計事務所所長・監査等委員)、成末奈穗氏(弁護士法人オルビス代表社員・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、議決権を持つ監査等委員である取締役を置くことで、取締役会の意思決定と業務執行の監査・監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ダイサンの役員報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。固定報酬は等級と役職に応じて支給され、業績連動報酬は決算調整前の営業損益を指標として決定されます。監査等委員である取締役の報酬は、監査・監督機能の発揮を期待される立場から固定報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 76百万円 | 19.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 7.7百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 8百万円 | 3.8百万円 |
役員報酬の総額は91百万円であり、対象となる役員は合計7名です。
なお、役員退職慰労金は2015年7月9日開催の第41期定時株主総会にて廃止されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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