フリービット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フリービット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場しており、5Gインフラ支援、生活様式支援、企業・クリエイターDX支援の3領域でインターネット関連サービスを展開しています。直近の決算では、売上高は551億円と増収を達成しましたが、営業利益は59億円と前期並み、親会社株主に帰属する当期純利益は27億円で減益となりました。


※本記事は、フリービット株式会社の有価証券報告書(第25期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フリービットってどんな会社?


インターネットに関わるコア技術とシステム運用力を強みに、インフラ、生活、DX支援の領域で法人・個人向けサービスを展開するIT企業です。

(1) 会社概要


2000年5月に設立され、2007年3月にマザーズへ上場しました。2010年にはフルスピードを子会社化しアドテクノロジー事業を強化、2011年にはMVNO事業を本格化させました。2016年7月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更し、2025年1月にはソフトバンクとの資本業務提携を締結、同年4月にはギガプライズの全ての議決権を取得し完全子会社化しました。

連結従業員数は873名、単体では255名です。筆頭株主は創業者の石田宏樹氏で、第2位は資本業務提携先であり電子部品大手企業のアルプスアルパインです。第4位には、同様に資本業務提携を行っているソフトバンクが入っています。

氏名 持株比率
石田 宏樹 16.71%
アルプスアルパイン 16.12%
UH Partners 2 8.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は石田宏樹氏が務めています。社外取締役比率は42.9%(取締役7名中3名)です。

氏名 役職 主な経歴
石田 宏樹 代表取締役社長 2000年5月同社設立、代表取締役社長CEO就任。2015年1月フリービットモバイル社長CEO。2020年10月ドリーム・トレイン・インターネット代表取締役会長兼CEO。2022年6月CountUp社長就任(現職)。
清水 高 取締役副社長 2000年5月同社設立時取締役。2016年7月同社取締役副社長、ベッコアメ・インターネット社長。2025年7月ドリーム・トレイン・インターネット取締役会長就任(現職)。
友松 功一 取締役 2001年4月グッドウィル・グループ入社。2008年11月フルスピード入社。2015年2月同社社長。2020年7月同社取締役。2023年1月フルスピード代表取締役社長就任(現職)。
和田 育子 取締役 1994年4月キンレイ入社。2012年5月同社入社。2016年5月執行役員。2020年7月取締役、グループ経営企画本部長、フルスピード取締役就任(現職)。


社外取締役は、米谷信彦(元アルパイン社長)、竹田靑滋(元GAORA社長)、土岐英秋(元インテル第2技術本部執行役員常務)です。

2. 事業内容


同社グループは、「5Gインフラ支援事業」、「5G生活様式支援事業」および「企業・クリエイター5G DX支援事業」を展開しています。

(1) 5Gインフラ支援事業


ISP(インターネットサービスプロバイダ)向け事業支援サービス、MVNO(仮想移動体通信事業者)向け事業支援(MVNE)サービス、および法人向けクラウドサービスを提供しています。通信事業者等に対し、インターネット接続に必要なインフラやシステム基盤を提供することが主な役割です。

収益は、支援先事業者からのサービス利用料やシステム提供料等から得ています。運営は主にフリービットが担い、一部をベッコアメ・インターネット等のグループ会社が行っています。

(2) 5G生活様式支援事業


個人向けモバイル通信サービスやインターネット接続サービス、集合住宅向けインターネット接続サービス、不動産関連サービス、web3関連プラットフォームを提供しています。独自の技術を活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」や、マンション等の集合住宅へのISPサービスが主力です。

収益は、個人ユーザーやマンションオーナー、不動産管理会社等からの通信サービス利用料、機器販売代金等から得ています。運営は主にドリーム・トレイン・インターネット、ギガプライズ、LERZ等の子会社が行っています。

(3) 企業・クリエイター5G DX支援事業


インターネットマーケティング関連サービス、アドテクノロジー関連サービス、クリエイター向け支援プラットフォームを提供しています。アフィリエイトプラットフォームやDSPなどのアドテク技術を活用した広告配信、インフルエンサーマーケティングなどを展開しています。

収益は、広告主や代理店からの広告掲載料、成果報酬型手数料、プラットフォーム利用料等から得ています。運営は主にフルスピード、フォーイット等の子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近5期間で緩やかな増加傾向にあります。特に前期から当期にかけては500億円台で推移し、堅調に拡大しています。経常利益は2021年4月期以降30億円台から50億円台の水準で推移しており、当期も50億円を超える利益を確保しました。当期純利益については、毎期黒字を維持しています。

項目 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 520億円 431億円 468億円 530億円 551億円
経常利益 37億円 29億円 37億円 58億円 52億円
利益率(%) 7.0% 6.7% 7.9% 10.9% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 8億円 18億円 36億円 27億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は横ばいとなりました。売上総利益率は約29%で安定しています。営業外費用が増加した影響等により、経常利益率はやや低下しました。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 530億円 551億円
売上総利益 154億円 157億円
売上総利益率(%) 29.0% 28.5%
営業利益 59億円 59億円
営業利益率(%) 11.1% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が35億円(構成比36%)、業務委託費が11億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


5G生活様式支援事業が売上の約半分を占める主力事業です。当期は5Gインフラ支援事業と企業・クリエイター5G DX支援事業が増収となりましたが、5G生活様式支援事業は微減収でした。利益面では5G生活様式支援事業が最も貢献度が高いものの、全セグメントで黒字を確保しています。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期) 利益(2024年4月期) 利益(2025年4月期) 利益率
5Gインフラ支援事業 77億円 86億円 16億円 14億円 16.4%
5G生活様式支援事業 265億円 262億円 32億円 35億円 13.6%
企業・クリエイター5G DX支援事業 188億円 204億円 11億円 10億円 4.7%
調整額 -28億円 -25億円 -0.2億円 -0.0億円 -
連結(合計) 530億円 551億円 59億円 59億円 10.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入金を返済しつつ、投資も自己資金の範囲内でコントロールしている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF 42億円 46億円
投資CF -11億円 -7億円
財務CF -27億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は16.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Being The NET Frontier!(Internetをひろげ、社会に貢献する)」という企業理念を掲げています。インターネットに関わるコアテクノロジーの開発や大規模システムの運用といった技術力の蓄積を強みとし、法人・個人向けにサービスを提供することで社会への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「アーキテクト思考」を持った人材の採用・育成を重視しています。また、企業理念に基づき、インターネットインフラを中心とした多岐にわたる事業を展開する中で、グループ全体の一体感を高めることを目指しています。法令遵守やコンプライアンス意識の向上、従業員教育の強化を通じて、連帯意識を醸成する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2021年から2030年の10ヵ年計画を視野に入れ、2027年4月期を最終年度とする中期経営計画『SiLK VISION 2027』を推進しています。最終年度の連結業績目標として、以下の数値を掲げています。

* 売上高:630億円~700億円
* 営業利益:80億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では「信用の所在地」の追求をテーマとし、web3技術や特許技術を活用して社会課題の解決を目指しています。ソフトバンクとの資本業務提携を通じてweb3/AIの社会実装やモバイル事業の充実を図るとともに、ギガプライズの完全子会社化により住宅市場での競争力を強化します。「通信生まれのweb3実装企業」への転換を進める方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人材」の確保・育成を最重要要素の一つと位置づけ、年齢・性別・国籍等に関わらず多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。「アーキテクト思考」を持つ人材を採用・育成し、早期にマネジメントへ登用する仕組みを構築しています。また、自社開発のブロックチェーン技術を活用した福利厚生制度を導入するなど、エンゲージメント向上にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 41.6歳 8.1年 6,813,700円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 68.6%
男女賃金差異(正規雇用) 71.6%
男女賃金差異(パート・有期) 66.9%


※男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(83.6%)、育児休暇復帰率(50.0%)、外国人管理職比率(2.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境リスク(景気・不動産市況)

通信・インターネット関連サービスは比較的景気変動の影響を受けにくいものの、グループ売上の大きなシェアを占めるギガプライズの集合住宅向けISPサービスは不動産業界の影響を受けます。また、フルスピード等のインターネット広告事業も景気変動による広告需要の影響を受けるため、不動産市況や景気悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新への対応

通信・インターネット市場は技術革新が速く、5G、web3、AIなどの新技術が産業構造を変える可能性があります。同社グループはこれらへの対応を進めていますが、対応困難な技術変化や多大な投資が必要な革新が起きた場合、事業や業績に影響が出る可能性があります。

(3) 法的規制の強化

電気通信事業者として関連法令を遵守していますが、インターネット上の誹謗中傷対策や消費者保護、プライバシー保護など法規制の整備が進んでいます。新たな規制の制定や法令違反が発生した場合、業務の制約や業績への影響が生じる可能性があります。

(4) 競争リスク

インターネット・通信関連事業や広告事業には大手企業等の競合が存在します。同社はサービスの差別化を図っていますが、競争激化や対抗コストの増加により収益性や販売力が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。