Hamee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Hamee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場。スマートフォンアクセサリーの企画・販売を行うコマース事業と、EC一元管理システム「ネクストエンジン」を提供するプラットフォーム事業を展開しています。直近決算では主力のiFaceブランドやゲーミングモニター等が好調で、売上高・各利益ともに前期を上回り、増収増益を達成しました。


※本記事は、Hamee株式会社の有価証券報告書(第27期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Hameeってどんな会社?


モバイルアクセサリーの企画・販売とEC事業者向けシステム提供を両輪とする、小田原発のIT企業です。

(1) 会社概要


同社は1998年にマクロウィル有限会社として設立され、モバイル周辺アクセサリーのECを開始しました。2008年にはEC一元管理システム「ネクストエンジン」の外部向けサービスを開始し、事業を拡大。2013年に現社名へ変更後、2015年に東証マザーズへ上場しました。2022年にはプラットフォーム事業をNE株式会社へ分社化しています。

連結従業員数は489名、単体では161名です。筆頭株主はAOI株式会社で、第2位は創業者で代表取締役会長の樋口敦士氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業者が主要株主として残る一方で、安定株主も存在しています。

氏名 持株比率
AOI株式会社 33.30%
樋口 敦士 15.88%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 6.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名、計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は水島育大氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
水島 育大 代表取締役社長兼 執行役員兼 Hamee Global Inc.理事 2005年横浜銀行入行。2008年同社入社。経営管理部マネージャー、取締役CFO・CAO、コマース事業部事業部長等を経て2021年より現職。
樋口 敦士 代表取締役会長兼 執行役員 1998年マクロウィル(現Hamee)設立、代表取締役社長。Hamee US,Corp.代表取締役等を歴任し、2021年より現職。


社外取締役は、西脇徹(株式会社ユナイテッドアローズ社外取締役)、熊王斉子(島村法律会計事務所)、吉野次郎(ムーンショットプロジェクト株式会社代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コマース事業」および「プラットフォーム事業」を展開しています。

(1) コマース事業


若年層に認知度の高い「iFace」ブランドを中心としたスマートフォンアクセサリーや、コスメティクスブランド「ByUR」、ゲーミングモニター「Pixio」などの商品企画・開発・製造・販売を行っています。顧客は一般消費者のほか、雑貨量販店や家電量販店などの小売事業者です。

収益は、自社サイトやECモールを通じた消費者への販売、および小売事業者への卸販売による商品売上です。運営は同社のほか、Hamee Global Inc.(韓国)、Hamee US,Corp.(米国)、Hamee Shanghai Tech & Trading Co., Ltd.(中国)の連結子会社が行っています。

(2) プラットフォーム事業


EC事業者向けに、ネットショップ運営の自動化と複数店舗の一元管理を実現するクラウド(SaaS)型システム「ネクストエンジン」を開発・提供しています。また、EC運営のノウハウを活かしたコンサルティングサービスなども展開しています。

収益は、主に「ネクストエンジン」のユーザーであるEC事業者からの受注件数に応じた従量課金制の基本料金や、各種アプリの利用料等です。運営は主に連結子会社のNE株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、特に直近では大幅な増収を達成しています。利益面では、一時的な落ち込みがあったものの、直近では回復し増益基調にあります。当期純利益もV字回復を果たし、成長軌道に戻っています。

項目 2021年4月期 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期
売上高 124億円 134億円 140億円 176億円 229億円
経常利益 21億円 23億円 14億円 20億円 24億円
利益率(%) 17.4% 17.4% 10.0% 11.5% 10.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 17億円 -0.1億円 3億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大幅に増加し、売上総利益も拡大しています。一方、営業利益率は若干低下しました。事業規模の拡大に伴い、売上原価や販管費も増加していますが、増収効果により営業利益は増加しています。

項目 2024年4月期 2025年4月期
売上高 176億円 229億円
売上総利益 109億円 135億円
売上総利益率(%) 61.7% 59.0%
営業利益 19億円 24億円
営業利益率(%) 10.9% 10.3%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が25億円(構成比23%)、給与手当が23億円(同21%)、広告宣伝費が19億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


コマース事業は新商品展開やグローバル販売の好調により大幅な増収増益となりました。プラットフォーム事業も「ネクストエンジン」のARPU向上等により堅調に推移し、増収増益を達成しています。両セグメントともに成長を維持しています。

区分 売上(2024年4月期) 売上(2025年4月期) 利益(2024年4月期) 利益(2025年4月期) 利益率
コマース事業 139億円 190億円 14億円 22億円 11.4%
プラットフォーム事業 38億円 39億円 19億円 21億円 53.3%
調整額 -0.1億円 -0.2億円 -14億円 -19億円 -
連結(合計) 176億円 229億円 19億円 24億円 10.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、短期借入金の増加等により財務活動で資金調達を積極的に行いました。営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費等が収入要因となった一方、棚卸資産の増加や法人税等の支払いが支出要因となりました。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得に資金を使用しました。

項目 2024年4月期 2025年4月期
営業CF 9億円 9億円
投資CF -9億円 -9億円
財務CF 4億円 11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、自らのクリエイティブ魂に火をつけ、プロダクト及びサービスを通じて顧客体験価値を最大化し、クリエイティブな炎を燃え上がらせることを体現することを目指し、Purpose/Passionとして「クリエイティブ魂に火をつける」を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「ZカルチャーSPAと脱炭素の両立」をMission/Strategyとして掲げています。また、本社を構える小田原に根付く二宮尊徳翁の「報徳思想」のもと、社会の公器としての自覚を持ち、事業活動の進化・成長とともに環境・社会・経済などに関わる課題の包括的解決に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、各セグメントの更なる事業拡大・成長を目指すとともに、ESG推進の観点から、2030年までにCO2排出量を約半減することを目標として掲げています。また、2026年4月期に係る中期経営計画を見直していますが、具体的な数値目標については有価証券報告書内に記載がありません。

(4) 成長戦略と重点施策


コマース事業では、スマートフォンアクセサリーへの依存からの脱却を目指し、コスメティクスやゲーミングアクセサリー等のカテゴリー拡張、グローバル展開の加速、主力ブランド「iFace」の価値向上に取り組みます。プラットフォーム事業では、小規模事業者を含む全てのコマース事業者を支援するサービスの拡張や、データ活用によるECコンサルティング等を通じて顧客基盤の強化と「好循環なビジネス構造」の実現を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最も重要な経営資源と位置づけ、デザイナーや開発エンジニア等のクリエイティブ人材を継続的に採用し、商品クオリティや開発スピードの向上を図っています。働き方に関しては、テレワークと出社を自由に選択できる勤務形態を維持し、リアルとデジタルが融合した多様な働き方に対応できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年4月期 36.9歳 7.2年 5,778,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 7.3%
男性労働者の育児休業取得率 47.1%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 71.7%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 73.3%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 76.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、国内GHG排出量Scope1(0.658t-CO2)、国内GHG排出量Scope2(73.8t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ビジネスモデルについて


事業がEC市場の拡大を前提としているため、法的規制の導入や技術革新の遅れ、通信事業者の動向などによりEC市場の発展が阻害された場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネットモールにかかる影響


楽天市場やYahoo!ショッピングなどのECモールの運営方針の影響を受けます。これらプラットフォームの規約変更や手数料率の改定などが発生した場合、自社店舗の運営やプラットフォーム事業の顧客利用状況に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) システムトラブル等について


事業が通信ネットワークやシステムに依存しているため、自然災害や事故による通信切断、アクセス集中や電力供給停止によるシステムトラブルが発生した場合、事業運営に支障をきたし、業績に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃等によるシステム障害も同様のリスクとなります。

(4) ネクストエンジンの不具合について


「ネクストエンジン」はプラットフォーム事業の主力サービスであり、かつコマース事業の基幹システムでもあります。システムに不具合が生じた場合、対外的なサービス提供が困難になるだけでなく、自社の業務運営も滞る可能性があり、業績に多大な影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。