Hamee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Hamee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Hameeは、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。主にスマートフォンアクセサリーの「iFace」を中心としたコマース事業を展開し、コスメやゲーミングモニター等への領域拡張も進めています。当期業績は売上高が前期比3.6%減、経常利益が同67.6%減と減収減益となりました。


**記事タイトル:「Hamee転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」**

※本記事は、Hamee株式会社 の有価証券報告書(第28期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Hameeってどんな会社?


若年層に人気のスマホアクセサリーやコスメティクス等を展開するコマース事業を手掛けています。

(1) 会社概要


1998年5月に神奈川県小田原市でモバイル周辺アクセサリーの販売を目的に設立されました。2007年にはEC事業者向けシステム「ネクストエンジン」の稼働を開始し、2013年にHameeへ商号を変更しました。2015年に上場を果たした後、2025年にシステム事業を担うNEをスピンオフし、現在はコマース事業に注力しています。

同社は連結従業員数368名、単体従業員数176名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は事業会社であるAOIで、第2位は創業者の樋口敦士氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
AOI 33.49%
樋口 敦士 15.09%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長兼執行役員は水島育大氏です。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
水島 育大 代表取締役社長兼 執行役員 横浜銀行入行後、同社に入社。経営管理部マネージャー等を経て、2026年7月より現職。
樋口 敦士 代表取締役会長兼 執行役員 同社設立と同時に代表取締役社長に就任。海外子会社設立等を経て、2023年2月より現職。


社外取締役は、西脇徹(ユナイテッドアローズ社外取締役)、熊王斉子(島村法律会計事務所弁護士)、吉野次郎(ムーンショットプロジェクト代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コマース事業」および「プラットフォーム事業」を展開しています。

コマース事業


若年層に高い認知度を持つ「iFace」ブランドを中心としたスマートフォンアクセサリーをはじめ、コスメティクス「ByUR」、ゲーミングモニター「Pixio」などの商品企画、開発、製造、販売を行っています。また、国内外でのインターネット通信販売のほか、実店舗向けの卸販売も展開しています。

収益源は、一般消費者向けの自社ECサイトや有力ショッピングモールでの商品販売代金、ならびに大手量販店等の小売事業者からの卸販売代金です。運営はHameeおよび、Hamee Globalなどの海外連結子会社が行っています。

プラットフォーム事業


EC事業者の販売や在庫管理などの業務を一元管理・自動化できるクラウド型ECプラットフォーム「ネクストエンジン」の開発および提供、ならびに販売支援コンサルティングサービスを展開しています。※同事業を担うNEは、2025年11月付のスピンオフにより連結範囲から除外されました。

収益源は、システムを利用するEC事業者からの従量課金制の手数料収入などです。運営はNEが担っていましたが、現在は同社グループから独立して事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は第27期まで順調に拡大していましたが、当期はプラットフォーム事業のスピンオフによる連結除外の影響などもあり減少に転じました。また、先行投資や外部環境の変動等により、税引前利益や当期利益も当期は大きく落ち込む結果となっています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
売上高 134.1億円 140.4億円 176.1億円 229.0億円 220.7億円
経常利益 23.3億円 14.0億円 20.2億円 23.5億円 7.6億円
利益率(%) 17.4% 10.0% 11.5% 10.3% 3.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 12.1億円 -0.1億円 2.8億円 4.4億円 6.2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益も低下していますが、売上総利益率は58.6%と高水準を維持しています。一方、広告宣伝などの積極的な販売費の投下もあり、営業利益は大きく減少し、営業利益率も前回の10.3%から4.5%へと低下しています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
売上高 229.0億円 220.7億円
売上総利益 135.0億円 129.3億円
売上総利益率(%) 59.0% 58.6%
営業利益 23.5億円 9.8億円
営業利益率(%) 10.3% 4.5%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が29億円(構成比24.5%)、広告宣伝費が24億円(同19.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期のセグメント別収益を見ると、コマース事業はコスメやゲーミングアクセサリー等の新ブランド育成により増収を確保しましたが、利益面では外部環境の影響等を受け減益となりました。プラットフォーム事業は期中のスピンオフによる連結除外のため、売上および利益ともに大きく減少しています。

区分 売上(2025年4月期) 売上(2026年4月期) 利益(2025年4月期) 利益(2026年4月期) 利益率
コマース事業 189.9億円 201.0億円 21.6億円 13.9億円 6.9%
プラットフォーム事業 39.1億円 19.8億円 20.8億円 10.1億円 51.0%
連結(合計) 229.0億円 220.7億円 23.5億円 9.8億円 4.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続する「勝負型」のキャッシュ・フロー状況となっています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
営業CF 8.6億円 -1.1億円
投資CF -9.2億円 -4.8億円
財務CF 11.4億円 1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、Purpose/Passionとして「クリエイティブ魂に火をつける」を掲げています。自らのクリエイティブ魂に火をつけ、プロダクトおよびサービスを通じて顧客体験価値を最大化し、クリエイティブな炎を燃え上がらせることを体現し、継続的な進化と成長を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、小田原に根付く「報徳思想」の精神に通じる、社会の公器としての自覚を持った経営を行っています。「人と地球の“らしさ”カンパニー」というビジョンのもと、環境・社会・経済に関わる課題の包括的な解決に取り組むことが、持続的な企業価値向上の前提であると認識し、全社でサステナビリティを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2027年4月期から2029年4月期の3ヵ年を対象とする中期経営計画を策定しています。コマース事業へ経営資源を集中し持続的な成長を追求するとともに、株主還元については配当性向20%以上としつつ、大きな損益変動がない限り1株当たりの配当金額を維持または向上させる方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


「ZカルチャーSPAと脱炭素の両立」をミッションに掲げ、事業ポートフォリオの多角化を進めています。具体的には、コスメやゲーミングアクセサリー事業の新ブランド育成とカテゴリー拡張、主力ブランド「iFace」の総合ブランドへの進化、成長領域における採算性の早期改善、さらに海外市場へのグローバル展開の加速を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、継続的な成長の原資である人材を最も重要な経営資源と位置づけています。多様なクリエイティブ人材が能力を最大限に発揮できるよう、テレワークと出社を自由に選択できる勤務形態を維持し、全社的なAI活用を推進しています。これにより、社員が新たな価値創造などAIに代替されない創造的な活動に集中できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 38.1歳 7.6年 6,413,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 70.4%
男女賃金差異(正規雇用) 74.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 40.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定ブランドへの依存

コマース事業の主力商品であるスマートフォンケースブランド「iFace」シリーズが売上高の相当部分を占めています。同ブランドに対するイメージの著しい低下や、同様のコンセプトを持つ強力な競合商品の登場により競争力が低下した場合、売上が減少し事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 需要予測に基づく仕入れリスク

販売する商品の大部分は需要予測に基づいた仕入れを行っています。実際の受注が予測を上回った場合には販売機会の損失となり、予測を下回った場合には過剰在庫が発生してキャッシュ・フローへの影響や商品評価損が生じる可能性があります。

(3) 基幹システムへの依存

コマース事業の受注処理や在庫管理等の業務基盤として、スピンオフしたNEが提供する「ネクストエンジン」を引き続き利用しています。何らかの理由により同システムに不具合や提供の中断等が生じた場合、業務運営が滞り業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。