#スマレジ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社スマレジの有価証券報告書(第20期、自 2024年5月1日 至 2025年4月30日、2025年7月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スマレジってどんな会社?
クラウド型POSレジシステムを軸に、店舗運営のDXを支援するクラウドサービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2005年にウェブ制作会社として設立され、2011年にクラウド型POSレジ「スマレジ」をリリースしました。2019年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2021年にはCVC事業を開始しました。2024年には株式会社ネットショップ支援室を完全子会社化するなど、サービスの多角化を進めています。
同グループは、提出会社と連結子会社1社で構成されており、従業員数は連結435名、単体375名です。筆頭株主は元代表取締役の資産管理会社である株式会社山本博士事務所で、第2位は創業者の徳田誠氏、第3位は徳田氏の資産管理会社となっており、創業者および経営陣の関係者が大株主の上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山本博士事務所 | 17.09% |
| 徳田 誠 | 15.23% |
| 徳田 | 10.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は宮﨑龍平氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮﨑 龍平 | 代表取締役 | 2007年アイオステクノロジー入社。2011年同社入社、開発課長、開発部長を経て2019年取締役就任。2024年7月より現職。 |
| 髙間舘 紘平 | 取締役 | 2007年ジャフコ入社。セカイエ、Qの代表取締役等を歴任。2021年同社取締役経営企画室長に就任。2021年5月より現職。 |
| 高橋 徹弥 | 取締役 | リクルートペイメント社長、リンク・プロセシング代表取締役等を歴任。2023年同社入社。執行役員営業本部本部長を経て2025年7月より現職。 |
社外取締役は、浅田慎二(One Capital代表取締役CEO)、岡田陽介(ABEJA代表取締役CEO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クラウドサービス事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) クラウドサービス事業(月額利用料等)
アパレルショップ等の小売店や飲食店等を主なユーザーとし、クラウド型POSレジ「スマレジ」や勤怠管理システム「スマレジ・タイムカード」などを提供しています。また、決済サービス「スマレジ・PAYGATE」やEC事業者向けの運営支援ツール等も展開し、店舗運営に必要な機能を幅広くカバーしています。
収益は、主に店舗事業者から毎月徴収するクラウドサービスの利用料や、決済手数料等から構成されています。「スマレジ」は無料プランから多機能な有料プランまで用意されており、ユーザーの成長に合わせてプラン変更が可能です。運営は主にスマレジが行っています。
■(2) クラウドサービス事業(機器販売等)
クラウドサービスの利用に付随して、小売店や飲食店が店舗で使用するタブレット、レシートプリンター、自動釣銭機などのレジ周辺機器および消耗品の販売を行っています。また、初期セットアップやトレーニング、商品データ移行などの導入支援サービスも有償で提供しています。
収益は、店舗事業者への機器販売代金や導入支援サービスの対価として得ています。レジ導入時に発生する初期費用として、月額利用料とは別の収入源となっています。また、店舗用品を取り扱うECサイト「STORE STORE」の運営も行っており、運営は主にスマレジが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第18期および第19期は連結財務諸表を作成していないため、第17期と第20期のデータを表示します。売上高、利益ともに大きく伸長しており、事業規模が急速に拡大していることがわかります。特に第20期は売上高が100億円を突破し、利益率も20%を超える高水準を達成しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2025年4月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 43億円 | 111億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 24億円 |
| 利益率(%) | 13.8% | 21.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
第19期は連結財務諸表を作成していないため、当期(第20期)のデータのみを表示します。売上総利益率は60%を超え、高い収益性を維持しています。営業利益率も20%を超えており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年4月期 |
|---|---|
| 売上高 | 111億円 |
| 売上総利益 | 68億円 |
| 売上総利益率(%) | 61.1% |
| 営業利益 | 24億円 |
| 営業利益率(%) | 21.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比25%)、広告宣伝費が11億円(同25%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは、クラウドサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略します。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は「積極型」です(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)。
| 項目 | 2025年4月期 |
|---|---|
| 営業CF | 25億円 |
| 投資CF | -19億円 |
| 財務CF | 1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「いい未来をつくる」を企業理念として掲げています。これは、顧客、株主、従業員など関わるすべての人にとっての誠実さや社会的責任を表現しており、未来を創造するのは自分たちであるという積極的な姿勢を示しています。また、「OPEN DATA, OPEN SCIENCE!」を経営理念とし、データ・ドリブン経営による生産性向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、長期ビジョン「VISION2031」を掲げ、POS市場における国内トップを目指しています。企業活動においては高い倫理観を求め、コンプライアンス体制の強化を重視しており、従業員に向けてインサイダー取引防止研修などを実施しています。また、「つくる」という言葉に込められた情熱を持って、自律的に未来を創造する姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は長期ビジョン「VISION2031」において、ARR(年間経常収益)300億円を目標としています。この長期目標の達成に向けたマイルストーンとして、中期経営計画では以下の数値目標を掲げています。
* ARR:94.6億円(2026年4月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
ARRの最大化を目指し、契約件数の増大と顧客単価の拡大を戦略の柱としています。中大型案件への注力やEC事業者へのアプローチ強化により新規ユーザーを獲得するとともに、決済サービスやアプリマーケットの活性化、EC関連サービスの強化によるクロスセルで顧客単価の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業拡大と成長スピードに対応するため、優秀な人材の確保と育成を最重要課題と位置づけています。特にエンジニア不足に対応するため「スマレジ・テックファーム」を立ち上げ、IT人材の発掘・育成に注力しています。また、積極的な採用活動とともに、新入社員へのオンボーディング強化により、組織力の向上を図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年4月期 | 34.0歳 | 3.0年 | 5,383,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 90.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 82.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 83.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 172.7% |
※女性管理職比率については、公表項目として選択していないため、記載を省略しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(79.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) Apple Inc.との関係について
主力サービス「スマレジ」のレジ機能アプリはiOS上でのみ動作するため、Apple Inc.のiOS端末のシェア下落や、同社の事業戦略転換、アプリ審査プロセスの変更などが生じた場合、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) クラウドによるサービスの提供について
サービス提供基盤としてAWS(Amazon Web Services)を利用しており、AWSの障害や契約変更、停止などが発生した場合、サービスの安定稼働に支障をきたし、収益機会の逸失や社会的信用の低下を招く恐れがあります。
■(3) 販売代理店等との取引関係について
ユーザー確保において販売代理店との協業を行っていますが、関係は良好であるものの、将来的に取引継続が困難になった場合、販売チャネルへの影響が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 技術者(ソフトウェアエンジニア)の確保について
サービスの安定稼働や新機能開発には優秀な技術者の確保が不可欠ですが、IT人材不足の中で計画通りの採用や育成が進まない場合、事業の成長スピードや競争力に影響を及ぼす可能性があります。



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