学びエイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

学びエイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

学びエイドは、東京証券取引所グロース市場に上場し、教育の機会均等を目指す教育デジタル事業を展開しています。学習塾や教育関連事業者向けに「学びエイドマスター」等の映像授業や学習管理システムを提供しています。直近の業績は、大手学習塾向けサービスの伸長により増収となった一方、各費用の増加により赤字が継続する増収赤字傾向です。


※本記事は、株式会社学びエイドの有価証券報告書(第12期、自 2025年5月1日 至 2026年4月30日、2026年7月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 学びエイドってどんな会社?


教育の機会均等を大義に掲げ、映像授業と学習管理システムを提供するEdTech企業です。

(1) 会社概要


同社は2015年に設立され、翌2016年に映像学習サービス「学びエイド」および学習塾向けの「学びエイドマスター」の提供を開始しました。2019年には大手学習塾向けの「学びエイドマスターforSchool」を、2021年には教育関連事業者向けの「学びエイドforEnterprise」を立ち上げています。2024年に東京証券取引所グロース市場へ上場し、2026年にはNOVAホールディングスの子会社となりました。

従業員数は単体で30名です。筆頭株主は親会社のいなよしキャピタルパートナーズで、第2位は創業者である廣政愁一氏、第3位は投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
いなよしキャピタルパートナーズ 33.35%
廣政 愁一 23.71%
K&Pパートナーズ2号投資事業有限責任組合 11.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は廣政愁一氏が務めています。社外取締役は2名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
廣政 愁一 代表取締役社長 東進ハイスクールや河合塾等で予備校講師を務めた後、2015年に同社を設立し代表取締役社長に就任。社会構想大学院大学の教授も兼任。
杉浦 久恵 取締役管理部長兼総務課長 資生堂やエテュセ等を経て2018年に同社へ入社し、2021年より現職。
鈴木 健一 取締役 日本システムテクノロジーやトレンドマイクロ等を経て2019年に同社入社、2025年より製品開発管掌取締役に就任。
平林 明日樹 取締役営業部長兼営業1課長 ガリバー・インターナショナルや共育舎等を経て2022年に同社入社、2025年より現職。
隈井 恭子 取締役 NOVA等を経てNOVAホールディングス専務取締役等を歴任し、2025年より同社取締役。
小野 誉之 取締役監査等委員 佐鳴学院やがんばる学園等を経てNOVAホールディングス専務等を歴任し、2025年より同社取締役に就任。


社外取締役は、石塚亮平(麻布総合会計事務所代表)、大西ひとみ(阿部・井窪・片山法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、教育デジタル事業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 学びエイド・学びエイドマスター


無料・有料会員向けの映像学習サービス「学びエイド」や、学習塾向けに映像授業と管理機能を提供する「学びエイドマスター」を展開しています。1コマ5分程度で構成されるマイクロ講義を採用し、学習者が分からない箇所だけを能動的かつ効率的に学習できる環境を提供しています。

収益源は、一般ユーザーからのサブスクリプション利用料や、学習塾からの初期導入費用および月額基本費用・生徒アカウント費用です。運営は同社が行っており、映像授業の制作に関わる鉄人講師に対しては、コンテンツから得られた売上高に応じたレベニューシェア方式で使用許諾料を支払っています。

(2) 学びエイドマスターforSchool・学びエイドforEnterprise


中規模から大手の全国展開する学習塾本部向けに映像授業や機能をカスタマイズ提供する「学びエイドマスターforSchool」と、教育関連事業者向けに教材を映像授業化し配信サービスを提供する「学びエイドforEnterprise」を展開しています。

収益源は、大手学習塾や教育関連事業者から受領するシステム利用料、カスタマイズ開発費、コンテンツ開発費、動画利用料などです。運営は同社が行い、映像制作とシステム構築をワンストップで提供することで顧客のデジタル化導入コスト削減に貢献しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は第10期まで拡大を続けていましたが、第11期に大型案件の失注等により一時的に大きく落ち込みました。第12期は大手学習塾向けサービスの伸長などにより増収に転じています。利益面では第9期・第10期で黒字化したものの、第11期以降は先行投資や新規受注遅れ等の影響で経常赤字が続いています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2024年4月期 2025年4月期 2026年4月期
売上高 2.9億円 5.0億円 6.3億円 2.9億円 3.7億円
経常利益 -0.5億円 1.1億円 1.4億円 -3.1億円 -1.8億円
利益率(%) -16.5% 22.1% 22.6% -107.6% -48.8%
当期利益 -0.6億円 0.9億円 1.2億円 -3.2億円 -1.8億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益が拡大し、売上総利益率も改善しています。コスト構造の見直しにより販売費及び一般管理費が減少した結果、営業赤字の幅は縮小していますが、システム構築等の負担もあり依然として営業損失を計上しています。

項目 2025年4月期 2026年4月期
売上高 2.9億円 3.7億円
売上総利益 0.9億円 1.6億円
売上総利益率(%) 32.4% 43.1%
営業利益 -3.0億円 -1.7億円
営業利益率(%) -102.5% -46.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が0.7億円(構成比22.0%)、役員報酬が0.5億円(同14.4%)、支払報酬料が0.4億円(同12.5%)を占めています。また、売上原価の内訳では、労務費が1.3億円(構成比61.0%)、経費が0.8億円(同39.0%)となっています。

(3) セグメント収益


サービス別の売上高を見ると、「学びエイドマスターforSchool」が中長期的なシステム基盤構築とサクセスモデル確立への注力により大幅な増収を牽引しました。一方、「学びエイドマスター」や「学びエイドforEnterprise」は、市場環境の厳しさや新規受注の遅れなどから減収となっています。

区分 売上(2025年4月期) 売上(2026年4月期)
学びエイドマスター 0.8億円 0.7億円
学びエイドマスターforSchool 0.8億円 1.9億円
学びエイドforEnterprise 1.2億円 0.9億円
その他 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 2.9億円 3.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入や株式発行で資金調達を行い、投資を継続する「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年4月期 2026年4月期
営業CF -2.2億円 -1.1億円
投資CF -0.2億円 -0.1億円
財務CF 1.3億円 5.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「Be a player.~教育の意欲の機会均等をあまねく達成し、前向きなひとをたくさんつくる企業~」を企業理念に掲げています。また、「教えたいと教わりたいをていねいに紡ぐ」を経営理念とし、情報的・経済的・地域的・世代的格差を超えて、教育の意欲の力強い循環を達成することを目指しています。

(2) 企業文化


全役職員に対し、「熱心に教える姿勢(teach it)」「素直に教わる姿勢(learn it)」「知見を磨く姿勢(study it)」「さらに、もっとおもしろいことはできないかを考える前向きな姿勢(and play it all)」を行動指針として掲げており、学び続ける組織文化の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な成長と企業価値向上を実現するため、売上高成長率および営業利益率を重要な経営指標として設定しています。また、サービスの成長性や収益性を継続的に把握するための参考指標として、各サービスの「顧客数」および「顧客単価」をモニタリングし、目標達成に向けた管理を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、教育DXプラットフォームとしての機能強化や学習塾運営管理システム等の外販を通じたストック型収益の拡大を目指しています。親会社グループとのアライアンスを深化させ、グループ内へのサービス展開や共同開発による新たな収益機会の創出など、収益モデルの変革と顧客基盤の拡張に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、教育に関する専門性と変化への適応力を兼ね備えた人材の育成および組織能力の向上を重要視しています。行動指針に沿った行動や成長を評価する人事評価制度を運用するほか、映像授業制作や学習塾支援で培った知見を組織全体で共有し、従業員のキャリア形成や能力開発を積極的に支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年4月期 41.4歳 3.8年 4,590,000円


※平均年間給与は各種インセンティブ及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は関連する法律の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績変動の季節性と期ずれ


同社のサービスは顧客の事業年度等に合わせて新規導入や追加発注される傾向があり、売上高が第4四半期に偏重する季節性があります。また、取引先の都合等により売上計上が翌期へずれる可能性があり、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) システム障害と情報漏洩


サービスはインターネット環境を前提としており、システム障害や外部からの攻撃によりサービス運営に重大な影響が生じるリスクがあります。また、個人情報等の重要な情報資産が漏洩した場合、社会的信用が低下し業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競合激化とコンテンツ陳腐化


EdTech市場における競合企業や新規参入企業との競争激化により、顧客の流出やコスト増加が生じるリスクがあります。また、時代の変化による教育内容の陳腐化を避けるため、鉄人講師との良好な関係を維持し継続的に新たなコンテンツを開発し続ける必要があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。