※本記事は、株式会社アストロスケールホールディングス の有価証券報告書(2026年4月期、2025年5月1日 ~ 2026年4月30日、2026年7月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
アストロスケールホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は31名、グループ連結従業員数は593名です。
同社グループは、宇宙空間における軌道上サービスを通じて、人工衛星運用者やロケット事業者の事業価値向上と宇宙の持続的な利用に貢献しています。コア技術である「宇宙空間の非協力物体に対するRPO技術」の研究開発を推進し、多様な軌道上サービスの開発に取り組んでいます。連結子会社6社を中心にグローバルに事業を展開しています。
アストロスケールホールディングスは、2018年12月20日に株式会社へ組織変更するとともに、商号を「株式会社アストロスケールホールディングス」に変更しました。その後、シンガポール会社法上の組織再編により、同社がグループの親会社となりました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社アストロスケールホールディングスは、宇宙の持続可能性実現を使命とし、軌道上サービス事業を展開する企業グループです。同社グループは、世界トップレベルの人材獲得・育成、多様性を尊重したグローバルな組織実現、そして高いパフォーマンスと挑戦を支える文化醸成を重視しています。複数の国と地域で事業を展開しており、多様な背景を持つ社員が協働する環境が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が44.6歳、平均勤続年数が3.2年となっています。これは、専門性と経験を持つ人材が活躍しつつ、比較的新しい組織としての成長フェーズにあることを示唆しています。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 13,223,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.2年 |
| 平均年齢 | 44.6歳 |
| 単体従業員数 | 31人 |
| 連結従業員数 | 593人 |
| 単体のグループ内比率 | 5.2% |
同社グループでは、確定拠出型の退職給付制度を導入しています(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)。この制度は国内グループ会社に適用されています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「宇宙の持続可能性」の実現を使命とし、社員一人ひとりの専門性、創造性、挑戦する意欲を最も重要な経営資源と位置付けています。人材戦略の基本方針として、世界トップレベルの人材獲得・育成、多様性を尊重したグローバルな組織実現、高いパフォーマンスと挑戦を支える組織文化の醸成を掲げています。
報酬体系については、優秀な人材の獲得と定着、企業価値向上を目指し、各国・各地域の市場水準や競争環境を踏まえた競争力のある体系を構築しています。報酬は、職務内容や責任の大きさに加え、個人および組織の業績や成果を総合的に勘案して決定される方針です。
また、サステナビリティを経営の中核に据え、全社的なサステナビリティ戦略を策定しています。この戦略では、製品・サービスのライフサイクル最適化、ダイバーシティ・公平性・インクルージョン、従業員の健康と安全、人材採用・育成、ガバナンス強化、企業倫理、そしてSpace Sustainabilityの構築を注力領域としています。継続的な学習機会やグローバルな人材交流を通じて専門性向上と組織基盤強化を図り、成果と行動を重視した人事マネジメントと透明性の高いコミュニケーションでエンゲージメント向上に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、開示されていません。
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社アストロスケール
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合(%) | 18.2% |
| 男女の賃金の差異(%) | 86.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
アストロスケールホールディングスは、宇宙空間における軌道上サービスを提供する持株会社グループです。人工衛星運用者やロケット事業者の事業価値向上と、宇宙の持続的な利用に貢献しています。同社グループの事業は、デブリ除去や衛星の寿命延長など、多岐にわたる軌道上サービスの開発と提供を主軸としています。
同社グループのコア技術は、宇宙空間の非協力物体に対するRPO技術(ランデブ・近傍運用技術)です。この技術を基盤に、故障機や物体の観測・点検(ISSA)、寿命延長・燃料補給(LEX)、衛星の修理・改修、既存デブリの除去(ADR)、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去(EOL)といった5つのサービスを展開しています。これらのサービスは、政府機関、防衛機関、民間事業者といった幅広い顧客層に提供されています。
収益モデルとしては、政府機関や防衛機関との契約では、調査研究や実証プロジェクトにおけるマイルストーン収入が中心です。民間事業者向けのサービスでは、契約時の頭金やサービスフィー収入、あるいは打上げ前のマイルストーン収入とミッション成功時の支払いを組み合わせた形態が見られます。同社グループはグローバルに事業を展開しており、日本、英国、米国、フランスに拠点を持ち、各国の政府機関や防衛機関、民間企業からの受注を獲得しています。
売上収益は主に受託収益で構成されており、研究開発プロジェクトや実証プロジェクトから得られる収益が大部分を占めています。また、プロジェクトに係る政府補助金収入も重要な収益源の一つです。主要な顧客としては、防衛省、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、Network Access Associates Limited(Eutelsat OneWeb社)、英国科学・イノベーション・技術省(DSIT)などが挙げられ、特定の顧客からの収益が集中する傾向があります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上収益は増加傾向にあります。しかし、多額の先行投資と長期の開発期間を要する衛星および宇宙機器の研究開発に従事しているため、税引前当期損失および親会社の所有者に帰属する当期損失が継続して計上されています。営業活動によるキャッシュ・フローも同様に支出が続いています。
直近の当連結会計年度では、売上収益が大幅に増加し、売上総利益は損失から黒字に転換しました。既存案件の進捗や、LEXI-Pに係る衛星製造費用の資産計上を開始したことによる先行開発費用の減少が主な要因となり、営業損失、税引前当期損失、親会社の所有者に帰属する当期損失は前期から大きく改善しています。
| 項目 | 2022年4月期 | 2023年4月期 | 2024年4月期 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 9.1億円 | 17.9億円 | 28.5億円 | 24.6億円 | 59.4億円 |
| 税引前利益 | △55.6億円 | △93.1億円 | △92.2億円 | △216億円 | △67.0億円 |
| 税引前利益率 | △611.1% | △519.5% | △323.2% | △877.1% | △112.7% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △54.8億円 | △92.6億円 | △91.8億円 | △216億円 | △71.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △73.66 | △111.16 | △101.45 | △188.91 | △52.89 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期から当期にかけて大きく増加しています。これは、売上収益の大幅な伸びが従業員数の増加を上回った結果であり、事業規模の拡大と組織全体の生産性向上の傾向を示しています。
また、従業員1人あたり営業利益は、前期に比べて損失額が縮小しました。これは、売上収益の増加に加え、先行開発費用の資産計上による販売費及び一般管理費の減少が影響しており、収益性の改善が進んでいる状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年4月期 | 2026年4月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 4.3百万円 | 10.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △32.5百万円 | △16.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社アストロスケールホールディングスは、軌道上サービスの研究開発を主軸とする企業であり、将来の成長に向けた先行投資を継続している段階です。現在の財務状況は、事業拡大のための資金調達と投資が活発に行われている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、軌道上サービスの研究開発に多額の投資を行っており、自己資本比率は前期から改善傾向にあります。手元資金は減少していますが、事業活動と投資活動の資金需要に対応している状況です。
| 指標 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 61.3億円 | 76.6億円 |
| 自己資本比率 | 18.2% | 23.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -103.2% |
| 現金及び現金同等物 | 213億円 | 100億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、研究開発型企業としての先行投資が継続しているため、当期も支出超過となっています。投資活動によるキャッシュ・フローも、有形固定資産や無形資産の取得による支出が増加しており、事業拡大に向けた積極的な投資が行われている状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入があったものの、前期と比較して収入が減少しています。
これらのキャッシュ・フローの状況は、同社グループが現在、将来の収益化を目指して事業基盤の構築と技術開発に注力している成長投資フェーズにあることを示しています。本業の稼ぎを上回る投資が継続しているため、今後の事業進捗と収益化の動向が、雇用安定性や給与安定性にも影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年4月期(前期) | 2026年4月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △122.5億円 | △124.9億円 |
| 投資CF | △10.4億円 | △69.3億円 |
| 財務CF | 208億円 | 72.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △132.9億円 | △194.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、政府機関及び防衛機関からの収入がプロジェクト収益の大部分を占めており、特定の顧客への依存度が高い状況です。また、軌道上サービス市場は未だ草創期にあり、将来の市場規模及びその拡大には不確実性を伴うリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業成功には、優秀な人材の獲得と維持が不可欠です。宇宙業界全般で人材不足が常態化しており、人材獲得競争も激しくなっているため、想定通りに適切な人材を確保できない場合や、既存の人材が流出する場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アストロスケールホールディングスは、宇宙空間の持続的な利用を実現するため、軌道上サービスを通じて宇宙機の安全な航行を確保することを目指しています。技術開発を中核とするディープテック領域に属し、市場を創造するグローバル企業として、世界のリーダーとなることを追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループのミッションは、軌道上サービスを通じて宇宙機の安全な航行を確保し、宇宙空間の持続的な利用を実現することです。このミッション実現のため、技術開発、事業開発、法規制作りへの働きかけに同時並行で取り組んでいます。
同社グループは、軌道上サービスを宇宙空間における定常的・恒久的な基盤インフラサービスとして確立し、成長著しい軌道上サービス分野において世界のリーダーとなることを目指しています。グローバルな収益機会の獲得を追求し、常に企業価値の継続的な向上を見据えた経営を行っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業価値を持続的な価値創造の原動力と位置づけており、財務価値に加え、無形資産から創出される将来価値、そして同社グループの存在の不可欠性を主要な構成要素と考えています。宇宙の持続的開発に不可欠な存在として、最先端の情報を取得・発信し、ステークホルダーとの信頼関係を醸成することに貢献しています。
社会的にも持続可能な企業を目指し、ESGの観点を常に意識した経営に取り組んでいます。特に「Space Sustainability」と「ESG経営による顧客への付加価値の提供」を最重要テーマとして事業運営を行っています。全社的なサステナビリティ戦略では、製品やサービスのライフサイクルの最適化、ダイバーシティ・公平性・インクルージョン、従業員の健康と安全の追求、人材採用及び育成、ガバナンス強化及び企業倫理、法規制の策定への働きかけや国際的な標準化の推進を注力領域として掲げています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、軌道上サービス市場が草創期にあり、高い不確実性が存在することを認識しています。宇宙事業が研究開発から運用まで長期間を要する特性を持つ中で、技術開発の推進、法規制作りへの働きかけ、安定的なキャッシュ・フローの創出が極めて重要な課題です。
これらの課題に対処し、中長期的な持続的成長を実現するため、同社グループは技術開発、法規制作りへの働きかけ、人材獲得を重点テーマとしています。技術開発では、再現性があり改善可能な開発手法を採用し、コア技術の自社開発と研究開発体制の強化、知的財産ポートフォリオの充実を図っています。法規制作りにおいては、「制度構築」と「標準化」の観点から、グローバルなポリシーチームを配置し、国際的な議論に積極的に参画しています。人材獲得では、株式上場等を通じて知名度を高め、新卒・中途を問わず積極的な採用活動を推進するとともに、社内における教育・研修体制の充実にも注力しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アストロスケールホールディングスは、取締役会による迅速な意思決定と監督、監査役会による監査を通じて、コーポレート・ガバナンスの実効性確保を重視しています。独立社外取締役が取締役会の半数を占める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
アストロスケールホールディングスの株主構成を見ると、代表取締役社長グループCEOである岡田光信氏が筆頭株主となっています。その他、信託銀行や国内外の機関投資家、事業会社などが上位株主として名を連ねています。創業者が筆頭株主であることから、経営陣が会社経営に強い影響力を持つ資本構成であると言えます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 岡田 光信 | 18.28% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.48% |
| BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) | 3.30% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.29% |
| グーニーズ | 2.82% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性7名・女性4名)で構成され、女性役員比率は36.3%です。代表取締役社長グループCEOは岡田光信氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 岡田 光信 | 代表取締役社長 グループCEO | 1997年4月大蔵省(現財務省)入省、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、ターボリナックス取締役兼財務最高責任者就任。ASTROSCALE PTE. LTD.設立、CEO就任。2026年4月同社代表取締役社長グループCEO就任より現職。 |
| Christopher Blackerby | 取締役 副社長執行役員グループCOO | 2002年10月アメリカ航空宇宙局(NASA)本局入局。在米国大使館アメリカ航空宇宙局(NASA)アジア代表部代表就任。ASTROSCALE PTE. LTD. COO就任。2026年4月同社取締役副社長執行役員グループCOO就任より現職。 |
| 松山 宜弘 | 取締役 副社長執行役員グループCFO | 2009年4月メリルリンチ日本証券入社。バークレイズ証券、ゴールドマン・サックス証券入社。2021年12月同社執行役員CFO就任。2026年4月同社取締役副社長執行役員グループCFO就任より現職。 |
社外取締役は、Gayle Sheppard氏(元Microsoft Corporation Corporate Vice President & CTO for Microsoft Asia)、野口祐子氏(レクソニア代表取締役)、Jan Wörner氏(German Academy of Science & Engineering President)、Ronald Pasek氏(Complete Solaria Board Member & Chair of Audit Committee)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会の半数を独立社外取締役が占めることで、第三者の視点から経営判断を監督する体制を構築しています。独立社外取締役は、経営戦略や計画の妥当性を検証し、経営陣のモニタリング機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アストロスケールホールディングスの役員報酬は、固定報酬と株式報酬を組み合わせた体系となっています。社内取締役には固定報酬と株式報酬が支給され、社外取締役には株主との利益共有を目的とした株式報酬のみが支給されます。監査役の報酬は固定報酬のみで構成されており、同社は業績連動報酬を採用していません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 95百万円 | 31.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 2百万円 | 1.8百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 19百万円 | 4.9百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 13百万円 | 4.3百万円 |
同社の役員報酬等の総額は1億2,889万円です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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