ニイタカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニイタカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のニイタカは、業務用洗剤や固形燃料のケミカル事業と健康食品等のヘルスケア事業を展開しています。直近の業績は売上高237億円、経常利益20億円で増収増益を達成しました。外食産業等の回復に加え、退職給付債務減少の影響や子会社売却益も寄与し、当期純利益は大幅な増益となりました。


※本記事は、株式会社ニイタカ の有価証券報告書(第63期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

ニイタカ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. ニイタカってどんな会社?

業務用洗剤・固形燃料等のケミカル事業と健康食品のヘルスケア事業を展開する化学メーカーです。

(1) 会社概要

1963年4月に新高化学として設立され、液体中性洗剤等の製造販売を開始しました。1972年には業務用固形燃料を開発・発売し、事業の柱を確立しました。2002年に現社名へ変更し、翌2003年に東証二部へ上場しました。2023年には京葉糖蜜輸送およびバイオバンクを子会社化し、事業領域を拡大しています。

連結従業員数は400名、単体では242名です。筆頭株主は株式会社ニイタカSCで、第2位は社員持株会です。上位株主には創業家関連や従業員持株会が名を連ねており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
ニイタカSC 19.91%
ニイタカ社員持株会 5.67%
つくしの会持株会 3.86%

(2) 経営陣

同社の役員は男性6名、女性2名、計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は野尻大介氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
奥山 吉昭 代表取締役会長 1982年入社。取締役副社長、代表取締役社長執行役員等を経て、2023年6月より現職。
野尻 大介 代表取締役社長執行役員 1994年入社。執行役員営業本部長、取締役専務執行役員営業本部長等を経て、2023年6月より現職。
佐古 晴彦 取締役 1984年入社。執行役員管理本部長、取締役(常勤監査等委員)等を経て、2023年9月より現職。
高瀬 和久 取締役 1983年入社。執行役員製造本部長、子会社工場支援室長等を経て、2024年9月より現職。


社外取締役は、岡和貴(元ユニチカ執行役員)、茂木鉄平(弁護士法人大江橋法律事務所パートナー)、清水裕子(元株式会社富士通エイチアールプロフェッショナルズ社長)、山本あつ美(山本あつ美公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「ケミカル事業」「ヘルスケア事業」を展開しています。

ケミカル事業

業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・漂白剤・固形燃料に加え、食品包装用ラップ等の仕入商品の製造・販売を行っています。主な顧客は飲食店、旅館、食品工場、食品スーパー等のフードビジネス業界です。

製品販売による代金を顧客から受け取る収益モデルです。運営は主に同社が行っているほか、ミッケル化学、新高(福建)日用品有限公司、尼多咖(上海)貿易有限公司、京葉糖蜜輸送などが製造・販売を担っています。

ヘルスケア事業

健康食品等の製造・販売を行っており、主な製品として乳酸菌発酵食品「OM-X」などを取り扱っています。

製品販売による代金を顧客から受け取る収益モデルです。運営は同社および株式会社バイオバンクが行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は一貫して増加傾向にあり、直近では237億円に達しています。利益面では原材料価格高騰等の影響で一時低下しましたが、直近では価格転嫁や高付加価値製品の販売により回復傾向にあります。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 184億円 178億円 195億円 227億円 237億円
経常利益 25億円 19億円 9億円 15億円 20億円
利益率(%) 13.4% 10.4% 4.5% 6.6% 8.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 12億円 7億円 8億円 13億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。販管費も増加しましたが、増収効果により営業利益率は改善しました。当期純利益は特別利益(子会社売却益等)の影響もあり大きく増加しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 227億円 237億円
売上総利益 81億円 86億円
売上総利益率(%) 35.8% 36.4%
営業利益 15億円 19億円
営業利益率(%) 6.5% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与及び賞与が17億円(構成比26%)、運賃が16億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力のケミカル事業は、人手不足対応製品や新領域製品の販売が好調で増収となりました。ヘルスケア事業も海外販売が伸長し増収を達成しました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
ケミカル事業 213億円 222億円
ヘルスケア事業 15億円 15億円
連結(合計) 227億円 237億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスで、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 13億円 10億円
投資CF 1億円 -4億円
財務CF -14億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

社会の持続可能性に配慮した高品質の製品・サービスを提供する事業を通じて、「取引先とユーザー」から信頼され、「会社と株主」に利益をもたらし、「社員と家族」を幸福にし、「社会と環境」に貢献するという「四者共栄」を経営理念として掲げています。

(2) 企業文化

「品質第一主義の経営」と「真の全員参加の経営」を行動指針としています。業務や企業のあり方においても品質を第一とし、社員一人ひとりがお客様と社会のために何ができるかを主体的に考え行動することを重視しています。

(3) 経営計画・目標

長期ビジョンとして「世の中の“キレイ”を支える会社」を目指し、中期経営計画「NX2028」を策定しています。2028年5月期の連結数値目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上高:275億円以上
* 営業利益:18億円以上
* ROE:8%以上
* DOE:3%以上

(4) 成長戦略と重点施策

既存事業の成長と収益率の両立、新領域および海外の成長基盤構築、ヘルスケア事業の成長を基本戦略としています。また、全社DXを通じたデータ活用経営基盤の構築や人的資本への投資により経営基盤を強化し、事業強化に向けた積極的な投資・M&Aを推進します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

常に高い目標意識とモチベーションを保持し自主的に業務を遂行できる人材を育成することを方針としています。また、多様な人材が活躍できる制度づくりを通して、一人ひとりが働きがいを感じる環境を創出することを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 43.4歳 14.9年 7,914,593円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.2%
男性育児休業取得率 125.0%
男女賃金差異(全) 66.7%
男女賃金差異(正規) 75.9%
男女賃金差異(非正規) 56.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、次世代幹部候補者数(9人)、基礎研修年間受講数(2.6講座/人・年)、女性の管理職・監督職比率(2%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定の市場への依存

国内フードビジネス業界向け売上高がグループ全体の80%以上を占めています。同業界の需要動向、価格競争、新規参入等により業績が影響を受ける可能性があります。これに対し、業態別のバランスよいシェア獲得や新領域・ヘルスケア事業の拡大によるリスク分散を図っています。

(2) 原材料価格の高騰

洗剤等の原材料は石油由来や天然油脂の比率が高く、これら資源価格の変動が業績に影響を与える可能性があります。新興国の需要増、国際紛争、為替変動等による価格高騰リスクに対し、高付加価値製品の開発や生産性向上による原価圧縮に努めています。

(3) 取引先の信用リスク

多数の取引先と取引を行っており、倒産等の予期せぬ事態による債権回収の支障が業績に影響を与える可能性があります。これに対し、信用情報の収集と取引分散を図り、与信管理の強化に努めています。

(4) 気候変動等に関わるリスク

地球温暖化対策としての脱炭素化に向けた規制強化が業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、環境対応製品の開発、再生可能エネルギーの導入、製造プロセスの見直しによる省エネルギー化などにより、リスクの最小化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。