ニイタカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニイタカ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニイタカは東証スタンダード市場に上場し、業務用洗剤や固形燃料を展開するケミカル事業と、健康食品等を扱うヘルスケア事業を主力としています。直近の業績は、外食産業向けの需要回復や省人化・衛生対策に寄与する高付加価値製品の拡販、さらなるコスト削減効果などにより、堅調に増収増益のトレンドを維持している企業です。


※本記事は、株式会社ニイタカの有価証券報告書(第64期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ニイタカってどんな会社?


フードビジネス業界向けに業務用洗剤や固形燃料を製造・販売し、食の衛生と安全を支える企業です。

(1) 会社概要


1963年に新高化学として設立され、1971年に新高化学工業へ商号変更しました。2003年に東証二部へ上場し、2015年に東証一部へ指定されました。その後、市場再編を経て現在はスタンダード市場に属しています。2017年にはミッケル化学(旧スイショウ油化工業)、2023年にはバイオバンクを子会社化し、事業領域を拡大してきました。

現在の従業員数はグループ全体で380名、単体で242名となっています。株主構成を見ると、筆頭株主はニイタカSCで、第2位はニイタカ社員持株会、第3位はつくしの会持株会と続きます。持株会や関連会社と推測される法人が上位を占めており、安定した株主基盤を構築しています。

氏名 持株比率
ニイタカSC 19.83%
ニイタカ社員持株会 6.37%
つくしの会持株会 4.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は野尻大介氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
野尻大介 代表取締役社長執行役員 1994年入社。東日本営業部長、営業本部長などを経て2023年より現職。
奥山吉昭 代表取締役会長 1982年入社。総務部長、管理本部長、代表取締役社長などを経て2023年より現職。
佐古晴彦 取締役 1984年入社。経営企画部長、管理本部長などを経て2023年より現職。
高瀬和久 取締役 1983年入社。つくば工場長、製造本部長などを経て2024年より現職。


社外取締役は、岡和貴(元ユニチカ執行役員)、清水裕子(元エイチアールワン常務執行役員)、山本あつ美(山本あつ美公認会計士事務所長)、上田純(久保井総合法律事務所代表パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ケミカル事業」および「ヘルスケア事業」の報告セグメントを展開しています。

ケミカル事業


主に業務用洗剤・洗浄剤・除菌剤・漂白剤・固形燃料の製造と、厨房・浴用用品等の仕入販売を行っています。飲食店、旅館、食品工場などの国内フードビジネス業界を中心に製品や各種サービスを提供しています。

収益源は製品の販売代金や食器洗浄機のメンテナンスサービス料などです。運営は主にニイタカと、子会社であるミッケル化学や京葉糖蜜輸送などが行っています。

ヘルスケア事業


植物醗酵エキスサプリメントなどの健康食品の製造・販売を展開しています。国内外の消費者を対象に製品を提供し、健康志向の高まりに応える事業を行っています。

収益源はサプリメントなどの製品販売代金であり、定期購入による安定的な売上確保も進めています。運営は主に子会社であるバイオバンクが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は着実に増加を続け、直近では246億円に達しています。利益面では一時的に落ち込む時期もありましたが、その後は回復・成長軌道に乗り、経常利益・純利益ともに力強い伸びを示しています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 178億円 195億円 227億円 237億円 246億円
経常利益 19億円 9億円 15億円 20億円 22億円
利益率(%) 10.4% 4.5% 6.6% 8.2% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 7億円 8億円 13億円 17億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益・営業利益ともに順調に増加しています。原価改善や価格改定の効果もあり、営業利益率は前期の8.1%から8.6%へと向上し、収益性の改善が進んでいます。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 237億円 246億円
売上総利益 86億円 90億円
売上総利益率(%) 36.4% 36.6%
営業利益 19億円 21億円
営業利益率(%) 8.1% 8.6%


販売費及び一般管理費(当期69億円)のうち、従業員給与及び賞与が17億円(構成比25%)、運賃が16億円(同23%)を占めています。売上原価は156億円で、売上高全体の63%を構成しています。

(3) セグメント収益


主力のケミカル事業は、外食市場の堅調な推移や高付加価値製品の採用拡大により増収となり、価格改定やコストダウン効果で利益も大きく伸長しました。一方、ヘルスケア事業は物価上昇による消費マインドの冷え込み等の影響で苦戦し、減収減益となっています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期) 利益(2025年5月期) 利益(2026年5月期) 利益率
ケミカル事業 222億円 233億円 16億円 19億円 8.2%
ヘルスケア事業 15億円 14億円 3億円 2億円 15.7%
連結(合計) 237億円 246億円 19億円 21億円 8.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「四者共栄」を経営理念に掲げています。社会の持続可能性に配慮した高品質の製品・サービスを提供する事業を通じて、「取引先とユーザー」から信頼され、「会社と株主」に利益をもたらし、「社員と家族」を幸福にし、「社会と環境」に貢献することを経営の根幹としています。

(2) 企業文化


経営理念である「四者共栄」に基づき、常にお客様の満足を追求し行動することを重視しています。そのため、業務や企業のあり方においても品質を第一とする「品質第一主義の経営」と、社員一人ひとりが主体的に考える「真の全員参加の経営」を企業文化として根付かせています。

(3) 経営計画・目標


長期ビジョン「世の中の“キレイ”を支える会社」の実現に向け、長期目標および中期経営計画「NX2028」を策定しています。2028年5月期の連結数値目標として以下を掲げています。

* 売上高 275億円以上
* 営業利益 18億円以上
* ROE 8%以上
* DOE(株主資本配当率) 3%以上

(4) 成長戦略と重点施策


社会課題を最速で解決することを軸に競争優位性をさらに高め、既存事業・新領域・新規事業で成長するための基盤を整備します。

* 既存事業の成長と収益率の両立
* 新領域、海外の成長基盤構築
* ヘルスケア事業の成長
* 事業強化に向けた積極的な投資・M&A
* 全社DXを通じたデータ活用経営基盤の構築

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


自律性を備えた人材が集まり、多様な価値観が活かされる組織を構築することで、継続的な企業価値向上を推し進めています。高い目標意識を持ち自主的に業務を遂行できる人材の育成を図るとともに、多様な人材が活躍できる制度づくりを通して、一人ひとりが働きがいを感じる環境創出を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 43.7歳 15.2年 8,045,294円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.3%
男性育児休業取得率 87.5%
男女賃金差異(全労働者) 71.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 79.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 74.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、基礎研修年間受講数(2.7講座/人・年)、次世代幹部候補者数(12人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) フードビジネス業界への依存


同社グループの取扱製品やサービスは、大部分がフードビジネス業界を対象としています。そのため、同業界における業務用洗剤等に対する需要動向や価格動向、既存業者との競合状況などにより、同社の業績が影響を受ける可能性があります。

(2) 取引先の信用リスク


同社グループは数多くの取引先と取引を行っており、倒産のような予期せぬ事態により債権回収に支障が発生した場合、同社の業績が影響を受ける可能性があります。これに対しては、信用情報の収集と取引分散を図り、与信管理の強化に努めています。

(3) 気候変動に関わるリスク


近年の気象災害の激甚化や脱炭素の機運の高まりにより、環境問題を重視するステークホルダーからの要求や社会の脱炭素化に向けた規制強化が進んでいます。これらの動向が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。