タケダ機械 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タケダ機械 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する金属加工機械メーカーです。形鋼加工機や丸鋸切断機を主力製品とし、建設鉄骨業界や自動車関連業界に製品を提供しています。直近の決算では、主力製品の販売減少やコスト上昇の影響を受け、売上高は49億円、経常利益は4.4億円となり、減収減益で着地しました。


※本記事は、タケダ機械株式会社 の有価証券報告書(第54期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タケダ機械ってどんな会社?


石川県に本社を置く金属加工機械メーカーです。「お客様視点のものづくり」を掲げ、形鋼加工機や丸鋸切断機などの製造販売を行っています。

(1) 会社概要


1971年に石川県能美郡で株式会社竹田機械製作所として設立され、小型機械加工から事業を開始しました。1990年に現在のタケダ機械へ商号変更し、1992年に日本証券業協会へ店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。2009年にはタケダ精機を子会社化し、生産体制を強化しています。

連結従業員数は175名、単体では139名が在籍しています。筆頭株主は株式会社テーエスワイで、第2位は代表取締役社長の竹田雄一氏、第3位はタケダ機械取引先持株会となっており、経営陣および関係者による安定的な持株比率が特徴です。

氏名 持株比率
テーエスワイ 12.72%
竹田雄一 10.98%
タケダ機械取引先持株会 6.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は竹田雄一氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
竹田 雄一 代表取締役社長 2006年タケダ機械入社。営業部部長、経営企画室長、専務取締役を経て、2013年6月より現職。タケダ精機代表取締役社長も兼務。
鈴木 修平 常務取締役管理部長 1985年北國銀行入行。同行監査部長を経て2016年タケダ機械入社。同年取締役管理部長就任。2023年8月より現職。
伊藤 石典 常務取締役生産本部長 2012年タケダ精機入社。同社取締役工場長を経て2016年タケダ機械取締役製造部長就任。2023年8月より現職。


社外取締役は、金田栄悟(公認会計士金田栄悟事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金属加工機械事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 形鋼加工機シリーズ


小型形鋼加工マシン、平板ドリルマシン、H形鋼ドリルマシン、板金加工マシンなどの製造販売を行っています。主に建築鉄骨業界や製缶板金業界を顧客としています。

同社および連結子会社のタケダ精機が製品の製造販売を行っており、製品の販売対価や保守サービス料が主な収益源となります。国内では代理店・販売店を通じたルート販売と直接販売を行い、海外でも現地の販売店等を介して展開しています。

(2) 丸鋸切断機シリーズ


形鋼切断マシン、無垢材切断マシン、パイプ切断マシンなどの製造販売を行っています。自動車関連業界や鋼材加工業界が主な顧客です。

同社およびタケダ精機が製造販売を担い、製品販売による代金が収益となります。標準機に加え、顧客の要望に応じたカスタマイズ機(客先仕様機)も展開し、競争力の強化を図っています。

(3) 金型シリーズ


自社製品専用のプレス金型や汎用品のプレス金型を製造販売しています。同社の金属加工機械を使用する顧客や、プレス機械を利用する企業が対象です。

同社およびタケダ精機が製造販売を行い、金型の販売代金が収益となります。主力製品である形鋼加工機に付帯する需要のほか、消耗部品としての安定的な需要にも対応しています。

(4) 受託生産


他社製品の部品加工や組立といった製造を請け負っています。自社の生産設備や技術力を活かし、金属加工に関連する幅広いニーズに対応しています。

同社およびタケダ精機が受託加工を行い、加工賃や組立費が収益となります。製造業における外部環境の影響を受けつつも、安定的な事業基盤の一翼を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年5月期から2024年5月期にかけては売上高、利益ともに増加傾向にありましたが、直近の2025年5月期は減収減益となりました。利益率は変動があるものの、概ね6%〜9%の水準で推移しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 35.0億円 44.4億円 46.9億円 54.6億円 48.9億円
経常利益 1.8億円 4.1億円 4.2億円 6.6億円 4.4億円
利益率(%) 5.1% 9.2% 8.9% 12.1% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 2.4億円 2.7億円 3.6億円 2.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益が減少しています。売上原価率は上昇しており、収益性がやや低下した形となりました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 54.6億円 48.9億円
売上総利益 16.9億円 14.4億円
売上総利益率(%) 31.0% 29.3%
営業利益 6.4億円 4.3億円
営業利益率(%) 11.6% 8.8%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が2.2億円(構成比22.1%)、運賃及び荷造費が1.2億円(同12.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である形鋼加工機シリーズの売上が大きく減少したことが、全体の減収の主要因です。一方、丸鋸切断機や部品販売は増加しており、分野によって需要の動向が異なっています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
形鋼加工機 37.4億円 30.3億円
丸鋸切断機 2.7億円 3.6億円
金型 4.7億円 4.3億円
受託事業・その他 2.7億円 3.0億円
部品 5.9億円 6.4億円
サービス 1.2億円 1.2億円
連結(合計) 54.6億円 48.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「勝負型」のキャッシュ・フロー状態にあります。本業からの営業キャッシュ・フローがマイナスとなっていますが、これは主に仕入債務の減少や売上債権・棚卸資産の増加によるもので、事業活動に伴う運転資金の変動が要因です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 12.7億円 -5.9億円
投資CF -1.1億円 -0.2億円
財務CF -2.0億円 0.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「技術創造」「社会貢献」「明るい社風」を経営理念に掲げています。株主、取引先、社員、地域社会に対して適正な利益を還元し、社会に貢献することを基本としています。また、「お客様視点のものづくり」を常に心掛け、高い満足と信頼を得られる企業づくりを目指しています。

(2) 企業文化


「お客様視点のものづくり」を基本原点とし、顧客独自の要望に応えるカスタマイズ機(客先仕様機)にも積極的に取り組む姿勢を持っています。また、サステナビリティ推進のスローガンとして「できることから積極的に取り組もう」を掲げ、全社員が目的を共有して行動する風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社は金属加工機械事業の単一セグメントであること等を勘案し、分かりやすい経営指標として売上高と経常利益を目標に設定しています。2026年5月期の事業計画では以下の数値を掲げています。

* 売上高:50億円
* 経常利益:3.5億円

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、顧客の人手不足に対応する省人化・省段取りをテーマとした新製品開発や、ICT技術を活用した製品・サービスの充実に注力します。また、適正在庫の取り組みによるコスト削減や、OJT・OFF-JTを通じた人材育成、GX(グリーントランスフォーメーション)への挑戦を通じて企業価値の向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


OJTおよびOFF-JTによる自律した人材の育成に努め、資格取得推進や教育制度の整備によって従業員の技術・技能レベル向上を図っています。中長期的には人事制度の再構築と教育制度を連動させ、社員が自己目標の達成や実現を感じられる体制の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 41.6歳 14.7年 5,093,983円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は常時雇用する労働者数が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める女性労働者の割合(正規13.7%・臨時10.5%)、男女の平均継続勤務年数の差異(差異△0.9年)、有給休暇取得率(55.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 政治・経済情勢に関するリスク


大規模な金融危機や地政学的リスクの発生により企業の資金繰りが悪化し、設備投資が低迷することで同社製品の需要が著しく減少する可能性があります。これに対し、手許資金と内部留保の確保による流動性の向上や、バランスのとれた財務体質の構築で対応する方針です。

(2) 材料・部品の調達に関するリスク


鋼材や部品の調達において、供給元の倒産や災害、価格高騰などにより調達が不安定になるリスクがあります。これにより原価上昇や納期遅延が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、部品の標準化や調達先の分散化、先行調達などを進めています。

(3) 製品開発に関するリスク


市場ニーズとの乖離や先端技術への対応遅れにより、製品開発が競合他社に後れを取る可能性があります。これにより市場シェア縮小や収益悪化を招く恐れがあるため、営業・技術・開発部門が一体となったマーケティングや、省人化・省段取りをテーマとした新製品開発の強化に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。