※本記事は、株式会社オータケの有価証券報告書(第73期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オータケってどんな会社?
管工機材の専門商社として、バルブや継手などの建設設備資材を販売しています。
■(1) 会社概要
1952年に大嶽商店として設立され、1988年にオータケへ商号変更しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2022年の市場区分見直しにより東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。2024年9月には田中産業を完全子会社化し、連結決算体制へと移行しました。
同社グループの従業員数は連結で300名、単体で283名です。筆頭株主は同社の役員や従業員等で構成される持株会で、第2位は愛知県西尾市(地方公共団体)、第3位は主要取引先でもあるバルブメーカーのキッツとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| オータケ持株会 | 12.28% |
| 西尾市 | 9.27% |
| キッツ | 8.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は金戸俊哉氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金戸 俊哉 | 代表取締役社長 | 2018年同社入社。経理部長、取締役企画管理本部長、常務取締役を経て2024年6月より現職。 |
| 村井 善幸 | 取締役会長 | 1979年同社入社。営業本部長、常務取締役、代表取締役社長を経て2024年6月より現職。 |
| 岡沢 等 | 取締役営業本部長 | 1986年同社入社。東日本エリア統括部長等を経て2020年6月より現職。 |
| 山田 勝猛 | 取締役営業本部副本部長 | 1996年同社入社。関西支店支店長、執行役員等を経て2024年8月より現職。中国器材代表取締役社長を兼務。 |
社外取締役は、小川真紀(Collective Intelligence代表取締役)、宮廣慎一郎(JES総合研究所代表取締役)、赤星知明(赤星公認会計士事務所代表)、石原宏一(石原総合法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「管工機材卸売業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 管工機材卸売事業
建設設備に関連不可欠な基礎資材である「管工機材」の販売を行っています。取り扱い商品は、バルブ・コック類、継手類、パイプ類、衛生・給排水類、冷暖房機器類など多岐にわたり、マイホームからプラントまであらゆる分野に商品を提供しています。
収益は、顧客への商品販売代金として計上されます。事業運営は、親会社であるオータケおよび連結子会社の田中産業が担っています。田中産業はステンレス鋼材・配管資材の専門商社として、グループの商品調達力や販売力の強化に寄与しています。
■(2) その他事業
管工機材卸売事業以外の事業として、不動産賃貸業を展開しています。重要性が乏しいため報告セグメントには含まれていませんが、東京都江東区などに賃貸物件を保有し、資産の有効活用を図っています。
収益は、テナント等からの賃貸料収入です。運営は主にオータケが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年5月期より連結財務諸表を作成しているため、表には第73期の連結数値のみを記載します。連結初年度の売上高は約330億円、経常利益は約12億円となりました。なお、単体ベースでの比較では、売上高・利益ともに前期を上回る結果となっています。
| 項目 | 2025年5月期 |
|---|---|
| 売上高 | 330億円 |
| 経常利益 | 12億円 |
| 利益率(%) | 3.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 |
■(2) 損益計算書
当期は連結決算初年度のため、期間比較は行わず第73期の数値を記載します。売上高に対して売上総利益率は約14%の水準となり、営業利益率は約3%を確保しています。
| 項目 | 2025年5月期 |
|---|---|
| 売上高 | 330億円 |
| 売上総利益 | 48億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.4% |
| 営業利益 | 10億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が15億円(構成比39%)、運送費が6億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、品目別の売上高を見ると、バルブ・コック類が最も大きく、次いで継手類、パイプ類となっています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) |
|---|---|
| バルブ・コック類 | 110億円 |
| 継手類 | 65億円 |
| パイプ類 | 45億円 |
| その他(冷暖房機器等) | 110億円 |
| 連結(合計) | 330億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
オータケは、営業活動により潤沢な資金を獲得し、事業の成長を支えています。投資活動では、将来の事業基盤強化に向けた設備投資や子会社への投資を実施しました。財務活動では、自己株式の取得や株主への配当支払いを行いました。これらの活動の結果、期末の資金残高は増加しました。
| 項目 | 2025年5月期 |
|---|---|
| 営業CF | 10億円 |
| 投資CF | -5億円 |
| 財務CF | -4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、取引先の課題解決に向けた最適ソリューションを提案し続けるとともに、企業をつなぎ必要とされ続ける「ベスト・パートナー」、働きやすさを追求する「ベスト・カンパニー」を目指しています。管工機材を通じてサステナブルな社会に貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
従業員一人ひとりの能力・考える力・創造力を最も重要な経営資源と捉え、「会社を信頼して働ける職場づくり」や「恒常的・自発的な知恵/改善を促進する仕組みづくり」を重視しています。また、チャレンジを促進する企業風土を醸成するため、積極的な人材登用と適材適所による人材活用を進めています。
■(3) 経営計画・目標
創業80周年を迎える2027年5月期を最終年度とする「第2次中期経営計画」を策定しています。「人的資本経営の実践」を戦略ビジョンに掲げ、以下の数値目標を設定しています。
* 売上高:340億円
* 営業利益:11億2,000万円
* 経常利益:13億2,000万円
* 当期純利益:9億2,000万円
* 自己資本利益率(ROE):8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「営業基盤・商品開拓の強化」「商品構成の変革」「人材育成の強化・活用」を重点施策としています。新規顧客開拓に加え、電材・建材・土木関連商品など従来の市場にとらわれない商品の開拓を進めています。また、管工事部門の立ち上げやECサイト再構築により事業領域を拡大し、収益力の強化を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ダイバーシティ推進を重要な経営戦略の一つと位置づけ、多様な人材が働きがいを持って活躍できる環境整備を進めています。「人的資本経営の実践」を掲げ、DX推進、働きやすい職場環境の整備、多様な人材の採用、女性活躍の推進等に取り組んでいます。また、徹底的な人材育成により、活力に満ちた人材集団の形成を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 38.6歳 | 12.2年 | 5,652,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.2% |
| 男女賃金差異(非正規) | 57.6% |
※女性管理職比率については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(38%)、男女の平均継続勤続年数の差異(6.4年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 設備投資動向等の影響
同社グループの業績は、公共投資や民間設備投資の動向に左右される傾向があります。景気の先行き不透明感などにより、建設設備関連事業や民間設備投資が減少した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、顧客ニーズに合った高付加価値商品やサービスの提供、営業基盤の強化等により対処する方針です。
■(2) 取引先の信用リスク
売上の大部分を信用販売で行っているため、取引先の財政状態が悪化した場合、売上債権が回収不能となるリスクがあります。これに対し、与信管理規程に基づき取引先の状況を定期的にモニタリングし、与信限度額の設定や支払保証契約の活用などにより、不良債権発生の抑制に努めています。
■(3) 物流コスト上昇の影響
配送ドライバーの人手不足問題等による物流コストの上昇が、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社グループは、各拠点における在庫水準の適正化を図りながら拠点間の物流網を見直すことで、コスト抑制に対処していく方針です。



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