※本記事は、小津産業株式会社 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、不織布製品の加工・販売を主たる事業としています。エレクトロニクス用からコスメティック用、メディカル用、産業資材用、除染用まで幅広い分野の不織布製品を手がけており、不動産賃貸事業や過酢酸製剤の販売・輸入も行っています。
単体従業員数は86名、連結従業員数は245名です。セグメントは不織布、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、オヅテクノ(不織布)、日本プラントシーダー(同)、ディプロ(同)、旭小津(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
小津産業は、創業以来の伝統を大切にしつつ、常に新しい価値創造に挑戦する企業です。人材を重要な資本と位置づけ、従業員一人ひとりの多様な視点や経験が最大限に発揮される職場環境の形成を目指しています。持続可能な社会の実現に貢献しながら、従業員の成長と働きがいを両立させるための取り組みを進めている会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っている傾向があります。平均勤続年数と平均年齢から、安定して長く働く従業員が多いことがうかがえます。人材の定着を重視し、働きやすい職場環境づくりに注力していることが示されています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,969,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.5年 |
| 平均年齢 | 42.3歳 |
| 単体従業員数 | 86人 |
| 連結従業員数 | 245人 |
| 単体のグループ内比率 | 35.1% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、当社および一部の連結子会社で導入されています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
確定給付制度の退職給付に係る負債の期末残高は137百万円です。確定拠出制度への要拠出額は29百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、『長期ビジョン:OZU Innovation 2034』の実現に向け、多様な人材の視点や独創性、個性や経験が最大限発揮される職場環境の形成を必要不可欠と位置づけています。この考えに基づき、2025年6月1日より新人事制度を導入しました。
新人事制度では、年功序列からの脱却と役割に応じた適正な処遇を推進するため、役割等級制度と評価制度を中心とした設計となっています。従業員の給与等の額は、個人の役割・責任、成果やプロセスに基づく貢献度、長期ビジョンに沿った「あるべき人材像」に基づく行動評価を反映し、透明性と公平性を重視して決定されます。
重点的な取り組みとして、定年を65歳まで段階的に延長し、60歳以降は定年の時期を選択可能とする「定年延長と選択性」を導入しています。また、再雇用者も現役と同様の評価制度・報酬制度を適用する見直しも行っています。
具体的な施策として、育児・介護と仕事の両立支援、有給休暇取得促進、時差出勤制度、在宅勤務制度(在宅デイワーク、在宅タームワーク、嘱託在宅ワーク)を整備しています。人材育成においては、2022年6月より「社員研修制度」(階層別研修、ビジネススキル研修、その他研修)と自己啓発支援の補助金制度「学びの場」を導入し、従業員の自主的な能力発揮を支援しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。なお、当社には女性のパート・有期労働者が存在しないため、パート・有期労働者の男女賃金差異は記載されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 80.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 75.6% |
多様性・登用
連結子会社は公表義務の対象ではないため、提出会社の指標を記載しています。様々な視点、知見、経験を有する女性の活躍を推進するため、新規採用における女性労働者の割合を目標指標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 新規採用における女性労働者の割合 | 55.6% |
人材育成・エンゲージメント
連結子会社は公表義務の対象ではないため、提出会社の指標を記載しています。「働きやすい職場」と「やりがいのある業務」の両立を図るため、年次有給休暇取得率を目標指標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 78.2% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
小津産業は、不織布製品の加工・販売を主たる事業としており、その他事業も展開する企業グループです。同社グループは、多様な用途の不織布製品と関連サービスを提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、不織布製品の加工・販売を主軸とし、その他事業も展開しています。不織布事業が同社グループの売上高の大部分を占めており、この事業に収益が集中している傾向が見られます。本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、海外比率は低い傾向にあります。
不織布
同社グループの不織布事業では、エレクトロニクス用、コスメティック用、メディカル用、産業資材用、除染用の不織布製品の販売等を行っています。収益は、クリーン分野、ウェルネスケア分野、エコプロダクツ分野、コンシューマー分野の製品販売から得ています。運営は、オヅテクノ、日本プラントシーダー、ディプロ、小津(上海)貿易、旭小津が行っています。
当連結会計年度においては、クリーン分野、ウェルネスケア分野、コンシューマー分野、小津(上海)貿易有限公司の販売が好調に推移し、売上高、利益面ともに前期を上回りました。エコプロダクツ分野は売上高が前期を下回ったものの、利益面は上回っています。日本プラントシーダーは売上高が横ばいでしたが、利益面は増加しました。株式会社ディプロは、売上高、利益面ともに前期を下回る結果となりました。
その他の事業セグメント
その他の事業セグメントは、不動産賃貸事業と除菌関連事業を含んでいます。収益は、保有不動産等の賃貸による収入や、過酢酸製剤の販売・輸入等から得ています。運営は、エンビロテックジャパンが行っています。
当連結会計年度では、エンビロテックジャパンの売上高は増加しましたが、利益面は横ばいとなりました。不動産賃貸事業はテナントの退去により売上高は減少したものの、利益面は増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年5月期) | 売上高(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 不織布 | 99.6億円 | 105億円 |
| その他の事業セグメント | 2.6億円 | 2.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、変動はあるものの、当期は前期から大きく増加しました。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 106億円 | 104億円 | 101億円 | 102億円 | 107億円 |
| 経常利益 | 7.1億円 | 5.9億円 | 7.0億円 | 5.6億円 | 8.1億円 |
| 経常利益率 | 6.7% | 5.7% | 7.0% | 5.5% | 7.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.6億円 | 3.8億円 | 5.5億円 | 4.1億円 | 6.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 66.45 | 45.75 | 65.05 | 48.64 | 72.57 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加し、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、収益性の改善を示しています。これらの指標は、組織全体の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 35.9百万円 | 43.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.5百万円 | 2.4百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
小津産業グループは、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを築いています。本業で着実に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を厚く保っている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
小津産業グループの財務基盤は、自己資本比率が高く、手元資金も潤沢であることが特徴です。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較しても高い水準にあり、強固な財務体質を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。
手元資金である現金及び預金は、当期末に96.2億円と増加しており、不測の事態や将来の事業機会に備える資金的な余裕があることがうかがえます。このような財務の安定性は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 192億円 | 192億円 |
| 自己資本比率 | 72.4% | 74.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.1% | 3.2% |
| 現金及び預金 | 83.6億円 | 96.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
小津産業グループは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが着実にプラスを維持しており、当期は前期から増加しました。これは、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権の増減額が主な収入要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローもプラスで推移しており、投資有価証券の売却による収入が主な要因となっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いにより資金が減少していますが、前期とほぼ同水準です。
これらの結果、事業活動と投資活動を通じて自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは、当期に14.1億円と前期から増加しています。本業で安定的に資金を生み出し、投資活動も行いつつ、資金的な余裕を確保している状況であり、安定した経営基盤と将来への成長余力があることを示しています。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.5億円 | 10.5億円 |
| 投資CF | 3.2億円 | 3.6億円 |
| 財務CF | △2.1億円 | △2.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.7億円 | 14.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの不織布事業における主力製品は、エレクトロニクス・半導体業界、医療業界およびコスメティック業界向けであり、これらの業界の需要動向や市況は業績に大きな影響を与えます。また、不織布事業の営業利益は第2四半期に集中して計上される傾向があります。
海外の協力工場での生産や、中国、台湾、その他の東南アジア地区などを中心とした販売を行っているため、販売を行っている各国において政治、経済、社会情勢の変化などの予期せぬ事象が発生した場合、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
小津産業は、長期ビジョン「OZU Innovation2034」を掲げ、社会のニーズに応えながら「より清潔・より快適」な社会の実現を目指しています。経営陣とグループ従業員が一体となり、企業価値の向上を追求する姿勢が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
小津産業グループは、企業理念として「伝統とは継続的な開拓の歴史との認識のもと、お客さまの満足や喜びを第一に考えた新しい付加価値を提案し、豊かな暮らしと文化に貢献してまいります」を掲げています。この理念に基づき、「より清潔・より快適」を提供する会社を目指しています。
同社グループは、社会のニーズに応え、お客さまの利便性、快適性、生産性の向上に寄与する「製品・サービス」を生み出し、提供することで、健全な社会の発展に貢献することを目指しています。将来的には、“自ら製品を企画・開発・生産する機能を備えた商社”への発展を目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
小津産業グループは、経営陣とグループ従業員が同じ目線で目標・課題を共有し、グループ一丸となって業務に取り組むことを重視しています。企業理念の実現に向けて、「伝統力」「革新力」「付加価値力」の3つの柱を基軸とし、社会から「必要とされる企業」であり続けることを目指す企業風土です。
また、同社グループは、地球環境の保全が世界共通の課題であると認識し、あらゆる企業活動において自然環境の保全・資源の保護へ継続的改善を図り、地球環境と人にやさしい企業を目指すことを基本理念としています。多様な人材の視点や独創性、個性や経験が最大限発揮される職場環境の形成が、会社の持続的な成長と企業価値向上に資すると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
小津産業グループは、新用途・新機能の開発や新規事業の探索強化による事業拡大を経営課題と認識しています。長期ビジョン達成に向けた土台づくりとして、『第一次 中期経営計画2027』では、人材確保、市場調査、研究開発費等に戦略的に予算を充当する方針です。
また、2025年6月1日より新人事制度を導入し、変化を起こす人材の育成と適正な評価を通じて、「働きやすい職場」と「やりがいのある業務」の両立を目指しています。育児・介護等と仕事の両立支援や、有給休暇取得促進、時差出勤制度、在宅勤務制度の活用など、働き方改革にも積極的に取り組んでいます。
女性・外国籍社員・中途採用社員の管理職への登用や中核人材の採用における多様性の確保も重点テーマです。ESG委員会主導のもと、サステナビリティを巡る課題が事業に影響を与えるリスクと機会を分析・評価し、取締役会への報告を行っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
小津産業は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の監督機能を担っています。2023年6月1日からは執行役員制度を導入し、意思決定の迅速化と監督機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は小津商店であり、同社グループと関連性の高い株主が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小津商店 | 28.89% |
| 小津取引先持株会 | 3.38% |
| 日本製紙クレシア | 1.03% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長 社長執行役員は柴﨑治氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴﨑 治 | 代表取締役社長 社長執行役員 | 1997年4月 三洋薬品工業㈱入社。2007年12月 同社入社。2024年8月 同社代表取締役社長 社長執行役員より現職。 |
| 村尾 茂 | 取締役 常務執行役員 生産本部長 | 1990年4月 同社入社。2020年4月 ㈱ディプロ代表取締役社長。2024年8月 同社取締役 常務執行役員 生産本部長より現職。 |
| 三﨑 剛志 | 取締役 常務執行役員 管理本部長 | 1988年4月 ㈱富士銀行(現㈱みずほ銀行)入行。2019年6月 同社入社 経営企画室長。2024年8月 同社取締役 常務執行役員 経営企画室長 兼 内部監査室長 兼 管理本部長より現職。 |
| 立野 智之 | 取締役 上席執行役員 営業本部長 | 1995年4月 ㈱月虎金属入社。2006年6月 同社入社。2024年8月 同社取締役 上席執行役員 営業本部長より現職。 |
社外取締役は、山下俊史氏(元日本生活協同組合連合会会長・指名委員長)、阿部光伸氏(元ツルハホールディングス取締役常務執行役員・報酬委員長)、青木常子氏(ネオジャパン取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、業務に精通した社内取締役と、経営陣から独立した社外取締役3名で構成される取締役会、および社外監査役2名を含む監査役会によって、業務執行の監査・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、基本報酬である金銭報酬と譲渡制限付株式報酬で構成されており、いずれも固定報酬です。譲渡制限付株式報酬は社外取締役を除く取締役に支給されています。監査役の報酬は、株主総会で承認された枠内で監査役の協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 1.3億円 | 26.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 28百万円 | 4.7百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分は含まれていません。
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