※本記事は、テーオーホールディングスの有価証券報告書(第72期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. テーオーホールディングスってどんな会社?
同社は木材、流通、建設、自動車関連など多角的な事業をグループ一体で展開する総合企業です。
■(1) 会社概要
同社は1950年に北海道函館市で木材および衣料品販売の個人経営として創業し、1955年に会社設立されました。2004年にジャスダックへ株式を上場後、2017年に会社分割による持株会社体制へ移行して現在の社名へ変更しました。2025年には札幌証券取引所本則市場への株式上場を果たしています。
現在の従業員数はグループ全体で440名、単体で26名体制です。筆頭株主は同社代表取締役社長の小笠原康正氏で、第2位は事業会社の損害保険ジャパン、第3位は小笠原勇人氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小笠原康正 | 13.48% |
| 損害保険ジャパン | 7.57% |
| 小笠原勇人 | 5.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小笠原康正氏が務めています。取締役6名のうち社外取締役は2名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小笠原康正 | 代表取締役社長 | 1979年北海道銀行入行。1982年に同社へ入社し取締役就任。常務、専務等を経て2004年より代表取締役社長。グループ会社の役員を歴任し全社を統括。 |
| 小笠原翔大 | 取締役副社長 | 2012年同社入社。執行役員等を経て2020年に取締役専務就任。テーオーリテイリングや各子会社の取締役を兼任。テーオーフォレスト代表取締役社長等を経て2025年より現職。 |
| 西谷英樹 | 取締役 | 1986年同社入社。流通事業部イエローグローブの本部長などを歴任。2017年にテーオーリテイリング代表取締役社長に就任し、2019年より同社取締役。 |
| 亀田文雄 | 取締役 | 熊本日産自動車常務取締役などを歴任。2020年に函館日産自動車代表取締役社長に就任し、2021年より同社取締役。2026年に北見日産自動車代表取締役社長に就任。 |
社外取締役は、佐藤等(佐藤等公認会計士事務所所長)、田矢徹司(ホワイトウッド代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、木材、流通、建設、不動産賃貸、自動車関連およびその他の事業を展開しています。
■木材
一般建築用建材および合板等の販売を行っています。全国の小売店、工務店、建築業者などを顧客とし、多様な住宅関連資材を提供しています。
製品の販売代金から収益を得ています。事業の運営は主にテーオーフォレストが行っています。
■流通
家具、DIY用品、食料品の販売のほか、クレジットカード業務やこれに付随する消費者ローン業務を展開しています。また、DVDレンタルや書籍の販売なども行っています。
店舗での商品販売代金や割賦手数料などから収益を得ています。運営は主にテーオーリテイリングやテーオーデパート、fikaが担当しています。
■建設
土木工事や舗装工事のほか、ビルや商業施設などの建築工事を請け負っています。官公庁からの公共事業や民間企業からの大型物件などを手掛けています。
工事契約に基づく工事代金から収益を得ています。運営は小泉建設が行っています。
■不動産賃貸
マンション、戸建住宅、事務所、倉庫、商業施設など、同社が保有する多様な土地や建物の賃貸事業を行っています。
保有不動産の賃貸借契約を通じた賃貸収入から収益を得ています。運営は主に同社が主体となって行っています。
■自動車関連
自動車ディーラーとして、新車および中古車の販売や自動車修理事業を展開しています。日産自動車などの特定取引先と特約販売契約を結び、地域に根ざしたサービスを提供しています。
車両の販売代金や車検、整備等のメンテナンスサービス料金から収益を得ています。運営は函館日産自動車、北見日産自動車、北見三菱自動車販売などが行っています。
■その他
火災保険や損害保険の代理店業、生命保険の募集業務、リース事業などを展開しています。また、住宅のアフターメンテナンス事業なども行っています。
保険代理店手数料やリース料、メンテナンスサービスの対価として収益を得ています。運営はテーオー総合サービスやテーオーフォレストが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5年間で緩やかな減少傾向が続いており、利益面でも厳しい状況がうかがえます。経常利益は黒字を維持しているものの小幅な水準にとどまり、当期利益もマイナスとなる期が多く、収益力の改善が大きな課題となっています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 277億円 | 265億円 | 256億円 | 242億円 | 235億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 0.5億円 | 2億円 | 1億円 | 0.5億円 |
| 利益率(%) | 0.1% | 0.2% | 0.9% | 0.4% | 0.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | -6億円 | -1億円 | 0.6億円 | -0.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比でやや減少しましたが、売上総利益率は微増してほぼ同水準を保っています。しかし、販売費及び一般管理費等の負担もあって営業利益は前期からやや減少し、営業利益率も1%未満と低水準での推移が続いています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 242億円 | 235億円 |
| 売上総利益 | 58億円 | 56億円 |
| 売上総利益率(%) | 23.8% | 23.9% |
| 営業利益 | 2億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 0.9% | 0.9% |
■(3) セグメント収益
各セグメントの売上動向を見ると、主力の流通事業や自動車関連事業が微減・減少となっているほか、木材事業でも売上が落ち込んでいます。一方で、建設事業は前期から大きく売上を伸ばしており、事業ごとの明暗が分かれる結果となりました。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 木材 | 34億円 | 31億円 |
| 流通 | 80億円 | 79億円 |
| 建設 | 24億円 | 30億円 |
| 不動産賃貸 | 3億円 | 2億円 |
| 自動車関連 | 98億円 | 90億円 |
| その他 | 3億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 242億円 | 235億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動で生み出した資金を借入金の返済や事業投資に充てており、資金繰りの面では健全型の推移を示しています。一方、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-12.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は2.1%となり、いずれも市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 18億円 |
| 投資CF | -5億円 | -7億円 |
| 財務CF | -4億円 | -4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、グループに関わる「全ての人」を「物心ともに豊か」にして、「社会に貢献」することを経営理念として掲げています。全従業員やステークホルダーの幸せを追求し、地域社会への貢献を達成することで、社会に対して持続的な価値を提供し続ける企業グループを目指しています。
■(2) 企業文化
経営理念を実現するための基本方針として、全体最適を志向する「グループ一体経営」、公明正大さを大切にする「ガラス張り経営」、全員参加・適材適所を重視する「活力ある組織」の構築を掲げています。これらを確実に実行することで、透明性が高く、従業員一人ひとりが力を発揮できる企業文化の醸成を図っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、木材、流通、自動車関連をはじめとする多角的な事業を展開する複合企業であるため、各事業によって収益構造が異なります。そのため、グループ全体で安定した利益を継続的に確保する体制を築くことを重視しており、「営業利益率」を重要な経営指標として設定して事業運営を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な目標として「次世代に向けた成長と持続可能な事業展開」を掲げています。新たなステージとして「収益の安定と未来創造の両立」を目指し、既存事業の収益力を一層強化するための施策を展開する方針です。これにより、厳しい経営環境下でも確実な業績回復と財務体質の改善を図り、企業価値の向上に繋げていきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材戦略の3つの柱として、「若手世代への投資」「子育て世代への支援」「シニア世代の活躍推進」を掲げています。「人」が最大の経営資源であるとの考えに基づき、人材への投資を積極的に進めることで、人材確保や育成、定着率の向上を図っています。また、多様性の促進にも注力し、年齢や性別にとらわれない採用活動を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 42.6歳 | 13.3年 | 4,283,501円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 55.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 50.4% |
※男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではない等の理由により記載されていません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制等のリスク
流通、建設、不動産賃貸事業において「大規模小売店舗立地法」「建築基準法」「都市計画法」等の規制を受けており、これらにより計画通りの新規出店や建築等ができない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存リスク
自動車関連事業では、日産自動車などの特定取引先と特約販売契約を結び、商品の生産・供給を依存しています。そのため、特定取引先の経営戦略や災害等による供給状況の変化が、直接的に同社の業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 有利子負債への高い依存リスク
流通事業の店舗用設備や消費者ローン貸付資金、不動産賃貸事業の設備取得資金などを主に金融機関からの借入で調達しているため、有利子負債への依存度が高い水準にあります。金利水準が上昇した場合、財務状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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