テーオーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テーオーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テーオーホールディングスは、スタンダード市場に上場し、木材、流通、自動車販売などを展開する複合企業です。第71期は、建設や自動車関連事業で利益改善が見られたものの、主力の木材事業や流通事業の不振が響き、減収減益となりました。経常利益は前期比で半減し、最終損益は赤字に転落しています。


※本記事は、株式会社テーオーホールディングス の有価証券報告書(第71期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テーオーホールディングスってどんな会社?


同社グループは、北海道函館市を拠点に、木材、流通、建設、不動産賃貸、自動車販売など多角的な事業を展開する持株会社です。

(1) 会社概要


同社は1950年に北海道函館市で木材および衣料品販売の「小笠原商店」として創業し、1955年に株式会社として設立されました。1991年には株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしています。2017年に持株会社体制へ移行し、現商号であるテーオーホールディングスへ変更しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在はスタンダード市場に上場しています。

2025年5月31日現在、グループ全体の連結従業員数は464名、提出会社(単体)の従業員数は26名です。筆頭株主は代表取締役社長の小笠原康正氏で、第2位は事業会社である損害保険ジャパン、第3位は小笠原勇人氏となっています。創業家による保有比率が高いのが特徴です。

氏名 持株比率
小笠原 康正 13.48%
損害保険ジャパン 7.57%
小笠原 勇人 5.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は小笠原康正氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
小笠原 康正 代表取締役社長 1982年同社入社。専務、副社長を経て2004年より現職。テーオーフォレスト取締役会長も兼任。
疋田 一晶 取締役副社長 北海道銀行執行役員などを経て、2022年同社顧問・取締役副社長に就任。テーオーデパート代表取締役社長も兼任。
小笠原 翔大 取締役専務 2012年同社入社。執行役員等を経て2020年より現職。テーオーフォレスト代表取締役社長などを兼任。
西谷 英樹 取締役 1986年同社入社。イエローグローブ本部長などを経て2019年より現職。テーオーリテイリング代表取締役社長も兼任。
亀田 文雄 取締役 日産プリンス熊本販売社長などを経て2020年函館日産自動車社長就任。2021年より同社取締役。


社外取締役は、米塚茂樹(米塚茂樹法律事務所所長)、佐藤等(佐藤等公認会計士事務所所長)、田矢徹司(ホワイトウッド代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「木材」「流通」「建設」「不動産賃貸」「自動車関連」の5つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 木材事業


一般建築用建材や合板、木材製品の販売を行っています。住宅着工数の減少や資材価格高騰の影響を受ける市場環境にあります。

主な収益源は、工務店や建築業者等への木材・建材資材等の販売代金です。運営は主に連結子会社のテーオーフォレストが行っています。

(2) 流通事業


衣料品、家具、家電、家庭用品、DIY用品、食料品等の販売を行っています。また、家具販売に関連してクレジットカード業務および消費者ローン業務も展開しています。

主な収益源は、一般消費者への商品販売代金や割賦販売手数料です。運営は、ホームセンター事業を行うテーオーリテイリングや、家具販売等を行うテーオーデパートなどの連結子会社が行っています。

(3) 建設事業


土木工事、舗装工事、ビル・商業施設等の建設工事を行っています。公共投資の動向に左右されやすい側面があります。

主な収益源は、官公庁や民間企業からの工事請負代金です。運営は主に連結子会社の小泉建設が行っています。

(4) 不動産賃貸事業


土地・建物(マンション・戸建住宅・事務所・倉庫等)の賃貸事業を行っています。保有不動産の有効活用を図っています。

主な収益源は、テナントや入居者からの賃貸料収入です。運営は主にテーオーホールディングス(同社)が行っています。

(5) 自動車関連事業


新車および中古車の販売、自動車の修理・整備サービスを行っています。日産自動車や三菱自動車等の特約店として事業を展開しています。

主な収益源は、顧客への車両販売代金および整備・修理サービス料です。運営は連結子会社の函館日産自動車、北見日産自動車、北見三菱自動車販売などが行っています。

(6) その他事業


上記セグメントに含まれない事業として、損害保険代理店業や住宅のアフターメンテナンス業、スポーツクラブ事業などを展開しています。

主な収益源は、保険会社からの代理店手数料や顧客からのサービス料などです。運営は主に連結子会社のテーオー総合サービスやテーオーフォレストが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は309億円から242億円へと減少傾向にあります。利益面では、2023年5月期に大幅な最終赤字を計上した後、2024年5月期には黒字転換しましたが、2025年5月期は再び最終赤字となっています。経常利益率は0〜1%未満の低水準で推移しており、収益性の安定化が課題となっています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 309億円 277億円 265億円 256億円 242億円
経常利益 -0.9億円 0.2億円 0.5億円 2.2億円 1.0億円
利益率(%) -0.3% 0.1% 0.2% 0.9% 0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.2億円 -0.3億円 -5.7億円 -1.0億円 0.6億円

(2) 損益計算書


減収に伴い売上総利益が減少しましたが、販売費及び一般管理費も削減を進めたことで営業黒字を確保しています。しかし、営業利益率は0.9%と低く、薄利な構造が見て取れます。売上原価率は約76%で推移しており、コストコントロールが重要となっています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 256億円 242億円
売上総利益 61億円 58億円
売上総利益率(%) 23.8% 23.8%
営業利益 3.1億円 2.2億円
営業利益率(%) 1.2% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が20億円(構成比35%)、減価償却費が4億円(同8%)を占めています。売上原価は売上高の76%を占め、商品仕入等のコストが大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


自動車関連事業は中古車販売が好調で増収増益となりましたが、木材事業は住宅着工減やコスト高騰により減収・赤字転落となりました。流通事業も消費低迷の影響で減収減益です。建設事業は増益、不動産賃貸事業は安定的に利益を創出しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
木材 40億円 34億円 0.4億円 -0.1億円 -0.4%
流通 86億円 80億円 1.9億円 0.8億円 1.0%
建設 26億円 24億円 0.2億円 0.8億円 3.2%
不動産賃貸 3.0億円 2.6億円 1.3億円 1.3億円 51.4%
自動車関連 98億円 98億円 1.5億円 1.6億円 1.6%
その他 3.3億円 2.9億円 0.2億円 0.2億円 6.1%
調整額 -4.5億円 -3.9億円 -2.4億円 -2.3億円 -
連結(合計) 256億円 242億円 3.1億円 2.2億円 0.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**
本業の営業活動で資金を獲得し、それを借入金の返済や設備投資に充てている状態です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 7.3億円 10.6億円
投資CF 6.2億円 -4.7億円
財務CF -20.2億円 -3.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.7%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は2.7%で市場平均を大きく下回っています。有利子負債への依存度が高く、財務体質の改善が急務となっています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、グループに関わる「全ての人」を「物心ともに豊か」にして、「社会に貢献」することを経営理念に掲げています。全従業員やステークホルダーの幸せ、地域・社会貢献を達成することを目指しています。

(2) 企業文化


全体最適を指向した「グループ一体経営」、公明正大を指向した「ガラス張り経営」、全員参加・適材適所を指向した「活力ある組織」を築くことを基本方針としています。これらの指針に基づき、具体的な行動を実行していく文化があります。

(3) 経営計画・目標


2023年6月から2026年5月までの中期経営計画「TO PLAN 2026」を策定しています。複合企業として各事業の収益性が異なるため、安定した利益を確保する体制づくりとして、「営業利益率」を重要な経営指標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


「TO PLAN 2026」に基づき、コア事業(流通、自動車、木材)を中心とした既存事業の安定化による業績回復と財務体質の改善を図っています。具体的には、コア事業での安定利益確保、有利子負債の圧縮と純資産の回復による財務良化、管理部門の効率化などを進めています。また、サステナブル経営の実現や、人材確保などの企業課題に対しグループ一体での解決を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を価値創造の源泉と位置づけ、成長のための育成と能力開発、社内環境の整備に取り組んでいます。また、ダイバーシティ促進として、雇用形態、年齢、性別にこだわらない採用活動を実施し、グループの持続的成長を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 42.6歳 12.6年 4,444,707円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 59.9%
男女賃金差異(正規) 59.8%
男女賃金差異(非正規) 43.3%


※男性労働者の育児休業取得率は該当者がいなかった等の理由により「-」としています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等リスク


流通、建設、不動産賃貸の各事業は、「大規模小売店舗立地法」や「建築基準法」などの法的規制を受けています。これらの規制により、計画通りの新規出店や増床、建築ができなくなった場合、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定取引先リスク


自動車関連事業において、日産自動車などの特定取引先と特約販売契約を締結しています。販売商品はこれら特定取引先から供給されるため、メーカー側の経営戦略や生産・供給状況の変動が、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 有利子負債依存リスク


店舗設備や賃貸用不動産の取得資金などを主に金融機関からの借入金で調達しているため、有利子負債への依存度が高い水準にあります。金利水準が上昇した場合には支払利息が増加し、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。