※本記事は、株式会社IKホールディングスの有価証券報告書(第45期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. IKホールディングスってどんな会社?
生協等の卸売と通販等の直接販売を柱とし、「ファンつくり」を追求するマーケティング企業です。
■(1) 会社概要
1982年にアイケイ商事として設立され、翌年から生協との取引を開始しました。1990年にアイケイへ社名変更し、2001年に日本証券業協会へ株式を店頭登録しました。2022年に持株会社体制へ移行して現在のIKホールディングスに社名を変更し、現在は韓国コスメの販売等にも注力しています。
従業員数は連結で177名、単体で28名体制です。大株主の構成は、筆頭株主が資産管理会社のAMで、第2位は創業者の飯田裕氏、第3位はアイケイ取引先持株会となっており、創業者と事業関係者を中心とした安定的な資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| AM | 15.64% |
| 飯田裕 | 2.35% |
| アイケイ取引先持株会 | 2.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は長野庄吾氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 長野庄吾 | 代表取締役社長 | 1995年同社入社。営業部部門長、営業統括等を歴任。2015年より現職。 |
| 飯田裕 | 取締役会長 | 1982年同社前身のアイケイ商事を設立。代表取締役社長やCEOを歴任し、2025年より現職。 |
| 高橋伸宜 | 常務取締役管理統括 | 2000年同社入社。管理部部門長、管理チームマネージャー等を経て、2012年より現職。 |
| 大庭崇彦 | 取締役監査等委員 | 監査法人トーマツを経て公認会計士事務所を設立。複数企業の役員を歴任し2024年より現職。 |
社外取締役は、山本あつ美(山本あつ美公認会計士事務所所長)、和田圭介(オリンピア法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ダイレクトマーケティング事業」「セールスマーケティング事業」および「その他」事業を展開しています。
■ダイレクトマーケティング事業
TVショッピングやインターネットショッピングを通じた商品の直接販売、および実店舗における韓国ブランドを中心とした化粧品の小売販売を行っています。ストック型(定期購入型)商品の展開に注力し、消費者ニーズを捉えた商品を直接提供しています。
収益源は、一般消費者に対する商品販売代金です。事業の運営は、親会社であるIKホールディングスのほか、化粧品販売を担うフードコスメ、ストック型事業等を承継したプライムダイレクトなどの子会社がそれぞれ専門的に行っています。
■セールスマーケティング事業
全国各地の生活協同組合(地域生協・職域生協)、通信販売会社、バラエティストアやドラッグストアなどの小売店舗、および海外企業を対象とした商品の卸売を行っています。特に生協ルートや韓国コスメの店舗向け卸売を強みとしています。
収益源は、事業法人や協同組合からの商品卸売代金です。事業の運営は、主に子会社であるアイケイが担っており、同社の収益基盤として、様々な販路を活用した幅広い商品の供給を推進しています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、非連結子会社に対する経営指導などの業務を行っています。
収益源は、非連結子会社からの経営指導料等です。運営は親会社であるIKホールディングスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は140億円から160億円台で推移しています。経常利益は2022年5月期および2023年5月期に赤字を計上しましたが、2024年5月期以降は黒字に転換し、2026年5月期は当期利益が大幅に拡大して収益性の改善が見られます。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 163億円 | 142億円 | 140億円 | 152億円 | 146億円 |
| 経常利益 | -3億円 | -2億円 | 3億円 | 4億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | -2.0% | -1.4% | 2.4% | 2.7% | 0.7% |
| 当期利益 | -1億円 | -5億円 | 1億円 | 0億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
2025年5月期と2026年5月期の損益構成を比較すると、売上高は微減となりましたが、営業利益は2億円を確保しています。売上総利益率は低下したものの、販売費及び一般管理費の削減により利益水準を維持しています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 152億円 | 146億円 |
| 売上総利益 | 62億円 | 55億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.9% | 37.6% |
| 営業利益 | 4億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.8% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が13億円(構成比24%)、運賃及び荷造費が11億円(同20%)を占めています。売上原価は91億円で、売上原価合計に対する構成比は100%です。
■(3) セグメント収益
ダイレクトマーケティング事業はTVショッピングや韓国コスメ店舗数の減少により減収となりました。一方、セールスマーケティング事業は、生協ルートや店舗ルートでの卸売が好調に推移し、増収に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益(2026年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイレクトマーケティング事業 | 40億円 | 28億円 | 0億円 | 0億円 | 1.6% |
| セールスマーケティング事業 | 112億円 | 117億円 | 10億円 | 9億円 | 7.3% |
| 調整額等 | 0億円 | 0億円 | -6億円 | -7億円 | - |
| 連結(合計) | 152億円 | 146億円 | 4億円 | 2億円 | 1.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.5%で市場平均を下回っています。なお、キャッシュ・フローの状況は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 3億円 |
| 投資CF | -0億円 | -1億円 |
| 財務CF | -2億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ファンつくり」を共通の経営理念として掲げており、事業の永続的な発展のために最も大切なものが顧客をファン化させることであると位置づけています。お客様をファン化させる重要な要素として「お客様立場主義」を追求し、商品やサービス、顧客対応などあらゆる面での実践を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念である「ファンつくり」を実践するために、思考と行動の指針を示した「IK WAY」を策定し、グループ全社員で共有しています。会議での読み合わせや経営者による定期的なライブ配信を通じて、事業活動のあらゆる場面で「お客様立場主義」を実践し、全役職員の共通価値観を形成する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、株主資本を効率的に活用して企業価値の向上を図ることを重要視しており、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標と位置づけています。
* ROE20%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、グループの企業価値最大化を目指し、「グループ経営改革会議」を設置して抜本的な成長戦略の再構築や組織再編を進めています。ダイレクトマーケティング領域におけるストック型商品への転換や、小売から卸売へのシフトを図り、事業ポートフォリオマネジメントを通じて新たな収益基盤の確立に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、企業価値の持続的向上において人材育成が最重要であると考え、新卒・中途を問わず新入社員を手厚くサポートする「里親」制度を導入しています。また、将来の経営者を計画的に育成する「ベビーボードメンバー」「ジュニアボードメンバー」制度や、社員のライフステージに合わせた柔軟な働き方等の環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 37.4歳 | 8.6年 | 5,791,760円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | - |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、自社開発商品のグリーン化比率(20.6%)、女性社員の比率(70%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 広告宣伝費の増加による影響
ダイレクトマーケティング事業およびセールスマーケティング事業では、TVインフォマーシャルや商品カタログを通じて販売促進を行っています。放映料の上昇や紙の取引価格の高騰などにより一定の広告宣伝費が増加した場合、同社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
■(2) 韓国ブランドの化粧品販売に関するリスク
韓国ブランドの化粧品販売は、ブランドホルダーである韓国企業との販売代理店契約等に基づいて展開されています。当該契約の更新がなされなかった場合や、契約の解約等により事業継続が困難になった場合には、同社グループの事業展開や業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 海外事業活動に関するリスク
同社グループは香港に販売子会社を有し、海外ルートでの事業展開を行っています。現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生した場合には、事業活動に支障をきたし、同社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 特定販路への依存と動向による影響
セールスマーケティング事業において、生活協同組合ルートの売上比率が40%を超えており、高いシェアを占めています。今後の生活協同組合の無店舗販売事業への取り組み方針や組合員数の増減といった動向によっては、同社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。



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