※本記事は、株式会社プロパスト の有価証券報告書(第39期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. プロパストってどんな会社?
同社は首都圏エリアにおいて、独自のデザイン力と企画力を強みとした分譲マンション、賃貸マンションの開発および中古収益物件の再生(バリューアップ)を行う企業です。
■(1) 会社概要
同社は1987年に株式会社フォレスト・アイとして設立され、1991年に現社名へ変更しました。2006年にジャスダック証券取引所へ上場を果たし、その後、2015年には賃貸開発マンションシリーズの販売を開始するなど事業を拡大しました。2022年の市場区分再編に伴い、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。
現在、従業員数は41名(単体)で、少数精鋭の体制をとっています。筆頭株主は、不動産関連事業を展開する事業会社のシノケングループであり、第2位は金融仲介業務を行う上田八木短資です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| シノケングループ | 36.94% |
| 上田八木短資 | 2.09% |
| ジュポンインターナショナル | 1.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は津江真行氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 津江 真行 | 代表取締役社長 | 三菱UFJ信託銀行を経て、2004年に同社入社。取締役総務部長、副社長CFOなどを歴任し、2009年2月より現職。 |
| 都倉 茂 | 取締役専務執行役員統括本部長 | 熊谷組を経て、2002年に同社入社。設計部長、事業本部長などを経て、2023年3月より現職。 |
| 矢野 義晃 | 取締役常務執行役員管理本部長兼経営企画部長 | 三菱UFJ信託銀行を経て、2006年に同社入社。経営企画部長、管理本部長などを経て、2023年3月より現職。 |
社外取締役は、玉置貴史(シノケングループ代表取締役社長)、萩原浩二(弁護士)、三浦義明(シノケンハーモニー代表取締役社長)、田下宏彰(小川建設代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「分譲開発事業」「賃貸開発事業」「バリューアップ事業」および「その他」事業を展開しています。
■分譲開発事業
首都圏エリアを中心に、同社の強みである企画力・デザイン力を活かした分譲マンションを開発し、主に単身者層やパワーカップルを対象に販売しています。土地の特性や周辺環境を考慮した独立したコンセプトによる空間デザインが特徴です。
収益は、開発した分譲マンションを個人の実需層等へ販売することで得られる売上代金が主となります。運営は主に同社が行っています。
■賃貸開発事業
首都圏エリアの駅近など利便性の高い土地を取得し、中規模かつ中低層の賃貸マンションを開発します。デザイン性の高い物件を国内外の富裕層や投資ファンド等へ一棟販売しています。
収益は、開発した賃貸マンションを投資家やファンドへ売却することで得られる売上代金です。運営は主に同社が行っています。
■バリューアップ事業
首都圏エリアを中心に中古の収益ビル等を取得し、改修やリーシングを通じて収益性を向上させ、新たな付加価値を生み出した上で売却するビジネスです。
収益は、バリューアップを施した不動産を国内外の富裕層等へ売却することで得られる売上代金です。運営は主に同社が行っています。
■その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、不動産業務受託事業などを行っています。
収益は、不動産関連業務の手数料等が該当します。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間において、売上高は着実に増加傾向にあります。特に直近の2025年5月期は売上高278億円に達し、経常利益も28億円と過去最高水準を更新しました。利益率は10%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 189億円 | 177億円 | 200億円 | 233億円 | 278億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 17億円 | 21億円 | 26億円 | 28億円 |
| 利益率(%) | 6.9% | 9.6% | 10.5% | 11.1% | 10.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9.2億円 | 11億円 | 16億円 | 18億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率は若干低下したものの、営業利益額は増加しており、増収効果が利益拡大に寄与しています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 233億円 | 278億円 |
| 売上総利益 | 47億円 | 51億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.3% | 18.3% |
| 営業利益 | 31億円 | 33億円 |
| 営業利益率(%) | 13.1% | 12.0% |
販売費及び一般管理費のうち、その他販売経費が6億円(構成比32%)、従業員給与及び賞与が5億円(同29%)を占めています。売上原価においては、土地取得費が49%、建築費が28%を占めています。
■(3) セグメント収益
賃貸開発事業とバリューアップ事業が売上・利益の柱となっています。特にバリューアップ事業は売上高・利益ともに大幅に伸長しました。一方、分譲開発事業は引渡物件がなく、売上高はゼロとなりました。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) | 利益(2024年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 分譲開発事業 | 38億円 | 0億円 | 4.4億円 | -0億円 | 0.0% |
| 賃貸開発事業 | 172億円 | 180億円 | 35億円 | 33億円 | 18.2% |
| バリューアップ事業 | 23億円 | 98億円 | 3.5億円 | 13億円 | 13.5% |
| その他 | 0億円 | 0.1億円 | -13億円 | -13億円 | -11636.4% |
| 連結(合計) | 233億円 | 278億円 | 31億円 | 33億円 | 12.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスの「改善型」です。本業で得たキャッシュと資産の効率化等により借入金の返済を進め、財務体質の改善を図っている状態といえます。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -19億円 | 76億円 |
| 投資CF | 0.8億円 | 0.5億円 |
| 財務CF | -4.8億円 | -41億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、不動産を付加価値を高める素材として捉え、周囲の状況や経済状態に応じた最高レベルの企画を施すことで、最も高い価値を実現できる方法で「作品」を提供することを経営方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員が体現すべき要素を「タクティクス」と呼び、「解析力」「創造デザイン力」「高品質実現力」「プレゼンデザイン力」「建築監理・アフター対応力」の5つを「プロパストイズム」と定義しています。これらを体現できる人材の育成を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、強固な財務基盤の確立を目標として掲げており、具体的な経営指標として以下を設定しています。
* 自己資本比率40%以上の安定した資本確保の継続
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、分譲開発、賃貸開発、バリューアップの3事業をバランス良く組み合わせることで事業展開を図る方針です。物件取得においては立地や価格を厳選し、財務面では借入金の過度な増加を抑制しつつ収益拡大による自己資本比率の向上を目指し、安定的な財務基盤の確立に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「プロパストイズム」を体現できる従業員の育成を目指し、社内プログラムを充実させています。また、働きがいと働きやすさの両立を重視し、報奨金制度の整備や、トップクラスのホテル視察などを通じた感性の磨き込みを実施することで、最高レベルの「作品」提供につなげる方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 40.4歳 | 8.6年 | 11,880,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況及び不動産市況の影響
同社の業績は、地価の変動、需要の動向、金利水準などの経済状況や不動産市況の影響を受ける可能性があります。特に金利上昇に伴う需要低下懸念や建築費の上昇はリスク要因となります。
■(2) 売上計上時期の集中
同社は物件の引渡し基準で売上を計上しているため、引渡し時期によっては特定の期間に売上が集中する可能性があります。また、予定していた引渡しが翌期にずれ込むことで、業績に変動が生じるリスクがあります。
■(3) 販売用不動産等の評価損・売却損
同社が保有する販売用不動産について、景気や地価の動向、テナント需要の変化などにより、評価損や売却損が発生する可能性があります。これにより業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
■(4) 資金調達について
用地取得や建築費等の資金調達において、金融機関からの融資が計画通りに実行されない場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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