※本記事は、株式会社ドーン の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月21日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ドーンは情報サービス事業を展開しており、地理情報システム構築用ソフトウェアのライセンス販売やアプリケーションの受託開発を行っています。また、「安心・安全」をテーマに、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等に関するクラウドソリューションを提供し、業務の高度化を支援しています。
単体従業員数は66名です。同社は情報サービス事業の単一セグメントで事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ドーンは、専門性の高い技術を活かし、社会の安心・安全に貢献する事業を展開しています。社員が働きがいを感じ、会社とともに成長できる環境づくりに力を入れており、安定した環境で専門スキルを磨きたいと考える方にとって魅力的な会社と言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数も比較的長く、人材が定着しやすい傾向が見られます。専門性の高い分野でキャリアを築きながら、長期的に働くことを検討している方にとって、安定した環境が期待できるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,107,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.5年 |
| 平均年齢 | 37.8歳 |
| 単体従業員数 | 66人 |
同社は確定拠出型の退職給付制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しており、特定退職金共済制度に加入しています。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ドーンは「未来の人々が安心して暮らせる社会の実現」をビジョンに掲げ、社会に必要不可欠な存在となる“エッセンシャルカンパニー”を目指しています。その実現に向け、第2次中期経営計画では「人財基盤の強化」を重要施策の一つとし、継続的な職場環境や社内制度の改善を通じて、高度専門職の人員確保と従業員満足度の向上を図っています。
給与やその他の給付については、年度予算や市場水準に加え、業務成果、技能・技術力、品質への貢献度を総合的に勘案し、適正な報酬水準の確保に努めています。公正で納得性のある評価制度の運用を通じて、従業員の能力や貢献に応じた処遇を行い、賞与は会社全体の業績と個人の実績を総合的に勘案して決定されます。
また、社員が性別を問わず働きがいや仕事の創造性を実感し、会社とともに成長し合える職場環境や社内制度(教育・処遇等)の充実にも力を入れています。具体的には、資格取得支援規程を定め、高い技能を有する人材の確保・定着を促進し、品質、生産性、顧客満足度の向上を目指しています。さらに、フラットなコミュニケーションを推進し、事業活動がサステナビリティに貢献することへの社員の共感を高め、組織文化として浸透させる取り組みも行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、法定開示データは記載を省略しています。
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員に占める女性の割合 | 31.8% |
育児・介護支援
(注)「-」は、対象となる従業員がないことを示しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員の育児休業取得率 | - |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員の一月あたりの平均残業時間 | 18.3時間 |
| 年次有給休暇取得率 | 65.9% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社は、地理情報システム(GIS)関連のソフトウェア開発・提供を主軸とする情報サービス企業です。官公庁や社会インフラを支える企業を主な顧客とし、社会の「安心・安全」に貢献するソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、地理情報システム構築用ソフトウェアのライセンス販売や、地理情報システムに係るアプリケーションソフトウェアの受託開発を創業期から継続しています。近年では、地理情報に関連づけた各種クラウドサービス(SaaS)の開発・提供に注力し、事業の中核をシフトさせています。
主な顧客は警察、消防、自治体防災、社会インフラ保全等の官公庁であり、これらの業務高度化を実現する独自のクラウドソリューションを展開しています。収益モデルは、サービス開始前の環境構築費用(初期構築費)と、サービス提供期間中に継続的に受領する月額利用料から構成されるクラウドサービスが中心です。また、電力事業者の設備管理システムや、警察業務に関するオンプレミス環境でのシステム開発・保守も手掛けています。
同社は情報サービス事業の単一セグメントであり、本邦以外の外部顧客への売上高はありません。直近の売上高は、ストック型売上であるクラウド利用料が順調に増加し、ライセンス販売も消防防災を中心に新規・更新受注が増加しました。一方で、前事業年度に大型のSI初期開発売上があった反動により、一部減少要因もみられました。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特にクラウド利用料の増加やライセンス販売の新規・更新受注が売上高を押し上げ、利益面でも人件費等の増加を上回る成長を見せています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の平均年間給与は7,107,000円であり、前事業年度から5.6%増加しています。従業員の平均勤続年数は8.5年、平均年齢は37.8歳となっています。これらの数値は、同社が従業員の報酬水準を向上させながら、安定した組織運営を行っていることを示しています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業で安定的に資金を創出し、財務基盤を強化しながら事業活動を行っています。将来に向けた投資も継続的に実施している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が89.4%と高い水準を維持しています。これはプライム市場の平均と比較しても強固な財務体質を示しています。手元資金である現金及び現金同等物も10.1億円と潤沢であり、事業運営における安定性がうかがえます。このような財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 27.5億円 | 29.9億円 |
| 自己資本比率 | 89.5% | 89.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 7.3億円 | 10.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは6.5億円の獲得となりました。これは前事業年度と比較して増加しています。投資活動によるキャッシュフローは△1.1億円の支出となっており、定期預金の預け入れや投資有価証券の取得など、将来に向けた投資を行っていることが示されます。
財務活動によるキャッシュフローは△2.7億円の支出であり、自己株式の取得や配当金の支払いが行われています。結果として、フリーキャッシュフローは5.5億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社が安定した事業運営を継続し、従業員の雇用や給与の安定性を支える基盤となっていることを示しています。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.0億円 | 6.5億円 |
| 投資CF | 1.2億円 | △1.1億円 |
| 財務CF | △3.8億円 | △2.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.2億円 | 5.5億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、地方自治体等の官公庁を主要顧客としており、公共市場への依存度が高い状況です。地方自治体の財政状態の悪化や政府の重点施策の変更が、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、売上高の52.3%を占めるクラウド利用料のうち、「NET119緊急通報システム」の割合が大きい状態です。特定のサービスへの依存度が高い状態が続くため、他社の同様のシステムへの切り替えや他の方式のシステムが採用された場合、契約数が減少し業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
情報サービス業界ではIT人材の確保が厳しい状況であり、同社も優秀な人材の獲得に努めています。しかし、必要な人材の獲得ができなかった場合や優秀な従業員の退職が発生した場合には、製品・サービスの開発遅延や売上の未達、採用・教育に伴う経費増加などにより、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ドーンは、社会課題の解決と新しい価値の創造を使命とし、未来の人々が安心して暮らせる社会の実現を目指す企業です。社員の情熱を大切にし、社会に必要不可欠な存在となることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ドーンは、「社会課題に挑戦し新しい価値を創造する」を使命としています。この使命を果たすための大切な価値観として、「“なぜ誰も思いつかなかったのか”をカタチに」を掲げています。ユーザーや社会の新しい課題と真剣に向き合う社員の情熱を表現するものです。
同社は、上記の使命の遂行を通じて目指す姿(ビジョン)として“エッセンシャル カンパニー”を宣言しています。未来の人々が安心して暮らせる社会の実現に向け、新世代のクラウドアプリケーションを多角的に提供することで、時代を変える新しい価値を創造し、“社会に必要不可欠な存在”となることを決意しています。
経営方針としては、位置情報などから収集・分析されるデータと関連づけた情報システム分野で最先端の技術と信頼性のある製品・サービスを提供することを目指しています。また、技術力・販売力を持つ企業との提携や共同展開により、新事業の開拓を積極的に進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ドーンは、企業理念の価値観として「“なぜ誰も思いつかなかったのか”をカタチに」を掲げ、ユーザーや社会の新しい課題と真剣に向き合う社員の情熱を大切にしています。法令を遵守し、公正かつ透明性の高い企業経営に努めることを経営方針としています。
同社は2025年4月に「SDGs宣言書」を公表し、持続可能な開発目標の達成を全社員の共通認識として捉えています。特に優先して取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として、「安心・安全な社会の実現」「環境への配慮」「働きやすい職場環境」「情報セキュリティと個人情報の保護」の4つを特定しています。
社員が性別を問わず働き甲斐や仕事の創造性を実感し、会社とともに成長し合える職場環境や社内制度の充実を図っています。また、事業活動そのものがサステナビリティに対するポジティブなインパクトにつながることへの社員の共感を高め、組織文化として浸透させていくためのフラットなコミュニケーションを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ドーンは、第2次中期経営計画の実現に向けた重点施策として、社内体制強化とクリエイティブ人財育成に取り組んでいます。IT人材の獲得競争が激化する中で、採用コンテンツの充実やカジュアル面談の実施を通じて採用活動を強化しています。
また、企業型DC制度の導入により、社員が安心して働ける職場環境の構築を進めています。社内制度(教育・処遇等)を充実させることで、多様な人財の確保を図っています。
さらに、AIを活用したクラウドサービスの展開やM&A・事業提携によるシナジー創出も重点テーマです。同社のクラウドソリューションにAIをはじめとする先進技術を融合させ、社会課題解決に資する新たなサービスや事業機会の創出に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ドーンは監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を持つことで、監査・監督機能の強化を図っています。取締役会は、業務執行取締役と監査等委員である社外取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ドーンの筆頭株主は代表取締役社長の宮崎正伸氏であり、個人株主が上位に複数名を占めています。また、事業会社や投資事業有限責任組合も主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 宮 崎 正 伸 | 7.75% |
| ディキャピタル | 7.39% |
| 近 藤 浩 代 | 6.85% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.53% |
| サンセイエンジニアリング | 4.68% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性4名・女性2名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は宮崎正伸氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮崎 正伸 | 代表取締役社長 | 1993年4月株式会社オービック入社、1998年9月同社入社、2009年10月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 岩田 潤 | 取締役兼管理部長 | 1992年10月青山監査法人入所、2001年9月岩田公認会計士事務所所長就任、2022年6月同社取締役兼管理部長就任より現職。 |
| 品川 真尚 | 取締役兼営業統括部長 | 1995年4月日本電信電話株式会社入社、2000年9月同社入社、2016年8月同社取締役兼営業統括部長就任より現職。 |
社外取締役は、三木相煥氏(絆コーポレーション代表取締役・監査等委員)、吉田郁子氏(エクスリンク法律事務所パートナー・監査等委員)、辰巳八栄子氏(辰巳公認会計士事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役が取締役会での議決権を持つことで、監査・監督機能の強化を図っています。監査等委員は全員が独立社外取締役で構成されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ドーンの役員報酬は、優秀な人材の確保と中長期的な企業価値向上への貢献意欲を高めることを目的として設計されています。報酬体系は、毎月定額で支給される現金報酬と、企業価値向上へのインセンティブを目的とした譲渡制限付株式の付与による株式報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 1.1億円 | 35.3百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 9百万円 | 3.1百万円 |
なお、取締役の報酬等の総額には、従業員兼務役員の従業員分給与は含まれていません。非金銭報酬等は、譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額を記載しています。
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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