毎日コムネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

毎日コムネット 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場する同社は、学生向け賃貸住宅の開発・管理を行う不動産ソリューション事業と、合宿手配や就職支援を行う学生生活ソリューション事業を展開しています。2025年5月期の連結業績は、売上高223億円、経常利益24億円で増収増益となり、過去最高益を更新しました。


※本記事は、株式会社毎日コムネット の有価証券報告書(第47期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 毎日コムネットってどんな会社?

学生向け賃貸住宅の開発・管理と学生生活支援を主軸に、不動産・旅行・人材の3領域で事業を展開する企業です。

(1) 会社概要

同社は、1979年4月にトラベル・ドウ・インターナショナルとして設立され、当初は旅行業からスタートしました。1994年10月に学生マンション事業を開始し、現在の主力事業の基盤を築きました。1999年12月には人材ソリューション部門を開始。2004年12月にジャスダック証券取引所に上場し、事業領域を拡大しています。

現在、同社グループは連結従業員数258名、単体150名の体制で運営されています。筆頭株主は資本業務提携先であるKJホールディングス(河合塾グループ)で、第2位は創業者で会長の伊藤 守氏、第3位は創業者で専務取締役の原 利典氏となっており、創業メンバーと提携先企業が主要株主となっています。

氏名 持株比率
KJホールディングス 24.46%
伊藤 守 12.89%
原 利典 12.89%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性2名(亀﨑未樹子氏、木内千登勢氏)の計13名で構成され、女性役員比率は15.4%です。代表取締役社長は小野田 博幸氏が務めています。取締役9名のうち3名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
小野田 博幸 代表取締役社長 1996年同社入社。管理部門を歴任し、毎日コムネットレジデンシャル等のグループ会社代表を経て2022年より現職。
伊藤 守 取締役会長 1979年同社設立と共に代表取締役社長に就任。長年にわたり経営を牽引し、2022年より現職。
原 利典 専務取締役 1979年同社設立に参画。事業部門を統括し、ワークス・ジャパン取締役などを兼任。2022年より現職。
山下 敬司 専務取締役 リクルート、リクルートコスモス等を経て1998年同社入社。学生寮運営会社代表などを経て2022年より現職。
西 孝行 常務取締役 1984年同社入社。学生マンション事業等の不動産部門を長く担当し、毎日コムネットグリーン電力社長を兼任。
坂東 嘉人 取締役 みずほ信託銀行常務執行役員、河合塾グループ役員等を経て、2021年より現職。


社外取締役は、中島 護(元りそな銀行千葉支店長)、宮田 悦雄(元JTBフォト代表取締役社長)、亀﨑 未樹子(亀﨑公認会計士・税理士事務所代表)です。

2. 事業内容

同社グループは、「不動産ソリューション事業」および「学生生活ソリューション事業」を展開しています。

(1) 不動産ソリューション事業

当事業は、学生向け賃貸住宅の開発、運営管理、および自然エネルギー発電事業で構成されています。デベロップメント部門では不動産オーナーへの有効活用コンサルティングや自社開発を行い、マネジメント部門では学生の入居募集や物件管理、入居予約システムの提供を行います。エネルギーマネジメント部門では太陽光発電事業を展開しています。

収益は、開発コンサルティング手数料、不動産売却益、サブリースによる家賃差額、管理受託報酬、入館金、仲介手数料、および売電収入から成ります。運営は、主に毎日コムネットが開発を、毎日コムネットレジデンシャル等が管理を、毎日コムネットグリーン電力が発電事業を行っています。

(2) 学生生活ソリューション事業

当事業は、学生の課外活動支援と就職支援を行っています。課外活動ソリューション部門では、大学サークルの合宿・研修旅行の手配やスポーツ大会等のイベント企画・運営を行います。人材ソリューション部門では、新卒採用支援として企業向けコンサルティングや就職セミナーの開催、採用システムの提供を行っています。

収益は、旅行商品の販売代金や手数料、イベント運営費、採用プロモーションツールの制作費、採用支援システムの利用料などから得ています。運営は、主に毎日コムネットが旅行・イベント事業を、ワークス・ジャパンが人材関連事業を行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は第43期から第47期にかけて着実な増加傾向にあり、特に直近の第47期には220億円を超えています。経常利益も同様に増加基調で推移しており、第47期には約24億円を記録しました。利益率も8%台後半から10%台後半へと改善しており、当期利益も増加傾向を維持しています。全体として右肩上がりの成長が続いています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 170億円 189億円 212億円 208億円 223億円
経常利益 15億円 17億円 21億円 22億円 24億円
利益率(%) 8.6% 9.0% 9.8% 10.7% 10.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 7億円 10億円 11億円 12億円

(2) 損益計算書

売上高は前期の208億円から223億円へ増加し、売上総利益も64億円から68億円へと増加しました。売上総利益率は約30%台前半で安定して推移しています。営業利益も23億円から25億円へ増加し、営業利益率は11%台を維持しています。増収効果により各利益段階で前年を上回る結果となっています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 208億円 223億円
売上総利益 64億円 68億円
売上総利益率(%) 30.6% 30.5%
営業利益 23億円 25億円
営業利益率(%) 11.0% 11.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比35%)、賞与引当金繰入額が3億円(同7%)を占めています。売上原価においては、不動産賃貸原価(借上賃料、維持管理費等)が112億円(構成比81%)、販売用不動産等のその他売上原価が26億円(同19%)となっています。

(3) セグメント収益

主力である不動産ソリューション事業は、売上高が前期比で増加し、利益も順調に伸長しました。学生生活ソリューション事業も売上高が増加し、利益を確保していますが、利益率は不動産事業と比較すると低い水準です。全社費用等の調整額が利益を押し下げていますが、全体として両セグメントともに黒字を維持し、連結業績の向上に寄与しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
不動産ソリューション事業 167億円 178億円 28億円 31億円 17.6%
学生生活ソリューション事業 41億円 44億円 4.0億円 3億円 7.3%
調整額 - - -9億円 -9億円 -
連結(合計) 208億円 223億円 23億円 25億円 11.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

毎日コムネットは、不動産ソリューション事業における開発資金を主に金融機関からの借入で調達しています。

同社は、営業活動を通じて堅調な資金獲得を実現しており、これは事業活動が順調に進んでいることを示唆しています。一方で、将来の成長に向けた設備投資や資産取得のために、投資活動では一定の資金を使用しています。財務活動では、借入による資金調達と返済、配当金の支払いなどが行われ、資金調達と株主還元とのバランスを図っています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 14億円 24億円
投資CF -6億円 -10億円
財務CF 1億円 0.7億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは「ワンストップ・ソリューション」を企業コンセプトとし、不動産・旅行・人材の3つの事業領域を通じて、日本の未来を担う若者と、彼らを応援する大学・企業等の社会をつなぎ、新たな価値を創造することで、将来にわたり地域経済や社会に貢献することを経営ビジョンとして掲げています。

(2) 企業文化

同社は、創業50周年を迎える2029年に向け、「社会と共存し、つぶれない・つぶさない経営で100年持続可能な企業」を目指す姿としています。サステナビリティやESG経営を重視し、人的資本の最大化に取り組むとともに、法令遵守や透明性の確保といったコーポレート・ガバナンスの強化も重要視しています。

(3) 経営計画・目標

同社は2024年5月期を初年度とする「中期経営計画(2024~2029)」を策定しており、最終年度である2029年5月期において以下の定量目標を掲げています。
* 連結売上高 300億円
* 連結営業利益 31億円
* 連結経常利益 30億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益 20億円

(4) 成長戦略と重点施策

不動産ソリューション事業では、既存事業の拡大に加え、単身社会人向け物件開発などの領域拡大・変革を進めます。学生生活ソリューション事業では、課外活動の活性化やDX化による効率化、人事コンサルティングの強化を図ります。また、全社的にはESG経営や人的資本の最大化に取り組み、地方都市での物件開発やDXによる差別化も推進します。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は「中期経営計画」において、人的資本の最大化を基本方針の一つとしています。社員エンゲージメントの向上、働きがいのある環境づくり、リスキルの習得支援を掲げ、自律的なキャリア形成機会の提供や、多様な人材の登用、評価基準の明確化などを進めています。次世代リーダー育成のための研修制度なども導入しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 36.5歳 10.9年 6,425,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社および連結子会社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※女性管理職比率は連結子会社であるワークス・ジャパンの実績です。同社および連結子会社は、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(82.4%)、役職者における女性比率(23.8%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産ソリューション事業の運営リスク

サブリース契約において、空室発生時でもオーナーへ定額家賃を支払う必要があるため、長期間かつ大量の空室発生は業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、入居者募集は反響型営業であるため、反響数が予想を下回った場合や、開発における工事遅延等が発生した場合も業績への影響が懸念されます。

(2) 経営成績の季節変動性

不動産マネジメント部門は入居シーズンである第4四半期に、人材ソリューション部門は採用活動開始時期である第3・第4四半期に売上が集中する傾向があります。このため、第2四半期までの利益が小さくなる、あるいはマイナスとなる可能性があります。また、販売用不動産の売却時期によっても四半期業績が大きく変動する場合があります。

(3) 少子化の影響

18歳人口の減少が続く中、現在は大学進学率の上昇等により大学生数は安定していますが、想定を超えて学生人口が急激に減少した場合には、対象顧客層の縮小により業績に大きな影響を与える可能性があります。同社は中期的なスパンでの影響は少ないと考えていますが、長期的なリスク要因として認識しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。