※本記事は、サイバーステップ株式会社 の有価証券報告書(2025年5月期、2024年6月1日 ~ 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サイバーステップは、オンラインゲーム事業とエンターテインメント事業を展開しています。自社開発のオンラインゲームを国内外で展開するほか、劇場映画やアニメーションの音響制作、声優プロダクション運営、VTuber活動支援など、多角的なコンテンツ事業を手掛けています。
単体従業員数は177名、連結従業員数は196名です。セグメントはオンラインゲーム事業、エンターテインメント事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ONKN(エンターテインメント事業)、(連結子会社)サイバーステップベンチャーズ、(連結子会社)サイバーステップノヴァ(中間持株会社)などです。
同社グループは当連結会計年度において、株式会社ONKN、サイバーステップベンチャーズ、サイバーステップノヴァを新たに設立し連結範囲に含めました。一方で、BloomZ Inc.とその子会社を連結範囲から除外しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サイバーステップは、オンラインゲーム事業を主軸とする企業です。同社グループでは、ゲーム開発・運営の専門性を活かし、事業の多角化を進めています。働く環境としては、専門性の高い人材の育成と中途採用に力を入れている点が特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
サイバーステップでは、従業員の平均年齢が30代半ばであり、比較的若い世代が中心となって活躍している傾向が見られます。平均勤続年数も一定の水準を保っており、長期的なキャリア形成が可能な環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,013,181円 |
| 平均勤続年数 | 8.8年 |
| 平均年齢 | 35.1歳 |
| 単体従業員数 | 177人 |
| 連結従業員数 | 196人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.3% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
サイバーステップは、従来のゲーム開発・運営に加え、事業の多角化を進めています。これに伴い、サービスタイトルの広告宣伝や海外志向のあるグローバルな分野で専門性を持つ人材の育成と中途採用を人材育成方針としています。また、働く価値観の変化に対応し、働きがいのある環境を整備するため、時短勤務などの育児と仕事の両立支援に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 78.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 96.3% |
多様性・登用
指標に関する目標および実績は、提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率目標 | 50.0% |
育児・介護支援
指標に関する目標および実績は、提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率目標 | 50.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サイバーステップグループは、オンラインゲーム事業とエンターテインメント事業の二つのセグメントを主軸に事業を展開しています。自社開発のオンラインゲームのライセンス供与や自社運営サービスを通じて収益を得るほか、映像作品の音響制作やタレントマネジメントも手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、オンラインゲーム事業を主力としており、エンターテインメント事業も展開しています。オンラインゲーム事業は、海外の運営会社へのライセンス供与と、同社グループによる自社運営サービスの二つの形態で収益を得ています。エンターテインメント事業では、映像作品の音響制作や声優タレントのプロダクション運営、VTuber活動支援など多角的な活動を行っています。
オンラインゲーム事業
同社グループが自社開発したオンラインゲームを海外の運営会社にライセンス供与し、運営権を与えることで契約金やロイヤリティーを徴収しています。また、日本国内、北米地域、台湾・香港・マカオ地域において、同社グループが直接ユーザーにオンラインゲームサービスを提供する自社運営サービスも展開しています。収益は、ユーザーからの課金収入やロイヤリティー収入から得ています。
エンターテインメント事業
劇場映画やアニメーション等の映像作品における音響制作の受注、製作委員会への出資による収益分配、声優タレントのプロダクション運営・管理を行っています。近年では、VTuberとしての動画制作を含む活動支援やキャラクターIPを使用したコンテンツ制作にも注力しており、動画配信プラットフォーム上での広告収益も主な収入源となっています。収益は、音響制作やその他コンテンツ制作等から得ています。
同社グループの売上高は、日本、アジア、北米の各地域から得られており、海外市場への展開も積極的に推進していることがうかがえます。また、PayPal Pte. Ltd.、Apple Inc.、Google LLC、ソフトバンク・ペイメント・サービス㈱といった特定の顧客からの売上高が一定の割合を占める傾向にあります。
| セグメント | 売上高(2024年5月期) | 売上高(2025年5月期) |
|---|---|---|
| オンラインゲーム事業 | 28.0億円 | 22.0億円 |
| エンターテインメント事業 | 1.8億円 | 3.1億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあり、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は継続して損失を計上しています。特に直近の連結会計年度では、売上高の減少幅が大きく、損失額も拡大しています。オンラインクレーンゲーム市場での競争激化や、新規事業における売上強化の難航が影響していると説明されています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 122億円 | 74.2億円 | 40.6億円 | 29.9億円 | 25.0億円 |
| 経常利益 | △9.2億円 | △14.9億円 | △12.6億円 | △15.2億円 | △19.2億円 |
| 経常利益率 | △7.6% | △20.1% | △30.9% | △50.9% | △76.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △11.6億円 | △21.0億円 | △13.8億円 | △14.6億円 | △16.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △147.00 | △258.98 | △126.98 | △122.34 | △110.71 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期と比較して増加しています。これは、従業員数の減少が進む中で、売上高の減少幅が従業員数の減少幅を下回ったことを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期に引き続き損失を計上しており、損失額は拡大しています。
| 指標 | 2024年5月期(前期) | 2025年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 11.3百万円 | 12.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △5.5百万円 | △9.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サイバーステップの財務状況は、事業活動による資金流出が続いている状況を示しています。これは、今後の事業展開や雇用安定性を検討する上で重要な情報となります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
サイバーステップの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少しているものの、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準を維持しています。しかし、ROE(自己資本利益率)は大幅なマイナスとなっており、収益性には課題が見られます。手元資金である現金及び預金も前期から大きく減少しており、資金繰りには注意が必要です。これらの状況は、今後の事業運営や雇用環境に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2024年5月期(前期) | 2025年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.5億円 | 5.5億円 |
| 自己資本比率 | 54.6% | 47.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △199.6% |
| 現金及び預金 | 9.0億円 | 2.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
サイバーステップのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期も前期に引き続きマイナスとなっています。その減少幅は前期よりも拡大しており、事業活動による資金流出が続いている状況です。投資活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスから当期はプラスに転じていますが、これは投資有価証券の取得や出資金の払い込みによる支出があった一方で、信託預金の減少による収入があったことによるものです。財務活動によるキャッシュフローは、株式の発行や新株予約権の行使による収入が増加し、前期から大きくプラスに転じています。これは資金調達を積極的に行っていることを示しています。営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期も前期に引き続きマイナスであり、資金の流出が続いている状況です。このような資金繰りの状況は、今後の雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2024年5月期(前期) | 2025年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △14.4億円 | △20.5億円 |
| 投資CF | △60百万円 | 19百万円 |
| 財務CF | 82百万円 | 19.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △15.0億円 | △20.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
サイバーステップは、当連結会計年度において重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、営業活動によるキャッシュフローもマイナスとなっています。これにより資金繰りに重要な懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。同社グループは財務基盤の安定と収益性の改善に向けた施策に取り組んでいます。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、オンラインクレーンゲーム市場における競争激化により、利用者の獲得・維持が難化している状況です。また、売上高に占める海外売上高の比率が37%であり、為替レートの変動が経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。海外ライセンス供与先の事業環境の変化も、同社グループの経営成績に影響を与えるリスクとして認識されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、オンラインゲームの企画・開発・製品化において、プログラマー、デザイナー、プランナー等の優秀な人材の確保が必須であると認識しています。近年の労働市場の変化により、計画通りに専門性を持つ多様な人材を確保できない場合、事業拡大や新規事業開発に支障が生じる可能性があります。同社グループは、人材育成の強化や優秀な人材の採用に努めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サイバーステップは、エンターテイメントを通じて世界中に楽しさを提供することを目指しています。自社開発・自社サービスを強みとし、積極的な事業拡大と収益性向上を通じて企業価値を高めることを基本方針としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サイバーステップグループは、「世界中を楽しくするエンターテイメントを世に送り出す」という理念を掲げています。研究開発を核とし、多角的なタイトル展開、多国展開、マルチプラットフォーム対応を進めています。
自社開発・自社サービスという強みを最大限に活かし、新規タイトルの迅速な提供体制を確立しています。積極的な開発と事業拡大、収益性の確保・向上に努め、企業価値を高めることでユーザーやステークホルダーの満足度向上と信頼構築を目指しています。
同社グループは、得意とする3Dオンラインゲームに加え、斬新な発想と独自の開発力を活かした新たなジャンルのゲームを提案しています。グローバルなオンラインゲーム業界の変化に適応し、海外市場にも通用するゲームタイトルの開発・運営に取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
サイバーステップグループは、自社開発・自社サービスを強みとし、迅速なサービス提供と積極的な開発・事業拡大を重視しています。斬新な発想力と独自の開発力を活かし、新たなジャンルのゲーム提案に取り組むカルチャーがあります。
同社グループは、中長期的な企業価値向上においてサステナビリティに関する取り組みを重要な経営課題と認識しています。取締役会による監督のもと、審議・決議を実施する体制です。
従業員の多様性、人格、個性を尊重し、安全で働きやすい環境の確保を目指しています。性別・国籍・在籍年数にかかわらず、ポジションに最適な人材を登用することを基本としています。働きがいのある環境整備のため、時短勤務などの育児と仕事の両立支援にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
サイバーステップグループは、事業の安定化のため、常に新しいゲームタイトルの開発を複数同時並行で行える体制構築を課題としています。これにより、リリース期間の短縮と収益の安定化を目指しています。
また、新たなテクノロジーを有する企業との戦略的連携や、自社ヒットタイトルと掛け合わせた新規タイトルの開発を通じて、市場拡大が見込まれる事業領域での早期収益化を図る方針です。
人的資源の確保も重要な課題であり、ゲーム開発プランナー、プログラマー、デザイナー、ネットワーク技術者、ゲームマスター、マーケティング担当者、管理者等の優秀な人材確保に注力しています。オンラインゲームビジネスの経験豊富な人材が限られる中で、人材教育も重視しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サイバーステップでは、取締役会と監査役会を軸とした企業統治体制を構築しています。社外役員による客観的な視点を取り入れ、経営の健全性と透明性の向上を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サイバーステップの株主構成を見ると、上位には事業会社と個人株主が並んでいます。取締役会長である佐藤類氏も上位株主の一人として名を連ねており、特定の株主グループが経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社シーディーワン | 11.25% |
| チェンバーマネイジメント | 8.56% |
| 佐藤 類 | 5.03% |
| 張 明 | 3.26% |
| 楽天証券 | 3.03% |
なお、前事業年度末において主要株主でなかった合同会社シーディーワンは、当事業年度末現在では主要株主となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は湯浅慎司氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 類 | 取締役会長 (代表取締役) 新規事業部担当 | 2000年4月創業、2000年7月サイバーステップ・ドット・コム有限会社(現同社)設立、取締役就任。2001年8月株式会社への組織変更と同時に同社代表取締役社長就任。2025年8月同社代表取締役会長就任より現職。 |
| 湯浅 慎司 | 取締役社長 (代表取締役) | 2006年11月合同会社Yuasa事務所設立、代表社員。2024年10月ANAP(現ANAPホールディングス)取締役副社長執行役員。2025年8月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 緒方 淳一 | 取締役 経営管理本部担当 | 2016年8月サイバーステップ入社、同社経営管理室室長。2018年8月同社取締役就任より現職。 |
| 安田 純也 | 取締役 | 2005年4月公益財団法人安田奨学財団常務理事。2014年1月J・CREED設立、代表取締役。2025年8月同社取締役就任より現職。 |
| 田中 世識 | 取締役 | 2019年4月ピアノインベストメント設立、取締役。2019年5月ヒュートレ設立、代表取締役。2025年8月同社取締役就任より現職。 |
| 田邊 真二 | 取締役 | 2012年2月コムラック入社。2018年8月個人事業主開業。2025年8月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、松井顕一氏(日本エネライズ株式会社在籍)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営監視機能を担っています。社外取締役1名と社外監査役3名が独立した立場から経営の重要事項の決定や業務執行の監督に参画しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
サイバーステップの役員報酬は、取締役については役位に応じた基本報酬と、業績向上や企業価値増大へのインセンティブとしてのストック・オプションで構成されています。社外取締役の報酬は、業務執行から独立した立場に即したものとされています。監査役の報酬は、その職務に鑑み固定報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 21百万円 | 5.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 0百万円 | 0.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 11百万円 | 1.6百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は存在しません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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