サイバーステップ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サイバーステップ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、「トレバ」や「ゲットアンプド」などのオンラインゲームの企画・開発・運営を主力事業としています。直近の決算では減収となり、赤字幅が拡大しました。なお、継続的な営業損失とマイナスの営業キャッシュ・フローにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在しています。


※本記事は、サイバーステップ株式会社 の有価証券報告書(第25期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

サイバーステップ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. サイバーステップってどんな会社?


オンラインゲームの開発・運営を軸に、クレーンゲームアプリ「トレバ」等のサービスを世界展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に創業し、翌2001年にネットワーク対戦型アクションゲーム『ゲットアンプド』を発表しました。2006年に東証マザーズ市場へ上場を果たし、その後も『鋼鉄戦記C21』や『鬼斬』などのタイトルをリリースしています。近年では、2017年に『オンラインクレーンゲーム トレバ2D』のサービスを開始し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は連結196名、単体177名です。筆頭株主は合同会社シーディーワンで、第2位は株式会社チェンバーマネイジメントとなっています。創業者の佐藤類氏は第3位の株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
合同会社シーディーワン 11.25%
チェンバーマネイジメント 8.56%
佐藤 類 5.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長に佐藤類氏、代表取締役社長に湯浅慎司氏が就任しています。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 類 取締役会長(代表取締役)新規事業部担当 2000年同社創業。社長、会長を歴任し、2025年8月より現職。
湯浅 慎司 取締役社長(代表取締役) 合同会社Yuasa事務所代表社員等を務め、2025年8月より現職。
緒方 淳一 取締役経営管理本部担当 2016年同社入社、経営管理室長を経て2018年8月より現職。
安田 純也 取締役 株式会社J・CREED代表取締役等を務め、2025年8月より現職。
田中 世識 取締役 ヒュートレ株式会社代表取締役等を務め、2025年8月より現職。
田邊 真二 取締役 ザクロ投資顧問株式会社入社等を経て、2025年8月より現職。


社外取締役は、松井顕一(日本エネライズ株式会社入社)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オンラインゲーム事業」「エンターテインメント事業」の2つの報告セグメントを展開しています。

(1) オンラインゲーム事業


自社開発したオンラインゲームのライセンスを海外運営会社に供与するほか、自社でサーバーを用意し直接ユーザーへサービスを提供しています。主なタイトルには『トレバ』『ゲットアンプド』『鬼斬』などがあり、日本、北米、アジア地域で展開しています。

収益は、ライセンス先からの契約金およびロイヤリティー、または自社運営サービスにおけるユーザーからのアイテム課金収入等からなります。運営は主に同社および海外の子会社が行っています。

(2) エンターテインメント事業


劇場映画やアニメーション等の映像作品における音響制作、製作委員会への出資による収益分配、声優タレントのプロダクション運営を行っています。また、VTuberの活動支援やキャラクターIPを使用したコンテンツ制作にも注力しています。

収益は、音響制作の受注費や動画配信プラットフォーム上での広告収益等が主な源泉となります。運営は同社グループが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失の計上が続いており、直近の2025年5月期においても赤字幅が拡大するなど、厳しい経営状況が継続しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 122億円 74億円 41億円 30億円 25億円
経常利益 -9億円 -15億円 -13億円 -15億円 -19億円
利益率(%) -7.6% -20.1% -30.9% -50.9% -76.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -12億円 -22億円 -14億円 -15億円 -17億円

(2) 損益計算書


売上高が減少する中で、売上総利益も縮小しています。販売費及び一般管理費が売上総利益を大きく上回る状態が続いており、営業損失の計上要因となっています。直近では売上高に対する営業損失の比率が悪化しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 30億円 25億円
売上総利益 17億円 13億円
売上総利益率(%) 55.6% 50.7%
営業利益 -15億円 -18億円
営業利益率(%) -48.7% -71.4%


販売費及び一般管理費のうち、販売促進費が9億円(構成比30%)、給料及び手当が6億円(同19%)を占めています。売上原価においては、労務費が45%、経費が25%を占めています(単体ベース)。

(3) セグメント収益


主力のオンラインゲーム事業は、ユーザー獲得競争の激化等により減収となり、セグメント損失が拡大しました。エンターテインメント事業は増収となったものの、制作コストの上昇等によりセグメント損失が拡大しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
オンラインゲーム事業 28億円 22億円 -5億円 -6億円 -27.5%
エンターテインメント事業 2億円 3億円 -0.2億円 -6億円 -207.5%
調整額 -0.2億円 -0.0億円 -9億円 -5億円 -
連結(合計) 30億円 25億円 -15億円 -18億円 -71.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、財務基盤の安定化のため、新株式及び新株予約権の発行による資金調達を実施しております。

営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなり、現金及び現金同等物の残高が減少したことで、資金繰りに懸念が生じております。投資活動においては、新規タイトルの開発等を進めております。財務活動では、資金調達を実施し、財務体質の強化を図っております。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF -14億円 -20億円
投資CF -0.6億円 0.2億円
財務CF 0.8億円 19億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「世界中を楽しくするエンターテイメントを世に送り出す」という理念を掲げています。この理念のもと、研究開発を核として、他タイトル展開、多国展開、マルチプラットフォーム対応を進め、ユーザーや株主、ステークホルダーの満足度向上と信頼構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、得意技術を活用した3Dオンラインゲームに加え、斬新な発想力と独自の開発力を活かし、新たなジャンルでのゲームを提案することを重視しています。また、グローバル規模で変化を続ける業界環境に適応し、海外市場にも通用するゲームタイトルの開発・運営に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、収益力を測る指標として「売上高経常利益率」を重視するとともに、株主価値の向上のために「1株当たり当期純利益(EPS)」を重要な経営指標として位置づけています。具体的な数値目標は記載されていませんが、これらを向上させることで企業価値を高めていく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


既存サービスの収益性改善と新規タイトルの開発強化を掲げています。主力事業の「トレバ」では固定費削減やオリジナル景品開発、新規コンテンツ導入を進め、新規タイトルでは開発体制を強化し早期収益化を図ります。また、新規事業としてマーチャンダイジング事業を推進し、収益基盤の多角化を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の多角化に伴い、サービスタイトルの広告宣伝やグローバルな分野での専門性を持つ人材の育成および中途採用を方針としています。また、多様性を尊重し、性別・国籍・在籍年数にかかわらずポジションに最適な人材を登用するとともに、時短勤務等の両立支援を通じて働きがいのある環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 35.1歳 8.8年 4,013,181円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 25.0%
男性労働者の育児休業取得率 0.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 78.0%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 79.4%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 96.3%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 継続企業の前提に関する事象


同社グループは連続して営業損失および当期純損失を計上し、営業キャッシュ・フローもマイナスが続いています。これにより資金繰りに重要な懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在します。資金調達や収益改善策を進めていますが、現時点では重要な不確実性が認められています。

(2) 為替レートの変動


海外売上高比率が高く、現地通貨での販売やロイヤリティー収入があるため、為替変動が経営成績に影響を与える可能性があります。主要取引先とは円建て取引を行うことでリスク低減を図っていますが、急激な変動時には外貨建て売上の円換算額が増減するリスクがあります。

(3) システム障害


オンラインゲームはサーバーを介して提供されるため、自然災害や通信障害、外部からの不正アクセス等によりシステムダウンが発生した場合、サービス提供ができなくなる恐れがあります。また、データ消失や漏洩が起きた場合、損害賠償請求や信用の低下を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。