三機サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

三機サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する、空調機器を中心とした設備のトータルメンテナンス企業です。24時間対応のコールセンターを核に、修理・点検から省エネ提案、設備工事までを一貫して提供しています。第48期は、大手顧客の修理増加や空調入替工事が好調に推移し、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社三機サービスの有価証券報告書(第48期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 三機サービスってどんな会社?


空調機器メンテナンスから始まり、現在は施設のトータルメンテナンスや省エネ提案を行う独立系企業です。

(1) 会社概要


1977年に兵庫県姫路市で設立され、パナソニック産機システムズ(旧三洋空調)のサービス指定店として業務を開始しました。2000年に24時間対応のコールセンターを開設し、トータルメンテナンス事業を全国展開。2015年にJASDAQへ上場し、2017年には東証一部へ指定替えとなりました。その後、株式会社兵庫機工や長沼冷暖房株式会社を完全子会社化し、事業領域を拡大しています。

2025年5月31日時点の従業員数は、連結で599名、単体で532名です。筆頭株主は株式会社中島産業で、第2位は投資事業を行う株式会社UH Partners 2、第3位は光通信株式会社となっています。中島産業は本社所在地と同じ兵庫県姫路市に所在する法人です。

氏名 持株比率
中島産業 15.13%
UH Partners 2 6.91%
光通信 6.90%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は北越 達男氏です。取締役6名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中島 義兼 代表取締役会長 1977年同社設立代表取締役社長。2021年1月より現職。
北越 達男 代表取締役社長 1996年同社入社。経営管理本部長等を経て2022年6月より現職。
越智 玲緒奈 取締役副社長 1993年同社入社。事業本部長等を経て2024年8月より現職。
川﨑 理 専務取締役 1999年興銀リース(現みずほリース)入社。2025年6月より現職。


社外取締役は、正木 範昭(元日建設計シビル代表取締役社長)、藤田 ひろみ(株式会社ジェイ・ソル代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メンテナンス事業」および「建設関連製品サービス事業」を展開しています。

メンテナンス事業


空調機器をはじめ、厨房機器、電気設備、給排水衛生設備等のあらゆる設備のメンテナンスを行っています。24時間365日対応のコールセンターを設置し、緊急修理や定期点検、保全メンテナンスを提供しています。また、省エネ性の高い機器への更新工事や省エネコンサルティングも手掛けています。

収益は、顧客からの定期メンテナンス契約料、突発的な修理対応費、および設備更新等の工事代金から得ています。運営は主に株式会社三機サービスが行い、一部地域や特定業務を連結子会社の長沼冷暖房株式会社や上海三機大楼設備維修有限公司が担当しています。

建設関連製品サービス事業


ビルやマンション等の各種建物を対象とした金属製ドア、シャッター、スチールサッシ等の製造および販売を行っています。また、これらの製品の取付工事や、高機能(省エネ等)建具の製造も手掛けています。

収益は、建設会社や工務店等の顧客に対する製品の販売代金および取付工事費から得ています。運営は、連結子会社である株式会社兵庫機工が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年5月期から2025年5月期までの業績を見ると、売上高は115億円から206億円へと大幅に拡大しています。経常利益も2.9億円から10億円へと増加傾向にあり、利益率も改善しています。特に直近2期は売上高・利益ともに高い水準で推移しており、成長が継続しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 115億円 116億円 147億円 194億円 206億円
経常利益 3億円 2億円 6億円 8億円 10億円
利益率(%) 2.6% 1.9% 3.9% 3.9% 4.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 4億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も改善しており、収益性が向上しています。販管費も増加していますが、売上高の伸びがそれを上回っており、本業の儲けを示す営業利益は前期比で大きく伸長しました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 194億円 206億円
売上総利益 41億円 47億円
売上総利益率(%) 21.3% 22.7%
営業利益 7億円 10億円
営業利益率(%) 3.8% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比43%)、支払手数料が3億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のメンテナンス事業は、定期メンテナンスの一部減少があったものの、修理や工事が好調で増収増益となりました。建設関連製品サービス事業も売上が増加し、利益は大幅に伸長しました。両セグメントともに利益率が向上しており、全体の業績拡大に寄与しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
メンテナンス事業 175億円 186億円 7億円 9億円 4.9%
建設関連製品サービス事業 20億円 21億円 0.4億円 1億円 5.4%
調整額 - -0.1億円 - - -
連結(合計) 194億円 206億円 7億円 10億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

三機サービスは、営業活動によるキャッシュ・フローが減少したものの、投資活動では支出を抑え、財務活動では借入金返済や配当金支払いを行いました。

営業活動では、税金等調整前当期純利益はあったものの、売上債権の増加が資金の流出要因となりました。投資活動では、定期預金の預入による支出が主な要因でした。財務活動では、長期借入金の返済と配当金の支払いが資金の流出を増加させました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 10億円 9億円
投資CF -2億円 -0.3億円
財務CF -3億円 -4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、社会に対して果たすべき使命(ミッション)として「空間インフラのもっと快適・ずっと安心を提供すること」を掲げています。また、将来的な展望(ビジョン)として、「国内はじめ東南アジアにおいて、安心・快適な空間のインフラを技術・データ・ITでプロデュースする会社」を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、ミッションとビジョンを実現するための価値観(バリュー)として、「社員一人ひとりがオーナーシップと勇気・挑戦の心と他者への尊敬の念を胸にして、ひたむきに仕事に向き合い、ステークホルダーの幸せに貢献する」ことを掲げています。これらを社員全員が共有・実践することで事業価値の発揮を目指しています。

(3) 経営計画・目標


2025年度を初年度とする中期経営計画において、最終年度である2028年5月期の経営数値目標を掲げています。3年間を「成長加速期」と位置づけ、人的資本への投資を通じた事業拡大を目指します。

* 売上高:32,650百万円
* 営業利益:2,200百万円
* 営業利益率:6.7%
* ROE:18.0%

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画2026-2028」において、人財に焦点を当てた戦略を構築し、サービス品質向上と企業成長の好循環を目指します。具体的には、メンテナンスサービスの地域展開や新市場開拓、提案営業力の高度化、DX推進による業務効率化などに取り組みます。また、資本効率を重視し、人的資本への投資や株主還元を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人が育つことで、サービスが育ち、会社が成長する」という原則のもと、人財への投資を重視しています。リーダーシップや課題解決能力を高める教育を実施するとともに、多様な人材の活躍を推進するダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいます。また、健康経営や公平な労働環境の整備により、社員の定着とエンゲージメント向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 39.3歳 7.3年 5,626,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.1%
男性育児休業取得率 16.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.8%
男女賃金差異(正規雇用) 75.6%
男女賃金差異(非正規) 61.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理部門における女性管理職比率(25.9%)、女性役員比率(11.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 季節変動リスク


同社グループの事業は、設備の修繕や機器の入替工事が第2四半期および第4四半期に集中する傾向があります。一方で、人件費などの固定費は年間を通じて一定して発生するため、四半期ごとの利益に著しい偏りが生じる可能性があります。

(2) 特定顧客への依存リスク


売上高の12.5%を株式会社ローソンが占めており、特定顧客への依存度が高い状態です。取引先の拡大を進めていますが、主要顧客との関係悪化や取引停止などが発生した場合、同社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

(3) サービス体制維持と品質管理のリスク


同社は自社エンジニアと協力会社(パートナー)の連携により全国規模のサービスを提供しています。専門技術を持つ社員の育成やパートナーの開拓が計画通りに進まない場合、サービス品質を維持できず、顧客の信頼を損なうことで業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。