Gunosy 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Gunosy 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Gunosyは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、「グノシー」などの情報キュレーションメディアやゲーム攻略メディアを展開する企業です。直近の業績では、メディア事業の安定運営や新規タイトルのリリースなどにより、売上高は前年を上回る増収となったものの、特別損失等の計上により最終減益となっています。


※本記事は、株式会社Gunosy の有価証券報告書(第14期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Gunosyってどんな会社?


Gunosyは、独自のアルゴリズムで情報を最適に届けるキュレーションメディア等の運営を行う企業です。

(1) 会社概要


同社は2012年11月に設立され、翌2013年1月に「グノシー」のiOS版サービス提供を開始しました。事業の成長に伴い2015年4月に東京証券取引所マザーズへ上場し、同年12月にはゲームエイトを子会社化して事業領域を拡大しました。2025年5月にはGホールディングスを子会社化しています。

同社グループの従業員数は連結で205名、単体で78名です。筆頭株主は創業者で代表取締役会長の木村新司氏で、第2位は資本業務提携の経緯があるKDDI、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
木村 新司 25.25%
KDDI 14.78%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.81%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役会長は木村新司氏、代表取締役社長は西尾健太郎氏が務めており、取締役における社外取締役の比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
木村 新司 代表取締役会長 ドリームインキュベータ入社。アトランティス設立・代表取締役等を経て2013年同社代表取締役に就任。2020年より現職。
西尾 健太郎 代表取締役社長 Labit共同創業・代表取締役。ゲームエイト設立・代表取締役を経て2015年同社入社。2023年より現職。
沢村 俊介 取締役最高執行責任者 リクルート入社。ビズリーチ等を経て2018年ゲームエイトCOO。2022年同社代表取締役社長CEO就任。2024年より現職。
岩瀬 辰幸 取締役最高財務責任者 三菱東京UFJ銀行入行。PwCあらた有限責任監査法人等を経て2019年同社入社。2024年より現職。
林 隆一郎 取締役 KDDI入社。同社事業創造本部LXサービス企画部長等を経て2025年より現職。


社外取締役は、冨塚優(元リクルートライフスタイル社長)、城下純一(元ロスチャイルド・アンド・コー・ジャパン会長)、守屋彰人(ハンターダグラスジャパン社長)、射場瞬(元日本コカ・コーラ副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディア事業」「Gホールディングス事業」「新規事業」などを展開しています。

メディア事業


情報キュレーションアプリ「グノシー」や「auサービスToday」などの自社メディアのほか、国内外のゲーム攻略メディア等を通じて、ユーザーの興味・関心を分析・学習し、最適な情報を配信しています。

自社メディアや他社広告媒体に広告を掲載し、主にクリックやインプレッションに応じた広告収入を広告主から得ています。運営は同社や子会社のゲームエイトなどが行っています。

Gホールディングス事業


アニメや漫画などの既存IPを活用したスマートフォン向けソーシャルゲームのパブリッシングおよび運営を行っています。自社開発は行わず、国内外のゲームデベロッパーと協業して複数のタイトルを展開しています。

主にユーザーのゲーム内課金によって収益を得ており、IPホルダーへのロイヤリティやデベロッパーへのレベニューシェアを控除した額が利益となります。運営は子会社のGホールディングスが行っています。

新規事業


中長期的に大きな成長が見込まれる事業群として、ゲームパブリッシャー向けにアプリ外決済の導入・運営を支援するサービスや、上場企業向けの開示業務支援クラウド「IR Hub」等を提供しています。

決済サービスではユーザーの決済時に発生する決済手数料を、クラウドサービスでは契約期間に応じたサービス提供料を受け取っています。運営は同社や子会社のゲームエイトなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は長期的に減少傾向にありましたが、直近は持ち直し増収に転じています。経常利益は一時大幅な赤字を計上したものの、メディア事業の費用適正化などにより直近2期は連続で黒字を確保しており、収益力の回復が見られます。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 90億円 81億円 73億円 61億円 64億円
経常利益 2億円 -17億円 -8億円 3億円 4億円
利益率(%) 2.1% -21.2% -11.3% 5.3% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 -7億円 -5億円 3億円 -0.1億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、営業利益は減少しています。直近事業年度では、広告宣伝投資を一部抑制した一方で、新たな事業の連結化などに伴い費用が増加したことが影響しています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 61億円 64億円
売上総利益 29億円 29億円
売上総利益率(%) 47.5% 45.8%
営業利益 6億円 2億円
営業利益率(%) 9.4% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比24%)、広告宣伝費が5億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高は、主力のメディア事業がニュースアプリのユーザー数減少等で減収となりました。一方、新たに子会社化したGホールディングス事業が加わったことで、連結全体では増収を確保しています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
メディア事業 61億円 55億円
Gホールディングス事業 - 9億円
新規事業 0.5億円 0.3億円
連結(合計) 61億円 64億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは改善型(営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面)です。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-0.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.2%で市場平均を上回っています。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF -0.3億円 7億円
投資CF -11億円 14億円
財務CF 0.6億円 -8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「情報を世界中の人に最適に届ける」というミッションを掲げています。インターネット上にあふれる膨大な情報を整理し、テクノロジーを駆使して必要とする人へ最適に届けることで、情報が増え続ける社会における情報格差の解決に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社は、行動指針として「Gunosy Pride」を掲げています。この指針に基づき、事業が持続的に成長していくために、多様な視点や考え方を取り入れ、性別や国籍、キャリア採用を問わず多様な人材が活躍できる組織を目指しています。従業員が新しい目標にチャレンジできる環境や柔軟な働き方を推奨する文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中長期的な企業価値および株主価値の最大化を実現すべく、グループ全体としての時価総額1,000億円の達成を一つの目標と定めています。また、各事業の収益性やキャッシュ創出力を示す主要指標として、営業利益およびEBITDAを重視し、M&A等の投資判断においてはROIC(投下資本利益率)やIRR(内部収益率)を活用しています。

* 時価総額1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、既存事業の安定的なキャッシュ創出と成長投資の循環を構築するポートフォリオ経営を推進しています。また、AIを基軸とした経営への構造転換フェーズと位置づけ、生成AIを活用した業務の自動化や新たな収益の柱の創出に取り組みます。M&Aや社外投資の推進により、中長期でのキャッシュ創出力を強化していきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、重要ポジションにおける内部の後継者候補の計画的な開発と登用を基本とし、内部人材による継承を目指しています。また、中長期的な従業員の成長支援のため、キャリアデザインや研修制度の充実を図るとともに、リモートワークの推奨やコアタイム、フレキシブルタイムなどの柔軟な働き方ができる体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 38.9歳 5.4年 7,000,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.4%
男性育児休業取得率 70.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の動向


同社の事業はインターネット関連分野に依存しているため、活用シーンの多様化などによるさらなる普及が成長に不可欠です。しかし、インターネット利用に関する新たな弊害の発生や規制の導入などによって普及状況に大きな変化が生じた場合、同社グループの事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット広告市場の変動


同社の主な収益源であるインターネット広告市場は、企業の景気動向に敏感に反応する特性があります。そのため、急激な景気の悪化によって広告需要が後退した場合や、他の広告媒体との競争環境に変化が生じた場合には、想定通りの広告収入を得られず、事業や業績に影響を与える可能性があります。

(3) 特定取引先への依存


同社グループの売上高の一定割合は特定の取引先に依存しています。特に、KDDIとの業務提携契約の終了(2027年3月末予定)に伴い「auサービスToday」に関連する収益を喪失することが見込まれており、新規取引先の開拓など取引基盤の多様化が進まない場合、業績および財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

(4) AI技術などによる環境変化


生成AIや大規模言語モデルなどAI技術の急速な進展が、情報流通構造に大きな影響を与えつつあります。検索エンジンにおけるAI回答機能の普及などでユーザーの情報取得行動が変化し、同社メディアへの検索流入の減少が起きた場合や、技術的対応が遅れた場合には、サービスの競争力が低下し業績に影響を及ぼすおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。