Gunosy 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Gunosy 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。「グノシー」等の情報キュレーションサービスやゲーム攻略メディア「game8.jp」等のメディア事業を展開しています。2025年5月期の業績は、売上高が減少したものの、投資事業等の影響により経常損益および当期純損益は黒字化を達成しました。


※本記事は、株式会社Gunosy の有価証券報告書(第13期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Gunosyってどんな会社?


情報キュレーションアプリ「グノシー」や「auサービスToday」などのメディア事業を主軸とする企業です。

(1) 会社概要


2012年11月に設立され、翌2013年1月に情報キュレーションアプリ「グノシー」のiOS版提供を開始しました。2015年4月に東証マザーズへ上場し、同年12月にはゲーム攻略メディアを運営するゲームエイトを子会社化しています。その後、2017年12月に東証一部へ市場変更を行いました。2021年4月にはKDDIとの協業サービス「auサービスToday」の提供を開始するなど、事業領域を拡大しています。

2025年5月31日現在、連結従業員数は194名、単体では84名です。主要株主の構成は、筆頭株主が同社代表取締役会長の木村新司氏で、第2位は通信大手のKDDI、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
木村新司 23.26%
KDDI 14.73%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 9.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は西尾健太郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
西尾健太郎 代表取締役社長 2011年Labit共同創業。2013年同社代表取締役。2015年Gunosy入社。執行役員、取締役を経て、2023年12月より現職。
木村新司 代表取締役会長 2003年ドリームインキュベータ入社。アトランティス(現グリーエックス)設立などを経て、2013年Gunosy代表取締役。2020年6月より現職。
沢村俊介 取締役最高執行責任者 2007年リクルート入社。光通信、ビズリーチを経て2018年ゲームエイトCOO。2022年同社代表取締役社長CEO。2024年8月より現職。
岩瀬辰幸 取締役最高財務責任者 2012年三菱東京UFJ銀行入行。デロイト・トーマツ・コンサルティング等を経て2019年Gunosy入社。執行役員CFO等を経て2024年8月より現職。
能勢昌明 取締役 2003年KDDI入社。同社事業創造本部DX企画推進部長、LX戦略部長等を歴任。2023年8月より現職。


社外取締役は、冨塚優(元リクルートライフスタイル代表取締役)、城下純一(元ロスチャイルド・アンド・コー・ジャパン会長)、守屋彰人(元ディー・エヌ・エーE-Commerce事業本部長)、射場瞬(日本コカ・コーラ副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディア事業」を展開しています。

メディア事業


情報キュレーションサービス「グノシー」「ニュースパス」「auサービスToday」や、子会社ゲームエイトが運営するゲーム攻略メディア「game8.jp」などを提供しています。ユーザーの興味・関心を分析して最適な情報を配信するアルゴリズムを強みとし、スマートフォンユーザーを主な対象としています。

収益は主に広告主からの広告料収入です。クリック課金型(CPC)やインプレッション課金型(CPM)などの形態で、「Gunosy Ads」等を通じて収益を得ています。また、マーケティングソリューションとして販売促進サービスも提供しています。運営は主にGunosyおよびゲームエイトが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあります。利益面では、2023年5月期から2024年5月期にかけて赤字を計上していましたが、2025年5月期には経常損益が黒字に転換しました。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 89億円 90億円 81億円 73億円 61億円
経常利益 6億円 2億円 -17億円 -8億円 3億円
利益率(%) 7.2% 2.1% -21.2% -11.3% 5.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 1億円 -12億円 -12億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費を大幅に抑制したことにより、営業損益は改善し黒字幅が拡大しました。コストコントロールによる収益性の向上が見られます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 73億円 61億円
売上総利益 30億円 29億円
売上総利益率(%) 40.4% 47.5%
営業利益 0.7億円 6億円
営業利益率(%) 1.0% 9.4%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が6億円(構成比26%)、給料及び手当が5億円(同22%)を占めています。売上原価については内訳データがありません。

(3) セグメント収益


同社グループはメディア事業の単一セグメントですが、売上高は前期比で減少しました。これは主に広告宣伝投資の抑制や一部事業の終了などが影響しています。一方で、コスト管理の徹底によりセグメント利益は大幅に増加しました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
メディア事業 73億円 61億円 1億円 6億円 9.4%
連結(合計) 73億円 61億円 0.7億円 6億円 9.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「情報を世界中の人に最適に届ける」というミッションを掲げています。テクノロジーを駆使してインターネット上の膨大な情報を整理し、ユーザーに最適化して届けることで、情報過多社会における情報格差の解決を目指しています。メディア事業を中心にサービスを展開し、成長と収益基盤の構築を進めています。

(2) 企業文化


同社は行動指針として「Gunosy Pride」を定めています。これに基づき、多様な視点や考え方を取り入れた人材育成を推進しています。また、ユーザーに寄り添うサービスとして、社会的価値の高い情報と個人的価値の高い情報の両立を追求するとともに、情報の信頼性や適切な広告配信にも注力する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は中長期的な目標として、グループ全体としての時価総額1,000億円の達成を掲げています。経営指標としては、事業の収益性とキャッシュ創出力を測るため「営業利益」および「EBITDA」を重視しています。また、投資活動の評価には「ROIC(投下資本利益率)」や「IRR(内部収益率)」を活用し、資本効率を意識した経営管理を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策


2026年5月期より「コアキャッシュ領域」「C/F積上げ型M&A領域」「高成長オプション領域」の3つを中核とするポートフォリオ経営へ移行しています。「グノシー」等の既存メディアで安定的なキャッシュを創出しつつ、M&AやSC事業、投資先であるsliceなどへの投資を通じて、企業価値の持続的な向上を図る方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「Gunosy Pride」に基づく人材育成と、性別・国籍・キャリア採用を問わない多様な人材活用を推進しています。従業員が新たな目標に挑戦しやすく、柔軟に働ける環境を提供するため、リモートワークと出社を使い分けるハイブリッドな体制やDX化を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 37.1歳 4.6年 700万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.9%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.8%
男女賃金差異(正規雇用) 71.8%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男女賃金差異(非正規雇用)は該当者がいない等の理由により記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、内部継承率(76.3%)、男性育児休業取得率(87.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) Apple Inc. 及び Google Inc.の動向


同社の事業はスマートフォン向けアプリを提供しており、AppleやGoogleのプラットフォームに依存しています。両社の利用規約変更や検索アルゴリズムの変更、事業戦略の転換などがあった場合、同社のサービス運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット広告市場の変動


収益の柱であるインターネット広告は景気動向の影響を受けやすく、急激な景気変化による広告需要の変動リスクがあります。また、市場拡大に伴い他媒体との競争が継続しており、競争環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。

(3) 技術革新への対応


生成AIや大規模言語モデル(LLM)など、技術革新のスピードが非常に速い業界に属しています。新技術への対応が遅れた場合、サービスの競争力が低下する恐れがあります。また、AI活用に伴う著作権や倫理的な課題などの新たな規制動向も事業運営上のリスクとなり得ます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。