GameWith 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

GameWith 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、ゲーム攻略メディアの運営やeスポーツ関連事業、回線事業などを展開しています。直近の決算では、主力のメディア事業における広告収益の減少等が影響し、前期比で減収となり、営業損益および経常損益などの各利益段階において赤字を計上しています。


※本記事は、株式会社GameWith の有価証券報告書(第12期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. GameWithってどんな会社?


国内最大級のゲーム情報メディア「GameWith」の運営を祖業とし、eスポーツやNFTゲーム、回線事業などゲーム周辺領域へ事業を多角化している企業です。

(1) 会社概要


2013年に設立され、同年9月にゲーム攻略情報メディア「GameWith」をリリースしました。2017年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2019年に市場第一部へ市場変更を行っています。その後、プロゲーミングチームの結成やM&Aによるeスポーツ事業の拡大、NFTゲーム事業や光回線事業の開始など、ゲームに関連する領域で事業基盤を拡大してきました。

2025年5月31日現在、連結従業員数は177名、単体では117名です。筆頭株主は創業社長である今泉卓也氏で、第2位は資本業務提携先であるアルテリア・ネットワークス、第3位は同じく資本業務提携先のデジタルハーツホールディングスとなっており、事業シナジーを見据えた安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
今泉 卓也 30.80%
アルテリア・ネットワークス 21.15%
デジタルハーツホールディングス 5.29%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼執行役員は今泉卓也氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
今泉 卓也 代表取締役社長兼 執行役員 2012年6月COSMONAUTS取締役を経て、2013年6月同社を設立し代表取締役社長に就任。2021年11月よりDetonatioN取締役を兼務し現職。
日吉 秀行 取締役 兼 執行役員総務部長 兼 人材採用部長 大庄、ウィルグループを経て、2018年4月同社入社。経営管理部長、GameWith NFT代表取締役社長などを歴任し、2024年9月より現職。
矢崎 高広 取締役 兼 執行役員制作企画部長 ベーシックを経て2016年3月同社入社。攻略メディア事業部長や営業戦略部長、GameWith Contents Studio代表取締役社長などを歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、武市智行(アルファコード代表取締役)、濵村弘一(日本eスポーツ連合理事)、小林徹(アルテリア・ネットワークス常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディア」「eスポーツ・エンタメ」および「その他」事業を展開しています。

(1) メディア


国内トップクラスの規模を誇るゲーム情報メディア「GameWith」等の企画・運営を行っています。ゲームの攻略情報や新作紹介記事をWebサイト上で提供し、ユーザーを集めています。また、国内でのノウハウを基盤に、英語版サイトの運営など海外市場への展開も推進しています。

収益は主に、サイト上の広告枠販売によるネットワーク広告収入や、ゲーム会社に対するタイアップ広告収入、有料攻略サイトの運営などから得ています。また、攻略記事内にアプリ外課金の導線を設けることで新たな収益機会の創出にも取り組んでいます。運営は同社および株式会社アットウィキ、株式会社GameWith Contents Studioが行っています。

(2) eスポーツ・エンタメ


プロeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」の運営や、ゲーム実況動画配信者等のクリエイターマネジメントを行っています。選手への環境提供やチーム運営、クリエイターへの動画制作サポートや企業タイアップ獲得支援などを組織的に実施しています。

収益源は、スポンサー収入、大会賞金、パブリッシャーからの支援金、イベント開催による収益、グッズ販売やファンクラブ運営等のファンビジネス、動画配信収益など多岐にわたります。運営は同社、株式会社DetonatioN、DetonatioN KOREA Co., Ltd.およびGameWith ARTERIA株式会社が行っています。

(3) その他


新規事業として、NFT事業と光回線事業を展開しています。NFT事業ではNFTゲームのプロモーション受託や専門メディアの運営、新作タイトルの開発を行っています。光回線事業では、eスポーツ向けに特化した高速・低遅延のインターネット回線「GameWith光」を提供しています。

NFT事業はゲーム会社等からのプロモーション受託費やNFTゲームの課金収入等を収益源としています。光回線事業はユーザーからの回線利用料等を収益としています。運営は同社、株式会社GameWith NFT、GameWith ARTERIA株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は30億円前後で推移していますが、第10期をピークに伸び悩む傾向が見られます。利益面では、第10期までは黒字を維持していたものの、第11期以降は当期純損失を計上しており、直近2期連続で最終赤字となっています。利益率もマイナス圏での推移となっており、収益性の改善が課題と言えます。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 29億円 31億円 35億円 35億円 35億円
経常利益 -2.2億円 2.2億円 3.1億円 0.5億円 -2.1億円
利益率(%) -7.8% 7.1% 8.9% 1.3% -6.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.2億円 1.1億円 1.8億円 -3.5億円 -2.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減となりました。売上原価が増加した一方で、売上総利益は減少しており、利益率が低下しています。また、販売費及び一般管理費も増加傾向にあり、これらが重なって営業損失の状態が続いています。特に直近では営業損失の幅が拡大しており、コストコントロールと売上拡大の両立が求められる状況です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 35億円 35億円
売上総利益 15億円 12億円
売上総利益率(%) 41.6% 35.5%
営業利益 0.7億円 -2.0億円
営業利益率(%) 1.9% -5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が4.6億円(構成比32%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のメディア事業は減収減益となり、営業利益も減少しました。eスポーツ・エンタメ事業も減収で営業赤字が継続しています。一方、その他事業(NFT、光回線等)は大幅な増収となりましたが、投資先行により営業赤字が続いています。全社的に主力事業の落ち込みを新規事業の成長で補いきれていない状況です。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
メディア 23億円 21億円 9.1億円 6.4億円 30.0%
eスポーツ・エンタメ 8.3億円 7.6億円 -2.5億円 -2.2億円 -29.2%
その他 3.9億円 5.7億円 -2.0億円 -2.5億円 -43.6%
調整額 - - -3.8億円 -3.6億円 -
連結(合計) 35億円 35億円 0.7億円 -2.0億円 -5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、事業活動を通じて資金を生み出し、将来の成長に向けた投資や財務基盤の強化に充当しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営における資金の獲得・支出を示すもので、当期は支出超過となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の事業拡大や競争力強化のための設備投資や資産取得等を示しており、当期は支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済等を示しており、当期は支出となりました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 1.4億円 -2.7億円
投資CF -1.1億円 -1.6億円
財務CF -3.9億円 -2.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ゲームをより楽しめる世界を創る」という経営理念を掲げています。本当に知りたいゲームの情報が得られる場所を提供することで、ユーザーがもっとゲームを楽しめるようになるという想いから創業し、現在はメディアだけでなくeスポーツやNFT、回線事業など、ゲーマーにとって欠かせないインフラとなることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、サステナブルな事業成長のために「With Consumer(生活者)」「With Society(社会)」「With Work(働き方)」という3つのテーマを掲げています。生活者や社会を起点にサービスを提供し、ゲームを通じてより良い社会をつくることを目指す姿勢を持っています。また、多様な人材が活躍できる環境や、従業員が安心して働ける環境作りを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高および営業利益を重視しています。新規領域(eスポーツ、NFT、回線事業)をメディア事業に次ぐ第2、第3の柱とするべく注力しており、中長期的にはこれらの事業による収益拡大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


メディア事業の再成長と新規事業の拡大、全社の黒字転換を目指します。メディア事業では、攻略サイトの立ち上げ数を増やしPV数の増加を図るとともに、海外展開やアプリ外課金事業の拡大を進めます。eスポーツ事業では、チーム強化やストリーマー獲得によるファン層の拡大、スポンサー収入の多角化を推進します。NFT事業は新作タイトルの開発、光回線事業はプロモーションの効率化による黒字化を目指します。

* 2026年5月期中の新作NFTゲーム「EGGRYPTO X」のリリース
* 光回線事業の単独黒字化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の確保と育成を重要課題と位置づけ、積極的な採用活動と研修体制の強化を進めています。リモートワークを主とした柔軟な働き方や、コミュニケーションを取りやすいオフィス環境を整備し、性別や年齢等に関わらず活躍できる環境を提供しています。また、スペシャリストとゼネラリスト双方のキャリアパスを用意し、従業員の成長を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 34.2歳 4.4年 6,584,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.8%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 60.9%
男女賃金差異(正規雇用) 63.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 89.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(67.2%)、障がい者雇用率(2.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) スマートフォンゲーム市場の動向


国内スマートフォンゲーム市場の成長鈍化や、技術革新、法的規制の導入などにより市場環境が変化した場合、同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。特に、モバイルゲーム市場の成長鈍化に伴い、メディアの閲覧数が減少するなどの影響が考えられます。

(2) 検索エンジン等のプラットフォーム依存


同社のメディア事業は、検索エンジンからの流入(SEO)に大きく依存しています。Google等の検索エンジンのアルゴリズム変更や仕様変更により、検索結果の表示順位が低下した場合、PV数が減少し、広告収益等の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定ゲームタイトルへの依存


メディア事業において、特定のヒットタイトルや人気ゲームのイベント開催状況によってPV数が変動する傾向があります。ユーザーの嗜好の変化に対応できない場合や、ゲーム会社の都合によるリリース延期・中止等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。