※本記事は、GameWithの有価証券報告書(第13期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. GameWithってどんな会社?
ゲームプレイヤーに欠かせない情報メディアを中心に、eスポーツや光回線などゲーム関連事業を幅広く展開しています。
■(1) 会社概要
同社は、ゲームの攻略情報サイトの運営を目的として2013年6月に設立されました。同年9月にゲーム攻略情報サイト「GameWith」をリリースして急成長し、2017年6月に東京証券取引所マザーズに上場しました。その後、2018年4月にプロゲーミングチームを結成してeスポーツ事業へ進出し、2022年3月には光回線サービス「GameWith光」をリリースするなど、事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で178名、単体で119名です。筆頭株主は創業者である今泉卓也氏で、第2位は資本業務提携を結んでいるアルテリア・ネットワークス、第3位は資本業務提携先のデジタルハーツホールディングスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 今泉卓也 | 30.80% |
| アルテリア・ネットワークス | 21.15% |
| デジタルハーツホールディングス | 5.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は今泉卓也氏が務めています。取締役6名のうち3名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 今泉卓也 | 代表取締役社長兼 執行役員 | COSMONAUTS取締役を経て2013年6月に同社を設立し代表取締役社長に就任。DetonatioN代表取締役やAI推進室長などを兼任し、2020年6月より現職。 |
| 日吉秀行 | 取締役 兼 執行役員人事部長 | 大庄、ウィルグループを経て2018年4月に同社へ入社。総務人事部長や経営管理部長、アットウィキ代表取締役社長などを歴任し、2026年8月より現職。 |
| 黒太薫 | 取締役 兼 執行役員経営企画室長 兼京都支店長 | ベネッセコーポレーション、楽天、ミスミを経て2020年2月に同社へ入社。社長室長やISP事業部長、GameWith NFT代表取締役社長などを歴任し、2025年9月より現職。 |
社外取締役は、武市智行(元スクウェア代表取締役社長)、濵村弘一(元エンターブレイン代表取締役社長)、大橋一登(アルテリア・ネットワークス専務執行役員事業戦略統括本部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディア」「eスポーツ・エンタメ」「ISP」および「その他」の事業を展開しています。
■メディア事業
主に多くの国内ユーザーから支持を集めるゲーム情報メディア「GameWith」等の企画および運営を行っています。ゲームを有利に進めるための攻略情報や、新たなゲームを紹介する記事などのコンテンツをウェブサイト上で提供し、広告主やゲーム会社などに多様な広告商品を提供しています。
収益源は、ウェブサイトに掲載するネットワーク広告による収益や、ゲーム会社に直接提供する有料攻略サイトの運営、ゲーム紹介記事の作成などのタイアップ広告収入です。事業の運営は、同社およびアットウィキ、GameWith Contents Studioが行っています。
■eスポーツ・エンタメ事業
国内屈指のeスポーツチーム「DetonatioN FocusMe」の運営に注力しています。チームの価値を上げることで、大会賞金の獲得に加えて、多様な業界のクライアントからのスポンサー収入やイベント開催による収益などを獲得し、持続的な成長を目指しています。
収益源は、スポンサー収益やタイアップ収益、ゲームパブリッシャーによるチーム支援金などのほか、ファンに向けたグッズ販売や動画配信などによる収益です。事業の運営は、同社およびDetonatioN、DetonatioN KOREA、GameWith ARTERIAが行っています。
■ISP事業
eスポーツを楽しむユーザー層の拡大を背景に、ゲームを快適にプレイするために必要とされる高速かつ低遅延の光回線サービス「GameWith光」を提供しています。サービス立ち上げ時からユーザー獲得に向けた積極的なプロモーションを展開し、契約数を順調に拡大しています。
収益源は、光回線サービスの契約者から受け取る利用料金です。中長期的な収益最大化を見据えており、同社における新たな収益の柱として成長を目指しています。事業の運営は、同社およびGameWith ARTERIA、アルテリア・ネットワークスが行っています。
■その他
企業理念の実現に向けて、ゲームに関する様々な新規事業を展開しており、現在は主にNFTゲーム領域に注力しています。投資先のKyuzanよりプロモーション等の受託をしているNFTゲーム「EGGRYPTO」の運営や、NFTゲーム専門メディア「GameWith NFT」の運営を行っています。
収益源は、NFTゲームのプロモーション受託やコラボイベントなどによる収益のほか、新作ゲーム「EGGRYPTO X」の開発に関連する収益基盤の構築などです。事業の運営は、同社およびGameWith NFTが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は31億円から40億円へと拡大傾向にあります。経常利益は一時的に赤字となったものの、直近では黒字転換を果たしており、事業基盤の強化と収益性の改善が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 35億円 | 35億円 | 35億円 | 40億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 3億円 | 0.5億円 | -2億円 | 1億円 |
| 利益率(%) | 7.1% | 8.9% | 1.3% | -6.0% | 2.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 2億円 | -5億円 | -3億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、40億円となりました。売上総利益も順調に伸びており、売上総利益率の改善も見られます。それに伴い、営業利益は黒字へと転換しています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 40億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 16億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.6% | 38.4% |
| 営業利益 | -2億円 | 1億円 |
| 営業利益率(%) | -5.7% | 2.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5億円(構成比32%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のメディア事業が安定した収益を稼ぎ出しているほか、eスポーツ・エンタメ事業とISP事業が大幅な増収を達成しており、全体の成長を牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| メディア | 21億円 | 23億円 |
| eスポーツ・エンタメ | 8億円 | 12億円 |
| ISP | 4億円 | 4億円 |
| その他 | 2億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 35億円 | 40億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスであることから、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型に分類されます。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -3億円 | 3億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -3億円 | -0.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ゲームをより楽しめる世界を創る」という経営理念を掲げています。ゲームプレイヤーにとって欠かせないインフラとしての地位を確立しつつあるメディア事業を中心に、eスポーツやゲーマー向け光回線などの様々な事業を展開し、理念を軸とした事業活動を通じてさらなる企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、企業も社会の一員という考え方のもと、持続可能な社会づくりに貢献することを重要な経営課題と捉えています。ゲームがエンターテインメントの枠を超えて様々な分野に拡がる可能性を見据え、常に生活者や社会を起点にサービスを提供し、ゲームを通じてより良い社会をつくることを文化として重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループが経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高および営業利益を重視しています。また、安定的な成長ではなく加速度的な成長を目指しており、中期経営計画の達成に向けた成長および転換期として事業基盤の強化を推進しています。
* 売上高:37億円〜39億円(2026年5月期目標)
* 営業利益:0億円〜1億円(2026年5月期目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
全セグメントにおける事業基盤の強化を推進するとともに、各種AIの活用による業務効率化およびコスト圧縮を実行し、生じた創出余力を成長領域へ集中的に投入する方針です。メディア事業では外部市況の変動に左右されにくいタイアップ広告の比率を高め、eスポーツ事業ではチーム体制の強化に戦略的に投資を行います。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
企業活動の源泉は従業員にあるという基本方針のもと、専門性が高い人材やAI活用人材の確保および育成に最優先で取り組んでいます。属性に関係なく各従業員が能力を発揮できる環境を提供し、リモートワークやオフィス勤務を選択できるハイブリッド勤務を実施するなど、柔軟で働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 35.0歳 | 4.8年 | 6,552,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 62.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 70.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(70.3%)、障がい者雇用率(2.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業環境に関するリスク
スマートフォンゲーム市場の成長鈍化や、インターネット広告市場の景気動向による影響、および競合他社との競争激化によるユーザー流出などが業績に影響を与える可能性があります。また、資本業務提携先であるアルテリア・ネットワークスの保有比率の変動や事業戦略の変更等もリスクとして想定されています。
■(2) 事業内容に関するリスク
ユーザーの嗜好の変化に対応できない場合や、新規事業の展開が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、システムトラブルや不適切な広告掲載、特定のゲームタイトルへの依存、プラットフォーム事業者の仕様変更なども、サービスの信頼性低下や集客への悪影響を招くリスクとされています。
■(3) その他のリスク
同社は設立以来配当を実施しておらず、当面は内部留保の充実を優先する方針です。また、ストックオプションの行使による株式価値の希薄化リスクや、繰延税金資産の回収可能性、および自社開発のソフトウェア資産に関する減損リスクなども、経営成績や財政状態に影響を与える可能性がある事項として挙げられています。



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