ブックオフグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブックオフグループホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場で、中古書籍「BOOKOFF」を中心としたリユース事業を展開しています。国内の安定した基盤に加え、富裕層向けサービスや海外展開を推進しています。直近の業績は、売上高が前期比6.8%増の1,192億円、経常利益が同13.2%増の39億円と増収増益で推移しています。


※本記事は、ブックオフグループホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第7期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブックオフグループホールディングスってどんな会社?


中古書籍「BOOKOFF」を中心としたリユース事業を展開し、国内外で店舗運営を行う企業グループです。

(1) 会社概要


1991年に直営1号店を開店し、「BOOKOFF」のフランチャイズ展開を開始しました。2004年に株式上場を果たし、2005年には東証一部へ指定替えとなりました。2018年に持株会社体制へ移行し、現在のブックオフグループホールディングスを設立しました。2022年の市場区分見直しに伴い、東証プライム市場へ移行しています。

現在の従業員数は連結1,838名、単体51名です。大株主構成は、筆頭株主がフランチャイズ加盟店でもある事業会社のハードオフコーポレーション、第2位が資産管理業務を行う信託銀行、第3位が従業員持株会となっています。事業パートナーや従業員が主要株主として名を連ねているのが特徴です。

氏名 持株比率
ハードオフコーポレーション 8.18%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.49%
ブックオフグループホールディングス従業員持株会 5.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は堀内康隆氏が務めています。社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
堀内 康隆 取締役社長(代表取締役) コンサルティング会社を経て2006年に入社。管理本部長、経営企画部長などを歴任し、2017年に事業会社社長、2018年より現職。
森 葉子 取締役 日本マクドナルド、コロワイド取締役等を経て2019年に入社。ビーアシスト代表取締役社長を兼務し、2020年より現職。
渡邉 憲博 取締役 公認会計士。監査法人を経て2018年に入社。経理部長、執行役員を経て2022年より現職。
田村 英明 取締役(常勤監査等委員) 公認会計士。監査法人を経て2004年に入社。経理部GM、常勤監査役などを経て2021年より現職。


社外取締役は、鷹野正明(元三越伊勢丹常務)、長谷川秀樹(元東急ハンズ執行役員)、内藤亜雅沙(田辺総合法律事務所パートナー)、牟田善和(大日本印刷事業企画本部本部長)、宮原さつき(元あずさ監査法人パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内ブックオフ事業」「プレミアムサービス事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。

国内ブックオフ事業

書籍・ソフトメディアのリユースショップ「BOOKOFF」や、アパレル等を複合させた「BOOKOFF SUPER BAZAAR」「BOOKOFF PLUS」を運営しています。幅広いリユース商材の買取・販売を行い、公式オンラインストアやアプリを通じたEC展開も進めています。一般消費者が主な顧客です。

店舗での商品販売による代金が主な収益源です。また、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入や加盟金等も収益となります。運営は主にブックオフコーポレーション、ブックオフウィズ、ブックレットなどが行っています。

プレミアムサービス事業

百貨店内買取窓口「hugall」、ブランド品買取「BOOKOFF総合買取窓口」、ジュエリー修理・リフォーム「aidect」などを展開しています。富裕層やアッパーマス層をターゲットとし、従来店舗ではリーチできない顧客層との接点を拡大しています。

商品販売代金や買取サービスの利用に伴う収益、ジュエリーのリペア・リメイクサービス料などが収益源です。運営はブックオフコーポレーションが行っています。

海外事業

米国で「BOOKOFF」、マレーシアで「Jalan Jalan Japan」を展開しています。また、カザフスタンでリユース製品の輸出入・販売を行っています。現地の経済動向やニーズに合わせた店舗展開を行い、日本国内で販売に至らなかった商品の出口戦略としての役割も担っています。

各店舗での商品販売代金が主な収益源です。運営はBOOKOFF U.S.A.INC.、BOK MARKETING SDN.BHD.、J&K TRADING LLCなどの現地法人が行っています。

その他

新刊書店「青山ブックセンター」、トレーディングカード専門店「Japan TCG Center」、障がい者雇用特例子会社、レビューサイト「ブクログ」の運営などを行っています。

新刊書籍やトレカの販売代金、サービス利用料などが収益源です。運営はブックオフコーポレーション、BOチャンス、ビーアシスト、ブクログなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は900億円台から1,100億円台へと順調に拡大しており、増収傾向が続いています。経常利益も増加傾向にあり、利益率も2%台後半から3%台へと改善しています。特に直近では過去最高水準の売上高と利益を達成しており、リユース市場の拡大を背景に堅調な成長を維持しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 936億円 915億円 1,018億円 1,117億円 1,192億円
経常利益 25億円 23億円 30億円 34億円 39億円
利益率(%) 2.7% 2.5% 3.0% 3.1% 3.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -6億円 11億円 2億円 8億円 17億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は約56%台で安定しています。営業利益率も改善傾向にあり、販管費のコントロールと売上拡大が利益増に寄与していることが分かります。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 1,117億円 1,192億円
売上総利益 628億円 678億円
売上総利益率(%) 56.2% 56.8%
営業利益 31億円 34億円
営業利益率(%) 2.7% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、パート・アルバイト給与が189億円(構成比29%)、地代家賃が118億円(同18%)を占めています。店舗運営における人件費と家賃が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となっています。主力の国内ブックオフ事業は売上が堅調に推移し、利益も増加しました。海外事業は売上の伸びが大きく、高い利益率を維持しています。プレミアムサービス事業は増収ながらも、事業成長に向けた投資等の影響で利益は減少しました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
国内ブックオフ事業 990億円 1043億円 45億円 53億円 5.1%
プレミアムサービス事業 68億円 72億円 4億円 0億円 0.6%
海外事業 47億円 62億円 7億円 7億円 11.2%
その他 12億円 15億円 -2億円 -3億円 -%
調整額 - - -20億円 -19億円 -%
連結(合計) 1,117億円 1,192億円 34億円 39億円 3.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、事業拡大とサービス拡充のための投資資金を主に借入で調達する方針です。営業活動によるキャッシュ・フローは、事業運営の基盤となります。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資等に充てられます。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済の状況を示しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 41億円 31億円
投資CF -24億円 -25億円
財務CF -1億円 -11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「事業活動を通じての社会への貢献」と「全従業員の物心両面の幸福の追求」を経営理念としています。また、ミッションとして「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を掲げ、リユースのリーディングカンパニーとして循環型社会の形成に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


全従業員が自信と情熱を持ち、安心して働き、成長できる会社になることを目指しています。強みである「人財育成」や「サステナビリティ」への取り組みを普遍的な価値として土台に据え、個人の持続的な成長と自己実現を後押しする機会の創出や多様性を尊重した雇用機会の提供を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2028年5月期を最終年度とする中期経営方針を策定しています。「深化領域」と位置付ける国内ブックオフ事業での安定収益獲得と、「探索領域」であるプレミアムサービス事業や海外事業への投資による事業規模拡大・利益成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


国内ブックオフ事業では、アプリ会員基盤を活用したCRM施策や、地域に合わせた商材拡張、トレーディングカード等のエンタメ性強化を進めます。プレミアムサービス事業では富裕層向け拠点の拡大、海外事業では米国やマレーシアでの出店加速と現地人材育成を推進します。また、IT投資による業務効率化や、不正防止策の徹底も重要課題としています。

* 米国「BOOKOFF」:2028年5月期までに30店舗、2033年5月期までに100店舗体制
* マレーシア等「Jalan Jalan Japan」:2028年5月期までに70店舗、2033年5月期までに100店舗体制

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財(人的資本)」の充実と成長を第一に考え、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。キャリアパスプラン制度の導入、パート・アルバイトからの正社員登用、勤務地選択制度やリフレッシュ休暇などの整備により、「働きがい」と「働きやすさ」の両立を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 47.9歳 16.1年 7,140,871円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 57.8%
男女賃金差異(正規) 64.1%
男女賃金差異(非正規) -


※男性育児休業取得率:当事業年度において、男性育児休暇取得対象者不在につき記載すべき取得率がありません。
※男女賃金差異(非正規):当該期間に男性雇用労働者が不在につき、記載すべき男女間賃金格差がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新規投資とM&A

既存フォーマットの出店やリニューアル、新規事業、M&A等の投資を推進していますが、十分なキャッシュ・フローを生まない場合、減損損失の計上が必要となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。投資回収計画の精査やモニタリングを徹底しています。

(2) 「人財」の確保・育成

大型複合店での商材知識を持つ人材の重要性が高まる中、少子高齢化による労働力人口減少や人件費上昇など雇用環境は厳しさを増しています。適切な人材の確保が困難な場合や流出が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。研修制度や待遇改善により対策を講じています。

(3) IT投資

競争優位性の維持や事業拡大のため継続的なIT投資が必要ですが、適切に行われない場合や開発遅延、システム障害等が発生した場合、サービス競争力の低下や信用の毀損につながる可能性があります。内製と外注のバランスを考慮しつつ、収益効果の検証を行っています。

(4) 中古品の仕入

仕入の大半を顧客からの買取に依存しているため、競合やフリマアプリの影響等で安定的な確保が困難になる可能性があります。また、盗品や遺失物の買取リスクも存在し、発生時には金銭的損失や社会的信用の低下を招く恐れがあります。プロモーション強化や本人確認の徹底で対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。