※本記事は、ブックオフグループホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第8期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月14日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブックオフグループホールディングスってどんな会社?
リユース店舗「BOOKOFF」の展開を中心に、循環型社会の形成を目指すリーディングカンパニーです。
■(1) 会社概要
1991年に設立され、同年より「BOOKOFF」のフランチャイズ展開を開始しました。翌年にブックオフコーポレーションへ商号変更し、2005年には東証第一部に上場を果たしています。2018年に単独株式移転により持株会社体制へ移行しました。直近では2026年に伊藤忠商事と資本業務提携を結んでいます。
現在の連結従業員数は1,964名、単体では49名体制で事業を推進しています。筆頭株主は事業展開で関わりのあるハードオフコーポレーションで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位には従業員持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ハードオフコーポレーション | 8.18% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.68% |
| ブックオフグループホールディングス従業員持株会 | 5.15% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は堀内康隆氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 堀内康隆 | 取締役社長(代表取締役) | 中央クーパース&ライブランドコンサルティング等を経て、ブックオフコーポレーションに入社。同社取締役執行役員やブクログ代表取締役社長などを歴任し、2018年より現職。 |
| 川口佳子 | 取締役 | 福武書店(現ベネッセコーポレーション)に入社後、サマンサタバサジャパンリミテッドやAOKIホールディングス等で人事・執行役員を歴任し、2025年より現職。 |
| 田村英明 | 取締役(常勤監査等委員) | 監査法人等を経て、ブックオフコーポレーションに入社。同社経理部ゼネラルマネージャーや常勤監査役等を歴任し、2021年より現職。 |
| 渡邉憲博 | 取締役 | 監査法人トーマツを経て、ブックオフコーポレーションに入社。同社経理部長やブックオフグループホールディングスの執行役員を歴任し、2022年より現職。 |
社外取締役は、鷹野正明(元三越伊勢丹常務執行役員伊勢丹新宿本店長)、長谷川秀樹(元メルカリ執行役員CIO)、宮原さつき(元有限責任あずさ監査法人パートナー)、辻井康裕(丸善雄松堂執行役員まなびと空間事業部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「国内ブックオフ事業」「プレミアムサービス事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 国内ブックオフ事業
大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」やアパレルを複合させた「BOOKOFF PLUS」を運営し、書籍、ソフトメディア、家電、アパレル、トレーディングカード等の買取と販売を行っています。また、公式オンラインストア等のネット販売も展開しています。
一般顧客からの商品の買取・販売による収益に加え、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ等が主な収益源です。事業運営はブックオフコーポレーションをはじめ、ブックオフウィズなどの複数の子会社が担っています。
■(2) プレミアムサービス事業
富裕層やアッパーマス層をターゲットに、百貨店内の買取窓口「hugall」、ジュエリーの修理・リフォーム専門店「aidect」、ブランド品販売・買取を行う「Rehello」などを展開しています。
高単価なブランド品や貴金属等の買取・販売、及びジュエリーの修理・リフォームサービスの提供により収益を獲得しています。事業運営は主にブックオフコーポレーションが担当しています。
■(3) 海外事業
アメリカ合衆国での「BOOKOFF」店舗展開や、日本国内で販売に至らなかった商品をマレーシアに輸出し「Jalan Jalan Japan」として販売するなど、グローバルなリユース事業を展開しています。
各国の店舗における中古品の販売収益が主な収入源です。事業の運営は、BOOKOFF U.S.A. INC.やBOK MARKETING SDN. BHD.などの現地子会社が行っています。
■(4) その他
トレーディングカード専門店「Japan TCG Center」の運営、新刊書店「青山ブックセンター」の展開のほか、家庭内の物品整理を代行する「ブックオフおかたづけサービス」等を提供しています。
各専門店舗の販売収益やサービス提供に対する手数料が収益源です。運営はブックオフコーポレーション、BOチャンスなどの子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績は、売上高が毎年着実に増加しており、継続的な増収トレンドを描いています。これに伴い、経常利益も右肩上がりで成長し、利益率も徐々に改善されるなど、安定した収益拡大と事業の成長が確認できます。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 915億円 | 1018億円 | 1117億円 | 1192億円 | 1301億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 30億円 | 34億円 | 39億円 | 47億円 |
| 利益率(%) | 2.5% | 3.0% | 3.1% | 3.3% | 3.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 28億円 | 17億円 | 21億円 | 28億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益と営業利益がいずれも拡大しています。売上総利益率は安定した水準を維持しつつ、営業利益率がわずかに改善しており、効率的なコストコントロールと収益性の向上が図られていることが伺えます。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1192億円 | 1301億円 |
| 売上総利益 | 678億円 | 738億円 |
| 売上総利益率(%) | 56.8% | 56.7% |
| 営業利益 | 34億円 | 44億円 |
| 営業利益率(%) | 2.9% | 3.4% |
■(3) セグメント収益
全ての事業セグメントにおいて前年度から売上高が増加しています。特に主力である国内ブックオフ事業が堅調な伸びを示し全体の成長を牽引しているほか、プレミアムサービス事業や海外事業など、新たな成長領域の事業も順調に拡大しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| 国内ブックオフ事業 | 1043億円 | 1127億円 |
| プレミアムサービス事業 | 72億円 | 85億円 |
| 海外事業 | 62億円 | 72億円 |
| その他 | 15億円 | 18億円 |
| 連結(合計) | 1192億円 | 1301億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も34.7%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 31億円 | 49億円 |
| 投資CF | -25億円 | -30億円 |
| 財務CF | -11億円 | -21億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「事業活動を通じての社会への貢献」と「全従業員の物心両面の幸福の追求」という2つの経営理念を掲げています。また、これに基づく事業活動のミッションとして「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を定め、リユースのリーディングカンパニーとして循環型社会の形成に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
従業員を最大の財産と位置づけ、「人財(人的資本)」の充実と成長を第一に考える文化が根付いています。全従業員が自信と情熱を持ち、安心して働き、成長できる会社になることを目指し、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境づくりや、個人の自己実現を後押しする機会の提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2028年5月期を最終年度とする中期経営方針を定めています。国内ブックオフ事業を安定した収益を生み出す「深化領域」とし、プレミアムサービス事業や海外事業などを「探索領域」と位置付け、事業ポートフォリオの変革を推進しています。また、温室効果ガス(GHG)排出量について、2050年までのカーボンニュートラル達成を目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
伊藤忠商事との資本業務提携を通じて、既存事業の強化と新たな顧客接点の拡大を図っています。国内事業ではアプリを軸とした施策等による収益基盤の強化を進め、プレミアムサービス事業では百貨店内窓口等の拡大を推進します。海外事業では米国やマレーシアでの継続的な出店により、事業規模の拡大と多店舗化を加速させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
国内事業では店舗運営やデジタル等の専門人財を育成し、プレミアムサービスや海外事業では新規事業開発を担う次世代経営人財の選抜・育成を進めています。また、パート・アルバイトスタッフも重要な人財としてキャリアパスを通じた育成を行い、「ウェルビーイング」と「DE&I」を基盤に多様な人材が活躍できる制度整備に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 49.3歳 | 17.4年 | 7,532,764円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 62.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | - |
※同社単体において、当事業年度は男性育児休業取得対象者および非正規雇用労働者の男性が不在のため、該当する数値はありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員育児休暇取得率(100.0%)、男性社員育児休暇取得率(60.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 新規投資とM&Aによるリスク
既存フォーマットの出店や既存店舗のリニューアル、新規事業への投資、またM&Aなどを積極的に推進しています。これらの投資展開において、計画通りの収益を確保できず、十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない資産が判明した場合、減損損失を計上することになり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 「人財」の確保・育成に関するリスク
少子高齢化による労働力人口の減少に加え、小売業界における人手不足や人件費上昇など厳しい雇用環境が続いています。適切な人財の確保が困難となった場合や、人財の社外流出、労働環境の悪化に伴う従業員の健康悪化が生じた場合、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 情報セキュリティとIT投資の遅延
店舗運営や各種サービスにおいて各種情報システムや外部サイトを活用しています。必要なIT投資が適切に行われなかった場合の競争力低下や、システム開発の遅延、あるいはサイバー攻撃による機密情報の流出やシステム障害が発生した場合、ブランドイメージの低下や損害賠償等により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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