フィードフォースグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フィードフォースグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。デジタルマーケティング支援やEC事業者向けSaaS・DX支援を展開しています。直近の業績は、売上高44億円(前期比3.4%増)、経常利益15億円(同31.0%増)となり、増収増益を達成しました。積極的なM&Aや事業再構築により、収益性の向上を進めています。


※本記事は、フィードフォースグループ株式会社 の有価証券報告書(第20期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フィードフォースグループってどんな会社?


インターネット広告運用やデータフィード管理、EC支援ツールなどを提供し、企業のマーケティングを支援する会社です。

(1) 会社概要


2006年に設立され、2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2020年にアナグラムを完全子会社化し、2021年には純粋持株会社体制へ移行して現社名に変更しました。同年、ベトナムに開発拠点を設立したほか、EC支援のシッピーノやフラクタを子会社化するなど、M&Aを通じて事業領域を拡大しています。

連結従業員数は194名、単体では6名です。筆頭株主は創業者で代表取締役会長を務める塚田耕司氏の資産管理会社であり、第2位は塚田耕司氏本人です。経営陣が株式の過半数を保有しており、オーナーシップの強い経営体制となっています。

氏名 持株比率
合同会社理力 34.75%
塚田 耕司 21.59%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 5.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長は塚田耕司氏です。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
塚田 耕司 代表取締役会長 1992年安田信託銀行入行。1996年ルートコミュニケーションズ設立。2006年同社設立・社長就任。2021年よりフィードフォース代表取締役などを兼任し、2025年8月より現職。
加藤 英也 取締役社長 2006年セプテーニ入社。サイバーエージェント、LITALICO等を経て2020年リワイア入社。2023年同社執行役員。2025年8月より現職。


社外取締役は、島田憲和(公認会計士)、浦勝則(弁護士)、佐藤康夫(アタラ合同会社会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロフェッショナルサービス事業」、「SaaS事業」および「DX事業」を展開しています。

プロフェッショナルサービス事業


エンタープライズ企業を中心に、運用型広告の代行やデータフィードマーケティングの支援を行っています。主なサービスには、リスティング広告等の運用を行う「Anagrams」や、データフィード管理のアウトソーシング「DF PLUS」があります。

収益は、顧客からの広告運用代行手数料やコンサルティング料、アウトソーシングサービスの利用料等からなります。運営は主に、アナグラム株式会社および株式会社フィードフォースが行っています。

SaaS事業


幅広い企業に対し、セルフサービスで高度なマーケティングを実施できるツールを提供しています。主なサービスには、データフィード統合管理ツール「dfplus.io」、ソーシャルログイン・ID連携ツール「ソーシャルPLUS」、広告自動配信ツール「EC Booster」などがあります。

収益は、ツールの利用企業から受け取るサブスクリプション形式の月額利用料や、広告配信に伴う手数料等からなります。運営は主に、株式会社フィードフォースおよび株式会社ソーシャルPLUSが行っています。

DX事業


主にEC事業者を対象に、Shopifyを活用したWebサイト構築支援やアプリ開発、業務効率化支援を行っています。主なサービスには、Shopifyアプリ「App Unity」、POS連携「Omni-Hub」、出荷自動化「Shippinno」などがあります。

収益は、システム構築に伴う開発費やコンサルティング料、提供するアプリ・ツールの月額利用料等からなります。運営は主に、株式会社リワイア、株式会社フィードフォース、シッピーノ株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2024年5月期に一時的な赤字を計上しましたが、直近の2025年5月期には経常利益、当期利益ともに過去最高水準へ回復し、高い利益率を達成しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 26億円 30億円 40億円 42億円 44億円
経常利益 9億円 9億円 10億円 12億円 15億円
利益率(%) 33.8% 30.3% 25.7% 27.6% 34.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 6億円 0.0億円 -6億円 10億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に加え、売上原価率の改善により売上総利益率が向上しています。営業利益率も上昇しており、収益性が高まっています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 42億円 44億円
売上総利益 28億円 31億円
売上総利益率(%) 66.3% 71.2%
営業利益 12億円 16億円
営業利益率(%) 29.3% 36.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.6億円(構成比29.9%)、役員報酬が1.4億円(同9.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


プロフェッショナルサービス事業とSaaS事業は増収増益となり、グループ全体の成長を牽引しています。一方、DX事業は事業再構築の影響もあり減収となりましたが、赤字幅は大幅に縮小しており、収益性の改善が進んでいます。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
プロフェッショナルサービス事業 25億円 26億円 11億円 11億円 42.5%
SaaS事業 11億円 13億円 5億円 5億円 38.4%
DX事業 7億円 5億円 -3億円 -0.1億円 -2.9%
連結(合計) 42億円 44億円 12億円 16億円 36.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

フィードフォースグループのキャッシュ・フローの状況について解説します。

同社は、事業活動を通じて安定的に資金を生み出しており、特に法人税等の支払いがあったものの、利益計上や前渡金の減額により、営業活動によるキャッシュ・フローは増加しました。一方で、設備投資や敷金の差入等により、投資活動によるキャッシュ・フローは支出となりました。財務活動においては、短期借入金の増加と長期借入金の返済、自己株式の取得があったため、支出となりました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 9億円 14.1億円
投資CF 0.7億円 -0.4億円
財務CF -0.1億円 -6.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」をミッションに掲げています。デジタルマーケティング分野に特化し、プラットフォーマーが提供する広告媒体やID認証などを活用したサービスを通じて、顧客ビジネスの業務効率向上と生産性向上を支援することを目指しています。

(2) 経営文化


各事業セグメント(プロフェッショナルサービス、SaaS、DX)が相互に連携し、シナジーを生み出すことを重視しています。プロフェッショナルサービスで蓄積したノウハウをSaaS機能に組み込むなど、顧客ニーズに合わせた柔軟なサービス提供を行っています。また、技術革新や環境変化に対応するため、情報発信や技術勉強会を推奨する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2028年5月期に向けて、以下の数値目標を掲げてさらなる成長を目指しています。また、顧客基盤拡大の指標として、各サービスの利用案件数を重要視しています。

* 売上高:80億円
* 営業利益:30億円
* ROE:30%以上

(4) 成長戦略と重点施策


既存サービスの機能強化に加え、プラットフォーマーやパートナーとの連携による顧客基盤の拡大、およびM&Aを通じた事業アセットの拡充を進めています。特にDX事業では、Shopify関連事業へのリソース集約やIDソリューションの開発に注力し、ポストCookie時代やAI技術の進展に対応した新サービスの創出を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に向けて優秀な人材の確保と育成を不可欠としており、特にエンジニア採用における競争力強化を課題と認識しています。知名度の向上、研修制度の強化、待遇・福利厚生の充実を図るとともに、採用活動の柔軟化により、適時な人材確保と長期的にやりがいを持って働ける環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 40.1歳 6.3年 7,018,016円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(70.5%)、従業員全体の残業時間(月平均14時間50分)などです(いずれも主要子会社アナグラム株式会社の実績)。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定媒体への依存リスク

Google、Facebook、Yahoo! JAPAN等の特定プラットフォームへの広告出稿額の構成比が高くなっています。これら運営側の広告掲載基準の変更や方針転換により広告配信量が減少した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。

(2) 技術革新と競争激化

デジタルマーケティング領域は技術革新が速く、新たなテクノロジーへの対応遅れやサービスの陳腐化がリスクとなります。また、国内外の競合他社との競争において優位性を維持できなくなった場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) のれん等の減損リスク

M&Aにより生じたのれんや顧客関連資産を計上していますが、買収した企業の事業計画が未達となり期待される収益が得られない場合、減損損失が発生し、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。