※本記事は、フィードフォースグループ株式会社の有価証券報告書(第21期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フィードフォースグループってどんな会社?
デジタルマーケティングとEコマース領域において、テクノロジーを駆使した企業支援を展開しています。
■(1) 会社概要
2006年に設立され、RSS統合管理ツール等を提供開始しました。2019年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場し、2021年には純粋持株会社化に伴いフィードフォースグループへ商号変更しています。近年はアナグラムやシッピーノなどの完全子会社化を進め、事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結で206名、単体で7名です。筆頭株主は創業者である塚田耕司氏の関連会社とみられる合同会社理力であり、第2位も創業者の塚田氏個人が名を連ねています。第3位には資産管理業務を行う日本カストディ銀行(信託口)が入っており、創業者関連で過半数の株式を保有する体制となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 合同会社理力 | 36.33% |
| 塚田 耕司 | 20.06% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は加藤英也氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加藤 英也 | 代表取締役社長 | サイバーエージェント等を経て2020年リワイア入社。2025年同社取締役社長を経て、2026年より現職。 |
| 小山 純弥 | 取締役 | 2015年アナグラム入社。2024年同社代表取締役に就任。2026年より現職。 |
社外取締役は、島田憲和(島田憲和公認会計士事務所所長)、浦勝則(東京丸の内法律事務所パートナー)、佐藤康夫(アタラ会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プロフェッショナルサービス事業」「SaaS事業」「DX事業」を展開しています。
■プロフェッショナルサービス事業
大規模企業(エンタープライズ)を中心に、運用型広告の代行およびデータフィードマーケティングの支援を提供しています。検索連動型広告やディスプレイ広告を専門に扱う「Anagrams」と、多様なインターネット媒体に対応したデータフィード管理アウトソーシングの「DF PLUS」を展開しています。
収益源は、顧客企業から受け取る広告運用代行の代理店手数料などです。事業の運営は、広告運用を専門とするアナグラムや、データフィード事業を手掛けるフィードフォースがそれぞれ分担して行っています。
■SaaS事業
大企業から中小企業まで幅広い顧客に対し、セルフサービスで高度なマーケティングを実施できるツールをクラウド(SaaS)経由で提供しています。データフィード統合管理ツール「dfplus.io」や、ID連携を活用したソーシャルログイン・LINEメッセージ配信サービス「ソーシャルPLUS」が含まれます。
収益源は、提供サービスの導入に係る初期費用や、利用期間にわたって継続的に受け取るサブスクリプション利用料などです。事業の運営は、フィードフォースおよびソーシャルPLUSがそれぞれ主体となってサービスを提供しています。
■DX事業
主にEコマース事業者を対象として、Shopifyを活用したWebサイトやシステムの構築支援、およびShopifyアプリの開発・提供を行っています。実店舗とのポイント連携などを可能にする「Omni Hub」や、出荷関連業務を自動化する「Shippinno」などのサービスを展開しています。
収益源は、顧客からの発注に基づくEC構築・コンサルティング料や、Shopifyアプリの継続的な利用料などです。事業の運営は、リワイア、シッピーノ、ECPowerなどの各子会社がそれぞれの強みを活かして行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が毎期順調に拡大し、5年間で約1.6倍に成長しています。経常利益も売上の成長に伴い増加傾向にあり、利益率は30%前後から直近では約40%へと向上し、高い収益性を確保しています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30.1億円 | 39.7億円 | 42.3億円 | 43.7億円 | 49.1億円 |
| 経常利益 | 9.1億円 | 10.2億円 | 11.7億円 | 15.3億円 | 19.6億円 |
| 利益率(%) | 30.3% | 25.7% | 27.6% | 34.9% | 39.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.5億円 | 0.0億円 | -5.9億円 | 3.8億円 | 9.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に加えて売上総利益も順調に伸びており、売上総利益率は約71%という高い水準を維持しています。これに伴い営業利益も拡大し、営業利益率は約40%に達するなど、本業の儲けを生み出す力が着実に強化されています。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 43.7億円 | 49.1億円 |
| 売上総利益 | 31.2億円 | 34.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.2% | 71.1% |
| 営業利益 | 15.9億円 | 19.8億円 |
| 営業利益率(%) | 36.4% | 40.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.2億円(構成比27.5%)、役員報酬が1.1億円(同7.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力となるプロフェッショナルサービス事業が全社の売上および利益を牽引し、利益率は40%を超えています。また、SaaS事業も安定的な高収益を維持しており、DX事業も当期は黒字転換を果たすなど、全セグメントで増収増益となっています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益(2026年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プロフェッショナルサービス事業 | 26.4億円 | 30.0億円 | 11.2億円 | 12.8億円 | 42.6% |
| SaaS事業 | 12.6億円 | 13.7億円 | 4.8億円 | 5.6億円 | 41.0% |
| DX事業 | 4.8億円 | 5.5億円 | -0.1億円 | 1.4億円 | 26.4% |
| 調整額 | -0.3億円 | -0.2億円 | - | - | - |
| 連結(合計) | 43.7億円 | 49.1億円 | 15.9億円 | 19.8億円 | 40.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.1億円 | 15.0億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -1.3億円 |
| 財務CF | -6.5億円 | -9.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は41.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.3%で市場平均とほぼ同じ水準です。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「『働く』を豊かにする。~B2B領域でイノベーションを起こし続ける~」をミッション(経営理念)に掲げています。デジタルプラットフォーマーが提供するインターネット広告媒体やID認証などを活用したサービスやツールの提供を通じ、顧客ビジネスの業務効率向上を支援することで、持続可能な社会に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、各事業子会社が自律的に事業運営を行うことを基本としつつ、グループ間の転籍や出向などを通じて多様な活躍の機会を提供する文化を有しています。また、ライフステージの変化や多様な価値観を踏まえ、リモートワークを含む柔軟な働き方を許容し、従業員が長期にわたり能力を発揮できる環境整備を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は今後のさらなる成長に向け、2028年5月期を対象とした中期的な数値目標を定めて経営を行っています。サービスの利用案件数の増加などを主要な指標として評価しつつ、収益性と規模の拡大を同時に追求しています。
* 売上高:80億円
* 営業利益:30億円
* ROE:30%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社グループは、グループ横断での顧客支援体制を強化し、共通のデータ基盤を活用して顧客ニーズを捉えたサービスを提供することで継続的な取引拡大を目指しています。特に小売業や人材業などの成長領域において特化型のソリューション提供を推進し、AI技術の進展や購買チャネルの拡大に対応した新たなビジネス創出にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、競争優位性を確保し長期的に成長し続けるために、優秀なエンジニアを含む人材の確保と育成が不可欠であると位置付けています。研修制度の強化や待遇および福利厚生の充実を図るほか、知名度向上や柔軟な採用活動の推進により適時な人材確保に努め、従業員がやりがいを感じて長く働ける職場環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 39.9歳 | 5.7年 | 6,204,430円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 37.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 89.4% |
※男性育児休業取得率については、女性活躍推進法及び育児・介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(66.7%)、従業員全体の残業時間(1か月あたり16時間55分)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告・Eコマース市場の変動
同社の事業はインターネット広告市場やEコマース市場の動向に依存しています。景気後退や物価上昇などによる個人消費の落ち込み、顧客企業の広告予算の削減、あるいはEコマース市場の成長鈍化が生じた場合、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新および生成AIの普及への対応
デジタルマーケティング領域は技術革新が速く、生成AIの普及により検索や広告運用の手法が急速に変化しています。AIを活用した新技術への対応遅れや、競合サービスの台頭による競争力低下が生じた場合、顧客の解約や開発費用の増加を招くリスクがあります。
■(3) 法的規制およびデータの取扱い
個人情報や通信、広告表示に関する国内外の法的規制やガイドラインの適用を受けています。また、閲覧履歴や属性情報の利用に関する社会的要請も変化しており、法改正やプラットフォーマーの自主規制強化に適切に対応できなかった場合、サービス提供に支障をきたす恐れがあります。
■(4) 特定のプラットフォームへの依存
同社はGoogle、Facebook、LINE、Shopifyなどの外部プラットフォームやAPIと連携してサービスを提供しています。プラットフォーマー側による利用条件の変更、審査基準の厳格化、APIの仕様変更やシステムの停止が発生した場合、サービス提供が制限されるリスクがあります。



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