※本記事は、株式会社インターファクトリー の有価証券報告書(第22期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インターファクトリーってどんな会社?
クラウド型ECプラットフォーム「EBISUMART」の提供を主軸に、EC支援やデータ利活用事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2003年に有限会社インターファクトリーとして設立され、2010年に「えびすマート」をクラウド型へ刷新しました。2020年に東証マザーズへ上場し、2023年にはECコンサルサービス「EBISU GROWTH」を開始するなど事業領域を拡大しています。2025年には商品データ統合プラットフォーム「EBISU PIM」の提供を開始し、サービスラインナップを拡充しています。
同社の単体従業員数は157名です。筆頭株主は創業者の蕪木登氏で、第2位は事業会社の株式会社ケイエイビー、第3位は蕪木有紀氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 蕪木 登 | 34.21% |
| 株式会社ケイエイビー | 5.45% |
| 蕪木 有紀 | 4.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長兼CEOは蕪木登氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 蕪木 登 | 代表取締役社長兼CEO | システムマネージメント等を経て2003年に同社設立。2006年より現職。 |
| 兼井 聡 | 取締役 | アドマップス、ケー・ソフト等を経て2006年に同社入社。同年より取締役を務め、EBISUMART事業を担当。 |
| 三石 祐輔 | 取締役兼CMO | ゼンキューブ等の代表取締役を経て2013年に同社入社。同年より取締役CMOを務め、ECビジネス成長支援事業を担当。 |
| 赤荻 隆 | 取締役兼CFO | レンゴー、監査法人等を経て公認会計士・税理士として活動。2013年に同社監査役、2014年より取締役CFOを務める。 |
社外取締役は、鳥山亜弓(千代田国際法律会計事務所所長)、笹川大介(元KDDIリスクマネジメント本部監査部マネージャー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クラウドコマースプラットフォーム事業」、「ECビジネス成長支援事業」および「データ利活用プラットフォーム事業」を展開しています。
■(1) クラウドコマースプラットフォーム事業
クラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」シリーズ(Lite、BtoB、Enterprise含む)を提供し、顧客のECサイト構築・運営を支援しています。拡張性と最新性を兼ね備えたシステムにより、中規模から大規模のEC事業者まで幅広いニーズに対応しています。
収益は、システム導入時の受託開発サービスによるカスタマイズ料(フロー収益)と、導入後のシステム運用保守サービスによる月額利用料(ストック収益)から構成されています。運営はインターファクトリーが行っています。
■(2) ECビジネス成長支援事業
EC事業の戦略立案からサイト構築、運用業務、集客施策、物流構築までを一気通貫で支援するサービス「EBISU GROWTH」を提供しています。ECモールおよび自社ECサイトを運営する事業者を対象としています。
収益は、顧客から受け取るコンサルティング料や運用代行手数料などが主な源泉となります。運営はインターファクトリーが行っています。
■(3) データ利活用プラットフォーム事業
商品データ統合プラットフォーム「EBISU PIM」を提供し、事業者が持つ商品情報を一元管理することでEC業務の効率化と商品価値の最大化を支援しています。リアルとネットのデータ連携を目指す新規事業領域です。
収益は、顧客からのシステム利用料などが主な源泉となります。運営はインターファクトリーが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けています。利益面では一時的に赤字となる期間がありましたが、直近の2025年5月期においてはV字回復を果たし、経常利益および当期純利益ともに過去最高水準の黒字を達成しました。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22億円 | 23億円 | 25億円 | 26億円 | 29億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | 0.3億円 | 0.5億円 | -0.3億円 | 1.9億円 |
| 利益率(%) | 8.9% | 1.5% | 1.9% | -1.1% | 6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.3億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | -0.3億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が増加する中で、売上原価の抑制に成功した結果、売上総利益が大きく伸長しました。営業利益率も大幅に改善し、黒字転換を果たしています。効率的な事業運営が進んでいることが窺えます。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 26億円 | 29億円 |
| 売上総利益 | 9.4億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.2% | 42.6% |
| 営業利益 | -0.2億円 | 2.0億円 |
| 営業利益率(%) | -1.0% | 6.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.9億円(構成比38%)、その他が2.9億円(同28%)を占めています。売上原価においては、労務費が8.1億円(売上原価比49%)、経費が8.0億円(同49%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のクラウドコマースプラットフォーム事業は増収増益となり、全社の利益を牽引しました。ECビジネス成長支援事業は売上が倍増し急成長していますが、先行投資により損失が続いています。新規のデータ利活用プラットフォーム事業も立ち上げ段階であり、損失を計上しています。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) | 利益(2024年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| クラウドコマースプラットフォーム事業 | 26億円 | 26億円 | 5.2億円 | 8.7億円 | 33.1% |
| ECビジネス成長支援事業 | 1.0億円 | 2.5億円 | -0.3億円 | -0.1億円 | -5.1% |
| データ利活用プラットフォーム事業 | - | - | -0.2億円 | -0.3億円 | - |
| 連結(合計) | 26億円 | 29億円 | -0.2億円 | 2.0億円 | 6.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の儲けを示す営業CFがプラスで、その資金で投資を行い、かつ借入返済も進めていることから「健全型」と言えます。財務基盤を安定させつつ、将来への投資も実施している状態です。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.5億円 | 3.8億円 |
| 投資CF | -1.4億円 | -1.8億円 |
| 財務CF | 1.0億円 | -0.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念として掲げています。この理念のもと、事業運営を行い、「コマースを進化させる」ことを事業目的として、クラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」をはじめとしたサービスの提供を行っています。
■(2) 企業文化
同社は「インターファクトリーの経営目的と道」を共有し、主体的かつオープンで安心な環境を構築するため、各従業員が一定の裁量を持ったティール組織を導入しています。従業員への周知徹底や教育啓蒙を継続的に行い、企業倫理の確立と法令遵守の意識を高める文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、システム受託開発の受注金額およびシステム運用保守のARPU(顧客単価)を重要な経営指標と位置付けています。各業種の上位企業をターゲットに事業活動を行い、GMV(流通総額)の最大化とARPUの積み上げにより、売上高および利益の安定的な成長を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、既存事業の強化と新規事業の展開により収益手段の多様化を図っています。主力のクラウドコマースプラットフォーム事業では、API公開によるオープンプラットフォーム化や、大規模顧客向けの「EBISUMART Enterprise」の拡販に注力しています。
* API公開によるパートナーエコシステムの拡大
* BtoB向け機能の拡充と「EBISUMART BtoB」の拡販
* 大規模事業者向け「EBISUMART Enterprise」の提供
* 新規事業「EBISU GROWTH」「EBISU PIM」の拡販
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、高度なシステムエンジニアリングとサービス提供のため、人材の採用と教育を最重要課題としています。フレックス勤務やリモートワークなど多様な働き方を整備するとともに、ティール組織を導入して働きやすい環境作りを推進しています。また、自己啓発支援や資格取得支援などを通じ、従業員の能力開発に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 34.8歳 | 6.1年 | 6,519,124円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、男女間賃金差異の記載はありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場および技術革新への対応リスク
EC市場の成長鈍化やセキュリティ脅威、法規制等が業績に影響する可能性があります。また、絶え間ない技術革新の中で、新技術への対応や開発体制の維持が困難になった場合、サービスの優位性が低下し、事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定サービスへの依存リスク
同社の収益は「EBISUMART」の構築収入および運用課金収入に大きく依存しています。競争激化や予期せぬ事象によりサービスの競争力が低下したり、獲得店舗数が減少したりした場合、事業展開や経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) システム障害および通信トラブル
サービス提供に利用している外部クラウドサービスや通信インフラにおいて、自然災害、サイバー攻撃、人為的ミス等により障害が発生した場合、サービス停止のリスクがあります。また、プログラムの不具合による動作不良が頻発すれば信頼性が損なわれ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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