※本記事は、インターファクトリーの有価証券報告書(第23期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インターファクトリーってどんな会社?
クラウド型ECサイト構築プラットフォームの提供と、EC事業者の成長支援を軸に事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2003年にインターネット関連のソフトウェア受託会社として設立されました。2004年にECサイト構築パッケージの提供を開始し、2010年にはクラウド型へバージョンアップを行いました。2020年に東京証券取引所マザーズに上場し、2022年の市場再編に伴いグロース市場へ移行しています。
同社(単体)の従業員数は163名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長兼CEOの蕪木登氏で、第2位はケイエイビー、第3位は蕪木有紀氏となっています。創業一族と資産管理会社で株式の過半数を保有する安定した資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 蕪木登 | 34.20% |
| ケイエイビー | 5.45% |
| 蕪木有紀 | 4.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長兼CEOは蕪木登氏が務めています。社外取締役の比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 蕪木登 | 代表取締役社長兼CEO | 1998年システムマネージメント等を経て、2003年インターファクトリー設立。2006年より現職。 |
| 兼井聡 | 取締役 | 2001年アドマップス等を経て、2006年同社入社。同年より現職(EBISUMART事業担当)。 |
| 三石祐輔 | 取締役兼CMO | ゼンキューブ等の代表取締役を経て、2013年同社入社。同年より現職(ECビジネス成長支援事業担当)。 |
| 赤荻隆 | 取締役兼CFO | 1989年レンゴー入社。監査法人等を経て2013年同社監査役。2014年より現職。 |
社外取締役は、鳥山亜弓(千代田国際法律会計事務所所長)、笹川大介(元KDDIリスクマネジメント本部監査部マネージャー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「クラウドコマースプラットフォーム事業」「ECビジネス成長支援事業」「データ利活用プラットフォーム事業」を展開しています。
■クラウドコマースプラットフォーム事業
クラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART」シリーズを中心に、中規模から大規模のEC事業者向けにECシステムの構築および運用保守サービスを提供しています。クラウド型でありながら個別のカスタマイズが可能な拡張性と、毎週のアップデートによる最新性を備えている点が特徴です。
新規構築や機能追加に応じるカスタマイズ料(フロー収益)と、月額の基本料金・変動料金等からなるシステム運用保守料(ストック収益)が主な収益源です。運営は同社が行い、パートナー企業との連携によるオープンプラットフォーム化も推進しています。
■ECビジネス成長支援事業
ECモールおよび自社ECサイトを運営する事業者に対し、事業の成長を戦略立案から実務まで一気通貫で支援するサービス「EBISU GROWTH」を提供しています。運用支援、フルフィルメント最適化、越境ECサイト構築などをトータルで支援します。
EC戦略PM支援やモール特化型運営支援等のコンサルティングおよび運用代行による手数料が主な収益源です。直近では広告運用代行をパートナー企業へ委託し、広告出稿運用手数料を純額で計上するモデルへ移行しています。運営は同社が行っています。
■データ利活用プラットフォーム事業
EC事業者の基幹システムと各販売チャネルにおけるデータをシームレスに繋ぎ、一元管理や分析を可能とするプラットフォームの提供を目指しています。新規プロダクトとして商品データ統合プラットフォーム「EBISU PIM」を展開しています。
多様なシステムとのデータ連携機能や商品情報管理基盤の提供に伴う利用料等が収益源となります。既存のEBISUMART顧客や複数チャネル連携ニーズを持つエンタープライズ層へ向けた拡販を行っています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期の売上高は右肩上がりで推移し、22.8億円から28.6億円へと着実に成長しています。一方で利益面は、先行投資等の影響もあり期によって変動が大きく、直近の2026年5月期は経常利益0.5億円と前年比で大幅な減益となっています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 22.8億円 | 24.9億円 | 26.0億円 | 28.6億円 | 28.6億円 |
| 経常利益 | 0.3億円 | 0.5億円 | -0.3億円 | 1.9億円 | 0.5億円 |
| 利益率(%) | 1.5% | 1.9% | -1.1% | 6.7% | 1.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.2億円 | 0.2億円 | -0.3億円 | 1.4億円 | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
直近の売上高は28.6億円と前年並みを維持していますが、営業利益は1.9億円から0.6億円へと大きく減少しています。売上総利益率は約41〜43%で推移していますが、販管費の増加により営業利益率が圧迫されている状況です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 28.6億円 | 28.6億円 |
| 売上総利益 | 12.2億円 | 11.8億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.6% | 41.1% |
| 営業利益 | 1.9億円 | 0.6億円 |
| 営業利益率(%) | 6.8% | 2.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.1億円(構成比37.2%)、その他が3.1億円(同27.6%)、広告宣伝費が2.0億円(同18.0%)を占めています。売上原価においては、労務費が8.9億円(構成比53.1%)、経費が7.0億円(同41.5%)と大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるクラウドコマースプラットフォーム事業は、システム運用保守が堅調で増収を確保しましたが、人件費等の増加により減益となりました。ECビジネス成長支援事業は広告運用代行の純額計上化により大幅減収となるも黒字転換しています。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益(2026年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| クラウドコマースプラットフォーム事業 | 26.2億円 | 27.3億円 | 8.7億円 | 8.4億円 | 30.8% |
| ECビジネス成長支援事業 | 2.5億円 | 1.3億円 | -0.1億円 | 0.0億円 | 3.4% |
| データ利活用プラットフォーム事業 | - | 0.0億円 | -0.3億円 | -0.6億円 | - |
| 連結(合計) | 28.6億円 | 28.6億円 | 2.0億円 | 0.6億円 | 2.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況にあります。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.8億円 | 1.5億円 |
| 投資CF | -1.8億円 | -2.2億円 |
| 財務CF | -0.3億円 | -0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.9%で市場平均とほぼ同水準であり、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.8%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「関わる従業員、お客様、取引先様の幸せを実現する」ことを企業理念に掲げています。その実現のために「コマースを進化させる」を事業目的(スローガン)とし、クラウドコマースプラットフォームをはじめとしたサービスの提供を通じて、社会やステークホルダーに貢献する経営を行っています。
■(2) 企業文化
同社は、経営の効率化とともに透明性・客観性を高め、健全な事業活動を行うことを重視しています。企業倫理の確立に向け「インターファクトリーの経営目的と道」というルールや考え方を共有し、ティール組織の概念を取り入れながら、主体性と心理的安全性を重んじる風土づくりを進めています。
■(3) 経営計画・目標
経営指標として、「システム受託開発の受注金額」および「システム運用保守のARPU(顧客単価)」を重要な指標と位置付けています。各業種の上位企業をターゲットにGMV(流通総額)の最大化を図り、ARPUを着実に積み上げることで、売上高および利益の安定的な成長と企業価値向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
クラウドコマースプラットフォームのオープンプラットフォーム化を推進し、API公開やパートナー開拓によって事業規模の拡大を図ります。また、BtoB向け機能の拡充や、大規模顧客層をターゲットにしたハイスペック版「EBISUMART Enterprise」の提供に注力し、ストック収益の最大化を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
継続的に企業価値を高めるため、有能な人材の確保と育成を最重要課題と位置付けています。多様な働き方を支援するリモートワークや時短勤務の整備に加え、自己啓発や資格取得支援制度、メンター制度を導入。従業員の自律的な成長を促し、活躍の場を広げることで定着率と専門性の向上を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 35.6歳 | 6.6年 | 6,736,794円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.7% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※労働者の男女の賃金の差異については、公表義務の対象外であるため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) EC市場の動向と競合他社との競争激化
同社の主力事業はECサイト構築であるため、国内EC市場の流通総額増大が成長の前提となります。しかし、資金力やブランド力を有する大手企業などの参入により類似サービスが増加し、価格競争や市場シェアの低下が生じた場合、サービスの優位性が低下し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) クラウドサービスやシステム障害によるサービス停止
AWS等の外部クラウドサービスを利用しているため、自然災害やサイバー攻撃、プログラムの不具合、サーバーへの過剰負荷などによってシステムが停止した場合、SLA(サービスレベルアグリーメント)に基づく利用料金の減額や損害賠償が発生し、企業への信頼低下とともに業績に影響する可能性があります。
■(3) 情報セキュリティ対策と個人情報の漏洩
同社のサービスは顧客が保有する多くの個人情報等のデータを扱うプラットフォームです。ISO/IEC27001等の認証を取得しセキュリティ対策を講じていますが、予測を超える不正アクセス等により情報資産の漏洩や改竄が発生した場合、多額の損害賠償や認証取消を招くリスクがあります。



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