ビーウィズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビーウィズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場し、コンタクトセンター・BPO事業を展開しています。第26期は、特定の公共案件の縮小や反動減の影響を受け、売上高は364億円(前期比4.8%減)、営業利益は11億円(前期比57.9%減)と減収減益となりました。


※本記事は、ビーウィズ株式会社 の有価証券報告書(第26期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビーウィズってどんな会社?


自社開発のクラウド型PBX「Omnia LINK」を活用したコンタクトセンター・BPOサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


2000年に三菱商事とソフトバンクグループの合弁で設立され、2015年にパソナグループの完全子会社となりました。2016年にはシステム開発会社のアイブリットを子会社化し、「Omnia LINK」の開発体制を強化しました。2022年3月に東京証券取引所市場第一部へ上場し、同年4月にプライム市場へ移行しています。

連結従業員数は749名、単体では711名です。筆頭株主は人材サービス事業を展開する親会社のパソナグループで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位は従業員持株会となっており、親会社との連携を保ちつつ事業を展開しています。

氏名 持株比率
パソナグループ 54.61%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 3.01%
ビーウィズ社員持株会 1.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長は飯島健二氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
飯島 健二 代表取締役社長 2002年同社入社。経営企画部長、執行役員常務コーポレート本部長、取締役副社長執行役員(営業・オペレーション部門担当)などを経て、2025年3月より現職。
森本 宏一 取締役会長 パソナテック代表取締役社長、パソナグループ副社長執行役員などを歴任。2019年同社代表取締役会長、2020年代表取締役社長を経て、2025年3月より現職。
仲瀬 裕子 取締役 パソナ常務執行役員、パソナグループ取締役常務執行役員などを経て、2025年6月パソナグループ副社長執行役員CFO。2025年8月より現職。
中島 孝 取締役(常勤監査等委員) パソナ執行役員法務部長、パソナグループ常務執行役員などを経て、2020年8月より現職。


社外取締役は、冨松宏之(弁護士・弁理士)、伊能美和子(元ドコモgacco代表取締役社長)、政井貴子(SBI金融経済研究所代表理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンタクトセンター・BPO事業」を展開しています。

(1) コンタクトセンター・BPOサービス


顧客企業に対して、コンタクトセンター(電話、メール、チャット等による顧客対応)およびBPO(事務業務等の外部委託)サービスを提供しています。自社開発のクラウド型PBX「Omnia LINK」を活用し、オペレーター業務の効率化や品質向上を実現するほか、AI・DXソリューションの開発・販売も行っています。

収益は主に、顧客企業から受け取るスタッフの稼働時間・システム・場所等の提供費用によって構成されています。また、アウトバウンド業務における販売実績に応じたインセンティブや、Omnia LINKのシステム利用料も収益源となります。運営は主にビーウィズが行い、システム開発は子会社のアイブリットやドゥアイネットが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は300億円台後半で推移していますが、直近では減少傾向にあります。利益面では、かつて20%を超えていたROEが当期には5.0%まで低下しており、利益率の改善が課題となっています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 288億円 324億円 352億円 383億円 364億円
経常利益 22億円 26億円 23億円 25億円 10億円
利益率(%) 7.5% 8.0% 6.5% 6.6% 2.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 17億円 16億円 19億円 5億円

(2) 損益計算書


減収に伴い売上総利益が減少し、売上総利益率は低下しました。一方で販売費及び一般管理費は増加しており、営業利益を圧迫する要因となっています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 383億円 364億円
売上総利益 61億円 52億円
売上総利益率(%) 15.9% 14.2%
営業利益 25億円 11億円
営業利益率(%) 6.6% 2.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が16億円(構成比39%)、法定福利費が3億円(同7%)を占めています。売上原価においては、労務費が239億円(構成比76%)、経費が75億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


特定の公共案件の縮小や電力業界における反動減などが影響し、主力のコンタクトセンター・BPO事業の売上高は減少しました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
コンタクトセンター・BPO事業 383億円 364億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 26億円 12億円
投資CF -9億円 -5億円
財務CF -5億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.0%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は61.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「洞察を通じた社会への貢献」を事業理念として掲げています。社会や経済のあり方を深く洞察し、常に時代に合った最適かつ新たなサービスを追求することで、社会に歓びと価値を創造し、企業価値の向上とステークホルダーとの良好な関係構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、事業理念および行動理念を単なるスローガンに留めず、社員一人ひとりの日常業務における判断基準や具体的な行動に落とし込むことを重視しています。理念に基づく模範的な行動を実践し、周囲に好影響を与えている社員を表彰する制度を設けるなど、企業文化として定着させる取り組みを行っています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2025」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」を目指すべき姿としています。堅実で持続的な成長と新たな事業創出を図るため、経営上の目標達成状況を判断する客観的指標として、売上高成長率および営業利益成長率を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


「根元」事業であるコンタクトセンター・BPOサービスと、「新芽」事業であるOmnia LINK等のシステムソリューション販売の両面での成長を戦略としています。コンタクトセンター・BPOでは金融・情報通信業界を重点戦略グループとし、システム販売ではOmnia LINKの外販拡大や新ソリューション開発を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最大の資本と捉え、「ビーウィズらしさの体現」「事業変革に合わせた人材ポートフォリオの改善」「次の10年を見据えた人づくり」を柱としています。理念の浸透やエンゲージメント向上、デジタルスキルの強化、重要なポジションの人材パイプライン構築などを通じ、企業価値の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 39.8歳 7.3年 5,208,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 19.7%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 79.5%
男女賃金差異(正規雇用) 86.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 90.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、デジタル効率化時間(約238,000時間)、CO2排出量(Scope1:5t-CO2、Scope2:974t-CO2)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 顧客企業の事業環境変化


主力サービスであるアウトソーシングは、顧客企業の経営方針転換や業績悪化によるコスト削減の影響を受けやすく、受託業務量が大幅に変動する可能性があります。長期契約が多いものの、顧客ポートフォリオの多様化や受託領域の拡大、新サービスの提供によりリスク低減を図っています。

(2) 特定の顧客企業への依存


売上高上位5社で総売上高の約37.0%を占めており、特に東京電力エナジーパートナーやパソナとの取引構成比が高くなっています。これら顧客企業との取引動向が業績に影響を与える可能性があるため、新規取引先の拡大や既存顧客へのDX提案等により収益拡大を進め、依存度の低下を目指しています。

(3) 大型スポット業務受託


中長期の継続契約が中心ですが、社会情勢や顧客要請による大型スポット業務が発生することがあります。これを受託した場合、一時的に業績が向上する反面、終了後の反動で翌年度の収益性が低下する可能性があります。スポット業務比率の基準設定や継続業務の受託推進により、業績変動の抑制に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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