※本記事は、インテグループの有価証券報告書(第19期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月31日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インテグループってどんな会社?
同社は、売り手・買い手ともに完全成功報酬制を採用する、中小企業に特化したM&A仲介専門会社です。
■(1) 会社概要
2007年に設立され、中小企業向けのM&A仲介サービスを開始しました。2019年にM&A累計成約数100組、2025年に300組を達成するなど着実に実績を積み上げ、2024年に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。
従業員数は単体で65名です。筆頭株主は創業者で取締役会長の藤井一郎氏と代表取締役社長の籠谷智輝氏であり、第3位株主は個人の石川大祐氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 藤井 一郎 | 32.97% |
| 籠谷 智輝 | 32.97% |
| 石川 大祐 | 2.75% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は籠谷智輝氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 籠谷 智輝 | 代表取締役社長管理本部長 | 監査法人トーマツを経て、籠谷に入社。2007年の同社設立時に取締役副社長に就任。管理部長、管理本部長を歴任し、2025年8月より現職。 |
| 藤井 一郎 | 取締役会長 | 三菱商事、フリービット等を経て、サンベルトパートナーズ取締役に就任。2007年の同社設立時に代表取締役社長に就任し、2026年8月より現職。 |
| 廣瀬 一憲 | 取締役コンサルティング本部長 | 東大ネット取締役、シグマクシス、要興業を経て、2014年に同社へ入社。2020年に取締役に就任し、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、牟田口賢次郎(元富士興産代表取締役)、川﨑勝之(アクリア代表取締役)、増田薫則(TXL法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社は、「M&A仲介事業」を単一セグメントとして展開しています。
■(1) M&A仲介サービス
会社売却を希望する中小企業の経営者に対し、初期相談から企業価値評価、買い手候補の選定や提案、トップ面談、条件交渉、最終契約に至るまでの一連のプロセスをコンサルタントがワンストップで支援しています。小規模案件を中心に、買い手からの買収ニーズに基づくアプローチも行っています。
M&Aが成立した場合のみ、売り手と買い手の双方から手数料を受け取る完全成功報酬制を収益モデルとしています。着手金や中間金を徴収せず、最低成功報酬額も低廉に設定することで顧客の費用負担リスクを抑えています。運営はインテグループが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間を見ると、売上高と経常利益は2024年5月期まで大きく成長しましたが、以降は大型案件の成約のズレや検討長期化、不成立等の影響により2期連続の減収減益となっています。成約率低下への対策を進め、今後の業績回復が課題となっています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6.5億円 | 12.7億円 | 22.0億円 | 18.9億円 | 15.6億円 |
| 経常利益 | 0.1億円 | 2.4億円 | 9.8億円 | 4.9億円 | 1.3億円 |
| 利益率(%) | 1.8% | 18.8% | 44.7% | 25.7% | 8.2% |
| 当期利益 | - | 1.7億円 | 6.7億円 | 3.1億円 | 0.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に加え、案件成約率の低下や1組当たり売上高の減少等により、売上総利益および営業利益が減少しています。また、人員増強や広告投資等の継続により、利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 18.9億円 | 15.6億円 |
| 売上総利益 | 10.4億円 | 7.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.2% | 46.2% |
| 営業利益 | 5.0億円 | 1.2億円 |
| 営業利益率(%) | 26.3% | 7.7% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が1.7億円(構成比29%)、地代家賃が1.0億円(同16%)を占めています。売上原価においては、人件費が6.7億円(構成比80%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はM&A仲介事業の単一セグメントです。成約組数は増加したものの、大型案件を含む複数案件の検討期間長期化や不成立が重なり、1組当たりの売上高が減少したため、減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年5月期) | 売上(2026年5月期) |
|---|---|---|
| M&A仲介事業 | 18.9億円 | 15.6億円 |
| 合計 | 18.9億円 | 15.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2.2億円 | 1.8億円 |
| 投資CF | -0.1億円 | -12.0億円 |
| 財務CF | 2.3億円 | -0.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.8%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「我々は、完全成功報酬制のM&A仲介会社として、質量ともに圧倒的なリーディング企業になり、優良企業の存続・発展、起業家精神の高揚、経済全体の生産性の向上に貢献する」などのビジョンを掲げています。社会が抱える中小企業の後継者不足問題等をM&Aで解決することを使命としています。
■(2) 企業文化
「インテグリティ」「顧客の成功の実現」「長期的信頼関係の構築」「オーナーシップ」「プロフェッショナリズム」などの価値観を重視しています。リスクを隠さず誠実に仕事に取り組み、短期的な利益よりも長期的信頼関係を築くことを目指すとともに、社員一人ひとりが裁量権を持ち、結果に責任を持つ当事者意識を求めています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と企業価値向上という経営目標を達成するため、「売上高」および「成約組数」を最重要の客観的指標として設定しています。これらに影響を与える「成約1組当たりの売上高」「コンサルタント1人当たりの成約組数」および「平均コンサルタント数」を継続的に把握・管理し、中長期的な業績拡大を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「完全成功報酬制のM&A仲介会社No.1」ブランドの確立に向け、広告投資の拡大やダイレクトソーシング、金融機関等とのネットワークソーシングを強化しています。また、小規模案件セグメントでのシェア拡大とあわせ、PEファンド関連案件の獲得による1組当たり売上高の向上を図っています。インサイドセールス部門の新設等により、コンサルタントの生産性向上も重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中小企業M&A市場での独自のポジショニングを拡大するため、優秀なコンサルタントの獲得と定着を最重要課題と位置付けています。個人の成果に応える還元率の高いインセンティブ制度を設け、過度なノルマや長時間労働を排した環境を整備しています。入社後約2ヵ月間の集中研修や現場での手厚いOJTを通じて、早期戦力化と組織的な生産性向上を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年5月期 | 32.4歳 | 2.6年 | 11,859,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合環境の激化
M&A仲介業界は参入障壁が低く、大手企業や金融機関などに加え、新規参入も相次いでいます。同社は「完全成功報酬制」という独自ポジションと小規模案件への注力により優位性の確保を図っていますが、競争がさらに激化した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 業績変動リスク
同社は原則としてM&A成立後にのみ報酬を受け取る完全成功報酬制を採用しており、報酬額は譲渡金額に大きく左右されます。コンサルタントの増員等でリスク分散を図っていますが、大型案件の成否や進捗遅延、成約率の低下などが特定の期間の業績を大きく変動させるリスクがあります。
■(3) 優秀な人材の確保・育成
コンサルタントの個人的な能力がM&A案件の成否に直結するため、優秀な人材の継続的な採用・育成が不可欠です。高いインセンティブや働きやすい環境整備に努めていますが、採用競争の激化や想定外の離職が発生し、事業拡大に必要な人員が確保できない場合、同社の成長に支障をきたす可能性があります。



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