インテグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インテグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のM&A仲介会社。中小企業向けに完全成功報酬制の仲介サービスを提供しています。直近の業績は、大型案件の成約時期の変動や検討期間の長期化等の影響を受け、売上高19億円、経常利益5億円となり、前期と比較して減収減益で着地しました。


※本記事は、インテグループ株式会社 の有価証券報告書(第18期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インテグループってどんな会社?


完全成功報酬制を採用するM&A仲介会社です。着手金や中間金を取らない料金体系と一気通貫の支援体制が特徴です。

(1) 会社概要


2007年6月に設立され、中小企業向けのM&A仲介サービスを開始しました。順調に成約数を伸ばし、2024年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。設立当初より完全成功報酬制を掲げ、着手金・中間金無料のビジネスモデルを展開しています。

同社の従業員数は単体52名です。筆頭株主は創業者で会長の藤井一郎氏と、社長の籠谷智輝氏で、それぞれ同率の株式を保有しています。第3位は資産管理業務を行う信託銀行名義の口座です。

氏名 持株比率
藤井 一郎 33.65%
籠谷 智輝 33.65%
NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB) 3.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は籠谷智輝氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
籠谷 智輝 代表取締役社長管理本部長 監査法人トーマツを経て籠谷入社。2007年インテグループ設立時に取締役副社長就任。2025年より現職。
藤井 一郎 代表取締役会長 三菱商事、フリービット等を経て2007年インテグループ設立、代表取締役社長就任。2025年より現職。
廣瀬 一憲 取締役コンサルティング本部長 東大ネット取締役、シグマクシス等を経て2014年インテグループ入社。2020年取締役就任。2025年より現職。


社外取締役は、牟田口賢次郎(元富士興産代表取締役)、川﨑勝之(アクリア代表取締役)、増田薫則(TXL法律事務所弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「M&A仲介事業」を展開しています。

(1) M&A仲介事業


中小企業の後継者不足問題等を解決するため、会社売却を希望する経営者に対し、初期相談から買い手選定、条件交渉、契約に至るまでをワンストップで支援するM&A仲介サービスを提供しています。顧客は主に事業承継やイグジットを検討する中小企業オーナーと、事業拡大を目指す買い手企業です。

売り手・買い手の双方から成功報酬を受け取るビジネスモデルですが、着手金や中間金を徴収しない「完全成功報酬制」を採用している点が特徴です。また、最低成功報酬額を業界低水準に設定することで、小規模案件でも利用しやすいサービスを提供しています。運営は主にインテグループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は8億円から22億円まで拡大しましたが、直近では19億円へと調整局面を迎えています。経常利益も同様の傾向で推移し、利益率は高い水準を維持しつつも変動が見られます。M&A成約のタイミングによる業績変動の特性が現れています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 8億円 6億円 13億円 22億円 19億円
経常利益 3億円 0.1億円 2億円 10億円 5億円
利益率(%) 30.7% 1.8% 18.8% 44.7% 25.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 -0億円 2億円 7億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、各利益段階で縮小が見られます。売上総利益率は依然として高い水準を維持していますが、販管費の増加もあり、営業利益率は前期と比較して低下しました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 22億円 19億円
売上総利益 14億円 10億円
売上総利益率(%) 65.3% 55.2%
営業利益 10億円 5億円
営業利益率(%) 44.8% 26.3%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が1.6億円(構成比30%)、地代家賃が1.0億円(同18%)を占めています。売上原価においては、人件費(給料手当・賞与等)が7.1億円(構成比83%)と大半を占めており、労働集約的なコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


M&A仲介事業の単一セグメントです。成約組数の減少により、前期比で減収となりました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
M&A仲介事業 22億円 19億円
連結(合計) 22億円 19億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は本業での支出が先行し営業CFがマイナスとなる一方、財務活動で資金を調達しており、将来の成長に向けた投資余力を確保しようとする「勝負型」の傾向が見られます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 10億円 -2億円
投資CF -1億円 -0.1億円
財務CF -億円 2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は89.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「完全成功報酬制のM&A仲介会社として、質量ともに圧倒的なリーディング企業になり、優良企業の存続・発展、起業家精神の高揚、経済全体の生産性の向上に貢献する」というビジョンを掲げています。また、経営課題の解決を通じて経営と経営者に付加価値を与え、社会に活力を与える最も信頼される経営支援会社になることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「良い仕事」を定義し、顧客への貢献、社会への価値提供、自己成長の3要素を満たすことを重視しています。また、リスクを隠さず誠実に仕事をする「インテグリティー」、顧客の成功を第一に考える姿勢、当事者意識を持つ「オーナーシップ」、そしてプロとして自己研鑽に努める「プロフェッショナリズム」などの価値観を共有しています。

(3) 経営計画・目標


同社は持続的な成長と企業価値向上を目標とし、その達成状況を判断する指標として「売上高」および「成約組数」を重視しています。また、これらに影響を与える「成約1組当たりの売上高」「コンサルタント1人当たりの成約組数」「平均コンサルタント数」を管理指標として設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「完全成功報酬制のM&A仲介会社No.1」ブランドの確立を目指し、広告投資や提案型営業を強化しています。小規模案件でのシェア拡大を図りつつ、PEファンド関連案件の増加等により単価向上も目指します。また、金融機関等からの紹介によるネットワークソーシングの強化や、質の高い人材採用と早期戦力化にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


完全成功報酬制の事業を成長させるため、能力と人間性に優れた人材の採用を重視しています。最大40%以上のインセンティブ率や長時間労働のない環境を整備し、優秀な人材を確保します。育成面では、教育専任担当者による集中研修やOJTを通じて早期戦力化を図り、コンサルタントが一気通貫で案件を担当することで幅広いノウハウの蓄積を促進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 31.9歳 2.4年 14,818,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績変動リスク


同社は完全成功報酬制を採用しており、報酬は案件の譲渡金額や成否に大きく左右されます。成約件数の増加で平準化を図っていますが、クロージング時期のズレや大型案件の成否、成約率の低下などが生じた場合、四半期や年度ごとの業績が大きく変動する可能性があります。

(2) 競合の激化


M&A仲介業界は参入障壁が低く、上場・未上場企業、金融機関など多数の競合が存在し、今後も新規参入による競争激化が予想されます。同社は完全成功報酬制や小規模案件への注力で差別化を図っていますが、競争環境の変化により業績に影響が出る可能性があります。

(3) 人材の確保・育成


事業拡大には優秀なコンサルタントの確保が不可欠です。同社は高いインセンティブや働きやすい環境を整備していますが、採用競争の激化や想定外の離職等により必要な人員を確保できない場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、一気通貫体制のため個々の能力への依存度が高い点もリスク要因です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。