※本記事は、株式会社D&Mカンパニー の有価証券報告書(第10期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. D&Mカンパニーってどんな会社?
医療・介護機関向けに資金支援、コンサルティング、人材紹介をワンストップで提供する経営支援企業です。
■(1) 会社概要
2015年に大阪市で設立され、診療・介護報酬債権等の買取事業を開始しました。その後、人材紹介やリース事業へ参入し、2024年6月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。現在では資金支援、経営コンサルティング、人材サービスを柱に事業を拡大しています。
2025年5月末時点の連結従業員数は66名、単体では51名です。筆頭株主は、創業者の親族の資産管理会社である株式会社YSYで35.27%を保有しており、第2位は創業者の松井信博氏で5.29%を保有しています。両者を合わせると40%超を保有する安定株主が存在します。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| YSY | 35.27% |
| 松井 信博 | 5.29% |
| NOMURA PB NOMINEES LIMITED OMNIBUS-MARGIN(CASHPB) | 4.86% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は松下 明義氏です。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松下 明義 | 代表取締役社長 | 住友銀行、パソナグループを経て2015年同社設立、代表取締役社長就任。2025年よりD&Mキャリア取締役を兼務。 |
| 藤井 幹正 | 専務取締役営業本部長 | 住友銀行、エヌエスパートナーズ代表取締役等を経て2015年同社顧問。2020年より専務取締役。 |
| 南浦 佳孝 | 取締役管理部長兼経営企画部長 | 近畿日本鉄道を経て2023年同社入社。2024年より現職。D&Mキャリア代表取締役を兼務。 |
社外取締役は、松吉 三郎(元積和不動産関西代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医療機関等に対する経営サポート事業」の単一セグメントですが、サービス内容は主に「F&Iサービス」「C&Brサービス」「HR&OSサービス」の3つで構成されています。
■F&Iサービス
医療機関・介護施設等に対し、診療・介護報酬債権等の譲渡に基づく資金支援(ファクタリング)や、医療用機器等のリースサービスを提供しています。事業者の資金需要に合わせて債権の買取月数を柔軟に設定できる点や、将来発生する見込みの債権(将来債権)も積極的に買い取る点が特徴です。
収益は、事業者等から受領する債権買取手数料やリース料です。運営は主に同社および連結子会社のD&Mパートナーズが行っています。
■C&Brサービス
同社が債権買取を行っている事業者等に対し、経営改善を目的とした経営診断やコスト削減コンサルティングを提供しています。経営改善が困難な先には「ハンズオン」形式で経営サポートを行い、理事会への参加や価格交渉等に積極的に関与します。
収益は、コンサルティング報酬やコスト削減等の成果報酬です。運営は同社およびD&Mパートナーズが行っています。
■HR&OSサービス
医療・介護業界への経営層や管理者・事務系業務の転職希望者を紹介する人材紹介、事務系やヘルパー系の人材派遣、経理や労務管理のアウトソーシング受託を行っています。また、登録支援機関として外国人人材の紹介に伴う生活支援業務も受託しています。
収益は、求人事業者等からの紹介手数料や派遣料、アウトソーシング受託料です。運営は主に連結子会社のD&Mキャリアが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、特に直近の第10期では売上高15億円を突破しています。利益面でも経常利益、当期純利益ともに増加傾向にあり、増収増益基調を維持しています。利益率も20%前後と高い水準を保っています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益(または売上高) | 7.4億円 | 9.3億円 | 11.1億円 | 11.9億円 | 15.0億円 |
| 税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 | 3.7億円 | 2.3億円 | 2.5億円 | 2.7億円 | 3.0億円 |
| 利益率(%) | 49.6% | 25.2% | 22.5% | 23.1% | 20.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.2億円 | 1.7億円 | 1.4億円 | 1.5億円 | 2.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率はやや低下しています。一方、営業利益は増加しており、営業利益率も約20%と高い収益性を確保しています。事業拡大に伴いコストも増加していますが、増収効果がそれを上回っています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11.9億円 | 15.0億円 |
| 売上総利益 | 7.5億円 | 8.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 63.5% | 56.3% |
| 営業利益 | 2.8億円 | 3.0億円 |
| 営業利益率(%) | 23.6% | 19.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が1.6億円(構成比28.7%)、役員報酬が1.0億円(同18.2%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全てのサービスにおいて売上高が増加しています。特にHR&OSサービスの大幅な増収が全体の成長に寄与しており、主力であるF&Iサービスも堅調に推移しています。C&Brサービスも増収となりました。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) |
|---|---|---|
| F&Iサービス | 6.3億円 | 7.5億円 |
| C&Brサービス | 3.2億円 | 4.0億円 |
| HR&OSサービス | 2.5億円 | 3.5億円 |
| 連結(合計) | 11.9億円 | 15.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**勝負型**:本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続
なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業貸付金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -7.8億円 | -0.7億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | 5.1億円 | 2.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人の願いを叶える会社たる」を経営理念に掲げています。安心できる医療、穏やかな老後を暮らせる福祉、子供から老人まで全ての世代が夢を持って生きられる仕組みを創り、より素晴らしい社会・世界の実現に貢献することを追求しています。
■(2) 企業文化
事業を通じて「お客様、投資家、私たち、そして社会」にとって何が「四方良し」かを考え抜き行動することを事業運営の方針としています。既存および潜在的取引先の持続的成長に貢献しつつ、グループのさらなる事業拡大を推進する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
事業拡大を図るため、「売上高」「経常利益」「取引社数」「投資資産残高」の対前年増加率を成長性指標としています。また、投資効率の向上と変事抵抗力のバランスを図るため、「営業利益率」を収益性指標、「自己資本比率」を安全性指標として重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
上場により向上する信用力を活用し、コンサルティング人材の増強とM&A支援の推進を図ります。また、金融商品取引業者登録等の取得により独自の資金調達手段を開拓し、事業プラットフォームを強化します。人材サービスでは、特に外国人人材就労支援の飛躍的な増強を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
各分野で経験を積んだ役職員による安定的な事業運営を基盤としつつ、今後の事業拡大やサービス多様化に対応するため、経験豊富な人材の確保と多役化を一層進める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 46.0歳 | 1.3年 | 4,397,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役員(1名)、女性管理監督者(3名)、外国国籍者(2名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 厚生行政の変化による取引先業績悪化
社会保障費抑制を目的とした診療・介護報酬の見直し等の厚生行政の変化が、取引先の経営に悪影響を与え、その結果、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 金融マーケットの逼迫と金利上昇
同社グループは有利子負債比率が高く、金融マーケットの逼迫や金利上昇により調達困難やコスト増となるリスクがあります。資金調達の多様化や手数料の見直し等で対応しますが、急激な環境変化が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 金融機関の貸出姿勢の変化
同社グループは金融機関からの資金調達を行っており、金融行政や金融機関の方針転換により与信が縮小された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 貸倒引当金について
同社は診療・介護報酬債権等を買い取っていますが、特に将来債権については取引先の事業継続が困難になった場合に回収不能となるリスクがあります。経済情勢や法制度の変化により貸倒損失が増加した場合、業績に影響を与える可能性があります。



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