PostPrime 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

PostPrime 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のPostPrimeは、投資教育SNS「PostPrime」を運営する企業です。2025年5月期より連結決算へ移行し、売上高9.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益0.9億円を計上しました。新規事業として商品CFD取引プラットフォーム等の開発を進め、事業領域の拡大を図っています。


※本記事は、PostPrime株式会社 の有価証券報告書(第6期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年08月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. PostPrimeってどんな会社?


金融・経済情報に特化したSNS「PostPrime」を運営し、AIによるチャート分析機能などを提供しています。

(1) 会社概要


2020年9月にDKTとして設立され、2021年9月にSNS「PostPrime」をリリースしました。2022年4月に現社名へ変更し、2024年6月に東証グロース市場へ上場しています。2024年10月には子会社TakaTradeを設立し、取引プラットフォーム事業を開始しました。

同社グループの連結従業員数は28名(単体21名)です。筆頭株主は創業者である高橋ダニエル圭氏の資産管理会社で、第2位は大手証券会社のSBI証券、第3位は宗教法人となっています。

氏名 持株比率
DAN TAKAHASHI LLC 66.62%
SBI証券 0.92%
宗教法人安養寺 0.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。CEO代表取締役社長はヴー ヴァン チュン氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
ヴー ヴァン チュン CEO代表取締役社長 ユーザベース、GMOフィナンシャルホールディングス等を経て2021年入社。2025年8月より現職。
高橋 ダニエル 圭 代表取締役 モルガン・スタンレー等を経て2020年同社設立。2024年10月より子会社TakaTrade代表取締役現任。
羽鳥 有紀彦 取締役コーポレートグループリーダー 監査法人トーマツ、野村證券を経て2021年入社。同年8月より現職。
浅見 直樹 取締役 IG証券、楽天証券等を経て2025年8月入社。同年8月より現職。


社外取締役は、古川 賢隆(元SBIトレードウィンテック取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金融・経済情報プラットフォーム事業」および「取引プラットフォーム事業」を展開しています。

金融・経済情報プラットフォーム事業


金融・経済分野に特化したSNS「PostPrime」を運営しています。ユーザーは投稿の閲覧や発信ができ、AIを活用したチャート分析機能「IZANAVI」なども提供しています。専門性が高く難解になりがちな金融情報を、画像や動画、ライブ配信を通じてわかりやすく学べる場を提供しています。

収益は主に、有料投稿を閲覧するための「プライム登録」料、特典付きの「メンバーシップ」料、およびアフィリエイト広告収入から得ています。また、クリエイターへの「ありがとう」機能や有料コース販売による手数料収入もあります。運営は主にPostPrimeが行っています。

取引プラットフォーム事業


商品CFD取引を中心としたプラットフォーム「TakaTrade」の開発および運営を行っています。情報提供の枠を超え、ユーザーに対して投資の実践の場を提供することを目指しています。2025年5月に商品先物取引業者としての許可を取得し、同年8月よりサービスを開始しました。

当連結会計年度においては開発段階であり、主な収益は発生していません。運営は連結子会社であるTakaTradeが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2025年5月期より連結財務諸表を作成しているため、データの連続性はありませんが、売上高は9.0億円、税引前利益は1.8億円、当期利益は0.9億円となっています。

項目 2025年5月期
売上高 9.0億円
経常利益 1.8億円
利益率(%) 19.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.9億円

(2) 損益計算書


当期より連結決算へ移行しました。売上高9.0億円に対し、営業利益率は20.4%と高い収益性を確保しています。

項目 2025年5月期
売上高 9.0億円
売上総利益 7.9億円
売上総利益率(%) 87.7%
営業利益 1.8億円
営業利益率(%) 20.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.7億円(構成比28%)、システム利用料が1.6億円(同26%)を占めています。売上原価においては、プライムクリエイターへのロイヤリティ支払が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


主力の金融・経済情報プラットフォーム事業が収益を牽引していますが、新規事業である取引プラットフォーム事業は立ち上げ期のため損失を計上しています。

区分 売上(2025年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
金融・経済情報プラットフォーム事業 9.0億円 2.8億円 31.3%
取引プラットフォーム事業 -億円 -1.2億円 -%
連結(合計) 9.0億円 1.8億円 20.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2025年5月期
営業CF -0.4億円
投資CF -0.0億円
財務CF 0.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「最新テクノロジーを使用して、誰でもお金のことを楽しく学べるプラットフォームを拡大」というミッションを掲げています。金融・経済分野の情報の「専門性」「情報の非対称性」「速報性」といった課題を、SNSという仕組みを通じて解決し、ユーザーへの新しい価値提供を目指しています。

(2) 企業文化


ミッション実現のために、4つのコアバリューを定めています。自らアイデアを発想し共有する「コミュニケーション」、独創的な考えを尊重する「創造性」、状況に関わらず相互にサポートしあう「チームワーク」、そして常に当事者意識を持つ「責任感」です。これらを重視し、社会的責任を果たしながら企業価値向上に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的な成長を通じた企業価値向上を目指し、売上高と営業利益を重要な経営指標としています。また、SNS「PostPrime」における具体的なKPIとして以下を設定し、進捗を管理しています。

* プライム登録件数
* メンバーシップ加入件数
* 平均課金単価

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の収益拡大と新事業領域の展開を両輪としています。SNS「PostPrime」では、AIアニメキャラクターやライブ配信機能の改善等により新規ユーザー獲得と顧客単価向上を図るとともに、モニタリング体制の強化によりサービスの健全性を維持します。

* 人材紹介サービスの展開
* 教育コンテンツ「コース」の提供
* 商品CFD取引プラットフォーム「TakaTrade」の運営拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


専門性の高い優秀な人材の確保と育成に注力しています。開発部門では、複数のチームが裁量を持って企画・開発に取り組む体制を推進し、マーケティング部門ではデータ分析に基づいた効率的な運営を目指しています。また、外国籍社員の積極採用や女性役員の登用など、多様性の確保にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 35.5歳 2.0年 6,524,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 金融市場の動向について


同社グループの事業は金融・経済情報に関連しているため、景気の減速や急激な市況変動が個人投資家の投資意欲や金融機関の広告出稿に影響を与える可能性があります。長期プランの導入などで収益安定化を図っていますが、市場環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定サービスへの収益依存について


現在の収益の多くはSNS「PostPrime」事業によるものです。新規事業として取引プラットフォーム事業を育成し収益構造の多様化を進めていますが、主力事業が停滞または縮小した場合、グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) サービスの健全性の維持について


不特定多数のユーザーが利用するプラットフォームであるため、投資助言規制への抵触や誹謗中傷、権利侵害などのリスクがあります。モニタリング体制の強化や啓蒙活動を行っていますが、万一問題が発生した場合、サービスの信頼性低下やブランドイメージの毀損につながる可能性があります。

(4) 代表取締役への依存について


創業者の高橋ダニエル圭氏は、経営方針の決定だけでなく、SNSやYouTube等のコンテンツ出演者としても重要な役割を果たしています。同氏への依存度を低減する体制整備を進めていますが、同氏が業務継続困難となった場合、事業や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。