※本記事は、株式会社ジグザグ の有価証券報告書(第10期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジグザグってどんな会社?
国内ECサイトが手軽に海外販売を行える越境EC支援サービス「WorldShopping」等を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2015年に設立され、2016年に越境ECサービスを開始しました。2017年にはサービスを現在の「WorldShopping」および「WorldShoppingBIZ」にリブランディングし、機能強化を図ってきました。その後も順調に事業を拡大し、2025年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。
現在の従業員数は単体で53名です。上位株主は、創業者で代表取締役の仲里一義氏、投資ファンド、個人株主です。創業者が筆頭株主としてリーダーシップを発揮しつつ、外部資本も活用して成長している体制が見受けられます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 仲里一義 | 17.83% |
| MICイノベーション4号投資事業有限責任組合 | 17.54% |
| 仲里亜美 | 10.59% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は仲里一義氏が務めています。社外取締役比率は25%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 仲里 一義 | 代表取締役 | 1997年オックスプランニング入社。オプトを経て2010年groowbits代表取締役。2015年同社設立より現職。 |
| 鈴木 賢 | 取締役マーケティングコミュニケーション本部長 | 加賀電子、オプト、コンテンツワン代表取締役、モードツー取締役などを経て、2020年より現職。 |
| 北村 康晃 | 取締役 | あずさ監査法人、リクルートアドミニストレーション、オーガンテックを経て、2021年より現職。 |
社外取締役は、松本浩介(株式会社JR東日本アイステイションズ元代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「越境ECプラットフォーム事業」を展開しています。
同社は、日本のECサイトが海外の顧客に対して商品を販売するためのプラットフォームを提供しています。主なサービスとして、海外ユーザー向けの購入代行サービス「WorldShopping」と、国内EC事業者向けの越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」を展開しています。このプラットフォームにより、言語や決済、物流の壁を取り払い、日本の商品を世界中の顧客に届けることを可能にしています。
「WorldShopping」では、海外ユーザーから商品代金や送料、手数料を受け取るモデルとなっています。「WorldShoppingBIZ」では、国内EC事業者から月額利用料などのシステム利用料を受け取ります。運営は同社が行っており、国内EC事業者は専用のJavaScriptタグを設置するだけで、手軽に海外販売を開始できる仕組みを提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けています。特に直近の決算では売上高が14億円を超え、利益面でも経常利益、当期純利益ともに黒字幅を拡大させています。以前は赤字の時期もありましたが、売上規模の拡大に伴い収益性が向上し、利益を生み出せる体質へと変化していることが読み取れます。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.1億円 | 5.6億円 | 8.0億円 | 11.1億円 | 14.1億円 |
| 経常利益 | 0.0億円 | -0.8億円 | 0.3億円 | 1.8億円 | 3.1億円 |
| 利益率(%) | 0.5% | -14.8% | 4.0% | 16.1% | 22.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.0億円 | -0.9億円 | 0.5億円 | 1.6億円 | 2.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に伸長しています。売上総利益率はほぼ横ばいから微増で推移しており、安定した収益性を維持しています。営業利益率も向上しており、事業拡大に伴うコスト増を吸収しながら、効率的に利益を創出できている様子がうかがえます。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 11.1億円 | 14.1億円 |
| 売上総利益 | 7.5億円 | 9.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 67.8% | 67.8% |
| 営業利益 | 2.2億円 | 3.2億円 |
| 営業利益率(%) | 20.0% | 22.9% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が2.0億円(構成比31%)、給与手当が1.1億円(同17%)を占めています。売上原価においては、外注費が1.4億円(構成比31%)、システム利用料が0.6億円(同14%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社の事業は単一セグメントですが、訪日客の増加や円安の影響を追い風に、海外からの需要を取り込み売上が拡大しています。特にアジア圏や北米向けの販売が好調であり、積極的なマーケティング施策や物流拠点の強化が功を奏している状況です。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) |
|---|---|---|
| 越境ECプラットフォーム事業 | 11.1億円 | 14.1億円 |
| 連結(合計) | 11.1億円 | 14.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.6億円 | 1.9億円 |
| 投資CF | -0.0億円 | -0.0億円 |
| 財務CF | -0.2億円 | 5.9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は36.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「世界中のワクワクを当たり前に」をミッションに掲げています。このミッションのもと、「世界中の欲しいに応える、世界中に想いも届ける」ためのインフラとなり、社会の発展に貢献することを目指しています。国境の壁をフラットにし、国内ECサイトと世界中の顧客をつなぐサービスを提供しています。
■(2) 企業文化
同社は、ミッション達成に向けた行動指針として「境界(ボーダー)を超える」「変化を一緒に楽しむ」「リスペクトする、感謝する」「責任感、主体性をもって動く」「挑戦した失敗と学びを称える」というコア・バリューを掲げています。組織の垣根を越えた協力や、社員と事業が共に成長する環境作りを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、コーポレート・ミッションの実現および企業価値向上のため、売上高および営業利益を重要な経営指標と位置付けています。また、売上高の達成状況を判断する指標として、取扱高(GMV)、月間Activeショップ数、月間リピートカスタマー数を重視しています。具体的な数値目標は記載されていませんが、これらの指標の成長を追求しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な成長戦略として、国内ECサイトへのサービス浸透、バリューチェーンに沿った機能拡充、オペレーションのスケール化、およびターゲット市場の拡大を掲げています。特に、ECカート事業者との連携強化や、海外ECサイトへの展開、エンタメ・ホビー商材の強化などに注力していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業拡大と競争力向上のため、国籍を問わず優秀な人材の確保と育成に注力しています。社員紹介や採用広報の強化など採用手法を多様化するとともに、自己学習支援や社内勉強会、柔軟な働き方(リモートワーク、フレックス制度)などを通じて、社員の成長と定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 37.9歳 | 3.2年 | 5,797,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 越境EC市場の変動
越境EC市場は拡大傾向にありますが、経済情勢や景気動向の変化により市場成長が鈍化する可能性があります。また、海外ユーザーの嗜好や購買行動が想定外に変化した場合、同社の事業や業績に影響を与える可能性があります。同社は市場変化を早期に認識し、戦略を柔軟に転換できるよう努めています。
■(2) 競合環境の激化
越境EC領域には一定の参入障壁があるものの、国内外で類似サービスを提供する競合が存在します。今後、競合環境が激化した場合には、サービスレベル向上のための追加投資や販促活動の強化によるコスト増などが発生し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は独自技術や知財戦略により差別化を図っています。
■(3) システムリスク
同社の事業はクラウドサービスや通信ネットワークに依存しており、24時間365日の安定稼働が求められます。災害や事故、サイバー攻撃などにより大規模なシステム障害や通信断絶が発生した場合、サービス提供に支障をきたし、同社の事業及び業績に重大な影響を与える可能性があります。



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