ジグザグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジグザグ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

グロース市場に上場し、越境ECプラットフォーム事業を単一展開するジグザグ。直近の業績は売上高15.0億円、経常利益3.1億円で、実質的に安定した利益水準を維持しつつ事業規模を拡大しています。成長市場で国内ECサイトの海外対応を支援しており、積極的な投資による今後のさらなる飛躍が期待される企業です。


※本記事は、株式会社ジグザグの有価証券報告書(第11期、自 2025年6月1日 至 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジグザグってどんな会社?


越境ECインフラを提供し、世界中の消費者と日本のECサイトを繋ぐテクノロジー企業です。

(1) 会社概要


同社は2015年6月に設立され、2016年4月に国内ECサイトと海外の消費者を繋ぐ越境サービスを開始しました。2017年8月に現在の「WorldShoppingBIZ」などにリブランディングを行っています。2025年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場し、2026年には台湾へ子会社を設立しています。

同社の従業員数は単体・連結ともに60名体制で事業を運営しています。筆頭株主は創業者の仲里一義氏であり、第2位も創業家関係者、第3位には代表者が設立した資産管理会社が名を連ねています。経営陣と関係会社による安定した資本構成のもと、機動的な意思決定と事業推進が可能な経営体制を構築しています。

氏名 持株比率
仲里 一義 18.35%
仲里 亜美 9.86%
Zカンパニー 9.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は仲里一義氏と鈴木賢氏の2名体制を採用しており、社外取締役比率は16.7%です。

氏名 役職 主な経歴
仲里 一義 代表取締役 オックスプランニング等を経て、2010年groowbits代表取締役。2015年同社設立、代表取締役就任。
鈴木 賢 代表取締役 加賀電子等を経て、2014年コンテンツワン代表取締役。2020年同社取締役を経て、2026年4月より現職。


社外取締役は、松本浩介(元JR東日本アイステイションズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「越境ECプラットフォーム事業」を展開しています。

(1) 海外カスタマー向け購入支援サービス

海外対応していない国内ECサイトの代わりに、海外の消費者から注文を受け付け、購入や海外配送までをフルサポートする購入代行サービス「WorldShopping」を提供しています。言語・物流・決済の壁をなくし、多様な決済手段や多言語カスタマーサポートを提供することで、自然な購入体験を実現しています。

このサービスの収益源は、海外の消費者から受け取る商品代金、配送手数料、および購入代行手数料です。国内ECサイトと公式に連携しているため、非公認の代行サービスとは異なる高い信頼性を備えています。事業の運営は、ジグザグが行っています。

(2) 国内ECサイト向け越境EC支援サービス

国内のEC事業者向けに、自社サイトに専用タグを1行追加するだけで海外対応を可能にする越境EC支援サービス「WorldShoppingBIZ」を提供しています。国内EC事業者から見ると、同社は国内の一顧客として商品を購入するため、業務フローを一切変更せずに海外販売を最短1日で開始できます。

このサービスの収益源は、国内ECサイト事業者から受け取る月額固定の利用料および初期費用です。小規模な事業者でも気軽に申し込める少額の価格設定となっており、海外販売を支援するダッシュボード機能も無償で提供しています。事業の運営は、ジグザグが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績を見ると、売上高は当期に15.0億円を計上し、経常利益は3.1億円と堅調な水準を維持しています。親会社に帰属する当期利益も2.3億円と安定して黒字を確保しており、越境EC需要を取り込みながら事業の基盤を確実なものにしています。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期 2026年5月期
売上高 - - - - 15.0億円
経常利益 - - - - 3.1億円
利益率(%) - - - - 20.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.9億円 0.5億円 1.6億円 2.5億円 2.3億円

(2) 損益計算書


当期の損益構成を見ると、売上総利益率は約69%と高い付加価値を生み出しています。営業利益率も19.3%と良好な水準であり、売上の増加に伴い利益を確保できる高収益な事業構造が構築されていることがわかります。

項目 2025年5月期 2026年5月期
売上高 - 15.0億円
売上総利益 9.6億円 10.4億円
売上総利益率(%) - 69.0%
営業利益 3.2億円 2.9億円
営業利益率(%) - 19.3%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が2.3億円(構成比30.1%)、給与手当が1.6億円(同21.7%)を占めています。また、売上原価においては外注費が1.5億円(構成比32.8%)、システム利用料が0.6億円(同14.0%)を占めており、システム運用や外部リソースの活用がコストの中心となっています。

(3) セグメント収益


同社は越境ECプラットフォーム事業の単一セグメントです。当期はアジアや北米を中心とする海外消費者の堅調な需要を取り込み、売上高15.0億円を達成しています。

区分 売上(2025年5月期) 売上(2026年5月期)
越境ECプラットフォーム事業 - 15.0億円
連結(合計) - 15.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う積極型の状態です。

項目 2025年5月期 2026年5月期
営業CF - 4.5億円
投資CF - -2.3億円
財務CF - 0.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も53.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界中のワクワクを当たり前に」をミッションに掲げ、「世界中の欲しいに応える、世界中に想いも届ける」ためのインフラとなり、社会の発展に貢献していくことを目指しています。Eコマースにおける言語・決済・物流の壁をなくし、国境を越えたシームレスな購買体験を提供することを存在意義としています。

(2) 企業文化


同社はコア・バリューとして、「境界(ボーダー)を超える」「変化を一緒に楽しむ」「リスペクトする、感謝する」「責任感、主体性をもって動く」「挑戦した失敗と学びを称える」の5つを掲げています。幅広いバリューチェーンにまたがる事業特性から、組織の垣根を越えた協力やオーナーシップ文化の醸成を重視しています。

(3) 経営計画・目標


経営上重要な指標として、売上高および営業利益を位置付けています。また、売上高の達成状況を判断するための重要指標として、取扱高(GMV)、月間Activeショップ数、月間リピートカスタマー数を掲げており、具体的な成果に基づく事業の持続的な成長と企業価値の向上を追求しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、パートナー事業者との連携強化による国内ECサイトへのサービス浸透や、海外消費者向けマイページ機能の提供などバリューチェーンに沿った機能拡充を進めます。また、蓄積された購買データの活用による業務オペレーションの最適化や、海外ECサイトへの事業展開、エンタメ・ホビー関連商材の強化によるターゲット市場の拡大に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を企業価値創造の源泉と位置づけ、自己学習への支援制度や社内勉強会を通じた能力開発を推進しています。また、リモートワークやフレックスタイム制を導入し、海外でのリモートワークも認めるなど柔軟な働き方を推奨することで、社員が多様な文化に触れてグローバルな視点を養える環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年5月期 38.8歳 3.7年 6,042,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応


越境EC市場は技術革新や顧客ニーズの変化が非常に早いため、同社は最新技術の積極的な情報収集を行っています。しかし、変化に迅速に対応できない場合や、システム開発や人件費への追加投資が想定以上に膨らむ場合には、事業成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合環境の激化


提供するサービスには一定の参入障壁があるものの、国内外で類似サービスを提供する事業者が存在します。越境EC市場の拡大に伴い競合環境が激化した場合、サービス向上のための追加投資や販売促進費の増加を通じて、収益性が圧迫されるリスクがあります。

(3) 個人情報の管理


事業を通じて海外を含む多数の個人情報を保有しているため、厳重なアクセス管理やセキュリティ対策を実施しています。しかし、不測の事態により個人情報が漏洩した場合、信用の低下による利用者減少や損害賠償の発生など、事業基盤に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。