※本記事は、株式会社アクセルスペースホールディングス の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アクセルスペースホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は39名、グループ連結従業員数は218名です。
同社グループは、2008年より小型衛星の開発に取り組み、「Space within Your Reach」をビジョンに掲げています。AxelLiner事業とAxelGlobe事業の2つの事業を運営しており、連結子会社2社を中心に宇宙の日常的な利活用を目指しています。
2026年3月には、安全保障領域の顧客ニーズに対応するため、アクセルスペースディフェンス&インテリジェンスを100%連結子会社として設立しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社アクセルスペースホールディングスは、「Space within Your Reach」をビジョンに掲げ、宇宙ソリューションの社会実装を目指す企業です。同社グループは、ビジョン実現と持続的成長のため、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様な専門性を持つ人材の確保と育成に注力しています。柔軟な働き方を推進し、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アクセルスペースホールディングスは、平均年齢が比較的高く、勤続年数は短めであることから、多様な経験を持つ人材が中途で入社し、組織を構成している傾向がうかがえます。これは、宇宙産業という専門性の高い分野において、即戦力となる人材を積極的に採用している可能性を示唆しています。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,119,927円 |
| 平均勤続年数 | 1.7年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 39人 |
| 連結従業員数 | 218人 |
| 単体のグループ内比率 | 17.9% |
同社グループは、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は同社グループ全体に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「Space within Your Reach」のビジョン実現と持続的な事業成長において、人材を最も重要な経営資源と位置づけています。特に宇宙産業では高度な専門知識・技術に加え、事業開発やプロジェクトマネジメント能力が求められるため、専門性と高いモチベーションを持つ人材の確保と育成を重要な戦略としています。
人材の確保においては、多様な知見や経験、価値観が新たな価値創出につながるとの考えから、国籍、性別、年齢等にかかわらず多様性を重視し、国内外から幅広い人材を採用しています。また、社内での人材育成も重視しており、業務を通じた経験や学習機会の提供を通じて、従業員の継続的な成長を促進しています。
人材マネジメントでは、職務の重要性や責任の大きさに応じた等級制度を運用し、役割と成果を明確化することで、従業員の成長とパフォーマンス発揮を促しています。さらに、組織を牽引する管理職層や次世代リーダーの育成にも取り組んでいます。
多様な人材が働きやすい環境を整備するため、「バーチャルオフィス制度」の導入や透明性のある評価制度の構築を進めています。外国籍社員の採用や女性管理職の登用、幅広いバックグラウンドを持つ人材の活用にも注力しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社グループは、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アクセルスペースホールディングスは、小型衛星技術を基盤に、宇宙ビジネスを展開する持株会社です。同社グループは、顧客向け小型衛星の開発・運用サービスと、地球観測衛星データを活用したソリューション提供の二つの事業を柱としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「Space within Your Reach」をビジョンに掲げ、小型衛星の開発を通じて宇宙の利活用を目指しています。主要な事業は連結子会社であるアクセルスペースが行っており、AxelLiner事業とAxelGlobe事業の二つのセグメントを運営しています。
AxelLiner事業
この事業では、顧客向け小型衛星プロジェクトの開発・製造・打上げ・運用サービスを提供しています。政府系機関からの委託試験研究や軌道上実証サービスなどが主な収益源です。運営は、アクセルスペースが行っています。当期の売上高は前期から増加しています。
AxelGlobe事業
同社グループが保有・運用する光学地球観測衛星コンステレーションが取得した画像データを販売し、それらの画像を加工・分析してソリューションとして顧客にサービス提供しています。農業や土地管理、環境、報道、安全保障など幅広い分野での活用が進んでいます。衛星画像データ販売、解析サービス、コンサルティングサービスが収益源です。運営は、アクセルスペースおよび安全保障領域の一部業務を担うアクセルスペースディフェンス&インテリジェンスが行っています。当期の売上高は前期から大幅に増加しました。
| セグメント | 売上高(2025年5月期) | 売上高(2026年5月期) |
|---|---|---|
| AxelLiner事業 | 13.3億円 | 15.2億円 |
| AxelGlobe事業 | 2.6億円 | 9.9億円 |
同社グループの収益は国内が中心であり、AxelLiner事業では政府系機関が売上高の約86%を占めるなど、特定の顧客への集中が見られます。AxelGlobe事業では、民間企業からの売上高が約12%を占め、国内外の幅広い事業者にサービスを提供していますが、国外売上高は約6%にとどまっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあり、特に当期は前期から大きく伸びています。一方で、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失は継続しており、損失額は拡大しています。これは、開発期間が長期にわたる宇宙関連機器の開発や、小型衛星の量産化に向けた研究開発への先行投資が主な要因です。営業活動によるキャッシュ・フローも継続して減少しており、事業拡大のための投資が先行している状況を示しています。
| 項目 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4.1億円 | 13.1億円 | 21.1億円 | 15.9億円 | 25.1億円 |
| 経常利益 | △10.9億円 | △13.3億円 | △25.1億円 | △18.2億円 | △37.1億円 |
| 経常利益率 | △266.0% | △101.3% | △118.9% | △115.0% | △148.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △16.8億円 | △13.4億円 | △31.7億円 | △19.5億円 | △40.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △11,058.22 | △43.75 | △85.72 | △44.96 | △65.84 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から増加しています。これは、事業規模の拡大に伴い、従業員一人あたりの収益貢献度が高まっていることを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期に引き続き損失となっており、損失額も増加しています。これは、積極的な研究開発投資や事業拡大に伴う費用増加が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年5月期 | 2026年5月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 8.7百万円 | 11.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △13.7百万円 | △17.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、現在、将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあり、営業活動および投資活動によるキャッシュフローはマイナスとなっています。
財務基盤の状況と合わせて、事業の安定性について確認します。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、前期から当期にかけて上昇しています。
当期の自己資本比率は47.7%であり、プライム市場の製造業平均(46.8%)を上回る水準となっています。
ROE(自己資本利益率)はマイナス81.0%となっており、プライム市場平均(9.4%)を下回っています。
手元資金を示す現金及び預金は、前期から増加し、当期末には58.2億円となっています。
これらの財務状況は、事業の成長段階における資金調達と投資の状況を反映しており、今後の事業展開と収益性の改善が雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 30.3億円 | 69.9億円 |
| 自己資本比率 | 31.8% | 47.7% |
| ROE(自己資本利益率) | - | -81.0% |
| 現金及び預金 | 50.1億円 | 58.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、前期に引き続き当期もマイナスとなっています。
これは主に、税金等調整前当期純損失の計上、売上債権及び契約資産の増加、前渡金の増加があった一方で、前受金及び契約負債の増加があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローも前期から大幅に減少し、マイナスとなっています。
これは主に、「GRUS-3」の製造に伴う建設仮勘定の計上や有形固定資産の取得による支出が影響しています。
フリーキャッシュフローは、営業活動と投資活動を合わせた資金の流れを示すもので、当期もマイナスとなっています。
一方、財務活動によるキャッシュフローは、前期から増加しプラスとなっています。
これは主に、東京証券取引所グロース市場への株式上場に伴う株式の発行による収入や長期借入による収入があったことによるものです。
同社グループは、事業拡大のための先行投資を継続しており、外部からの資金調達によって事業活動に必要な資金を確保している状況です。
この資金調達の状況は、今後の事業成長とそれに伴う雇用や給与の安定性に影響を与える可能性があります。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △43.3億円 | △51.2億円 |
| 投資CF | △1.9億円 | △21.2億円 |
| 財務CF | 43.9億円 | 78.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △45.2億円 | △72.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、当連結会計年度末において継続的な営業損失の発生および営業キャッシュフローのマイナスを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。
しかし、当連結会計年度末までの資金調達により、当面の事業運営に必要な資金を確保しているため、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、衛星画像及びそのサービス市場の成長鈍化のリスクを認識しています。
景気減速や技術進化、市況変動などにより、想定通りに市場が成長しない可能性があります。
また、特定の重要な外部パートナー及び顧客への依存リスクも存在します。
当連結会計年度末において、政府系機関に関わる販売実績が連結売上高の86%を占めており、政府動向による案件の消滅や取引の停止・縮小が業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業継続に必要な優秀なエンジニアの確保・育成に関するリスクを挙げています。
人材獲得競争の激化や人材流出が進んだ場合、経常的な業務運営や新規事業の拡大に支障が生じ、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アクセルスペースホールディングスは、小型衛星技術を核に、宇宙利用の常識を打ち破り、地球上のあらゆる人々が宇宙を当たり前に使う社会の実現を目指しています。持株会社として、同社グループ全体で革新的な宇宙ビジネスを推進しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「Space within Your Reach」というビジョンのもと、経営を行っています。小型衛星技術のパイオニアとして、宇宙ビジネスの先頭に立ち続けることを目指しています。これにより、従来の宇宙利用の常識を打ち破り、地球上のあらゆる人々が当たり前のように宇宙を使う社会の実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、宇宙ビジネスを営む企業であると同時に、地球上で活動する責任ある社会の一員であると認識しています。将来にわたって人類が地球で生活し、宇宙空間を活用し続けられるよう、創出インパクトを考慮した事業活動を進めています。
スペースデブリ化を防ぐため、高いレベルの衛星開発・製造・運用基準を自ら設定し、「Green Spacecraft Standard」というコンセプトを提唱しています。また、多様な人材の確保と育成を重要な事業課題と捉え、外国籍社員の採用や女性管理職の登用、幅広いバックグラウンドを持つ人材の活用に取り組んでいます。柔軟な働き方を推進するため、「バーチャルオフィス制度」の導入や透明性のある評価制度の構築も進められています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業拡大を遂げるために、人材の確保及び育成を重要な事業上のテーマとしています。グローバルな人材市場において競争力のある報酬体系を整備し、中長期的な企業価値の向上に資するインセンティブを付与しています。具体的には、事後交付型株式報酬制度(RSU制度)及び業績連動型株式報酬制度(PSU制度)を導入しています。
また、多様な働き方の整備、福利厚生の充実、社内教育制度の充実、透明性のある評価制度の構築など、従業員が高いモチベーションをもって働くことのできる環境の整備を継続して推進しています。持続的成長のため、ガバナンス及び内部管理体制の強化も重要課題としており、社外取締役等への報告体制強化や実効性のある三様監査、コンプライアンス研修などを実施しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アクセルスペースホールディングスは、監査役会設置会社として、取締役会による経営上の意思決定と業務執行の監督、および監査役会による監査・監督機能を備えた体制を構築しています。また、報酬諮問委員会を設置し、報酬決定プロセスの独立性・客観性を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、楽天証券株式会社共有口が筆頭株主であり、代表取締役の中村友哉氏も上位株主に名を連ねています。創業者が上位株主として経営を支える体制であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 楽天証券共有口 | 4.96% |
| 中村 友哉 | 4.35% |
| 永島 隆 | 3.39% |
なお、前事業年度末現在において主要株主であった31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースⅠ合同会社及びSMBC-GBグロース1号投資事業有限責任組合は当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役は中村友哉氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 友哉 | 代表取締役 | 2007年4月 東京大学大学院工学系研究科 特任研究員、2008年8月 アクセルスペース設立 代表取締役、2020年3月 同社 代表取締役より現職。 |
| 折原 大吾 | 取締役 | 1996年4月 三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社、2008年7月 経営共創基盤入社、2023年8月 同社取締役経営管理本部長、2026年8月 同社取締役経営企画本部長より現職。 |
社外取締役は、鎌田富久氏(有限会社TomyK代表取締役)、向井千秋氏(東京理科大学特任副学長)、杉山全功氏(日活取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営上の意思決定と業務執行の監督を担っています。社外取締役は、会社経営や先端技術分野、宇宙業界に関する豊富な知見に基づき、独立した客観的な視点から経営全般への助言・提言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社は役員報酬規程を定めており、取締役の報酬総額は株主総会で決議し、配分方法は取締役会で決定しています。また、報酬諮問委員会を設置し、報酬決定プロセスの独立性・客観性を強化しています。取締役の報酬は金銭報酬と株式報酬(RSU、PSU)によって構成され、中長期的な企業価値向上へのインセンティブ付与と株主との価値共有を図る設計となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 57百万円 | 18.9百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 11百万円 | 3.7百万円 |
| 社外監査役 | 4名 | 18百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。