指定されたデータ(JSONおよびHTML)に基づき、ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社の企業分析記事を執筆しました。
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ヤマシタヘルスケアホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、ヤマシタヘルスケアホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第8期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヤマシタヘルスケアホールディングスってどんな会社?
九州地方を地盤に、医療機器の販売・メンテナンスや病院経営支援など、地域のヘルスケアを支える事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社のルーツは、1926年に創業者の山下忠次郎が長崎県佐世保市で山下医療器械店を創業したことに始まります。1950年に法人化して山下医科器械株式会社を設立し、業容を拡大しました。2017年に単独株式移転により持株会社である同社を設立し、東京証券取引所市場第一部に上場しました。その後、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。
2025年5月末時点の従業員数は連結613名、単体30名です。筆頭株主は社長の山下尚登氏で、第2位は金融商品取引業者である株式会社SBI証券、第3位は従業員持株会となっています。創業家が主要株主として経営に関与しつつ、社員持株会も上位に入っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山下 尚登 | 25.20% |
| SBI証券 | 14.80% |
| ヤマシタヘルスケアホールディングス社員持株会 | 5.39% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役執行役員 社長は山下尚登氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山下 尚登 | 代表取締役執行役員 社長 | 1978年山下医科器械入社。同社社長を経て、2017年より同社代表取締役社長。2019年より現職。 |
| 嘉村 厚 | 取締役執行役員 | 1985年山下医科器械入社。同社ソリューション事業推進部長等を経て、2021年より事業戦略本部長として現職。 |
| 吉田 弘幸 | 取締役執行役員 | 1986年親和銀行入行。十八親和銀行常務執行役員を経て、2023年同社入社。経営管理部管掌として現職。 |
社外取締役は、七種純一(元十八親和銀行取締役)、古閑慎一郎(元ビジネスコンサルタントマネージングコーディネーター)、山下俊夫(弁護士)、斧田みどり(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医療機器販売業」、「医療機器製造・販売業」および「医療モール事業」を展開しています。
■(1) 医療機器販売業
汎用医療機器からCT・MRI等の高度医療機器、注射器等の消耗品まで幅広く取り扱っています。病院の手術室や検査室、病棟など様々な部署へ総合的な販売活動を行うほか、低侵襲治療分野や専門分野に特化した営業スタッフを配置し、専門性の高い提案を行っています。また、医療情報システムの構築やメンテナンス、開業支援などのサービスも提供しています。
収益は、医療機関等への機器・消耗品の販売代金や、保守サービス料、コンサルティング料などから得ています。運営は、中核事業会社である山下医科器械株式会社を中心に、株式会社トムス、株式会社イーディライト、エムディーエックス株式会社、株式会社クロスウェブ、株式会社鹿児島オルソ・メディカルなどが担っています。
■(2) 医療機器製造・販売業
整形外科用インプラント(体内埋没型骨材料)や超音波を用いた医療用機器等の開発、販売を行っています。自社開発商品である大腿骨転子部骨折用の髄内固定システム「アレクサネイル」などを扱っています。
収益は、販売代理店を通じた製品の販売代金から得ています。運営は、株式会社イーピーメディックおよびマイクロソニック株式会社が行っています。
■(3) 医療モール事業
広島県福山市において、医療クリニック、調剤薬局、デイサービス施設、フィットネスクラブ等の医療・健康関連施設への賃貸事業ならびに施設の管理・運営を行っています。
収益は、入居するテナントからの賃貸料等から得ています。運営は、主に山下医科器械株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年5月期に一度減少しましたが、その後は増加傾向にあり、直近では600億円台半ばまで伸長しています。利益面では、経常利益は10億円前後で推移しており、安定した収益力を維持しています。当期利益についても、2023年5月期を除き黒字を確保しており、直近では6億円台となっています。
| 項目 | 2021年5月期 | 2022年5月期 | 2023年5月期 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 701億円 | 551億円 | 582億円 | 616億円 | 645億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 10億円 | 12億円 | 10億円 | 9億円 |
| 利益率(%) | 1.5% | 1.8% | 2.1% | 1.7% | 1.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 2億円 | -0.1億円 | 8億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率はほぼ横ばいです。一方、営業利益は販売費及び一般管理費の増加により減益となりました。営業利益率は1%台前半で推移しており、コストコントロールが課題となっています。
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 616億円 | 645億円 |
| 売上総利益 | 85億円 | 88億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.8% | 13.6% |
| 営業利益 | 10億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 1.6% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が38億円(構成比48%)、福利厚生費が7億円(同9%)を占めています。人件費関連のコストが大きな割合を占める構造となっています。
■(3) セグメント収益
医療機器販売業が増収を牽引し、売上高全体の大部分を占めています。医療機器製造・販売業は減収となり、セグメント損失を計上しました。医療モール事業は規模は小さいものの、増収増益となりました。全体として、主力の医療機器販売業の動向が連結業績に大きく影響しています。
| 区分 | 売上(2024年5月期) | 売上(2025年5月期) | 利益(2024年5月期) | 利益(2025年5月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 医療機器販売業 | 612億円 | 642億円 | 22億円 | 22億円 | 3.4% |
| 医療機器製造・販売業 | 3億円 | 2億円 | -0.0億円 | -2億円 | -100.5% |
| 医療モール事業 | 0.7億円 | 0.7億円 | 0.0億円 | 0.1億円 | 6.9% |
| 連結(合計) | 616億円 | 645億円 | 10億円 | 8億円 | 1.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**改善型**(営業CF+、投資CF+、財務CF-)
| 項目 | 2024年5月期 | 2025年5月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 6億円 |
| 投資CF | -11億円 | 0.2億円 |
| 財務CF | -3億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.0%で市場平均(スタンダード市場 7.2%)とほぼ同じ水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.6%で市場平均(スタンダード市場 非製造業 48.5%)を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「地域のヘルスケアに貢献する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、地域医療の充実と安定、医療の品質向上に資する様々な商品およびサービスの開拓と提供を通じて、その実現を図っています。また、持株会社体制を活かしたグループ力の向上により、ステークホルダーの満足度を高め、地域および社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、長期ビジョン「マルティプライビジョン2030」を策定し、サステナブル経営を実践しています。また、「人材」を最も重要な資本と位置づけ、従業員のワークエンゲージメントを向上させることで、魅力ある組織づくりに取り組んでいます。ガバナンス最優先の風土醸成にも注力しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年5月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画を策定しています。「積極的投資とグループ機能向上によるバランス経営の実行」を基本方針とし、最終年度である2027年5月期の主要業績目標として以下を掲げています。
* 連結売上高:730億円
* 連結営業利益:9.5億円
* 連結営業利益率:1.3%以上
* 連結経常利益:10億円
■(4) 成長戦略と重点施策
新中期経営計画に基づき、経営基盤の強化に向けた積極的な投資とグループ機能向上によるシナジー発揮を目指しています。具体的には、人的資本経営の推進、グループ間連携による新たな価値創出と生産性向上、M&Aやパートナーシップ構築による収益性の向上、ESG経営による地域社会への貢献に取り組んでいきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的成長の根幹は人的資本にあると認識し、グループ全体の人材情報を統合的にマネジメントする体制を構築しています。採用からキャリア形成を一体的に捉え、多様な研修カリキュラムを通じて人材育成に取り組んでいます。また、健康経営を推進し、労働時間の削減や有給休暇の取得促進など、働きやすい職場環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年5月期 | 45.0歳 | 13.0年 | 6,703,885円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.1% |
| 男性育児休業取得率 | 53.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 41.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 60.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 53.3% |
※上記数値は主要な連結子会社である山下医科器械株式会社のデータです。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用者数における女性の割合(44.4%)、全管理職に占める女性の割合(3.2%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 医療行政の動向
公的医療保険制度における診療報酬や特定の医療材料公定価格(償還価格)の改定は、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に償還価格の引き下げは販売価格の低下に直結するため、収益性が低下するリスクがあります。これに対し、最新情報の把握と分析を行い、経営戦略へ反映させるとともに、提案営業活動の強化に努めています。
■(2) M&A等について
事業拡大のためM&Aや業務提携を行うことがありますが、統合プロセスでの負担増や想定した相乗効果が得られない可能性があります。また、業績が計画を下回った場合、のれんの減損処理が必要となり、財政状態に影響を与える可能性があります。これに対し、事前調査の徹底や実施後のグループ連携強化によりリスク低減を図っています。
■(3) 医療機器販売業における直送取引
医療機器販売において、仕入先から医療機関へ商品が直送される取引があり、商品の実在性確認が難しい側面があります。売上計上の妥当性を確保するため、納品書等の外部証憑との突合や目的物の実在性確認の手続きを明確化し、リスクの低減に努めています。
■(4) 自社開発製品について
医療機器製造・販売業において自社開発製品を取り扱っていますが、販路拡大の遅れや製品欠陥による製造物責任のリスクがあります。これに対し、ISO13485等の認証取得や品質向上への取り組み、生産物賠償責任保険への加入等によりリスク対策を行っています。



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