シー・エス・ランバー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シー・エス・ランバー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、木材のプレカット加工や建築請負、不動産賃貸を行う企業です。第43期は、住宅着工戸数の減少や資材高騰の影響を受け、売上高は207億円で前期比2.2%の減収、経常利益は17億円で同19.3%の減益となりました。


#記事タイトル:シー・エス・ランバー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社シー・エス・ランバー の有価証券報告書(第43期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。


1. シー・エス・ランバーってどんな会社?


プレカット加工から建築、不動産まで一貫した木材関連事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1983年に千葉市で設立され材木販売を開始。1991年にプレカット事業、1995年に建設部門を発足しました。2017年にJASDAQへ上場し、2018年には製材事業を譲受。近年は不動産賃貸やベトナムでのCAD入力事業も展開し、業容を拡大しています。

連結従業員数は328名、単体では210名です。筆頭株主は創業者一族の資産管理会社である千代で、第2位は米国の証券会社インタラクティブ・ブローカーズ(常任代理人)となっています。

氏名 持株比率
千代 35.68%
INTERACTIVE BROKERS LLC 5.85%
上田八木短資 3.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は中井 千代助氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
中井 千代助 代表取締役社長 1973年中井材木店入社。1983年に同社を設立し社長に就任。グループ各社の代表を経て、2022年より物流子会社の代表取締役も兼務し現職。
中井 俊輔 専務取締役 2009年ユアサクオビス入社。2016年同社入社。工場長や購買部長、営業部長などを歴任し、子会社代表も務める。2025年8月より現職。


社外取締役は、馬締和久(元阪和興業顧問)、石塚英一(弁護士)、熊切直美(元大東建託社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プレカット事業」「建築請負事業」「不動産賃貸事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) プレカット事業


在来工法およびツーバイフォー工法における木材のプレカット加工、パネル製造、製品販売および建て方工事の請負を行っています。機械加工による品質安定化や工期短縮、コストダウンを強みとし、戸建住宅の構造材などを提供しています。

収益は、工務店やビルダーなどの顧客から受け取る製品販売代金や加工賃、工事請負代金等から得ています。運営は主に同社が行い、シー・エス・物流が配送、シー・エス・マテリアルが製材等を担っています。

(2) 建築請負事業


木造戸建住宅および木造一般建築物の建築請負を行っています。一般顧客や不動産会社等からの受注に基づき、住宅のほか、アパートや保育所などの大型木造建築も手掛けています。

収益は、施主である個人や法人顧客から受け取る建築請負代金から構成されています。運営は同社のほか、なのはなハウジング、シー・エス・ホームが行っています。

(3) 不動産賃貸事業


事業用および居住用不動産の賃貸および管理を行っています。自社グループで建築した保育所や高齢者施設、アパートなどを保有し、安定的な収益基盤として活用しています。

収益は、施設の入居者や運営事業者から受け取る賃貸料収入です。運営は同社のほか、シー・エス・不動産リースなどが保有・管理を行っています。

(4) その他事業


戸建住宅の開発と分譲販売を行っています。用地の仕入れから企画、開発を行い、一般消費者向けに分譲住宅を提供しています。

収益は、住宅購入者からの不動産販売代金です。運営は主にシー・エス・リアルエステートが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年5月期に250億円規模まで拡大しましたが、その後は住宅市況の低迷もあり200億円台前半で推移しています。経常利益も2022年5月期をピークに減少傾向にあり、利益率は低下していますが、黒字基調は維持しています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 163億円 251億円 245億円 211億円 207億円
経常利益 13億円 40億円 32億円 21億円 17億円
利益率(%) 8.3% 16.0% 13.0% 9.9% 8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 28億円 22億円 14億円 12億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は微減となり、売上原価率の上昇により売上総利益率が低下しました。また、販売費及び一般管理費は微増しており、これらが営業利益の減少要因となっています。営業外収益や特別利益の計上もありましたが、最終利益は減益となりました。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 211億円 207億円
売上総利益 47億円 43億円
売上総利益率(%) 22.2% 21.0%
営業利益 22億円 18億円
営業利益率(%) 10.3% 8.6%


販売費及び一般管理費のうち、運賃が7.4億円(構成比29%)、給料及び手当が6.8億円(同27%)を占めています。売上原価については、材料費や外注費などが主な内訳となります。

(3) セグメント収益


主力のプレカット事業は、住宅着工減と競争激化により減収減益となりました。一方、建築請負事業は大型木造施設の受注増で増収増益、不動産賃貸事業も物件取得が進み増収増益と好調でした。その他事業は販売戸数が伸び悩み減収となり、わずかながら損失を計上しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
プレカット事業 153億円 141億円 13億円 7億円 5.3%
建築請負事業 43億円 51億円 3億円 4億円 7.2%
不動産賃貸事業 9億円 11億円 5億円 6億円 51.6%
その他事業 6億円 4億円 0億円 -0億円 -0.5%
調整額 -億円 -億円 1億円 1億円 -
連結(合計) 211億円 207億円 22億円 18億円 8.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 20億円 22億円
投資CF -23億円 -55億円
財務CF 0億円 16億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Customer Satisfaction through Lumber(木材を通じて顧客に満足いただける取引に徹する)」を社是としています。木造住宅資材の販売流通を通じた社会貢献、顧客満足と会社の繁栄・社員の幸福の一致を理念に掲げています。

(2) 企業文化


「数値に基づく行動と現場主義の徹底」を行動原理としています。プレカット事業を基盤としつつ、創意工夫によって多様な収益源を創り出しながら事業拡大を目指す姿勢を重視しています。また、適正価格での高品質商品供給と真心こもったサービスにより顧客の信頼を勝ち取ることを目指しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的には、安定的な利益確保を進め、経常利益率12.0%、自己資本利益率10.0%以上の維持を目指しています。「中期経営計画2028」の達成に向けて取り組みを進めており、次期(2026年5月期)の通期業績予想として以下の数値を掲げています。

* 売上高:221億円
* 経常利益:17億円
* 当期純利益:12億円

(4) 成長戦略と重点施策


セグメント別の施策として、プレカット事業ではサイディング(外壁材)プレカットの軌道化や材工一体提案の強化、工場の省人化を進めます。建築請負事業では都市部へのエリア拡大や大型木造施設の受注に注力します。不動産賃貸事業では駅近物件や将来の分譲用地となる収益物件の取得を進め、安定収益を確保します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


将来の経営幹部育成や女性社員の活躍促進に向けた環境整備に取り組み、社員のスキルアップを図る教育体制を構築する方針です。また、ドライバーや大工職人などの専門人材の積極的な登用と育成に注力し、多様な人材が能力を発揮できる職場づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 40.1歳 7.8年 5,059,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.1%


同社は公表項目として選択しておらず公表していないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(29.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 住宅市況の変動


事業は木造戸建住宅の着工戸数に大きく影響を受けます。景気、金利、地価、物価の変動や少子化による需要低下が起きた場合、受注が減少し経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、非住宅分野の拡大や営業強化で対応しています。

(2) 各種法規制及び許認可


建設業法や建築基準法など多くの法令規制を受けています。今後、規制強化や新法制定があった場合、事業運営に制約が生じたりコストが増加したりする可能性があります。法令改正情報の収集や専門家との連携、コンプライアンス推進委員会での検討を行っています。

(3) 事業エリアの集中


事業エリアは首都圏(1都4県)に集中しています。同地域の景気や経済環境、災害等の影響を強く受ける可能性があります。ただし、人口減少率が比較的低い地域であることから、引き続き同エリアでの戦略を維持する方針です。

(4) 他社との競合


木材加工や販売において競合他社が存在します。品質、価格、営業力で優位性を確保できない場合、業績に影響が出る可能性があります。歩留まり向上や物流効率化、販売先拡大などを通じて競争力の強化を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。