ジェイフロンティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ジェイフロンティア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場し、医療・ヘルスケア領域でプラットフォーム「SOKUYAKU」や自社ブランド商品の通販、BtoBマーケティング支援を展開しています。第17期は、全セグメントでの増収により売上高が大幅に拡大しました。利益面でも営業損益、経常損益、当期純損益がいずれも黒字転換を果たしています。


※本記事は、ジェイフロンティア株式会社 の有価証券報告書(第17期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ジェイフロンティアってどんな会社?


ヘルスケアとデジタルの融合により、医療プラットフォームやEC事業を展開するヘルスケアテック企業です。

(1) 会社概要


2008年に設立し、広告代理業を開始しました。その後、2013年に自社健康食品「酵水素328選」シリーズを発売し、通販事業へ参入しています。2021年には医療プラットフォームアプリ「SOKUYAKU」をリリースし、同年8月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場しました。その後も関連企業の連結子会社化や事業譲受を通じて業容を拡大しています。

2025年5月31日時点の従業員数は、連結で202名、単体で64名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の中村篤弘氏で、第2位は同氏の資産管理会社である株式会社篤志となっています。第3位にはシンガポールの法人HUMEDIT SINGAPORE PTE.LTD.が名を連ねています。

氏名 持株比率
中村 篤弘 45.38%
篤志 19.16%
HUMEDIT SINGAPORE PTE.LTD.(常任代理人 三田証券) 4.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名、計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は中村篤弘氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 篤弘 代表取締役社長執行役員 2003年クリエイトエス・ディー入社。2010年1月サイバープランナー設立、同年6月モバイルフロンティア(現同社)設立、代表取締役に就任。2021年3月より現職。
樋口 雄也 取締役執行役員CFO経営企画本部長 2007年有限責任あずさ監査法人入社。経営共創基盤を経て、2021年AIGATEキャリア代表取締役。2024年同社入社。2025年2月より現職。


社外取締役は、今村彰利(元インボイス取締役)、古川一輝(グロウ・コンサルタント代表取締役)、秋田勉(元UNIVA・Oakホールディングス取締役グループCFO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディカルケアセールス事業」、「ヘルスケアセールス事業」および「ヘルスケアマーケティング事業」を展開しています。

(1) メディカルケアセールス事業


オンライン診療・服薬指導・処方薬宅配をワンストップで提供するプラットフォーム「SOKUYAKU」の運営や、医薬品の通信販売を行っています。主な取扱商品は「ホワイピュア」シリーズや漢方薬「生漢煎」などです。また、医療機関向けのDX支援やマーケティング支援も手掛けています。

収益は、プラットフォームを利用するユーザーや医療機関からの利用料、および医薬品を購入する一般消費者からの商品代金によって構成されています。運営は主にジェイフロンティアが行っているほか、連結子会社の株式会社シーディなどが関連事業を担っています。

(2) ヘルスケアセールス事業


健康食品や美容関連商品の企画・開発および通信販売を行っています。主力商品として「酵水素328選」シリーズのサプリメントやドリンク、生スムージーなどを展開しています。テレビのインフォマーシャルやインターネット広告を組み合わせた販売促進を行っています。

収益は、一般消費者への商品販売代金が中心となります。定期購入サービスを利用する会員顧客が収益基盤を支えています。運営はジェイフロンティアに加え、株式会社ECスタジオ、株式会社ウェルヴィーナスなどの連結子会社が行っています。

(3) ヘルスケアマーケティング事業


ヘルスケア商品を取り扱う法人顧客向けに、広告代理業や卸売業、BPOサービスを提供しています。著名人を起用した「キャスティング」、SNS広告、PRイベントなどのプロモーション支援のほか、ドラッグストア等への卸売、物流やDM発送の受託業務を行っています。

収益は、法人顧客からの広告宣伝業務の受託料、商品の卸売代金、BPO業務の受託料などから得ています。運営はジェイフロンティアのほか、株式会社アルファラン、株式会社グリフィスなどの連結子会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大を続け、2022年5月期の119億円から2025年5月期には215億円へと成長しています。利益面では、先行投資等により損失計上が続いていましたが、2025年5月期において経常利益および当期純利益が黒字転換を果たしました。

項目 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 119億円 168億円 177億円 215億円
経常利益 7.1億円 -18億円 -6.9億円 2.3億円
利益率(%) 6.0% -10.9% -3.9% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.0億円 -17億円 -21億円 0.5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。前期は営業損失を計上していましたが、当期は増収効果等により営業黒字に転換しました。販管費の増加を売上総利益の増加が上回り、利益体質への改善が見られます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 177億円 215億円
売上総利益 83億円 96億円
売上総利益率(%) 47.0% 44.5%
営業利益 -6.1億円 2.9億円
営業利益率(%) -3.4% 1.4%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が37億円(構成比40%)、給与手当が12億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで売上高が増加しました。特にヘルスケアマーケティング事業は大幅な増収となりました。利益面では、メディカルケアセールス事業とヘルスケアセールス事業が黒字を確保し、全社利益の改善に寄与しています。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期) 利益(2024年5月期) 利益(2025年5月期) 利益率
メディカルケアセールス事業 68億円 57億円 -2.6億円 5.1億円 8.8%
ヘルスケアセールス事業 45億円 61億円 1.1億円 0.4億円 0.7%
ヘルスケアマーケティング事業 63億円 97億円 1.3億円 1.3億円 1.3%
調整額 -2.4億円 -1.4億円 -5.9億円 -3.8億円 -
連結(合計) 177億円 215億円 -6.1億円 2.9億円 1.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動によるキャッシュ・フローがプラスに転じ、資産売却等による投資キャッシュ・フローもプラスとなりました。一方で、借入返済等により財務キャッシュ・フローはマイナスとなっており、営業利益と資産売却等で借入返済を進める「改善型」の状況と言えます。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF -14億円 5.1億円
投資CF -18億円 4.7億円
財務CF 34億円 -6.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は15.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人と社会を健康に美しく」を企業理念に掲げています。医療・ヘルスケア領域に着眼し、デジタル技術を活用してパラダイムシフトを起こすことで、より良い生活文化の創造と発信を通じ、社会すべての人々の健康で幸福な生活の実現に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


ヘルスケア領域において、特に「ケンビキョウイイ(健康・美容・教育・癒し・医薬・医療)」の分野における商品やサービスの開発に注力する姿勢を重視しています。また、コンプライアンスを最優先とした組織風土の醸成に向け、経営トップからのメッセージ発信や研修を強化しています。

(3) 経営計画・目標


事業を継続的に発展させるため、売上高およびEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+無形資産償却費)を重視する経営を行っています。また、独自の重要経営指標として、「SOKUYAKUヘルスケア経済圏」の活動人口を表す「QAU(四半期アクティブユニークユーザー数)」および経済規模を示す「ARR(年間経常収益)」を設定しています。

(4) 成長戦略と重点施策


医療プラットフォーム「SOKUYAKU」の拡大により、未病・予防から疾病、そして再び未病・予防へと至る「ヘルスケアサイクル」の全てをカバーするサービスの拡充を目指しています。具体的には、オンライン診療・服薬指導等の普及や、自社D2C事業の強化、およびこれらを支えるBtoB事業の推進により、グループ全体のシナジーを最大化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長や企業価値向上において人材を重要な経営資源と位置づけています。公正で納得感のある評価を目指した人事制度及び評価制度を運用し、適材適所の人員配置や新卒採用の強化を進めています。また、社員のワークライフバランスやキャリア志向に合わせた活躍の場の提供に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 36.3歳 3.1年 5,734,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 47.8%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.2%
男女賃金差異(正規雇用) 84.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 103.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(70.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品製造および品質管理


自社ブランド商品は製造を外部委託しています。委託先の管理や品質監査を実施していますが、万が一、異物混入や品質不備が発生した場合、ブランドイメージの毀損や継続率の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 広告宣伝費の変動


通販事業において顧客獲得のための広告宣伝費が多額となっています。広告効率の悪化や広告料金の値上げ等が発生した場合、費用対効果が低下し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) オンライン診療等の法的規制


「SOKUYAKU」事業は医師法や薬機法等の規制を受けます。法改正やガイドラインの変更により事業運営に制約が生じる場合や、万が一法令に抵触する事態が生じた場合、サービスの停止等を余儀なくされ、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。