Globee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Globee 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のEdTech企業です。AI英語学習プラットフォーム「abceed」の企画・開発・運営を主軸とした教育サービス事業を展開しています。直近の業績は、有料会員数の増加や単価上昇により、売上高16.4億円(前期比27.1%増)、経常利益4.1億円(同27.5%増)と増収増益を達成しました。


※本記事は、Globee の有価証券報告書(第11期、自 2024年6月1日 至 2025年5月31日、2025年8月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Globeeってどんな会社?


AI英語教材アプリ「abceed」を主力とし、教育とエンタメを融合させた学習プラットフォームを展開する企業です。

(1) 会社概要


2014年に設立され、2016年に英語教材プラットフォーム「abceed」をリリースしました。その後、AI機能の実装や学校向けサービスの展開を進め、2023年に東証グロース市場へ上場しました。現在では、映画・ドラマ・アニメ等のエンタメコンテンツやAI英会話機能を拡充し、サービスの多角化を推進しています。

従業員数は単体で48名です。筆頭株主は創業者で社長の幾嶋研三郎氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は創業メンバーでCTOの上赤一馬氏となっています。

氏名 持株比率
幾嶋 研三郎 63.83%
日本カストディ銀行(信託口) 10.96%
上赤 一馬 3.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は幾嶋研三郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
幾嶋 研三郎 代表取締役社長 2014年6月同社設立、代表取締役社長就任。2015年ソフトバンク入社を経て現職。
上赤 一馬 取締役CTO 2015年ソフトバンク入社。2017年8月より同社取締役CTOとして現職。
指田 恭平 取締役CFO 野村證券、ジェイ・ウィル・アドバンスを経て2020年同社入社。同年12月より現職。


社外取締役は、中村孝男(元アルバック常務執行役員)、中山寿英(中山寿英会計事務所所長)、北村賢二郎(北村法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「教育サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

教育サービス事業

スマートフォン向けアプリ及びウェブで利用できるAI英語教材「abceed」を企画・開発・運営しています。学習ツール、教材、テスト、スクールの4要素をデジタル化・融合させたプラットフォームです。出版社からライセンスを受けた人気教材や、映画・ドラマ等のコンテンツ、AIによる個別最適化機能などを提供しています。

収益は主に、一般ユーザーおよび法人(企業・学校)からのサブスクリプション利用料(Proプラン等)です。また、一部コンテンツの単品販売や、コーチングサービス「ABCEED ENGLISH」の提供も行っています。運営は主にGlobeeが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、直近5期間で一貫して右肩上がりの成長を見せています。利益面でも、第7期は損失を計上していましたが、第8期以降は黒字化し、高い利益率を維持しながら利益額も伸長しています。成長性と収益性を兼ね備えた業績推移となっています。

項目 2021年5月期 2022年5月期 2023年5月期 2024年5月期 2025年5月期
売上高 4.1億円 7.1億円 9.5億円 12.9億円 16.4億円
経常利益 -0.2億円 0.6億円 2.4億円 3.2億円 4.1億円
利益率(%) -6.0% 8.8% 25.5% 24.8% 24.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.3億円 0.5億円 1.7億円 2.3億円 2.8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに増加しています。売上総利益率は高い水準を維持しており、プラットフォームビジネスとしての収益性の高さがうかがえます。販管費も増加していますが、増収効果により営業利益率は前年を上回る水準で推移しています。

項目 2024年5月期 2025年5月期
売上高 12.9億円 16.4億円
売上総利益 6.0億円 7.8億円
売上総利益率(%) 46.4% 47.7%
営業利益 3.2億円 4.1億円
営業利益率(%) 24.8% 25.1%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が1.0億円(構成比27%)、給与及び手当が0.6億円(同17%)を占めています。売上原価においては、仕入(プラットフォーム手数料やライセンス料等)が7.3億円(構成比69%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は教育サービス事業の単一セグメントですが、主力の「abceed」において有料会員数が順調に増加したことや、Proプランの値上げ効果により平均単価が上昇したことで、大幅な増収となりました。

区分 売上(2024年5月期) 売上(2025年5月期)
教育サービス事業 12.9億円 16.4億円
連結(合計) 12.9億円 16.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**【健全型】**
本業の営業活動から得られた資金で借入金の返済を行いつつ、将来のための投資も自己資金の範囲内で賄えている、財務的に健全な状態です。

項目 2024年5月期 2025年5月期
営業CF 3.9億円 3.9億円
投資CF -1.5億円 -2.1億円
財務CF 2.5億円 -0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は37.1%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.2%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「個人の可能性を最大化する」という企業理念のもと、「学習量×効率を最大化する」ことをミッションとして掲げています。教育主要4分野である「学習ツール」「教材」「テスト」「スクール」をデジタル化・融合させたAI学習プラットフォームの構築を通じ、次世代のNo.1英語教育カンパニーを目指しています。

(2) 企業文化


社名である「Globee」は「Global Education & Entertainment Company」に由来しており、教育とエンターテイメントを掛け合わせたグローバルな学習プラットフォームの展開を目指す姿勢を表しています。ミッションへの共感を重視し、事業成長に寄与する優秀な人材の確保と、多様な価値観に合わせて働ける環境づくりを推進しています。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標として、売上高に加え、「ユーザー数」「有料会員数」「導入法人数」「対応タイトル数」を重要KPIとして設定しています。これらの指標をモニタリングし、事業規模の拡大と収益性の向上を目指しています。

* ユーザー数:558.4万人(2025年5月期末)
* 有料会員数:11.7万人(同上)
* 導入法人数(累計):553件(同上)
* 対応タイトル数:1,230タイトル(同上)

(4) 成長戦略と重点施策


今後の重点施策として「有料会員数の増加」と「単価の上昇」を掲げています。有料会員増に向けては、Webマーケティングの本格化、映画・アニメ・英会話等の新領域コンテンツ拡充によるターゲット層の拡大、法人向け営業・CS体制の強化を推進します。単価上昇に向けては、機能改善や付加価値向上によるProプランの平均単価アップを目指しています。

* AIテクノロジーへの投資(作問エンジン開発等)
* 廉価プラン(映画・英会話プラン)による新規層獲得

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


ミッションに共感し、事業成長に寄与する優秀な人材の確保を経営上の重要課題と位置づけています。積極的な採用活動や採用力の強化に加え、社内の適切な人事制度の構築に注力しています。また、フレックスタイム制度やリモートワーク制度の導入など、従業員のライフスタイルの変化に合わせた働き方を推奨しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年5月期 36.5歳 2.2年 5923000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合環境の変化


AIを活用した英語学習サービスやデジタル教材などの競合他社が存在します。類似サービスの参入や機能・コンテンツの模倣、価格競争などが激化し、同社の独自性や優位性が維持できなくなった場合、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

(2) 特定サービスへの依存


売上高の多くを主力サービスである「abceed」に依存しています。不測の環境変化等により同サービスの運営に支障が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。リスク分散のため、法人向けサービスの強化やコーチングサービスの展開を進めています。

(3) プラットフォームへの依存


サービス提供においてAppleおよびGoogleのプラットフォームに依存しています。ストア運営方針の変更や手数料率の改定などがあった場合、サービス展開や収益性に影響を与える可能性があります。

(4) 人材の確保


事業運営において優秀な人材の確保が不可欠です。必要な人材を採用できない場合や、重要な人材が流出した場合、プロダクト開発や事業展開に遅れが生じ、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。