※本記事は、株式会社アクシーズ の有価証券報告書(第63期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクシーズってどんな会社?
鹿児島県を拠点に、飼料製造から鶏肉加工・販売までを一貫体制で手掛ける食鳥産業の有力企業です。
■(1) 会社概要
1962年に株式会社伊地知種鶏場として設立され、1967年にブロイラー飼育生産を開始しました。1983年には日本KFCとフランチャイズ契約を締結し、外食事業へ参入しています。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2022年の市場区分見直しにより東京証券取引所スタンダード市場へ移行しました。
連結従業員数は1,282名、単体では863名です。筆頭株主は有限会社照国興産、第2位は代表取締役社長の伊地知高正氏、第3位は伊地知芳正氏となっており、創業家およびその資産管理会社が大株主上位を占めています。また、大手食品メーカーの日本ハムも大株主に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社照国興産 | 10.68% |
| 伊地知 高正 | 8.95% |
| 伊地知 芳正 | 8.95% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は伊地知高正氏です。取締役5名のうち2名が社外取締役で、社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊地知 高正 | 代表取締役社長 | 2005年入社、錦江湾飼料代表取締役社長、管理部長、取締役、専務取締役を経て、2017年9月より現職。 |
| 榊 茂 | 常務取締役 | 1977年入社、取締役、生産部長、アイエムポートリー代表取締役社長を経て、2017年9月より現職。 |
| 町田 克郎 | 取締役(監査等委員) | 2024年7月入社、2025年9月より現職。 |
社外取締役は、山之内 浩明(税理士)、新倉 哲朗(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「食品」「外食」「エネルギー」の3つの報告セグメントで事業を展開しています。
■(1) 食品
飼料製造、種鶏飼育、雛生産、ブロイラー飼育、鶏肉加工、加工食品製造までを一貫して行っています。独自の鶏舎環境制御技術による無投薬飼育や、全ての肥育施設を直営化している点が特徴です。鹿児島県産の「ゼオライト」や「シラス」製品の製造販売も行っています。
主な収益源は、鶏肉および唐揚などの鶏肉加工食品の販売代金です。フードリンクやニチレイフレッシュなどが主要な販売先となっています。運営は、同社および連結子会社の錦江湾飼料、南九州畜産などが担当しています。
■(2) 外食
日本ケンタッキー・フライド・チキンとフランチャイズ契約を結び、「ケンタッキーフライドチキン」の店舗経営を行っています。
一般消費者へのフライドチキン等の商品販売による売上が収益源となります。運営は、連結子会社のアクシーズフーズが行っています。
■(3) エネルギー
鶏の飼育段階で排出される鶏の排泄物を活用し、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギーの供給を行っています。燃焼後の灰は肥料原料として再利用し、循環型社会の構築に寄与しています。
電力会社等へのエネルギー供給による対価が収益源となります。運営は、同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。利益面では第62期にやや低下しましたが、第63期には回復し、増益基調に戻っています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 212億円 | 217億円 | 241億円 | 258億円 | 264億円 |
| 経常利益 | 35億円 | 27億円 | 20億円 | 18億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 16.6% | 12.3% | 8.2% | 6.9% | 8.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 22億円 | 18億円 | 13億円 | 12億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は増加し、売上総利益率も改善しています。営業利益および営業利益率も前期より向上しており、本業の収益性が高まっていることがうかがえます。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 258億円 | 264億円 |
| 売上総利益 | 59億円 | 67億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.9% | 25.2% |
| 営業利益 | 16億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 6.1% | 8.0% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運搬費が15億円(構成比32%)、従業員給与手当が6億円(同13%)を占めています。売上原価の内訳は、売上原価合計の約75%を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の食品事業は、加工食品の販売好調や鶏肉相場の堅調さにより増収増益となり、全社の利益成長を牽引しました。外食事業は新店舗出店により増収となったものの、人件費等の増加により減益となりました。エネルギー事業は微増収増益でした。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 食品 | 217億円 | 222億円 | 9億円 | 15億円 | 6.8% |
| 外食 | 37億円 | 38億円 | 3億円 | 3億円 | 7.0% |
| エネルギー | 5億円 | 5億円 | 3億円 | 4億円 | 73.9% |
| 調整額 | - | - | - | - | - |
| 連結(合計) | 258億円 | 264億円 | 16億円 | 21億円 | 8.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を投資や借入返済・配当に回している「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 37億円 | 29億円 |
| 投資CF | -22億円 | -17億円 |
| 財務CF | -6億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.1%で市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
日常の生活に必要な食品を取り扱う企業として、「安心して食べられ、健康に良いものであること」「鮮度が良く、美味しいものであること」「お客様に満足いただける価値を持っていること」「低価格で提供できること」「整然とした清潔な工場で造られていること」を製品に関する基本方針として掲げています。
■(2) 企業文化
良質な鶏肉の安価かつ継続安定的な供給を通して社会へ貢献することを目指しています。そのために、科学的実験・研究による技術追求や、飼育環境コントロールの開発実施、独自設備への投資等を重視しており、家内工業的な畜産業から近代産業としての食品業への進化を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、各事業、セグメントの創出する利益の極大化を重視し、営業利益、経常利益等の増大を経営目標としています。これらの経営指標の中期的向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的には「製造、販売量の安定的拡大」と「人材の確保及び育成」を戦略としています。業界シェア向上のため、種鶏・肥育施設、孵卵施設、加工工場等の新設や拡充を進めるとともに、規模拡大に伴う人材の確保と採用後の教育体制の充実を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
規模拡大を遂行する中で、人材の確保及び育成が不可欠であるとしています。中途・新卒ともに新規募集を強化するとともに、採用後における教育体制の充実を図る方針です。また、多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 42.9歳 | 10.0年 | 4,916,352円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 42.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 73.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | 79.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市況変動の影響
鶏肉は季節要因による価格変動があり、主要コストである飼料原料価格も穀物相場や為替等の影響を受けます。飼料価格高騰時は飼料安定基金による補填があるものの、高騰が長期化すれば売上原価に影響を及ぼす可能性があります。また、為替の予期せぬ変動も業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 自然災害等
事業拠点や取引先地域において、天災、悪天候、火災、テロ、ストライキ、戦争等が発生した場合、また疾病や伝染病の発生・蔓延等により、原材料・商品の仕入や工場稼働、受発注、商品配送等の事業継続に支障をきたす可能性があります。
■(3) 鳥インフルエンザ等家畜伝染病の発生リスク
同社では万全の防疫体制を構築していますが、事業拠点やその周辺地域において、鳥インフルエンザ等の家畜伝染病が発生した場合、肥育施設や工場の稼働、事業継続に支障をきたすことが予想されます。
■(4) 主要な販売先について
フードリンクやニチレイフレッシュに対する販売が全体の売上高の約40%を占めています。同社では販売先の分散化に努めていますが、主要販売先への依存割合が高く、両社の経営戦略が同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。



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