※本記事は、株式会社ホーブ の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ホーブは、いちごの品種研究開発から苗の生産販売、収穫した果実の販売までを一貫して手掛ける農業関連企業です。バイオテクノロジー技術を基盤に、四季成性いちごの自社品種を開発し、洋菓子メーカーなどへ年間を通じて国産いちごを安定供給するビジネスモデルを構築しています。
単体従業員数は26名、連結従業員数は44名です。同社グループの報告セグメントは、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業、運送事業の4つです。
主な国内グループ会社は、エス・ロジスティックス(運送事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ホーブは、農業分野に密接に関わる事業を展開しており、従業員の専門性と経験が重視される環境です。給与水準や働き方については、安定したキャリア形成と専門性の深化に焦点を当てた特徴が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い傾向にあります。これは、長期的なキャリアを築き、専門性を高めていくことが期待される環境であることを示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,539,528円 |
| 平均勤続年数 | 13.4年 |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 単体従業員数 | 26人 |
| 連結従業員数 | 44人 |
| 単体のグループ内比率 | 59.1% |
同社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、非積立型の確定給付制度として退職一時金制度を採用しています。確定給付型は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度です。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は50百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、農業に密接に関わる事業を展開しているため、人材の育成と確保を重要な経営課題と認識しています。グループ全体が持続的に成長できるよう、人材戦略に取り組んでいます。
各部門の目標に沿った個人目標を設定する目標管理制度を導入しています。また、農業分野は専門性が高く、技術の継承が重要となることから、直営農場において実際の栽培管理を通じて経験を積むことで、農業に精通する人材を育成する方針です。
人材の確保においては、性別や国籍、採用方法や時期にとらわれず、個人の能力を適正に評価しています。能力と意欲のある従業員が活躍できる環境を整えることを目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社グループは、女性活躍推進法および育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示項目は記載を省略しています。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ホーブは、いちごの品種研究開発から苗の生産販売、収穫した果実の販売までを一貫して手掛ける農業関連企業です。一年を通して洋菓子メーカー等に国産いちごを安定供給するビジネスモデルを構築しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、四季成性いちごの自社品種「コア」や「夏瑞/なつみずき」の育種、苗の生産・販売、栽培指導、そして収穫された果実の仕入れ・販売までを一貫して行っています。このビジネスモデルは、夏秋期に国産いちごの供給が少なくなるという課題に対し、自社品種とバイオテクノロジー技術による均一無病苗の量産化で対応し、通年での安定供給を実現しています。また、いちご以外の果物や野菜の卸売りも手掛けています。
同社グループは、株式会社ホーブと連結子会社である株式会社エス・ロジスティックスで構成されており、「いちご果実・青果事業」「種苗事業」「馬鈴薯事業」「運送事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
いちご果実・青果事業
この事業では、自社品種いちご果実やその他のいちご果実、青果、農業用生産・出荷資材の仕入販売を行っています。収益は、これらの商品の仕入販売から得ています。運営は、ホーブが行っています。当連結会計年度の売上高は、同社グループ全体の売上高の大部分を占めており、前期から減少しています。
種苗事業
この事業では、自社品種のいちご苗やその他の種苗の生産販売、四季成りいちごの栽培・育種技術に関する業務の受託を行っています。収益は、苗の生産販売や業務受託から得ています。運営は、ホーブが行っています。当連結会計年度の売上高は、前期から減少しています。
馬鈴薯事業
この事業では、種馬鈴薯の生産販売および仕入販売、青果馬鈴薯の仕入販売を行っています。収益は、これらの商品の販売から得ています。運営は、ホーブが行っています。当連結会計年度の売上高は、前期から減少しています。
運送事業
この事業では、同社グループの商品配送を中核としつつ、一般荷主からの配送業務受託も行っています。収益は、配送業務の受託から得ています。運営は、エス・ロジスティックスが行っています。当連結会計年度の売上高は、前期から減少しています。
同社グループの売上高は主に国内市場から得られており、海外売上高はわずかです。主要な顧客として、株式会社シャトレーゼ、三井物産流通グループ株式会社、トーワ物産株式会社があり、これらの顧客への売上高がいちご果実・青果事業の大部分を占めています。
| セグメント | 売上高(2024年6月期) | 売上高(2025年6月期) |
|---|---|---|
| いちご果実・青果 | 22.3億円 | 21.5億円 |
| 運送 | 1.5億円 | 1.3億円 |
| 馬鈴薯 | 77百万円 | 75百万円 |
| 種苗 | 61百万円 | 52百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は第35期から第37期にかけて減少傾向にありましたが、第38期で微増しました。しかし、当連結会計年度である第39期には再び減少しています。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、第36期に増加した後、第38期に大きく減少しましたが、当連結会計年度には前期から増加に転じています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30.4億円 | 26.0億円 | 24.9億円 | 25.2億円 | 24.1億円 |
| 経常利益 | 1.1億円 | 1.5億円 | 1.4億円 | 38百万円 | 39百万円 |
| 経常利益率 | 3.6% | 5.7% | 5.6% | 1.5% | 1.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.1億円 | 1.4億円 | 1.1億円 | 20百万円 | 25百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 142.17 | 186.73 | 144.88 | 26.27 | 32.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期の60.0百万円から当期は54.8百万円へと減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は、前期の0.8百万円から当期は0.9百万円へと増加しています。この傾向は、売上高が減少する中でも、事業運営の効率化や利益率の高い活動への注力により、従業員一人あたりの利益創出能力が向上していることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 60.0百万円 | 54.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 0.9百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況です。財務基盤と資金の流れから、現在の経営状態を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は70.7%と、前期の68.5%から増加しています。これはプライム市場平均と比較して高い水準にあり、財務基盤の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)は3.2%で、前期の2.6%から改善していますが、プライム市場平均を下回る水準です。
手元資金である現金及び預金は3.1億円となっており、前期の3.5億円から減少しています。これらの状況は、同社グループが安定した財務基盤を持ちつつ、収益性の向上と資金効率の改善に取り組んでいることを示しています。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 7.7億円 | 7.6億円 |
| 自己資本比率 | 68.5% | 70.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 2.6% | 3.2% |
| 現金及び預金 | 3.5億円 | 3.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは16百万円のプラスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費があった一方で、仕入債務が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは△20百万円のマイナスとなっており、主に有形固定資産の取得による支出があったことを示しています。
この結果、フリーキャッシュ・フローは△3百万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは△42百万円のマイナスで、主に配当金の支払額によるものです。同社グループは本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況であり、事業の成長を重視していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △160百万円 | 16百万円 |
| 投資CF | △25百万円 | △20百万円 |
| 財務CF | △42百万円 | △42百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △184百万円 | △3百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、売上高に占めるいちご果実の構成比が81.4%と高く、特定品目への依存が見られます。また、いちご果実・青果の販売先のうち、上位3社に対する販売金額が当連結会計年度において41.2%を占めており、特定の取引先への依存度が高い状況です。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、創業以来事業を推進してきた代表取締役髙橋巌氏への依存度を軽減するため、経営体制の構築を進めています。しかし、同氏の業務遂行が困難となった場合、事業展開や業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ホーブは、バイオテクノロジー技術を農業に活かし、日本の農業活性化に貢献することを目指す企業です。持続可能な農業の未来を創造するため、独自の技術と人材育成を重視する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ホーブの社名は「Horticultural Biotechnology(施設園芸の生命科学技術)」と「Hokkaido Biotechnology(北海道の生命科学技術)」に由来しています。同社グループの出発点は、研究室のバイオテクノロジー技術を実際の農業で活かし、北海道農業の活性化に貢献することでした。
農業生産者と消費者をつなぐかけ橋となり、種苗、技術、情報を提供することで農業の活性化に寄与することを事業の根幹としています。経営理念として「バイオテクノロジーをラボラトリーからフィールドへ」、そして「消費者とともに日本の農業を考え、農業活性化の一助を担う」ことを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続可能性の観点からサステナビリティに関する取り組みを重要な課題と認識しています。取締役会が直接審議・監督するガバナンス体制を通じて、サステナビリティ課題へ対応しています。
気候変動をはじめとする環境問題への対応や、これまでに蓄積した技術・ノウハウの共有・承継、人材の育成と確保を重要な経営課題としています。グループ全体が持続的に成長できるよう取り組む方針です。
人材の確保においては、性別や国籍、採用方法や時期にとらわれず、個人の能力を適正に評価しています。能力と意欲のある従業員が活躍できる環境を整えることを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、農業を取り巻く環境の多様な変化に対応するため、人材育成を重要な経営課題としています。気象変動などに対する有効的な対処は、経験を通じて学ぶことが重要であると考えています。
長年にわたり取り組んできた夏秋いちごの品種開発で培った栽培や育種に関する技術、ノウハウを社内で共有し、継承していくことを目指しています。そのため、今後も優秀な人材の確保と育成に努める方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ホーブは監査役制度を採用しており、取締役会と監査役会が経営の健全性と透明性を確保しています。取締役会は4名で構成され、原則毎月1回開催される定例取締役会や必要に応じた臨時取締役会で、経営上の重要事項を意思決定しています。
監査役会は3名の監査役で構成され、うち2名が社外監査役です。また、弁護士である社外取締役1名を選任し、コンプライアンスの観点から取締役の業務執行を実効性のあるものとしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ホーブの筆頭株主は、同社の設立者である髙橋巖氏です。創業家が上位株主に複数名を占めており、安定した資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 髙橋 巖 | 40.04% |
| 大辻 英弘 | 3.69% |
| 髙橋 ゆかり | 2.89% |
| 奥津 大輔 | 2.63% |
| 酒井 直行 | 2.26% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長は髙橋巖氏、代表取締役社長は政場秀氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋 巖 | 代表取締役会長 | 1979年4月金印わさび株式会社入社。1987年6月同社設立、代表取締役社長就任。2013年9月同社代表取締役会長就任より現職。 |
| 政場 秀 | 代表取締役社長 | 1991年4月学校法人国際科学技術学園勤務。1993年6月同社入社。2013年9月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 馬場 文秀 | 取締役経営管理部長 | 1977年4月株式会社北海道拓殖銀行入行。2008年10月同社入社。2020年9月同社取締役就任、同社経営管理部長就任より現職。 |
社外取締役は、柿本輝明氏(柿本法律事務所設立)です。
同社は監査役制度を採用しています。社外取締役は弁護士としての専門知識を活かし、取締役の業務執行をコンプライアンスの面から確保しています。また、監査役3名のうち2名が公認会計士の資格を持つ社外監査役であり、経営の健全性及び透明性の向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ホーブの取締役の報酬は、月例の金銭報酬である固定報酬のみで構成されています。業績連動報酬や非金銭報酬は支給しない方針です。報酬額は、同社の業績や経営内容、社会情勢、各役割に応じた貢献度合いなどを総合的に考慮し、株主総会で決議された報酬総額の範囲内で取締役会が決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 36百万円 | 11.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 1百万円 | 1.2百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.8百万円 |
なお、退職慰労金については、役員退職慰労引当金の当期繰入額を記載しています。
報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
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