高見澤 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高見澤 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。長野県を地盤に、建設関連、電設資材、カーライフ関連、食品加工等の多角的な事業を展開しています。直近の決算では、建設関連や電設資材が堅調に推移し増収となったものの、コスト増や減損損失の計上等により減益となりました。


※本記事は、株式会社高見澤 の有価証券報告書(第75期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 高見澤ってどんな会社?


長野県を拠点に、建設資材から食品、ガソリンスタンドまで多角的に展開するコングロマリット企業です。

(1) 会社概要


1951年3月に青果販売を目的として高見澤商店を設立。1971年にグループ会社5社を吸収合併し事業部制を採用、社名を現在のものに変更しました。1995年に株式を店頭登録し、2013年には東証JASDAQ(スタンダード)へ上場しました。2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

連結従業員数は1,054名、単体では551名です。筆頭株主は代表取締役社長の髙見澤秀茂氏で、第2位は髙見澤尊昭氏です。創業家出身者が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
髙見澤秀茂 11.36%
髙見澤尊昭 8.17%
夢葉 5.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は髙見澤秀茂氏が務めています。社外取締役比率は9.1%です。

氏名 役職 主な経歴
髙見澤秀茂 代表取締役社長 1979年兼松江商(現兼松)入社。1984年同社入社。専務取締役営業本部長等を経て、2001年より現職。
髙見澤雅人 取締役副社長経営統括兼総括安全管理担当 1983年同社入社。専務取締役経営企画室長等を経て、2023年取締役副社長。2024年より現職。
佐藤倫正 専務取締役事業統括 1982年同社入社。取締役コンクリート事業部長、常務取締役営業副本部長等を経て、2023年より現職。
米山剛 常務取締役海外事業本部長 1982年同社入社。取締役中国事業部長、取締役上越支店長等を経て、2013年常務取締役。2024年より現職。
小林茂勝 常務取締役管理本部長兼経営企画室長 1985年同社入社。取締役営業推進部長等を経て、2023年常務取締役管理本部長。2024年より現職。
髙見澤秀毅 取締役副事業統括兼フードセグメント長 2010年東芝テック入社。2013年同社入社。特産事業部長を経て、2024年より現職。
松峯信夫 取締役 1980年昭和電機産業入社。2019年同社代表取締役社長(現任)。2021年より現職。


社外取締役は、松本清(長野運送代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「建設関連事業」、「電設資材事業」、「カーライフ関連事業」および「その他」事業を展開しています。

建設関連事業


コンクリート二次製品や生コンクリート、砂利・砂の製造販売を行うほか、セメントなどの建設資材販売、土木建築請負、貨物自動車運送などを手がけています。主な顧客は建設業者や官公庁などで、公共工事および民間工事の需要に対応しています。

収益は主に製品の販売代金や工事請負代金から得ています。運営は主に高見澤が行っているほか、直江津臨港生コン、中国の溜博高見澤混凝土有限公司などが製造販売を担っています。

電設資材事業


電気工事業者や工場関連向けに、電設資材、産業機器、空調システムなどの販売を行っています。省エネや省力化、環境負荷低減に関わる設備投資需要に対応する製品を取り扱っています。

収益は主に商品の販売代金から得ています。運営は主に連結子会社の昭和電機産業、信州電機産業、岐阜電材が行っています。

カーライフ関連事業


一般消費者および法人向けに、ガソリンなどの石油製品の販売、自動車の販売・整備・賃貸、損害保険代理業務を行っています。長野県内を中心にガソリンスタンドの運営や車両販売を展開しています。

収益は主に燃料油や自動車の販売代金、整備料金などから得ています。運営は主に高見澤が行っています。

その他事業


食品(きのこ、漬物、ミネラルウォーター、チーズ等)の製造販売、不動産売買・管理、廃棄物処理、ゴルフ練習場経営など多岐にわたる事業を行っています。

収益は製品・商品の販売代金、不動産収入、サービス利用料などから得ています。運営は高見澤のほか、オギワラ精機、アグリトライ、ナガトク、セイブ、スマイルハウスなどのグループ各社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、第71期の633億円から第75期には736億円へと拡大しています。一方、経常利益は増減があり、第74期に21億円まで伸長したものの、第75期は17億円へ減少しました。当期純利益も同様の傾向を示し、利益率は2%台から3%弱で推移しています。

項目 2021年6月期 2022年6月期 2023年6月期 2024年6月期 2025年6月期
売上高 633億円 634億円 689億円 714億円 736億円
経常利益 17億円 13億円 19億円 21億円 17億円
利益率(%) 2.7% 2.1% 2.7% 3.0% 2.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 6.2億円 12億円 8億円 7億円

(2) 損益計算書


前期と比較すると、売上高は714億円から736億円へ約22億円増加しました。売上総利益も微増しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は18億円から15億円へ減少しました。営業利益率は2.5%から2.0%へと低下しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
売上高 714億円 736億円
売上総利益 122億円 124億円
売上総利益率(%) 17.1% 16.8%
営業利益 18億円 15億円
営業利益率(%) 2.5% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が42億円(構成比39%)、賞与引当金繰入額が7億円(同6%)を占めています。売上原価については、内訳の詳細データはありませんが、全体としてコスト増の影響を受けています。

(3) セグメント収益


各セグメントともに売上高は増加しましたが、利益面では苦戦しました。建設関連事業は増収減益、電設資材事業は増収ながらも経費増で微減益となりました。カーライフ関連事業も増収減益で、その他事業については減益幅が大きくなっています。

区分 売上(2024年6月期) 売上(2025年6月期) 利益(2024年6月期) 利益(2025年6月期) 利益率
建設関連 86億円 90億円 4.2億円 3.2億円 3.5%
電設資材 376億円 383億円 10億円 10億円 2.6%
カーライフ関連 172億円 180億円 1.5億円 1.5億円 0.8%
その他 80億円 83億円 4.6億円 2.4億円 2.8%
調整額 - - -2.5億円 -2.5億円 -
連結(合計) 714億円 736億円 18億円 15億円 2.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

高見澤は、営業活動で得た資金が大幅に増加し、事業活動が順調に進んでいることを示しています。一方で、将来の成長に向けた設備投資に多額の資金を使用しました。また、長期的な資金調達も行っており、財務基盤の強化を図っています。これらの活動により、期末の現金及び現金同等物は増加しています。

項目 2024年6月期 2025年6月期
営業CF 15億円 37億円
投資CF -12億円 -31億円
財務CF -2.5億円 3.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「顧客、社員、株主、地域社会」に必要とされ、貢献することを企業経営の最重要項目と捉えています。これらのステークホルダーとの信頼関係を築きながら、社会において存在感のある企業となることを目指して経営を行っています。

(2) 企業文化


厳しい経営環境の中でも、社員全員が目標を共有化し、個々が持てる力を最大限に発揮する「全員参加の経営」を基本としています。グループ各社の知恵を集結させ、時代を生き抜くための人材育成にも注力する風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、事業活動の成果として売上高と経常利益を重視しており、2026年6月期の連結数値目標を設定しています。

* 売上高:740億円
* 経常利益:18億円

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長を実現するため、旧来の収益構造と事業組織を抜本的に見直す改革に取り組んでいます。今後は事業基盤の再構築、DX活用による労働生産性向上、人的資本への投資、サステナビリティ経営の推進、適切な利益配分を重点目標として掲げています。

* 持続的成長に向けた事業基盤の再構築
* 労働生産性・資本生産性の向上
* 人的資本への投資
* サステナビリティ経営への取組と社会的責任の遂行
* 適切な利益配分とステークホルダー価値の向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様性を尊重し、いきいきと活躍できる職場環境の整備」を重要課題とし、人材の確保・育成に取り組んでいます。セグメント制を生かした人材の最適配置や循環を行うとともに、戦略的な研修プログラムやリスキリング制度を整備し、個々の能力向上とシニア層を含めた人的資源の最適化を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年6月期 41.8歳 10.1年 5,485,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.4%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 70.2%
男女賃金差異(正規雇用) 81.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 72.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 減損会計について


同社グループは多額の固定資産を保有しており、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき減損損失の認識判定を行っています。事業の収益性が低下した場合や地価が下落した場合など、その判定結果によっては減損損失を計上する必要が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 中国事業について


中国国内の合弁会社2社において生コンクリート製造販売事業を行っています。中国における法規制の変更や経済情勢の変動、カントリーリスクなどが顕在化した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) 有利子負債について


借入依存度は24.5%となっており、有利子負債残高は95億円です。設備投資や運転資金を金融機関からの借入で調達しているため、将来的に市場金利が上昇した場合には支払利息が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。