※本記事は、株式会社オーネックスの有価証券報告書(第74期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーネックスってどんな会社?
金属熱処理加工を主力とし、製品の強度や耐久性を高める技術サービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
1951年に大屋熱処理株式会社として設立され、操業を開始しました。1991年に現在の社名である株式会社オーネックスへ変更。2004年にジャスダック証券取引所へ株式を上場しました。2014年には株式会社オーネックステックセンターを設立し、業容を拡大しています。2025年には山口第二工場を閉鎖し、生産体制の効率化を図っています。
同グループの従業員数は連結で244名、単体で173名です。筆頭株主は香港の証券会社であるFUTU SECURITIES INTERNATIONAL(HONG KONG)LIMITED、第2位は大屋翼氏で、同社の執行役員を務めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| FUTU SECURITIES INTERNATIONAL(HONG KONG) LIMITED(常任代理人 momoo証券) | 19.76% |
| 大屋 翼 | 8.29% |
| PHILLIP SECURITIES(HONG KONG) LIMITED (常任代理人 フィリップ証券) | 7.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木田周太郎氏です。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木田 周太郎 | 代表取締役社長 | みずほ銀行、復星集団、リーディング証券執行役員、木田商事代表取締役を経て、2025年9月より現職。 |
| 山川 伯忠 | 取締役会長 | 豊華食品工業入社。ピナクルプロパティーズ代表取締役を経て、2025年9月より現職。 |
| 高階 毅司 | 代表取締役副社長事業本部本部長兼技術研究所長 | 同社入社後、各工場長、常務取締役事業本部副本部長等を歴任し、2025年9月より現職。 |
| 石松 孝明 | 取締役執行役員事業本部副本部長兼厚木・東松山工場工場長 | 同社入社後、各工場副工場長、管理本部付部長、執行役員等を経て、2025年9月より現職。 |
社外取締役は、星川建三(元夢真ホールディングス筆頭取締役)、稲嶺和盛(東京キャピタル代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金属熱処理加工事業」および「運送事業」を展開しています。
■(1) 金属熱処理加工事業
自動車関連、産業工作機械関連、建設機械関連などの金属部品に対して、浸炭、窒化、焼入・焼戻しなどの熱処理加工を行っています。金属の強度や耐久性を高めるための加工サービスを顧客に提供しています。
熱処理加工の対価として加工賃を受け取ります。運営は、同社および子会社の株式会社オーネックステックセンターが行っています。
■(2) 運送事業
一般貨物運送業の認可を受け、主に取引先との熱処理製品等の運送を行っています。金属熱処理加工事業に付随する物流機能を担っています。
運送サービスの対価として運賃を受け取ります。運営は、子会社の株式会社オーネックスラインが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は50億円前後で推移していますが、利益面では変動が見られます。直近の期では売上高は増加しましたが、営業損失および経常損失を計上しました。一方で、当期純利益は黒字を確保しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 51億円 | 53億円 | 54億円 | 50億円 | 51億円 |
| 経常利益 | -0.7億円 | 1.3億円 | 1.9億円 | 0.4億円 | -0.3億円 |
| 利益率(%) | -1.4% | 2.4% | 3.6% | 0.8% | -0.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -2.0億円 | 1.6億円 | 2.2億円 | -3.8億円 | 0.0億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増しましたが、売上原価および販管費の増加により、営業損失となりました。売上総利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 50億円 | 51億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 10億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.7% | 19.7% |
| 営業利益 | 0.6億円 | -0.5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.1% | -0.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比25%)、運賃荷造費が1億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
金属熱処理加工事業は増収となったものの、人件費等の増加によりセグメント損失となりました。運送事業は増収増益となり、利益に貢献しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) | 利益(2024年6月期) | 利益(2025年6月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 金属熱処理加工事業 | 44億円 | 45億円 | 0.2億円 | -1.0億円 | -2.3% |
| 運送事業 | 5億円 | 6億円 | 0.1億円 | 0.3億円 | 5.6% |
| 調整額 | -3億円 | -3億円 | 0.2億円 | 0.2億円 | - |
| 連結(合計) | 50億円 | 51億円 | 0.6億円 | -0.5億円 | -0.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面にある「改善型」です。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 7億円 |
| 投資CF | -2億円 | 1億円 |
| 財務CF | -4億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「品質の追求」「人間性の尊重」「社会への貢献」「夢のある職場」からなる経営理念(社是)を定めています。株主をはじめとするすべてのステークホルダーから評価される経営を行い、持続的に企業価値の向上を図ることを目指しています。
■(2) 企業文化
「オーネックス方針」を掲げ、法令遵守の徹底を経営の根幹としています。コンプライアンスを徹底することで企業の信頼性を高めるとともに、従業員一人ひとりが品質の大切さを再認識し、責任感を持って作業に注力する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は経営上の目標の達成状況を判断するために連結業績予想を用いています。2026年6月期の目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:51億3800万円
* 営業利益:1億700万円
* 経常利益:9700万円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:6500万円
■(4) 成長戦略と重点施策
熱処理技術力の向上と新しい技術への取り組み、環境変化に対応した柔軟な事業展開を戦略の柱としています。特に、ロボットや産業機械関連市場の拡大を見据え、株式会社オーネックステックセンター(三重県亀山市)を成長戦略の柱として拡充し、営業基盤の強化を推進しています。また、ITを活用したワークスタイルの変革や人材育成にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「時勢変化に即応」できる人材の育成を目指し、「意識」「意欲」「能力」「行動」の4つを柱とする人材戦略を掲げています。採用活動の強化と人材育成システムの再整備を進めるとともに、各部門を経験させることで多能工化を図り、生産性向上と人手不足対策を促進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 43.4歳 | 16.1年 | 5,135,686円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(3%)、中途採用者の管理職比率(17%)、資格手当取得者(149名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場の変動リスク
売上は産業工作機械、自動車、建設機械部品関連が大きな割合を占めており、これらの産業分野における需要の縮小は業績に影響を及ぼす可能性があります。需要の裾野の広い一般産業機械分野向けの比率を高めることで影響の緩和を図っています。
■(2) 原材料・エネルギー価格の高騰
エネルギー価格や原材料価格が高騰し、価格転嫁等の対応が遅れた場合、収益性に影響を与える可能性があります。コスト削減のため電力契約プランの見直しや設備の機械化・自動化を検討し、生産体制を見直しながら収益体質の強化を図っています。
■(3) 人手・人材不足
事業部門は厳しい環境下における作業が多く、人手・人材の確保を継続できなければ事業に大きな影響を受ける可能性があります。縁故募集や再雇用の奨励、多能工化による生産性向上に努めています。



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