※本記事は、北川精機株式会社 の有価証券報告書(2025年6月期、2024年7月1日 ~ 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
北川精機は産業機械の製造・販売を主な事業としています。同社グループは、プリント基板プレス装置、新素材プレス装置、ラミネータ装置、FA・搬送機械などを製造し、国内外に販売しています。また、油圧機器の製造・販売も行っています。
単体従業員数は141名、連結従業員数は151名です。同社グループの報告セグメントは「産業機械事業」の1つです。
主な国内グループ会社は、ホクセイ工業(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
北川精機は産業機械事業を展開しており、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向が見られます。人材育成や働きやすい環境整備にも力を入れており、安定した環境で専門性を高めたいと考える方にとって、参考となる情報が提供されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
北川精機では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期的にキャリアを築いている傾向がうかがえます。安定した環境で専門性を高めながら働きたいと考える方にとって、参考となる情報と言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,492,000円 |
| 平均勤続年数 | 19.6年 |
| 平均年齢 | 44.7歳 |
| 単体従業員数 | 141人 |
| 連結従業員数 | 151人 |
| 単体のグループ内比率 | 93.4% |
退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型制度が、国内および海外のグループ会社を対象に設けられています。退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。年金資産は2.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
北川精機グループは、経営理念である「英知と創造」のもと、公正・健全で透明性の高い経営と社会・環境課題への積極的な取り組みを通じて、社会の持続的発展に貢献する方針です。人材育成においては、社会基盤に不可欠なモノづくりを行う企業として、社員一人ひとりが創造性・自主性と行動力、そして高い倫理観を持ち、いかなる環境変化にも柔軟に対応できる人材として活躍できるよう育成することを目指しています。
社内環境整備では、職場の安全と心身の健康を守り、人材の多様性や人権を尊重するとともに、社員が仕事と家庭生活を両立させ、個性を活かし能力を最大限に発揮できる環境を整備する方針です。組織の現状を可視化するため、外部コンサルタントに委託して全従業員対象の組織サーベイを毎年実施し、組織課題の明確化と働きがいのある職場づくりに努めています。人的資本や知的財産への投資については、取締役会が次年度予算時に審議しており、経営層が人材への投資を重視していることが伺えます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成方針・社内環境整備方針
提出会社単体の取り組みに関する指標です。男性労働者の育児休業取得率については、2022年4月1日から2027年3月31日までの5年間で15%以上とする目標を定めていましたが、当連結会計年度において対象者はいませんでした。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| セルフチャレンジ(目標管理制度)実施率 | 100% |
| コンプライアンス研修受講率 | 100% |
| 定期健康診断受診率 | 100% |
| ストレスチェック受検率 | 98% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
北川精機は、産業機械の製造・販売を主な事業とする企業グループです。プリント基板プレス装置やFA・搬送機械といった製品を通じて、世界のDXを支えるビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、産業機械の製造・販売を主要な事業としています。主要な製品には、プリント基板プレス装置、新素材プレス装置、ラミネータ装置、FA・搬送機械などがあります。これらの製品は、同社が製造し、得意先に販売しています。
収益モデルの特徴として、案件ごとに個別の仕様に基づいて設計・製造を行うため、納期や受注金額にばらつきが生じやすい点が挙げられます。特に大型案件では売上計上までに長期間を要し、四半期単位での売上高が大きく変動する傾向があります。国内販売では主に検収時点で、海外販売ではリスク負担が顧客に移転した時点で収益を認識しています。
同社グループの事業セグメントは「産業機械事業」のみで構成されています。連結子会社である北川精机貿易(上海)有限公司は、中国の得意先への販売を担っています。また、「その他」の事業として、連結子会社ホクセイ工業株式会社が製造する油圧機器を直接得意先に販売しています。
当連結会計年度の売上高は、海外向け銅張積層板成形用のプレス装置やFAシステムの大口案件が増加したことにより、前期から増加しました。地域別の売上高を見ると、日本、中国、マレーシア、タイなど複数の国・地域にわたる販売実績があります。主要な顧客としては、ELITE MATERIAL (PENANG) SDN.BHD.とMGC ELECTROTECHNO (THAILAND) CO.,LTD.への販売が全体の10%以上を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にありますが、当連結会計年度においては営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前期から減少しました。売上高は前期比で増加したものの、一部低採算案件による売上総利益の減少や、業務効率化のためのIT投資、賃上げなどによる販売費及び一般管理費の増加が営業利益の減少につながっています。また、為替差益の減少や法人税等の増加も利益の減少に影響しました。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48.2億円 | 50.3億円 | 64.6億円 | 59.3億円 | 62.3億円 |
| 経常利益 | 5.5億円 | 6.7億円 | 8.0億円 | 8.5億円 | 6.0億円 |
| 経常利益率 | 11.3% | 13.4% | 12.5% | 14.4% | 9.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4.9億円 | 5.9億円 | 7.0億円 | 6.3億円 | 3.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 68.22 | 83.28 | 99.19 | 85.05 | 48.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、事業規模の拡大がうかがえます。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から減少しました。これは、売上高の増加に対して利益の減少幅が大きかったことを示しており、収益性の改善が今後の課題となる可能性があります。
| 指標 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 38.5百万円 | 41.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.3百万円 | 4.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
北川精機は、堅実な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しています。事業活動で得た資金を投資に回しつつ、手元資金を確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率と手元資金の状況から確認できます。当期の自己資本比率は59.1%であり、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しています。これは、安定した経営基盤を構築している状況です。
ROE(自己資本利益率)は当期8.0%となっています。前期の15.3%からは減少していますが、プライム市場平均の9.4%と比較すると、当期はやや下回る水準です。
手元資金として、当期末の現金及び預金は33.6億円を確保しています。これらの財務状況は、事業運営における安定性や、将来的な事業展開への余力を示すものとなります。
| 指標 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.6億円 | 50.8億円 |
| 自己資本比率 | 56.5% | 59.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 15.3% | 8.0% |
| 現金及び預金 | 34.4億円 | 33.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、当期において営業活動によるキャッシュフローが3.2億円の獲得となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や棚卸資産の減少によるものです。前期の5.0億円と比較すると減少しています。
投資活動によるキャッシュフローは、主に有形固定資産の取得による支出が増加し、1.7億円の使用となりました。これは前期の0.9億円の使用から増加しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いにより2.0億円の使用となり、前期の4.8億円の獲得から使用に転じています。
これらの結果、事業活動で得た資金が投資活動による支出を上回り、自由に使える資金であるフリーキャッシュフローは1.5億円のプラスとなっています。この状況は、本業で安定的に資金を生み出し、事業投資も行いつつ、資金の余力を確保していることを示しており、事業の持続性や安定的な雇用・給与の基盤を支える状況です。
| 項目 | 2024年6月期(前期) | 2025年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.0億円 | 3.2億円 |
| 投資CF | △0.9億円 | △1.7億円 |
| 財務CF | 4.8億円 | △2.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4.2億円 | 1.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、IT産業の設備投資の状況により、受注や経営成績に影響を受ける可能性があります。また、主たる製品であるプレス装置の業界では価格競争が熾烈であり、市場シェアの維持や収益性の確保が困難になるリスクを認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、優秀な従業員の確保と育成に力を入れています。しかし、優秀な人材が多数離職したり、人材獲得や育成ができなかった場合、将来の成長に悪影響を与える可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
北川精機は、「熱・圧力・真空制御技術」を基盤に、独創的な製品開発で幅広い業界のものづくりを支えてきた企業です。同社グループは「英知と創造」を経営理念に掲げ、社会貢献と社員の喜びを追求する革新的な企業を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
北川精機グループは、創立以来「熱・圧力・真空制御技術」を基盤に、先端技術との融合を図りながら独創的で高性能な製品を開発し、幅広い業界のものづくりを支えてきました。
「英知と創造」を経営理念とし、独創的な製品でお客様の信頼に応え、社会に貢献することを目指しています。
中期経営計画「KITAGAWA 2030」では、「世界のDXを支える唯一無二の企業」となることを目標に掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
北川精機グループは、「英知と創造」の経営理念のもと、独創的な製品で顧客の信頼に応え、社会に貢献することを大切にしています。
社員全員が喜びを感じ、常に新たな領域へ挑戦し続ける革新的な企業風土を目指しています。
公正・健全で透明性の高い経営と社会・環境課題への積極的な取り組みを通じて、社会の持続的発展に貢献するというサステナビリティ基本方針を定めています。
社員一人ひとりが創造性、自主性、行動力、高い倫理観を持ち、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
北川精機グループは、中期経営計画「KITAGAWA 2030」において、技術力を支える人的資本経営の推進を重点課題の一つとしています。
具体的には、従業員エンゲージメント向上施策の実行、安全衛生管理の徹底による職場環境改善、管理業務のデジタル化による業務効率化の推進に取り組んでいます。
また、持続的な成長のため、多様な人材の採用と技能・技術の次世代への伝承、若い世代の成長の後押しを図っています。
コーポレート・ガバナンス体制の強化も重要な課題と位置付け、経営判断の迅速化、効率化、健全性の向上、透明性の確保に努めています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
北川精機は、取締役会を社外取締役を中心とした構成とし、監査等委員会を設置することで、経営の透明性と効率性の向上を図っています。これにより、取締役会の業務執行に対する監査監督機能の強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
北川精機の筆頭株主は北川精機取引先持株会です。代表取締役社長である内田雅敏氏や、関連会社である北川興産も上位株主として名を連ねており、創業家や関連会社が経営を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北川精機取引先持株会 | 9.42% |
| 内田 雅敏 | 7.71% |
| 北川興産 | 5.98% |
| 広島銀行 | 4.26% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 3.33% |
なお、リム・アドバイザーズ・リミテッドが2025年5月30日現在で13.50%の株式を所有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、同社として2025年6月30日現在の実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況は株主名簿上の所有株式数に基づき記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は内田雅敏氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内田 雅敏 | 代表取締役社長 | 1989年マツダ入社後、1997年に同社に入社。ホクセイ工業代表取締役社長を経て、2016年7月より同社代表取締役社長を務める。 |
社外取締役は、渡辺純夫氏(元北川鉄工所常務執行役員品質本部長・監査等委員)、宮本久美子氏(社会保険労務士みやもと事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しています。社外取締役を過半数とする監査等委員会を設置することで、取締役会の業務執行に対する監査監督機能の強化と、社外取締役の経営参画によるプロセスの透明性および効率性の向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
北川精機では、取締役および監査等委員の報酬は、株主総会で決議された上限額の範囲内で決定されています。報酬は基本報酬(金銭報酬)と非金銭報酬等(株式報酬)で構成され、基本報酬は毎月固定で支払われるほか、年1回の賞与も支給されます。ただし、社外取締役および監査等委員には非金銭報酬等は支給されません。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 8.0百万円 |
| 社外役員 | 2名 | 4百万円 | 2.0百万円 |
報酬限度額は、取締役が年額200百万円、監査等委員が年額20百万円と、2015年9月29日開催の第59期定時株主総会で決議されています。また、2022年9月28日開催の定時株主総会において、同社の取締役(監査等委員である取締役および社外取締役を除く。)を対象に、譲渡制限付株式報酬制度の導入が決議されています。
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