※本記事は、北川精機株式会社 の有価証券報告書(第69期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 北川精機ってどんな会社?
同社は、電子部品や新素材の成形に必要なプレス装置などの産業機械を製造・販売するメーカーです。
■(1) 会社概要
1957年に合板機械の製造販売を目的として寿製作所を設立し、1960年に現社名へ変更しました。1982年には多層プリント基板成形プレスを開発し、現在の主力事業の基盤を築いています。1998年に株式を店頭登録(現・東証スタンダード)し、2011年には中国に販売子会社を設立するなど海外展開も進めています。
現在の従業員数は連結151名、単体141名です。筆頭株主は取引先持株会で、第2位は社長の内田雅敏氏、第3位は法人株主の北川興産です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北川精機取引先持株会 | 9.42% |
| 内田 雅敏 | 7.71% |
| 北川興産 | 5.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性1名の計5名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は内田雅敏氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内田 雅敏 | 代表取締役社長 | マツダを経て1997年入社。経営企画室長、ホクセイ工業社長、代表取締役専務などを歴任し、2016年7月より現職。 |
| 内田 浩靖 | 代表取締役専務経営企画室長兼内部監査室長 | 三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身。2011年入社。北川精机貿易(上海)董事長等を兼務し、2019年7月より現職。 |
| 信岡 成尚 | 取締役(常勤監査等委員) | 広島銀行出身。支店長や監査部主任業務監査役などを経て2021年9月入社。同月より現職。 |
社外取締役は、渡辺純夫(元北川鉄工所常務)、宮本久美子(社会保険労務士みやもと事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「産業機械事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 産業機械事業
主要製品として、プリント基板プレス装置、新素材プレス装置、ラミネータ装置、FA・搬送機械などを製造・販売しています。顧客は国内外の電子部品メーカーや素材メーカーなどが中心です。
収益は、これらの製品を得意先に販売することで得ています。運営は主に北川精機が行っており、中国の得意先への販売は連結子会社の北川精机貿易(上海)有限公司が担当しています。
■(2) その他
産業機械以外の事業として、油圧機器の製造を行っています。
収益は、製造した油圧機器を得意先に直接販売することで得ています。運営は連結子会社のホクセイ工業が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は50億円から60億円台で推移しており、2023年6月期に60億円を超えました。利益面では、2024年6月期まで経常利益が増加傾向にありましたが、直近の2025年6月期は減益となっています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48.2億円 | 50.3億円 | 64.6億円 | 59.3億円 | 62.3億円 |
| 経常利益 | 5.5億円 | 6.7億円 | 8.0億円 | 8.5億円 | 6.0億円 |
| 利益率(%) | 11.3% | 13.4% | 12.5% | 14.4% | 9.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4.7億円 | 5.6億円 | 6.7億円 | 6.0億円 | 3.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上総利益および営業利益は減少しました。売上総利益率は20%台前半を維持していますが、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59.3億円 | 62.3億円 |
| 売上総利益 | 14.3億円 | 13.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.2% | 21.9% |
| 営業利益 | 8.2億円 | 6.2億円 |
| 営業利益率(%) | 13.8% | 10.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び賞与が2.1億円(構成比29%)、役員報酬が0.9億円(同12%)を占めています。
■(3) セグメント収益
産業機械事業は海外向けの大口案件増加により増収となりました。その他事業(油圧機器)は横ばいで推移しています。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| 産業機械事業 | 58億円 | 61億円 |
| その他 | 1.5億円 | 1.5億円 |
| 連結(合計) | 59億円 | 62億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
北川精機は、営業活動で資金を獲得し、投資活動で設備投資を行い、財務活動で借入金の返済や配当金の支払いを行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少、契約負債の増加などにより資金を獲得しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得により資金を使用しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済や配当金の支払いにより資金を使用しました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.0億円 | 3.2億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -1.7億円 |
| 財務CF | 4.8億円 | -2.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「熱・圧力・真空制御技術」をベースに先端技術との融合を図り、独創的で高性能な製品開発を通じてものづくりを支えることを基本方針としています。「英知と創造」の理念のもと、独創的製品で社会に貢献し、常に新たな領域へ挑戦し続ける革新的な企業を目指しています。
■(2) 企業文化
社員全員の喜びとして新たな領域への挑戦を続ける姿勢を重視しています。また、公正・健全で透明性の高い経営と社会・環境課題への取り組みを通じて社会の持続的発展に貢献することを目指し、法令遵守や働きやすい職場環境の整備にも力を入れています。
■(3) 経営計画・目標
2025年6月期から2030年6月期までの6年間を対象とする中期経営計画「KITAGAWA 2030」を策定しています。最終年度の目標として以下を掲げています。
* 売上高:100億円
* 営業利益:15億円
* 営業利益率:15%以上
* 自己資本利益率(ROE):12%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
「KITAGAWA 2030」では、「世界のDXを支える唯一無二の企業」を目指す姿としています。前半3年を準備期間、後半3年を実現期間と位置づけ、成長市場への新製品投入や、設計・製造のデジタル化・自動化による生産能力拡大と収益性向上に取り組む方針です。
* 売上高100億円に向けた成長戦略の遂行
* 生産能力拡大と収益性向上の両立
* 既存技術の深化と製品・サービスの品質向上
* 技術力を支える人的資本経営の推進
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長のため、多様な人材の採用と、蓄積した技能・技術の次世代への伝承を重視しています。また、社員一人ひとりが創造性・自主性と行動力を持ち、環境変化に柔軟に対応できる人材として活躍できるよう育成するとともに、仕事と家庭生活を両立できる環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 44.7歳 | 19.6年 | 5,492,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | -% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | -% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | -% |
※男性育児休業取得率は、当連結会計年度において対象者がいなかったため算出されていません。その他の項目については、有価証券報告書に記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、セルフチャレンジ(目標管理制度)実施率(100%)、コンプライアンス研修受講率(100%)、定期健康診断受診率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) IT産業の変動リスク
IT産業は製品市場が循環的に大きく変動し、設備投資も大幅な増減を繰り返す傾向があります。同社グループは過去の不況時の対応を教訓とした経営を行っていますが、IT産業の設備投資動向によっては、受注や業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 技術力・製品開発力
主たるユーザー市場は技術進歩が著しいため、新製品の開発や新技術の研究を継続しています。しかし、技術力や開発力が市場の技術進歩に遅れをとった場合、競争力が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 知的財産権の保護
多数の特許を保有し、権利侵害防止に努めていますが、特許が無効とされる可能性や、第三者による特許侵害のリスクがあります。また、特許権の行使や企業秘密の保護が一部の国で困難な場合など、競争上の優位性が損なわれる可能性があります。



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