※本記事は、NKKスイッチズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、産業用スイッチの製造・販売を主たる業務としています。2030年のグループビジョン「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する真のパートナーとなる」の実現に向け、中期経営計画Ⅱを推進し、「顧客価値の向上」を掲げています。
単体従業員数は136名、連結従業員数は262名です。セグメントは日本、欧米、アジアの3つです。
なお、NKKスイッチズ香港は第74期下半期に販売機能を他のグループ会社に移管し、営業支援を行う会社となる予定です。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
NKKスイッチズは、社員一人ひとりの成長と挑戦を重視し、お客様の真のパートナーとなることを目指す企業です。給与制度は個人の成果や貢献度を適切に反映するよう設計されており、多様な人材が活躍できる職場環境の整備にも力を入れています。社員の専門性向上やキャリア形成を支援する制度も充実しており、長期的な視点でキャリアを築きたい方にとって魅力的な環境と言えるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員の定着を促し、経験豊富な人材が長く活躍できる環境が整っている傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定したキャリア形成が可能な職場であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,301,000円 |
| 平均勤続年数 | 14.75年 |
| 平均年齢 | 44.72歳 |
| 単体従業員数 | 136人 |
| 連結従業員数 | 262人 |
| 単体のグループ内比率 | 51.9% |
同社は確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内グループ会社および一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は8.9億円、年金資産は8.3億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する真のパートナーとなります。」というグループビジョンの実現に向け、人材戦略を推進しています。ビジネスモデルの主軸を「もの」から「こと」へと転換し、社員一人ひとりが主体的に考え、挑戦し、高い専門性を発揮できる組織を目指しています。
人材育成においては、役職ごとの階層別研修やeラーニングを用いた専門教育、OJTを通じて能力向上と専門性強化を図っています。品質管理や生産技術、開発技術といった専門分野では、部門ごとの教育計画に基づいた専門教育も実施しています。
社内環境整備では、多様な人材が能力を十分に発揮できるよう、長時間労働の抑制、有給休暇取得の促進、安全衛生の強化、ハラスメント防止教育などに取り組んでいます。また、人事制度の改定や評価者研修を通じて、適切な評価と処遇の実施に努め、従業員エンゲージメントの向上を図っています。
給与・報酬の決定方針としては、社員の成長と挑戦を促進し、企業価値の持続的な向上につなげることを目的としています。旺盛な挑戦心、高い専門力、成果創出への貢献を人事評価に反映し、その評価結果に基づき昇給率に差を設けることで、社員の成果や貢献度を処遇に適切に反映しています。昇給額は物価上昇や労働市場の動向、労働組合との協議を経て決定されます。一時金(賞与)については、連結営業利益率の実績水準を踏まえて支給月数を検討し、労働組合との交渉を経て確定後、社員一人ひとりの目標管理に係る評価結果に応じて配分されます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 58.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 39.6% |
多様性・登用
提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員の比率向上(新卒採用における女性採用実績) | 2名中1名 |
育児・介護支援
提出会社を対象とした集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性の育児休業取得率 | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
NKKスイッチズは、産業用スイッチの製造と販売を主軸とする企業グループです。同社グループは、日本、欧米、アジアの3つの地域セグメントで事業を展開し、それぞれの地域で顧客のニーズに応じた製品を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループの収益モデルは、産業用スイッチの製造・販売を通じて得られるものです。特に、放送音響機器や特殊車両といった「特定市場の深耕」と、最適な納期を実現する「生販一体の供給基盤の構築」を重点テーマとしています。海外売上高が全体の過半数を占めており、為替変動の影響を受ける事業構造となっています。
日本
日本セグメントでは、産業用スイッチの製造と販売を行っています。NKKスイッチズパイオニクスが製品の組立加工を担当し、同社へ販売しています。収益は、国内の顧客への産業用スイッチの販売から得ています。
欧米
欧米セグメントは、同社グループ最大の事業規模を誇ります。子会社NKK Switches of America, Inc.が北米で、NKK Switches Europe GmbHがEMEA(欧州、中東、アフリカ)で同社製品を販売しています。収益は、欧米地域の顧客への産業用スイッチの販売から得ています。
アジア
アジアセグメントでは、香港・アジア、中国、フィリピンを拠点に事業を展開しています。子会社NKK Switches Hong Kong Co., Ltd.、恩楷楷(上海)開関有限公司が販売を、NKK Switches Mactan, Inc.と恩楷楷開関(東莞)有限公司が製品の組立加工を担っています。収益は、アジア地域の顧客への産業用スイッチの販売から得ています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 欧米 | 36.9億円 | 39.5億円 |
| 日本 | 29.6億円 | 33.4億円 |
| アジア | 9.1億円 | 10.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が変動しながらも、前期に減少した後に当期は増加に転じています。利益面では、前期に経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失を計上しましたが、当期は黒字に回復しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 89.4億円 | 103億円 | 94.4億円 | 75.6億円 | 83.7億円 |
| 経常利益 | 8.8億円 | 10.4億円 | 4.6億円 | △3.9億円 | 4.1億円 |
| 経常利益率 | 9.8% | 10.1% | 4.9% | △5.2% | 4.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.8億円 | 8.3億円 | 3.9億円 | △4.0億円 | 2.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 706.14 | 1,004.07 | 473.07 | △491.14 | 355.65 |
営業活動によるキャッシュ・フローは当期に大きく減少しましたが、これは主に棚卸資産や売上債権の増加、仕入債務の減少といった運転資金の変動によるものです。本業による利益創出能力は回復傾向にあります。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたりの営業利益も前期の損失から当期は黒字に転換しており、収益性の改善が進んでいることが示されています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 27.7百万円 | 32.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △1.7百万円 | 1.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
NKKスイッチズグループは、本業で資金を獲得しつつ、将来の成長に向けた投資を積極的に行っているフェーズにあります。財務基盤は安定しており、手元資金も確保されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率の高さが特徴です。プライム市場上場企業(製造業)の平均と比較しても高い水準にあり、安定した経営状態を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、引き続き一定の残高を維持しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 127億円 | 136億円 |
| 自己資本比率 | 84.8% | 86.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 2.2% |
| 現金及び預金 | 46.9億円 | 37.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度におけるNKKスイッチズグループのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスとなっています。これは、本業で安定的に資金を獲得していることを示しています。しかし、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、主に有形固定資産や無形固定資産の取得に資金を投じている状況です。
その結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、同社グループが将来の成長に向けた投資を積極的に行っているフェーズにあることがうかがえます。このような資金の流れは、事業拡大への意欲を示す一方で、短期的な手元資金の減少につながる可能性があります。雇用や給与の安定性については、本業での資金獲得能力は維持しつつ、成長投資の成果が今後の事業にどう影響するかが注目されます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.5億円 | 29百万円 |
| 投資CF | △6.4億円 | △10.5億円 |
| 財務CF | △1.5億円 | △1.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 9百万円 | △10.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、グローバルに事業を展開しており、海外売上比率および海外生産比率がともに6割を超えています。そのため、国際情勢や地政学的リスク、為替相場の変動が経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、生産活動に必要な部品・材料の多くをグループ外の仕入先から調達しているため、仕入先の状況や原材料費・物流費・人件費等の高騰が業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、国内外の関連法令および規制等を遵守するため、コンプライアンス教育等の充実・強化に取り組んでいます。万一、関連法令・規制等に抵触する事態が発生した場合、多額の損害賠償等の請求や、社会的な信用が低下する可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
NKKスイッチズは、「Great Small Company」を経営理念に掲げ、お客様の真のパートナーとなることを目指しています。従業員が笑顔で働き、顧客の困りごとを解決する「こと」への価値提供を重視する企業風土です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
NKKスイッチズは、「Great Small Company」を経営理念に掲げ、同社グループ一体となって追求しています。2030年のありたい姿として「私たちが笑顔となり、お客様の困りごとを顧客目線で解決する真のパートナーとなります。」というグループビジョンを制定しています。
お客様を笑顔にするためには、同社グループで働く「私たち」が主役となり、笑顔になることが重要であると考えています。ビジネスモデルの主軸を「もの」から「こと」へ移し、お客様と心が通じ合う「真のパートナー」を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
NKKスイッチズは、行動理念として「信頼し、信頼される良い会社」を掲げています。サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、環境・社会・ガバナンス・人的資本の4カテゴリーで計12項目の施策を推進しています。
人的資本に関する方針として、女性社員の比率向上、男性の育児休業取得、障がい者雇用、従業員エンゲージメントの向上を掲げています。具体的には、新卒採用における女性の採用目標や、男性の育児休業取得率の目標を設定しています。また、従業員エンゲージメントの測定を通じて、信頼・尊重・感謝が自然にできる活力ある職場を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
NKKスイッチズグループは、2030年のグループビジョン実現に向け、中期経営計画Ⅱにおいて「顧客価値の向上」を目標としています。そのための重点テーマとして、「特定市場の深耕」と「生販一体の供給基盤構築」を掲げています。
特定市場の深耕では、放送・音響機器市場や特殊車両市場を成長分野とし、新たな市場開拓も進めています。お客様との直接的な関係構築や技術協業を通じて、顧客価値の高いソリューション提供を目指しています。また、生販一体の供給基盤構築では、生産と販売が連携し、最適なPSI(Production, Sales and Inventory)手法の導入を進めることで、タイムリーな商品供給を実現しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
NKKスイッチズは監査役会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と業務執行の監督を担っています。社外取締役や社外監査役を含むガバナンス委員会を設置し、コンプライアンス強化にも取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
有限会社ビッグブリッヂが筆頭株主であり、そのほかにも複数の個人株主が上位に名を連ねています。特定の企業や金融機関だけでなく、多様な株主によって支えられている資本構成が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社ビッグブリッヂ | 16.05% |
| TNNアドバイザーズ | 5.13% |
| 三井住友銀行 | 4.98% |
| 大橋 宏成 | 3.72% |
| 大橋 尚子 | 3.41% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は大橋智成氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大橋 智成 | 取締役社長 代表取締役 | 1996年8月同社入社、1999年6月取締役副社長就任、2003年12月代表取締役社長就任より現職。 |
| 大橋 宏成 | 取締役副社長 | 2000年4月同社入社、2007年6月取締役就任、2024年6月取締役副社長 兼 COO就任より現職。 |
| 海老沼 博行 | 取締役 | 2015年4月同社入社、2022年6月同社取締役就任、2026年4月生産本部長 兼 技術本部長より現職。 |
社外取締役は、芦澤直太郎氏(アシザワ株式会社代表取締役社長)、津留崎貴子氏(NTTデータCCS常務取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会が経営の意思決定と業務執行の監督を担っています。社外取締役は取締役会を通じて情報収集や意見表明を行い、内部監査部門や会計監査人との連携も図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、役員報酬は基本報酬、業績連動報酬である役員賞与、および役員退職慰労金で構成されています。役員賞与は連結営業利益率の達成度に応じて変動する仕組みです。社外役員については、独立性を考慮し基本報酬と役員退職慰労金のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 95百万円 | 31.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 11百万円 | 11.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 15百万円 | 2.9百万円 |
なお、退職慰労金には当事業年度にかかる役員退職慰労引当金繰入額が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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