#記事タイトル:協立電機転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社協立電機 の有価証券報告書(第67期、自 2024年7月1日 至 2025年6月30日、2025年9月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 協立電機ってどんな会社?
FA技術とIT技術を融合させたインテリジェントFAシステムを中核に、製造業の自動化を支援する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1959年に東海計測として設立され、1998年に日本証券業協会へ店頭登録しました。1999年以降、協和電工(現・協和サンシンエンジニアリング)などをM&Aで子会社化し事業を拡大しています。2001年からはタイや中国などに海外子会社を設立し、グローバル展開を加速させています。
2025年6月30日現在、連結従業員数は840名、単体では385名です。筆頭株主は同社の関連会社であるエム・エヌ・エス、第2位は同社代表取締役社長の西信之氏、第3位は同社監査役の西光世氏となっており、経営陣およびその関係先が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エム・エヌ・エス | 29.52% |
| 西信之 | 5.97% |
| 西光世 | 4.34% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役社長は西信之氏が務めています。社外取締役比率は15.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西信之 | 代表取締役社長 | 1985年入社。取締役、東京支店長、常務、専務を経て2016年1月より現職。協立テストシステム代表取締役会長を兼任。 |
| 瀬本保範 | 常務取締役海外営業本部長兼システム統括 | 1982年入社。執行役員、常務執行役員、海外営業本部長を経て2019年9月より現職。2025年7月よりシステム統括を兼任。 |
| 大石勝久 | 常務取締役国内営業本部長兼中部統括兼工事本部長兼ロボット本部長 | 1985年入社。執行役員、常務執行役員、国内営業本部長を経て2019年9月より現職。工事本部長、ロボット本部長等を兼任。 |
| 藤嶋善彦 | 取締役国内営業本部国内関連会社統括 | 2004年入社。常務執行役員、メック代表取締役社長を経て2017年9月より現職。2025年7月より国内関連会社統括。 |
| 小島基治 | 取締役CE本部長 | 1981年入社。富士サービス部長、CE本部システムサービス部長、執行役員等を経て2021年9月より現職。 |
| 新井由朗 | 取締役第一エンジニアリング本部長 | 1986年入社。エンジニアリング本部第二SI技術部長、執行役員等を経て2021年9月より現職。 |
| 平井伸太郎 | 取締役管理本部長兼IR室長兼CR管理委員長 | 1995年入社。管理本部長、IR室長、執行役員、CR管理委員長を経て2021年9月より現職。 |
社外取締役は、鈴木雅(元たちばなリース社長)、望月誠(元静岡県公営企業管理者企業局長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「インテリジェントFAシステム事業」、「IT制御・科学測定事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) インテリジェントFAシステム事業
FA(ファクトリー・オートメーション)技術とIT技術を融合させたインテリジェントFAシステムの開発、設計、製造および販売を行っています。製造現場や研究開発部門に対し、省力化や生産効率向上に寄与するシステムを提供しています。
顧客である製造業各社から、システムの対価を受け取ります。運営は主に協立電機、協立テストシステム、協和サンシンエンジニアリング、SKC、アニシス、第一エンジニアリングなどが行っており、海外ではタイ、マレーシア、インド、カナダなどの現地法人が担当しています。
■(2) IT制御・科学測定事業
FA機器、IT機器、コントロール機器、科学分析機器、計測機器、産業機械などの販売を行っています。顧客の研究開発や製造現場におけるニーズに対応した機器を提供しています。
顧客への製品販売により収益を得ています。運営は主に協立電機、協立機械、協和サンシンエンジニアリング、アプレスト、SKC、東海システムサービスなどが行っており、海外ではタイ、ベトナム、インドネシアの現地法人が担当しています。
■(3) その他
不動産賃貸事業など、上記セグメントに含まれない事業を行っています。
テナントからの賃貸料収入などが収益源となります。運営は主に協立電機、東海システムサービス、Kyoritsu Holdings (Thailand)、エム・エヌ・エスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加傾向にあり、特に直近2期で大きく伸長しています。利益面でも経常利益、当期利益ともに増加基調を維持しており、利益率も5%台から9%台へと向上しています。
| 項目 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 273億円 | 283億円 | 336億円 | 344億円 | 382億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 16億円 | 24億円 | 26億円 | 35億円 |
| 利益率(%) | 5.1% | 5.7% | 7.1% | 7.7% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 9億円 | 13億円 | 15億円 | 20億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益が拡大しています。売上総利益率は20%前後で推移しており、営業利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 344億円 | 382億円 |
| 売上総利益 | 68億円 | 80億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.7% | 20.9% |
| 営業利益 | 25億円 | 34億円 |
| 営業利益率(%) | 7.1% | 8.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が22億円(構成比48%)、法定福利費が4億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
インテリジェントFAシステム事業は大幅な増収となり、グループ全体の成長を牽引しています。IT制御・科学測定事業も微増ながら堅調に推移しました。
| 区分 | 売上(2024年6月期) | 売上(2025年6月期) |
|---|---|---|
| インテリジェントFAシステム事業 | 129億円 | 165億円 |
| IT制御・科学測定事業 | 214億円 | 217億円 |
| その他 | 0.4億円 | 0.4億円 |
| 連結(合計) | 344億円 | 382億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
協立電機は、営業活動で得た資金が投資や財務活動での支出を上回り、資金が潤沢に増加しています。営業活動では、法人税等の支払いはあったものの、利益創出により資金を得ています。投資活動では、有価証券の償還による収入があった一方で、設備投資や有価証券取得のための支出がありました。財務活動では、短期借入金の減少や長期借入金の返済による支出がありました。
| 項目 | 2024年6月期 | 2025年6月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 26億円 | 25億円 |
| 投資CF | -4億円 | -12億円 |
| 財務CF | -9億円 | -10億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、FA技術とIT技術の融合分野であるインテリジェントFAシステム市場を対象に、開発型ビジネスを通じて豊かな未来社会に貢献することを経営理念としています。株主、顧客、社員およびその家族、関連する全ての人々と将来の希望を共有することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、株主・顧客・社員等と将来の希望を共有し、心豊かで風通しの良い企業風土を形成することを重視しています。また、顧客が求める全ての要求にグループ単独で応えられる「One Stop Shopping」の実現を旗印とし、顧客とのWin-Winの関係構築を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
利益率の向上と成長分野への的確な選択投資を重視しており、経営指標として連結売上高経常利益率と連結ROEを掲げています。当面の目標として以下の数値を設定しています。
* 連結売上高経常利益率:8%
* 連結ROE:15%
■(4) 成長戦略と重点施策
国内市場の縮小を見据え、新興国を中心とした海外での事業強化を最重要テーマの一つとしています。また、国内ではIoTやAI技術を活用したロボットビジネスや省力化・自動化システムなどの成長市場を開拓し、「One Stop Shopping」施策を通じてグループ全体の競争力を底上げする方針です。
* R&Dセンターを起点とした技術開発力の強化
* ロボットビジネスや自動化システム等の省力化関連投資への対応
* 環境関連製品の新製品開発・拡販
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
海外展開の拡大や技術革新に対応するため、グローバルに通用する人材や高度な技術力を持つ人材の育成・確保を重視しています。関連部局担当者には語学力や適応力が、技術部門には高度化するシステムへの対応力が求められており、グループ全体での技術力向上を目指した施策を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年6月期 | 45.7歳 | 17.6年 | 6,414,109円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 58.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 87.2% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外展開を拡大させるための人材リソース
顧客である製造業の海外展開スピードに対応するため、同社も多くの経営資源を海外事業に投入する必要があります。しかし、人材面での経営資源には制約があり、顧客の展開スピードに追いつけなくなる可能性があります。同社では人材確保と教育を継続し、体制強化に努めています。
■(2) 技術革新と顧客ニーズの変化への対応
IT技術の進歩に伴い顧客ニーズが激しく変化する中、その中長期的な方向性を的確に見定める必要があります。方向感を誤り、技術や製品が時代の要請に応えられなくなるリスクがあります。同社は常に最新の技術動向に目を向け、付加価値の高いソリューション提供に努めています。
■(3) 国内マーケットの地域間格差
国内における新規投資需要へのアプローチにおいて、拠点網が充実している静岡県近隣と比較して、新設拠点が多い地域では捕捉率に遅れが生じています。この地域差を縮めることが課題であり、市場拡大を狙える地域への積極的な投資を行っていく必要があります。



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